2011-08-07(Sun)
アクションへの道(245)
えー、
キャラクターショーというのはアクターだけでは成り立たないものでして、
MCと呼ばれる司会のお姉さんですとか、
音響を担当するスタッフですとか、
色んな人達が力を合わせてショーを作るのでございます。
たくさんの人が集まれば、その分色んな人がいるってなもんでして…
これは、あるショッピングモールでのエピソード。
九州のとある島にオープンしたショッピングモール。
そこでのオープニングイベントでキャラクターショーが呼ばれまして、
僕はHIROの班の一員として現地に乗り込んだのです。
ステージ状況を確認してみた所、場所はエントランス前の広場。
ただしあまりスペースは取れないようです。
まぁ我々はステージが広かろうが狭かろうが演るしかないし、ある程度は対応出来る経験値がありますが、問題は『客席』が狭かった事。
狭いというよりは『幅がなかった』のです。
ステージも客席もベタ(地面)。
その状況で『幅がなく』『奥行きがある』客席だと、立ち見になった場合、前方の数列しかショーを観る事が出来ません(下図参照)。
ステージ
○○○○
○○○○
●●●●
●●●●
●●●●
※立ち見だと前方の観客○からはステージが見えるが、何列か後の観客●は○が壁になってステージを見る事が出来ない。
ならば解決策は簡単、
全員座ってもらえばいいのです。
そうすれば後ろのお客さんにもショーを観てもらえます。
ただ…
先ほど書いたように、客席はエントランス前の地面。
直接座らせるワケにはいきません。
僕とHIROはスタッフに訊きました。
『ブルーシートは持ってきてないんですか?』
どうやら持ってきていないようです。
僕らは客席の状況を説明し、ショッピングモールさんからブルーシートをお借りする事を提案しました。
するとスタッフは渋い顔をして動こうとしません。
『??』
僕らが答えを待っていると彼は、
『いや、今回はブルーシート無しで、お客さんには立って観てもらおう』
と言いました。
『えぇーっ!?
だってそれじゃほとんどのお客さんがショーを観れませんよ!?』
『今回はブルーシートを持ってきてないから仕方ない』
『仕方ないって…
だからお借りしようって言ってるじゃないですか!
お店にダメって言われたんなら仕方ないですけど、
どうして訊こうともしないんですか!』
『今回は立ち見してもらって、
会社に戻ったら報告書の改善案に“備品としてブルーシートが必要”って書くから。
次回からはちゃんとブルーシートを持ってこれるようにするから今回はいいやろう』
『なんで今回はいいんですか!?
僕らはショーを演りに来たんじゃないでしょう!?
ショーを観てもらう為に来たんでしょう!?
観てもらえなくても“今回はいいや”って、それ、どういう事ですか!?
今日来てくれる子供達に顔向け出来ないでしょう!
ダメでもいいからこちらの担当さんに訊いてみて下さいよ!』
僕らの必死の声に対しスタッフさんは言いました。
『あのさ、俺も、社員のKも、クライアントに借りを作るような事は好きじゃない』
…はぁっ!?
こちらのお店のお客様に喜んでもらう為の提案やろ!?
地面に座らされた、
ショーが見えなかった、
そんな苦情がお店に来ないようにブルーシートをお借りしたいって話やろ!?
それが何で『借りを作る』事になるんじゃっ!
クライアントさんだってお客様の為なら喜んで貸して下さるわ!
…要はこのスタッフ、担当さんに頭を下げるのが嫌なのです。
頼み事をしに行くのが面倒なのです。
おまけに僕らを言いくるめる為にKさんの名前を利用する神経が気に食わん!
アホか!
虎の威を借るな小者が!
『じゃあKさんに電話して確認して下さいよ。
Kさんがダメって言うなら僕らも諦めますよ』
しかしスタッフは
『あいつも忙しい時間だしなぁ…』
とか言いながら電話しようとしません。
もし確認した場合、スタッフとKさんの意見が食い違う可能性があるからです。
そうなったらスタッフが単に面倒臭がっていた事が僕らにバレてしまうからです。
『今回はないから、とか、借りを作りたくないから、とかじゃなく、良いショーが出来るように努力するのがスタッフの仕事じゃないんですか!』
僕は頭にきて、そのまま店内の100円ショップに入り、自腹でガムテープとありったけのレジャーシートを買いました。
『これなら借りを作らないからシート敷いていいですよね。敷きますよ』
僕とHIROはシートを地面に貼り付けていきました。
スタッフは自分の言う事を聞かない僕らに対し、露骨に不満顔です。
『そんな勝手な事をやられたら会社が困る』
会社が、なんてわざわざ言う所が小者なんです。
『どう困るんですか?』
『こんな事をしたらクライアントさんに
“前回はそちらでシートを用意してもらったね。
次回も頼むよ”
って言われるかもしれん。
そしたら毎回俺らがブルーシートを持って来ないかんくなるやろ!?』
『ちょっと待って下さい、さっきあなた何て言いました?』
『え?』
『報告書に“次回からブルーシートが必要”って書くんでしょ?
