2011-11-22(Tue)
小説・さやか見参!(111)
枝々を通した光が景色をうっすらと緑に染める。
ひやりとした空気がやけに清浄なものに感じる。
林の中を歩く山吹さやかの集中力も周りの空気のように澄んでいた。
この広い林の隅々まで感じ取る事が出来るようだ。
獣達はさやかを気にする素振りもなく落ち着き払っている。
人の気配は微塵もない。
だが―
突然頭上に湧いた気配が降ってくる。
さやかは転がって難なくかわした。
野良着姿が一瞬で桜色の忍び装束に変わっている。
さやかの野良着は、空より襲いかかった青装束の忍び達によって地面に串刺しにされていた。
4人の青い忍びは地面に刺さった刀を抜き、それぞれさやかに向かって構えている。
『やっぱりあんた達か。幻龍組の三流忍者』
侮蔑され昂ぶった4人がさやかに迫った。
『人の気配はしなかったんだけどね。人ならざる…ってゆーか、出来損ない忍者の気配は感じてたわよ。あれで気配を消してたつもり?』
構えようともせず小馬鹿にした調子で喋るさやかに青忍者達が戸惑っている。
『おまけにさ、枝から跳んだ瞬間に殺気びんびん。
動く時こそ静めよって習わなかった?』
さやかは4人の顔をゆっくり見た。
無手の少女1人に対し、刀を振り上げた男4人が動く事も出来ない。
さやかは小さく、
『天狗の正体は幻龍組かぁ』
と呟いた。
その声は少し嬉しそうにも思えた。
ひやりとした空気がやけに清浄なものに感じる。
林の中を歩く山吹さやかの集中力も周りの空気のように澄んでいた。
この広い林の隅々まで感じ取る事が出来るようだ。
獣達はさやかを気にする素振りもなく落ち着き払っている。
人の気配は微塵もない。
だが―
突然頭上に湧いた気配が降ってくる。
さやかは転がって難なくかわした。
野良着姿が一瞬で桜色の忍び装束に変わっている。
さやかの野良着は、空より襲いかかった青装束の忍び達によって地面に串刺しにされていた。
4人の青い忍びは地面に刺さった刀を抜き、それぞれさやかに向かって構えている。
『やっぱりあんた達か。幻龍組の三流忍者』
侮蔑され昂ぶった4人がさやかに迫った。
『人の気配はしなかったんだけどね。人ならざる…ってゆーか、出来損ない忍者の気配は感じてたわよ。あれで気配を消してたつもり?』
構えようともせず小馬鹿にした調子で喋るさやかに青忍者達が戸惑っている。
『おまけにさ、枝から跳んだ瞬間に殺気びんびん。
動く時こそ静めよって習わなかった?』
さやかは4人の顔をゆっくり見た。
無手の少女1人に対し、刀を振り上げた男4人が動く事も出来ない。
さやかは小さく、
『天狗の正体は幻龍組かぁ』
と呟いた。
その声は少し嬉しそうにも思えた。
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