2010-12-10(Fri)
小説・さやか見参!(31)
『忍び』とは、『忍び』というだけで食っていけるものではない。
大名のお抱えにでもなれば話は別だが、そうではないほとんどの忍びはそれぞれ手に職を持っているものだ。
身の軽さを活かして大工や鳶になる者、
脚の速さを活かして飛脚や籠かきになる者、
軽業師になる者も多かった。
職とは言えぬが、盗賊になる者も多かったのだが、各々、知識や体力、技術を活かそうとしていたのであろう。
忍びとはいえ銭を稼がねばならぬのである。
例えば山吹や荊木を含む十二組は、各組が力を合わせればほぼ自給自足の生活が出来た。
しかし任務として人里に降りて町人として潜伏しなければならない時もある。
そういう時にはやはりある程度の銭が要るのだ。
時に各地の豪族や大名からの依頼もあったので各組とも金銭的な困窮はなかったが、本来この十二組、時の権力に左右されぬ事を目的に作られた組織なので、どれほど大きな依頼といえど引き受けぬ場合があったのだ。
承諾の基準はただ1つ。
『その任務が本当の平和に繋がるか否か』
である。
大名お抱えの忍び集団は平和を望まない。
戦がなければ自分達は用済みになるのを知っているからだ。
十二組の忍び達はただ
『非常事態にも動じぬ』
その為に自分達を律し修行に努めているのだ。
祖先から受け継いだ生き方に疑問を持つ事はない。
世が平和になって忍びの技が必要とされなくなっても、十二組が手を合わせ、己を磨きながら生きていけば良いだけの話だ。
このように十二組の忍び達は他の忍びと比べてかなり独特な思想を持っている。
権力への欲求、金銭への欲求が薄いのだ。
そのようなものにすがらずとも生きていける術を持っているという誇りがあるのだ。
大きく話がずれてしまったが、山吹たけるが妹を祭りで遊ばせるだけの金銭を持ち合わせているのはそういう理由だ。
たけるとて修行の合間に町民達に紛れて仕事をしている。
かなり腕の立つ大工なのだ。
一見華奢にも見えるが力仕事も難なくこなす。
宮大工ばりの細かい作業も出来る。
鳶としても申し分ない。
土地の善し悪しを見分ける能力は棟梁よりも秀でていた。
地中に掘り進められないほどの固い岩盤があるとか、なまなかな支柱では安定しないほど水気を含んでいるとか、深い所に水脈があるから危ないとか、そのような事をぴたりと言い当てるので、かなり重宝されていたのだ。
大名のお抱えにでもなれば話は別だが、そうではないほとんどの忍びはそれぞれ手に職を持っているものだ。
身の軽さを活かして大工や鳶になる者、
脚の速さを活かして飛脚や籠かきになる者、
軽業師になる者も多かった。
職とは言えぬが、盗賊になる者も多かったのだが、各々、知識や体力、技術を活かそうとしていたのであろう。
忍びとはいえ銭を稼がねばならぬのである。
例えば山吹や荊木を含む十二組は、各組が力を合わせればほぼ自給自足の生活が出来た。
しかし任務として人里に降りて町人として潜伏しなければならない時もある。
そういう時にはやはりある程度の銭が要るのだ。
時に各地の豪族や大名からの依頼もあったので各組とも金銭的な困窮はなかったが、本来この十二組、時の権力に左右されぬ事を目的に作られた組織なので、どれほど大きな依頼といえど引き受けぬ場合があったのだ。
承諾の基準はただ1つ。
『その任務が本当の平和に繋がるか否か』
である。
大名お抱えの忍び集団は平和を望まない。
戦がなければ自分達は用済みになるのを知っているからだ。
十二組の忍び達はただ
『非常事態にも動じぬ』
その為に自分達を律し修行に努めているのだ。
祖先から受け継いだ生き方に疑問を持つ事はない。
世が平和になって忍びの技が必要とされなくなっても、十二組が手を合わせ、己を磨きながら生きていけば良いだけの話だ。
このように十二組の忍び達は他の忍びと比べてかなり独特な思想を持っている。
権力への欲求、金銭への欲求が薄いのだ。
そのようなものにすがらずとも生きていける術を持っているという誇りがあるのだ。
大きく話がずれてしまったが、山吹たけるが妹を祭りで遊ばせるだけの金銭を持ち合わせているのはそういう理由だ。
たけるとて修行の合間に町民達に紛れて仕事をしている。
かなり腕の立つ大工なのだ。
一見華奢にも見えるが力仕事も難なくこなす。
宮大工ばりの細かい作業も出来る。
鳶としても申し分ない。
土地の善し悪しを見分ける能力は棟梁よりも秀でていた。
地中に掘り進められないほどの固い岩盤があるとか、なまなかな支柱では安定しないほど水気を含んでいるとか、深い所に水脈があるから危ないとか、そのような事をぴたりと言い当てるので、かなり重宝されていたのだ。
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