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2011-01-22(Sat)

アクションへの道(153)

これまでも何度か書いてきました、僕の弟の話です。

僕がショーを始めたのは一番下の弟が3歳の時。

なので弟は、戦隊物などに興味を持ち始める年齢にはすでに

『ヒーローの中身は人間』

という事を知っていた事になります。

…まぁ3歳なのでハッキリとした自覚はなかったでしょうけど。

それでも一般家庭の(?)子供達とは明らかにショーの見方が違いました。

(何度か書いたエピソードですが)

彼が6歳の時だったか、僕が出演しているショーのビデオを観ながら言いました。

『この戦闘員は本物?』

自分がショーに入っている事を弟に公言していた僕ですが、さすがに胸を張って

『にせものだよ!』

とは言えません。

戦闘員は本物だと答えました。

すると弟は

『でもイエローは兄ちゃんやろ?どうして兄ちゃんと本物の戦闘員が戦いよると?』

上手い説明が出来ずに僕が口ごもっていると。弟は『う~ん』と考えた末にこう言いました。

『そうか!チームが人手不足だから、本物の戦闘員に助っ人に来てもらったんだね!』

…この発言に、僕はかなりの衝撃を受けました。

彼の中で現実と虚構が入り交じって、(子供ながらに)自分が納得のいく答えを見出していたからです。


そして1997年。

僕は近所のホテルのクリスマスディナーショーに母と弟を連れて行きました。

後輩達の戦隊ショーがあったからです。

チケット代はけっこうかかりましたが、弟がショーを楽しんでくれている間に色々と観せてあげたかったのです。

この時、弟は10歳。

他の子供ならキャラクター物は卒業してる年齢かもしれませんが、彼はまだショーを楽しんでくれていました(兄がアクターを演っているというのが影響していたのかもしれませんが)。

ショーが終わって、僕は弟に『どうだった?』と訊きました。

弟は

『ピンクとイエローの声は逆が良かったね』

と答えました。

僕は『子供らしい答え』も聞きたかったのですが、彼ならではの『マニアックな答え』も期待していたので

『なるほどな~』

とうなずきました。


僕が弟に学んだ事の一つは、

『子供がショーを楽しんでいるからといって、純粋に全てを信じ切っているワケではない』

という事です。

もちろん少数派かもしれません。

でも、(子供にとって)例え本物でないとしても、キャラクターショーには子供達を喜ばせるパワーがあると思ったのです。


もちろん演る側は『本物と信じ込ませる』事を大前提として臨むべきです。

でも、観る側には観る側の心理がある。

ファスナーがあろうが顔が見えようが声が聞こえようが、それでも熱中して観てる子供がいるのです。

僕はそう考えて以来、

『テレビとショーは別物』

と、強く思うようになりました。


テレビと違ってショーは

『にせものだとバレる可能性』

がある。

そして

『にせものだとバレていても楽しませる力』

がある。


アクター側にも色んな意見があると思います。

でも僕は、『信じ切っている子供』だけを対象にしたショーよりも、『にせものだと知っている子供』も視野に入れたショーをした方が、幅が広がりそうな気がするんですよねぇ。
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プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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