2011-06-04(Sat)
アクションへの道(197)
2001年に、ちょっとしたスペシャルショーがありました。
ヒーロー物のアクションショーでしたが、クライマックスに別のヒーローが助けに現われるというコラボ企画です。
しゃべりショーという事で僕がチームリーダーとなり、構成や演出を任されました。
僕はノリノリです。
メンバーもノリノリです。
クライマックスに登場する助っ人ヒーローには同期のS君が入ってくれました。
リハーサルもバッチリ済ませて当日の朝、
事務所で衣裳チェックを済ませます。
キャストは慣れてるメンバーばかりなので、各々がスピーディに自分が使う衣裳をチェックします。
僕もそれを『ふんふ~ん♪』と鼻歌まじりにチェックしながら上機嫌。
『よし、みんな大丈夫みたいやね。出発!』
僕らは隣県の現場に向かって出発しました。
現地に着くと、
『スペシャルショー!●●●(助っ人ヒーロー)もやってくる!』
なんて看板まで用意されてありテンションが上がります。
『せっかくだから助っ人の存在を伏せて、サプライズで登場させたかったよね~』
『でも助っ人が登場する事を告知した方が集客につながるんだろうな~』
なんて言いながら軽くリハーサルを済ませます。
段取りもOK、立ち回りもOK、後は本番を待つばかり。
そしてショーの30分前になりました。
会場にはテーマソングが流れ始めます。
『よし、そろそろ着替えるかぁ!』
メンバーが一斉に準備を始めました。
すると、助っ人ヒーロー役のS君がやって来て僕に言いました。
『ところで俺の衣裳はどこ?』
『えっ…?』
そうです。
僕は今回の目玉、助っ人ヒーローの衣裳を忘れてきたのです。
というより、事務所での衣裳チェックの時点から失念していたのです。
とんでもないミスです。
しかし気付いたのが30分前ではもうどうにも出来ません。
僕は事務所の社員さんに電話しました。
苦労してこの現場を取ってきてくれた営業担当さんです。
『はぁっ!?忘れたっ!?』
『スミマセン、本当にスミマセン、何とか午後のステージまでに持ってきていただけませんか』
社員さんが急いで衣裳を持ってきてくれる事になりました。
午後のステージは予定通り助っ人ヒーローを登場させられそうです。
しかし30分後のショーには間に合いません。
僕はメンバーを集めて言いました。
『みんな、本当にごめん、どれだけ糾弾されても殴られても仕方ない俺のミスや。でも非難は後でいくらでも受けるから、今はこれからのショーをどうするか考えよう』
とりあえずクライマックス部分、助っ人の登場シーンをカットし、普段通りのラス殺陣(一番最後の立ち回り)をやる事にし、BGMの調整や立ち回りの変更を行ないました。
そして僕は、ショーの途中、午前のステージには助っ人ヒーローが登場しない事をお客さんに詫びました。
悪役のまま、マイクを持って。
お客さんを、
ショーを呼んで下さったクライアントさんを、
先ほどの営業担当を、
僕をリーダーとして信頼してくれたメンバーを、
全ての人を裏切ってしまったという罪悪感。
演る側も観る側も、こんなに気まずい雰囲気のショーがあるでしょうか。
失敗の原因はいくつかあります。
まず1つ僕が見落としていた事、それは
『S君には衣裳チェックをするという習慣がなかった事』
です。
メンバーが当日の朝に各々の衣裳をチェックするようになったのはここ数年の事。
しかしS君が現役だった頃、そのシステムはなかったのです。
前日の夜に社員さんが衣裳や小道具をチェックし、メンバーはそれを信じて現場に向かう、そんな現役時代を過ごしていたのです。
S君のせいだと言ってるワケじゃありません。
知らない間に変わっていたシステムに対応する事なんて出来ないからです。
問題は、僕がそれに気付いていなかった事。
他のみんなと同じ様にS君も衣裳チェックをやってるものだと勝手に思い込んでいた事、それが一番のミスなのです。
原因その2。
当時の僕は事務所の手伝いで、衣裳管理等をやっていました。
なので、衣裳チェックの時に使うリスト表を完全に記憶していました。
当日の朝も頭の中のリストに照らし合わせて最終チェックを行なったのですが…
当然ながらこのリスト、助っ人ヒーローの出ない通常ショー専用。
何も考えずに普段通りのチェックで済ませてしまったのが2つ目のミスです。
これだって、記憶に頼らずキチンとリスト表を見ながら確認していれば(もしかしたら)どこかで気が付いたかもしれないのです。
考えが至らない上に、気が緩んでいて手抜きをしてるワケですから、それはミスに繋がるのも当然です。
『みんながやってくれてるハズだから大丈夫だろう』
『覚えてるからリスト表は要らないだろう』
こんな些細とも思える油断がお客さんに、クライアントさんに、会社に、メンバーに迷惑をかける事になったのです。
これは10年経とうが20年経とうが忘れられないし許されないミスだと思います。
僕に出来る償いは、これを教訓に同じミスを繰り返さないようにする事、
僕のミスを後輩達に伝えて教訓にしてもらう事、
そのぐらいしかないと思っています。