次回からは持ってこれるようにするから、って言いましたよね?』
『…』
『次回から用意するつもりだったなら、次回用意しろって言われて困る必要ないじゃないですか。
何言ってんですか』
怒りを堪えてブルーシートを貼る僕らの横でスタッフは相変わらず
『…Kが何て言うかなぁ…』
なんて虎の威を振りかざすのでした。
たまにこんな残念な人がショーに関わってたりします。
もちろん会社の意見とアクター個人の意見は違う事もあるでしょうが、
僕らの仕事は
『観客あって』
のものだと肝に銘ずるべきだと思います。
キャラクターショーというのはアクターだけでは成り立たないものでして、
MCと呼ばれる司会のお姉さんですとか、
音響を担当するスタッフですとか、
色んな人達が力を合わせてショーを作るのでございます。
たくさんの人が集まれば、その分色んな人がいるってなもんでして…
これは、あるショッピングモールでのエピソード。
九州のとある島にオープンしたショッピングモール。
そこでのオープニングイベントでキャラクターショーが呼ばれまして、
僕はHIROの班の一員として現地に乗り込んだのです。
ステージ状況を確認してみた所、場所はエントランス前の広場。
ただしあまりスペースは取れないようです。
まぁ我々はステージが広かろうが狭かろうが演るしかないし、ある程度は対応出来る経験値がありますが、問題は『客席』が狭かった事。
狭いというよりは『幅がなかった』のです。
ステージも客席もベタ(地面)。
その状況で『幅がなく』『奥行きがある』客席だと、立ち見になった場合、前方の数列しかショーを観る事が出来ません(下図参照)。
ステージ
○○○○
○○○○
●●●●
●●●●
●●●●
※立ち見だと前方の観客○からはステージが見えるが、何列か後の観客●は○が壁になってステージを見る事が出来ない。
ならば解決策は簡単、
全員座ってもらえばいいのです。
そうすれば後ろのお客さんにもショーを観てもらえます。
ただ…
先ほど書いたように、客席はエントランス前の地面。
直接座らせるワケにはいきません。
僕とHIROはスタッフに訊きました。
『ブルーシートは持ってきてないんですか?』
どうやら持ってきていないようです。
僕らは客席の状況を説明し、ショッピングモールさんからブルーシートをお借りする事を提案しました。
するとスタッフは渋い顔をして動こうとしません。
『??』
僕らが答えを待っていると彼は、
『いや、今回はブルーシート無しで、お客さんには立って観てもらおう』
と言いました。
『えぇーっ!?
だってそれじゃほとんどのお客さんがショーを観れませんよ!?』
『今回はブルーシートを持ってきてないから仕方ない』
『仕方ないって…
だからお借りしようって言ってるじゃないですか!
お店にダメって言われたんなら仕方ないですけど、
どうして訊こうともしないんですか!』
『今回は立ち見してもらって、
会社に戻ったら報告書の改善案に“備品としてブルーシートが必要”って書くから。
次回からはちゃんとブルーシートを持ってこれるようにするから今回はいいやろう』
『なんで今回はいいんですか!?
僕らはショーを演りに来たんじゃないでしょう!?
ショーを観てもらう為に来たんでしょう!?
観てもらえなくても“今回はいいや”って、それ、どういう事ですか!?
今日来てくれる子供達に顔向け出来ないでしょう!
ダメでもいいからこちらの担当さんに訊いてみて下さいよ!』
僕らの必死の声に対しスタッフさんは言いました。
『あのさ、俺も、社員のKも、クライアントに借りを作るような事は好きじゃない』
…はぁっ!?
こちらのお店のお客様に喜んでもらう為の提案やろ!?
地面に座らされた、
ショーが見えなかった、
そんな苦情がお店に来ないようにブルーシートをお借りしたいって話やろ!?
それが何で『借りを作る』事になるんじゃっ!
クライアントさんだってお客様の為なら喜んで貸して下さるわ!
…要はこのスタッフ、担当さんに頭を下げるのが嫌なのです。
頼み事をしに行くのが面倒なのです。
おまけに僕らを言いくるめる為にKさんの名前を利用する神経が気に食わん!
アホか!
虎の威を借るな小者が!
『じゃあKさんに電話して確認して下さいよ。
Kさんがダメって言うなら僕らも諦めますよ』
しかしスタッフは
『あいつも忙しい時間だしなぁ…』
とか言いながら電話しようとしません。
もし確認した場合、スタッフとKさんの意見が食い違う可能性があるからです。
そうなったらスタッフが単に面倒臭がっていた事が僕らにバレてしまうからです。
『今回はないから、とか、借りを作りたくないから、とかじゃなく、良いショーが出来るように努力するのがスタッフの仕事じゃないんですか!』
僕は頭にきて、そのまま店内の100円ショップに入り、自腹でガムテープとありったけのレジャーシートを買いました。
『これなら借りを作らないからシート敷いていいですよね。敷きますよ』
僕とHIROはシートを地面に貼り付けていきました。
スタッフは自分の言う事を聞かない僕らに対し、露骨に不満顔です。
『そんな勝手な事をやられたら会社が困る』
会社が、なんてわざわざ言う所が小者なんです。
『どう困るんですか?』
『こんな事をしたらクライアントさんに
“前回はそちらでシートを用意してもらったね。
次回も頼むよ”
って言われるかもしれん。
そしたら毎回俺らがブルーシートを持って来ないかんくなるやろ!?』
『ちょっと待って下さい、さっきあなた何て言いました?』
『え?』
『報告書に“次回からブルーシートが必要”って書くんでしょ?
次回からは持ってこれるようにするから、って言いましたよね?』
『…』
『次回から用意するつもりだったなら、次回用意しろって言われて困る必要ないじゃないですか。
何言ってんですか』
怒りを堪えてブルーシートを貼る僕らの横でスタッフは相変わらず
『…Kが何て言うかなぁ…』
なんて虎の威を振りかざすのでした。
たまにこんな残念な人がショーに関わってたりします。
もちろん会社の意見とアクター個人の意見は違う事もあるでしょうが、
僕らの仕事は
『観客あって』
のものだと肝に銘ずるべきだと思います。
スポンサーサイト