2011-06-03(Fri)
アクションへの道(196)
そういえば2001年は、久しぶりにヒーローを演じた年でもありました。
ちょこちょことヒーローに入る機会はあったのですが、通常のショーでメインの主役を演るのは5年ぶりぐらいだったでしょうか。
ある日の事。
僕は翌日のメルヘンショーのリハーサルに参加していました。
隣りでは明後日のアクションショーのリハーサルが行なわれていました。
すると、リハーサルも終盤に差し掛かった辺りでアクションショーのチームリーダーに電話が。
僕らは気にせずリハを続けていましたが、しばらくして先ほど電話を受けていたアクションのチームリーダーが僕の所にやって来ました。
『内野さん、明後日、僕の代わりにヒーロー役をやってもらえないでしょうか』
どうやら身内にご不幸があって、明後日の現場に行けなくなったらしいのです。
『それは全然かまわんけど、もうリハーサル終わりかけなんじゃないの?』
『はい、構成は全部終わってるので、申し訳ないですがそれを覚えてもらえませんか』
僕はメルヘンのリハーサルを急いで終わらせアクションのリハーサルへ。
覚えるだけならそんなに苦ではありません。
他人の動きに合わせて作られた殺陣なので動きにくかったりはしましたが…
翌日のメルヘンショーを無事に終わらせ、翌々日のアクションショー。
午前中のステージは無難に終わりました。
この時の怪人役は同期のS君。
普段怪人役の僕が久しぶりにヒーローを演じ、
普段ヒーローを演じるS君が久しぶりに怪人を演じる、
そんなワケで2人とも若干の緊張を拭えない感じで午後のショーに望みました。
S君とは10年の付き合いなのでお互いの癖などが分かります。
スピードやテンポ、蹴りの高さ等は勝手知ったるもので、身体が自然に対応していきます。
それが悲劇を生んだのか…
ヒーローの必殺技はキックです。
助走をつけてジャンプして放つ跳び蹴りがヒーローの必殺技なのですが、実は僕はジャンプ系が苦手です。
みんなは怪人の顔を目がけて蹴りに行くのに、僕の跳び蹴りはお腹の高さが関の山です。
S君はそれも先刻承知です。
僕が必殺技の体勢に入ると、S君はダメージを受けた演技で片膝を着きました。
体勢を低くして、僕のキックが怪人の顔を蹴れるようにしてくれたのです。
僕は助走をつけてジャンプしました。
『●●●~、キ~ック!!』
バキッ!!
とどめを刺されて去って行く怪人。
ヒーロー達は締めのポーズを切って控えテントに戻ります。
そこで僕が見たものは…
鼻血まみれのS君の姿でした。
不慣れな僕の必殺キックは彼の顔を目がけて放たれていたのです。
さっきのバキッは本物のバキッだったのです。
『せっかくあんたの蹴りに合わせて(体勢を)低くしてやったのに~!』
鼻にティッシュを詰め、シャツを血で染めたS君の呪詛を受けながら僕は、
『あぁ…俺もまだまだ未熟なり…』
と反省しまくったのでした。
苦い思い出です。
S君、ごめんね。
ちょこちょことヒーローに入る機会はあったのですが、通常のショーでメインの主役を演るのは5年ぶりぐらいだったでしょうか。
ある日の事。
僕は翌日のメルヘンショーのリハーサルに参加していました。
隣りでは明後日のアクションショーのリハーサルが行なわれていました。
すると、リハーサルも終盤に差し掛かった辺りでアクションショーのチームリーダーに電話が。
僕らは気にせずリハを続けていましたが、しばらくして先ほど電話を受けていたアクションのチームリーダーが僕の所にやって来ました。
『内野さん、明後日、僕の代わりにヒーロー役をやってもらえないでしょうか』
どうやら身内にご不幸があって、明後日の現場に行けなくなったらしいのです。
『それは全然かまわんけど、もうリハーサル終わりかけなんじゃないの?』
『はい、構成は全部終わってるので、申し訳ないですがそれを覚えてもらえませんか』
僕はメルヘンのリハーサルを急いで終わらせアクションのリハーサルへ。
覚えるだけならそんなに苦ではありません。
他人の動きに合わせて作られた殺陣なので動きにくかったりはしましたが…
翌日のメルヘンショーを無事に終わらせ、翌々日のアクションショー。
午前中のステージは無難に終わりました。
この時の怪人役は同期のS君。
普段怪人役の僕が久しぶりにヒーローを演じ、
普段ヒーローを演じるS君が久しぶりに怪人を演じる、
そんなワケで2人とも若干の緊張を拭えない感じで午後のショーに望みました。
S君とは10年の付き合いなのでお互いの癖などが分かります。
スピードやテンポ、蹴りの高さ等は勝手知ったるもので、身体が自然に対応していきます。
それが悲劇を生んだのか…
ヒーローの必殺技はキックです。
助走をつけてジャンプして放つ跳び蹴りがヒーローの必殺技なのですが、実は僕はジャンプ系が苦手です。
みんなは怪人の顔を目がけて蹴りに行くのに、僕の跳び蹴りはお腹の高さが関の山です。
S君はそれも先刻承知です。
僕が必殺技の体勢に入ると、S君はダメージを受けた演技で片膝を着きました。
体勢を低くして、僕のキックが怪人の顔を蹴れるようにしてくれたのです。
僕は助走をつけてジャンプしました。
『●●●~、キ~ック!!』
バキッ!!
とどめを刺されて去って行く怪人。
ヒーロー達は締めのポーズを切って控えテントに戻ります。
そこで僕が見たものは…
鼻血まみれのS君の姿でした。
不慣れな僕の必殺キックは彼の顔を目がけて放たれていたのです。
さっきのバキッは本物のバキッだったのです。
『せっかくあんたの蹴りに合わせて(体勢を)低くしてやったのに~!』
鼻にティッシュを詰め、シャツを血で染めたS君の呪詛を受けながら僕は、
『あぁ…俺もまだまだ未熟なり…』
と反省しまくったのでした。
苦い思い出です。
S君、ごめんね。
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