2011-12-06(Tue)
小説・さやか見参!(119)
動きを封じられたさやかには反撃のしようもなかった。
腕を取ってしまえば押すも引くも思いのまま、
つまり、今のさやかは完全にイバラキの手中にあったのである。
腕を掴んだ勢いを利用して、イバラキはさやかの体勢を崩し、その腹に膝を入れた。
『ぅげぇっ!』
つんのめった所にねじ込まれた攻撃で、さやかの口から胃液が流れた。
がつん
衝撃と共にさやかの記憶が飛んだ。
腹部の痛みに気を取られた瞬間、首筋に手刀が振り下ろされたのだ。
延髄を打たれ意識を失ったさやかが前のめりに倒れた。
だがイバラキは手を緩めない。
倒れる事を許さぬかのように、失神しているさやかの襟を掴んで無理矢理引き起こす。
強制的に覚醒させられたさやかは、朦朧としながらも敵に刀を向けた。
イバラキの脳天を狙った刃にはすでに力は無い。
おそらく意識が混濁したままなのだろう。
戦意が感じられないのだ。
ただ、『忍びの本能』、のようなものだけで戦いを続けているに違いない。
イバラキは己を狙う華奢な腕を鋼の手で掴んだ。
ぎりりと力を入れ、手首を締め上げる。
『うっ』
小さな呻きが聞こえた。
柄を握る指がほどけて刀が落ちる。
勝負はついた。
イバラキがにやりと笑いながら腹を蹴りつけると、さやかは身体をくの字に折ったまま、崩れるように倒れた。
それを踏み付けてイバラキが問う。
『山吹さやか、もう終わりか?』
答えは無い。
『ふん』
背に乗せた足を下ろすと、イバラキはさやかの頭部を蹴りつけた。
倒れた少女は動かなかった。
呻き声すらない。
それをしばらく見て、ふんと鼻を鳴らしたイバラキは、
『さて、それではいただくか。山吹の奥義を』
と楽しげに言った。
腕を取ってしまえば押すも引くも思いのまま、
つまり、今のさやかは完全にイバラキの手中にあったのである。
腕を掴んだ勢いを利用して、イバラキはさやかの体勢を崩し、その腹に膝を入れた。
『ぅげぇっ!』
つんのめった所にねじ込まれた攻撃で、さやかの口から胃液が流れた。
がつん
衝撃と共にさやかの記憶が飛んだ。
腹部の痛みに気を取られた瞬間、首筋に手刀が振り下ろされたのだ。
延髄を打たれ意識を失ったさやかが前のめりに倒れた。
だがイバラキは手を緩めない。
倒れる事を許さぬかのように、失神しているさやかの襟を掴んで無理矢理引き起こす。
強制的に覚醒させられたさやかは、朦朧としながらも敵に刀を向けた。
イバラキの脳天を狙った刃にはすでに力は無い。
おそらく意識が混濁したままなのだろう。
戦意が感じられないのだ。
ただ、『忍びの本能』、のようなものだけで戦いを続けているに違いない。
イバラキは己を狙う華奢な腕を鋼の手で掴んだ。
ぎりりと力を入れ、手首を締め上げる。
『うっ』
小さな呻きが聞こえた。
柄を握る指がほどけて刀が落ちる。
勝負はついた。
イバラキがにやりと笑いながら腹を蹴りつけると、さやかは身体をくの字に折ったまま、崩れるように倒れた。
それを踏み付けてイバラキが問う。
『山吹さやか、もう終わりか?』
答えは無い。
『ふん』
背に乗せた足を下ろすと、イバラキはさやかの頭部を蹴りつけた。
倒れた少女は動かなかった。
呻き声すらない。
それをしばらく見て、ふんと鼻を鳴らしたイバラキは、
『さて、それではいただくか。山吹の奥義を』
と楽しげに言った。
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