ヒーロー物のアクションショーでしたが、クライマックスに別のヒーローが助けに現われるというコラボ企画です。
しゃべりショーという事で僕がチームリーダーとなり、構成や演出を任されました。
僕はノリノリです。
メンバーもノリノリです。
クライマックスに登場する助っ人ヒーローには同期のS君が入ってくれました。
リハーサルもバッチリ済ませて当日の朝、
事務所で衣裳チェックを済ませます。
キャストは慣れてるメンバーばかりなので、各々がスピーディに自分が使う衣裳をチェックします。
僕もそれを『ふんふ~ん♪』と鼻歌まじりにチェックしながら上機嫌。
『よし、みんな大丈夫みたいやね。出発!』
僕らは隣県の現場に向かって出発しました。
現地に着くと、
『スペシャルショー!●●●(助っ人ヒーロー)もやってくる!』
なんて看板まで用意されてありテンションが上がります。
『せっかくだから助っ人の存在を伏せて、サプライズで登場させたかったよね~』
『でも助っ人が登場する事を告知した方が集客につながるんだろうな~』
なんて言いながら軽くリハーサルを済ませます。
段取りもOK、立ち回りもOK、後は本番を待つばかり。
そしてショーの30分前になりました。
会場にはテーマソングが流れ始めます。
『よし、そろそろ着替えるかぁ!』
メンバーが一斉に準備を始めました。
すると、助っ人ヒーロー役のS君がやって来て僕に言いました。
『ところで俺の衣裳はどこ?』
『えっ…?』
そうです。
僕は今回の目玉、助っ人ヒーローの衣裳を忘れてきたのです。
というより、事務所での衣裳チェックの時点から失念していたのです。
とんでもないミスです。
しかし気付いたのが30分前ではもうどうにも出来ません。
僕は事務所の社員さんに電話しました。
苦労してこの現場を取ってきてくれた営業担当さんです。
『はぁっ!?忘れたっ!?』
『スミマセン、本当にスミマセン、何とか午後のステージまでに持ってきていただけませんか』
社員さんが急いで衣裳を持ってきてくれる事になりました。
午後のステージは予定通り助っ人ヒーローを登場させられそうです。
しかし30分後のショーには間に合いません。
僕はメンバーを集めて言いました。
『みんな、本当にごめん、どれだけ糾弾されても殴られても仕方ない俺のミスや。でも非難は後でいくらでも受けるから、今はこれからのショーをどうするか考えよう』
とりあえずクライマックス部分、助っ人の登場シーンをカットし、普段通りのラス殺陣(一番最後の立ち回り)をやる事にし、BGMの調整や立ち回りの変更を行ないました。
そして僕は、ショーの途中、午前のステージには助っ人ヒーローが登場しない事をお客さんに詫びました。
悪役のまま、マイクを持って。
お客さんを、
ショーを呼んで下さったクライアントさんを、
先ほどの営業担当を、
僕をリーダーとして信頼してくれたメンバーを、
全ての人を裏切ってしまったという罪悪感。
演る側も観る側も、こんなに気まずい雰囲気のショーがあるでしょうか。
失敗の原因はいくつかあります。
まず1つ僕が見落としていた事、それは
『S君には衣裳チェックをするという習慣がなかった事』
です。
メンバーが当日の朝に各々の衣裳をチェックするようになったのはここ数年の事。
しかしS君が現役だった頃、そのシステムはなかったのです。
前日の夜に社員さんが衣裳や小道具をチェックし、メンバーはそれを信じて現場に向かう、そんな現役時代を過ごしていたのです。
S君のせいだと言ってるワケじゃありません。
知らない間に変わっていたシステムに対応する事なんて出来ないからです。
問題は、僕がそれに気付いていなかった事。
他のみんなと同じ様にS君も衣裳チェックをやってるものだと勝手に思い込んでいた事、それが一番のミスなのです。
原因その2。
当時の僕は事務所の手伝いで、衣裳管理等をやっていました。
なので、衣裳チェックの時に使うリスト表を完全に記憶していました。
当日の朝も頭の中のリストに照らし合わせて最終チェックを行なったのですが…
当然ながらこのリスト、助っ人ヒーローの出ない通常ショー専用。
何も考えずに普段通りのチェックで済ませてしまったのが2つ目のミスです。
これだって、記憶に頼らずキチンとリスト表を見ながら確認していれば(もしかしたら)どこかで気が付いたかもしれないのです。
考えが至らない上に、気が緩んでいて手抜きをしてるワケですから、それはミスに繋がるのも当然です。
『みんながやってくれてるハズだから大丈夫だろう』
『覚えてるからリスト表は要らないだろう』
こんな些細とも思える油断がお客さんに、クライアントさんに、会社に、メンバーに迷惑をかける事になったのです。
これは10年経とうが20年経とうが忘れられないし許されないミスだと思います。
僕に出来る償いは、これを教訓に同じミスを繰り返さないようにする事、
僕のミスを後輩達に伝えて教訓にしてもらう事、
そのぐらいしかないと思っています。
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