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2011-08-28(Sun)

アクションへの道(261)

『あーしてみようこーしてみよう』

という癖がついたらしめたもの、

立ち回りを考えてる最中に

『今まではこう動いてたけど、こう動いてみたらどうなる?』

なんて閃いたり、

現場での突然のアクシデントに対し、

『こーゆー風に変更してみたら乗り切れないか?』

なんて閃いてみたり、

今まで嫌いだった奴の事も、

『こいつの考え方もアリなんじゃない?』

なんて思えて嫌いじゃなくなったり、

色々な変化が現われるのです。

突然ですが、『コージー』という男の話をしましょう。

コージーはキャラクターショーの後輩です。

今は就職して一線を退いていますが、『考える』という事において抜きんでた才能を持つ男だと僕は思っています。

先日、コージーが練習に参加してくれた時の事。

前蹴りの練習でマルヤマさんが上手くバランスを取る事が出来ないという一幕がありました。

僕がアドバイスしたのは『蹴り足の出し方』について。

マルヤマさんは蹴り足の軌道が少しだけズレていて、そのせいで身体の軸がぶれていたのです。

生徒さんが上手く出来ずに困っている↓↓

講師がアドバイスする↓↓

改善が見られる。

普通ならこれで完結です。

しかしそれで終わらないのがコージーなのです。

蹴りの練習が終わった後、コージーが僕に言いました。

『内野さんは蹴りの時、軸足の重心はどこに置いてますか?
僕は爪先重心にしてるんですが』

ん?
あぁ、どこだろう。
あんまり意識してなかったけど俺も爪先かなぁ。

なんで?

『いや、さっきのマルヤマさんの前蹴りですけど、バランスが取れないのは蹴り足の軌道だけじゃなくて、もしかしたら軸足の重心がズレてる可能性もあるのかなぁと思って』

なるほどね。
たしかに可能性はあるな。
まぁ今はまだ自然な動きに任せてる段階なんだけど…

『そうなんですね。
ちょっと気になったんですけど、内野さんがどう教えてるか分からないのに口出ししちゃいけないなと思って。

なので訊いてみました』



…皆さん分かるでしょうか?

コージーは練習しながらマルヤマさんの動きを見て

『なぜバランスを崩すのか?』

と考えていたのです。

そして僕がアドバイスしているのを見て、

『蹴り足以外にも原因の可能性はないか?』

と考えていたのです。

スピードは?
タイミングは?
上半身と下半身の動きのバランスは?
軸足の回転は?

おそらくは自分でも前蹴りの練習をしながら、色んな可能性を探っていたのでしょう。

これは僕も経験があるのですが、集中して練習すると、

『自分の身体と会話』

する事が出来るのです。

身体と会話しながら動いてみると、動きのポイントがどこにあるかが分かります。

(俺は上半身をぶれさせないように動いてるな)

とか、

(インパクトの瞬間はこの部分の筋肉に力が入ってるな)

とか、

自分の動きの詳細が理解出来るのです。

自身の動きを理解する事で他人に指導する際も、

『上半身がぶれないようにすると上手くいくよ』

『インパクトの瞬間はこの部分に力を入れるといいよ』

みたいに、具体的な指導が出来るのです。

コージーは、

スピードはどのぐらいバランスに影響する?

タイミングはどのぐらい?

上半身と下半身のバランスは?

など自分の身体に問いかけながら動いてみて、結果的に

『軸足の重心が踵側にあるとバランスを崩し易いぞ』

という答えに行き着いたのでしょう。

ここまで原因の可能性をリストアップ出来れば、もし軸足が原因でなくても次のアドバイスが出来るでしょう。

このように、例えば原因を突き詰めて考えておけば、答えをだすのが比較的容易になるのです。

これは他人へのアドバイスだけでなく、自分自身が壁にぶつかった時にも有効なんですよ。

考える癖がついてる人はスランプ知らずだと僕は思っています。

しかし、コージーの考える癖はそこで終わりではありません。

蹴りのバランスが崩れるのは、蹴り足の軌道だけじゃなく軸足も原因かもしれないぞ↓↓

教えてあげた方がいいかな↓↓

いや、講師の内野さんを差し置いて自分が口を出すのは立場をわきまえない行為だ↓↓

もし内野さんが『軸足の重心は踵側!』と教えているなら自分のアドバイスは余計な口出しだし、なにより内野さんの立場がなくなる↓↓

じゃあ個人的に内野さんに質問してみよう。

と、ここまで考えて僕に

『内野さんは軸足の重心はどこに置いてますか?
僕は爪先ですが』

と尋ねてきたのです。

コージーは決して天才肌ではありません。

人並み以上のセンスを持ち合わせているワケでもありません。

しかし彼は努力を怠らない人間でした。

自分の前に立ちはだかるたくさんの壁に、真摯に向かい合った結果、今のコージーがあるのです。

強い責任感で自分を追い込んできたコージーだからこそ、このように自然に考える癖がついているのです。

だからこそ彼は上手くなり得たのです。


後輩達の中には単純に

『コージーさんって上手いですよね~!』

なんて賞賛を送る者達がいますが、彼の努力を知ろうともせずに賞賛する事は、逆に失礼ではないか、という気がします。


つづく。
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プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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