2011-10-10(Mon)
小説・さやか見参!2(103)
あやかしの噂が流れる時、そこには何らかの理由がある。
人死にが出た、耳慣れぬ物音や鳴き声を聴いた、薄気味悪い雰囲気を感じた…
それがやがて『何かがいた』となり、
『何かを見た』となり、
『何かがいたらしい』『誰それも見たらしい』となって話が広がっていく。
『あやかし』の正体は『まやかし』であったりもするのだ。
だが、
時としてその目撃談が真実の場合もある。
空中高く飛翔する天狗、
水面を歩く仙人、
一瞬に姿を隠す亡霊、
そんなものが実際に姿を現す事もあるのだ。
あやかしは存在するのだろうか?
いや、
さやかはそれらの正体を知っている。
これまでの任務の中で、幾度も妖物達を探った事があるからだ。
その結果、
調査したあやかしの正体は例外なく全て『忍者』だった。
山岳修験者の場合もあったのだが、修験者と忍びとの境界は曖昧であり、彼らを忍びと呼ぶに差し支えはない。
考えてみれば、『空中高く飛翔する』、『水面を歩く』、『一瞬に姿を隠す』などは忍びの十八番だ。
それら人知を越えた忍術を目の当たりにした者達が、仙人だ亡霊だと噂しても不思議はない。
(この先に忍者がいるかもしれない)
少しだけ昂揚する。
(何者がどんな任を負うているのか)
確認せずにはいられない。
さやかは肩越しに老人を見て三度頭を下げ、再び歩き出した。
天狗が待つ林へと向かって。
人死にが出た、耳慣れぬ物音や鳴き声を聴いた、薄気味悪い雰囲気を感じた…
それがやがて『何かがいた』となり、
『何かを見た』となり、
『何かがいたらしい』『誰それも見たらしい』となって話が広がっていく。
『あやかし』の正体は『まやかし』であったりもするのだ。
だが、
時としてその目撃談が真実の場合もある。
空中高く飛翔する天狗、
水面を歩く仙人、
一瞬に姿を隠す亡霊、
そんなものが実際に姿を現す事もあるのだ。
あやかしは存在するのだろうか?
いや、
さやかはそれらの正体を知っている。
これまでの任務の中で、幾度も妖物達を探った事があるからだ。
その結果、
調査したあやかしの正体は例外なく全て『忍者』だった。
山岳修験者の場合もあったのだが、修験者と忍びとの境界は曖昧であり、彼らを忍びと呼ぶに差し支えはない。
考えてみれば、『空中高く飛翔する』、『水面を歩く』、『一瞬に姿を隠す』などは忍びの十八番だ。
それら人知を越えた忍術を目の当たりにした者達が、仙人だ亡霊だと噂しても不思議はない。
(この先に忍者がいるかもしれない)
少しだけ昂揚する。
(何者がどんな任を負うているのか)
確認せずにはいられない。
さやかは肩越しに老人を見て三度頭を下げ、再び歩き出した。
天狗が待つ林へと向かって。
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