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2011-04-07(Thu)

アクションへの道(171)

書く事がないので1999年はもう終わり!

いよいよ2000年です!

この年は…色々あったなぁ…

とあるイベントの時の話。

この年に始まった新ヒーローのスペシャルショーが決まり、僕が台本を書く事になりました。

このヒーロー、番組がリアル志向だったので、キャラクター名は出てこないわ必殺技の名前も言わないわ、とにかくショーにしづらい設定でした。

僕自身は普段

『テレビはテレビ!ショーはショー!』

というスタンスなので

『気にしなくていいじゃん!』

なんて思っちゃうのですが、この時にヒーロー役に入っていた後輩はテレビの設定を重視するタイプ。

彼のポリシーも大切にしたい。

なにより僕もそのヒーローの世界観が大好きだったので出来るだけ崩したくなかったのです。

かなり悩みながら台本を書いた記憶があります。

僕は後輩と色々話しました。

出来るだけテレビに近付けたショーにしたい。

でもショーという形式でのエンターテイメントは必要だ。

ヒーローの名乗り(ポーズ)や技名を叫びながらの必殺技、これは観客に

『ここは見せ場だよ!』

と伝える役割があると思います。

アクターからすれば『前蹴り』はノーマルな技だけど、『跳び蹴り』は決め技かもしれません。

でも観客からすれば2つは等価なのです。

蹴った→殴った→殴った→蹴った→蹴った→爆発

この流れでは、いつの間にか決着がついたようにしか見えないのです。

『あ、今ので終わり?』

って感じで終わっちゃうのです。

そうならない為にも

蹴った→殴った→殴った→蹴った→タメ→掛け声→蹴った→爆発

であるべきなんです。


タメがあって、

『とどめだ!●●キーック!』

と叫ぶ事で観客は

『これで終わりだ』

と心の準備をするのです。

『あれ?終わり?』

じゃ拍手は出来ませんが、

『決まるぞ決まるぞ…決まった~!』

なら拍手もしやすいのです。

変身やフォームチェンジ等の掛け声もそう。

テレビみたいな派手な変身は出来ない。

ショーだから一度引っ込んで入れ替わるしかない。

それを掛け声ナシでやってしまうと、作品を知らない人が

『別のキャラクターが出て来た』

と思うかもしれません。

『子供達はテレビを観てるから間違えないよ~』

と思うかもしれませんが、観客が知っている事を前提に、知っている人だけに向けて作品を作るのは非常にマニアックな事なのです。

常に『知らない人、分からない人を意識して作品を作る』のがエンターテイメントではないでしょうか。

…とまぁ、こんな事を話しまして、結局

『名乗りと必殺技とフォームチェンジの掛け声を入れる』

事だけ了解してもらいました。

この話し合いによって僕はその後輩との『仲間意識』のようなものを持つようになったのです。

僕は彼のこだわりを、後輩は僕のこだわりを知り、ぶつかった末に分かり合えた…みたいな…

大袈裟に言うとそんな気持ちでした。

それから7~8年後。

後輩とその時の話をしました。

『あの時に分かり合えたって気がしてるんだよねぇ』

と僕が言うと後輩は驚いた顔をしました。

『えっ?あの時そんな事を考えてたんですか?』

…!?

『内野さん、あの台本書く前に他のチームのショーを観に行ったでしょ?』

…うん。

『名乗りを入れたいとか技の名前を入れたいとか、てっきりそのショーのマネをしたいだけかと思ってました』



えぇぇ~~~っ!?

なんでだよぉ~っ!!

あんなに喧喧諤諤と意見をぶつけ合ったじゃないかぁ~!

『そうでしたっけ!?』



…こうして7年目にして、僕の彼に対する仲間意識や連帯感は一方的な片思い…

っつーか勘違いだった事が判明したのです!


気持ちって…
なかなか伝わらないものですね…


しゅん…
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コメント

じゅん…

>DA.1

ほ、ほたる…

あはは

そうきたか!(笑)

>DA.1

真っ先に浮かんだのがそれだった…

名乗りは、必需でしょう。

名乗りって、ある意味歌舞伎でいう見栄切りですよね。決め技に入る1つ前の見せ場だと思ってます。
僕は文化部なので、どうしてもステージを俯瞰で見てしまうんですが、だいたいそのチームの善し悪しが出るポイントの1つだと思って見ています。あ、言っちゃった。

>dragonmacさん

最近はリアル路線のヒーロー物もあるので、それに影響されちゃう人もいるみたいですね。

ショーや舞台は分かりやすくあるべきと思ってるので僕は「名乗り必需派」なんですけどね。

dragonmacさんのように俯瞰で見れる人が演出に加わらないと上手くいかない気がします。

…中には名乗りにばかり力を入れてるチームもあるので、それはそれでどうかなって思いますが(笑)

俯瞰で見る役しか残ってないものですから(笑)

オリジナルキャラクターでショーをやるのに、わかりにくくして何の意味がある。置かれている立場と持ってるものを考えないと。って思います。
名乗りのシーンで重要なのは、名乗りをやるキャラクターではないんですよね。名乗りばかりに気をとられてるところはそこに気付いていない事が多いです。

>dragonmacさん

視聴者が設定を知ってるテレビヒーローと違ってオリジナルキャラクターは、設定を説明しながらストーリーも進めなくちゃいけないですもんね。

テレビキャラクターのショー台本ではついつい雰囲気重視の説明不足になってしまう事があるように思います。

何にしても分かりやすいというのは大前提ですよね。

名乗りに関してもdragonmacさんの書かれている通りで、何の為にやるのか、どんな効果を求めているのかを考えないと意味がないと思っています。

…僕はあまり上手くやれてませんが(笑)

なかなか

こういう事を意見交換できる機会がないのも、いいのか悪いのか・・・。その点、代表とこういう話ができるのは僕は恵まれていると思います。
テレビのキャラクターショーは、専門分野だと思います。毎回テレビを見ている子どもに、太刀打ちできるだけの知識がないと難しい。
オリジナルキャラは、それこそ自分たちの中で確固たる設定がないとつじつまが合わない事態が起きる。と言って、あんまり説明に時間を裂くとエンターテイメント性は無くなる。このバランスを考えないと子どもたちを置き去りにした「ひとりよがり」のステージになりますね。名乗りが決まるステージって、やっぱりステージの進行とストーリーがちゃんとカタチになっていますね。

>dragonmacさん

こちらこそ!

こうしてお話させてもらって色々と示唆していただけて、本当にありがたい限りです!

説明とエンターテイメントのバランスは難しいですね…

僕も毎回悩んでます…
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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