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2010-08-12(Thu)

アクションへの道(73)

先輩方や仲間達との諸々に疲れ果てた僕は、一旦ショーと距離を置く事にしました。

ショーが嫌になったのではありません。

チームが嫌になってしまったのです。

僕は連日バイトに入り、気が向いた時だけショーに入る事にしました。

1994年の後半、戦隊のショーパッケージ作り直す事になり、リーダー達に乞われて台本を書きました。
『ショーは全員で作るものだ!』

みたいなお題目をリーダー達が唱えていた時期です。

僕は台本を書き、みんなで録音をして、残るは編集だけとなりました。

編集に関わるのは前リーダーと現リーダーとリーダーのお気に入り。

僕は参加したくなかったのですが、

『作者の意見も必要だから。みんなで作るショーだろ?』

みたいに言われて、バイトを削って参加しました。

しかし、いざ作者としての自分の意見を言うと、

『それはオマエの個人的な意見だろ!?』

『実際に演るのは俺達なんだから俺達の意見を優先する!』

と、聞く耳を持ちません。

『ここはこーゆーつもりでこの台詞を入れてるんだよ!
そのタイミングじゃニュアンスが全然違っちゃうんだよ!
それなら台詞をカットした方が伝わるよ!』

と言っても、

『いや、俺はこの台詞を言いたいからカットはしない!』

『俺が演り易いようにタイミングは変更する!』

と、頑として聞きません。

彼らの全ての基準は

『俺はこうしたいから!』

でした。

だったら何故僕に台本を書かせるのか、
何故編集に立ち会わせるのか。

物語を作らない人間には分からないのかもしれませんが、ストーリーというのは全てがつながってるんです。

起承転結があって、
導入部があって、
ヤマ場があって、
テーマがあって、
他にも色々な事を計算して書いてるんです。

ブルーとブラックの役を入れ替えたりしたら全く別の作品になってしまったり、
短い台詞を省いたり変更したりしただけでメッセージ性が全てなくなってしまったり、
そのぐらいの計算の上に成り立ってるものなんです(キチンと書いてる台本はね)。
それを分からない、読み取らない、聞こうとしない、そんな連中に好き勝手に変更された時の怒りと屈辱はハンパありません。

『そんなに酷い目に遭わせるのなら、いっそ殺してやってくれ!!』

と本気で思うんです。


自分が表現したかったもの、

自分が伝えたかったもの、

それを全て他人の一存で切り捨てられ、

中身を失った不格好な物語の残骸がステージで何百回と晒しものとなり、

何千、何万という子供達がそれを目にし、

その責任は全て作者に降り懸かる…


生き恥です。


妥協をしない、とか、変更を認めない、とか言ってるワケじゃないですよ。

作品のコアの部分だけは大切にしなくてはいけない、と思ってるだけです。


もうね、ホントはここでもうウンザリしてたんですよ。


編集作業を担当してたのは大先輩の前リーダーだったんですが、その大先輩が僕に聞きました。

『ここのBGMはどうするや?』

僕は編集の事は何も分からないので、自分のイメージを伝えました。

『このタイミングでこの曲が流れて、この台詞で曲が終わって、すぐに次の曲が始まる感じで…』

それを聞いた大先輩は

『ここで始まってここで終わるって…

それはどう編集するとやぁっ!!?』

何故か大先輩の怒りが爆発!

どう編集するかなんて俺は知らんよ。

そこはアンタの仕事でしょうが。

おまけにその大先輩が

『欲しい効果音がない!どこかに音ネタはないか!?』

って困っていたので僕は、

『そういえば、戦隊物のCDで、歌と物語が入ってるのが売ってましたよ!
どんな内容か分かりませんけど、試しに買ってみましょうか?』

と提案し、急いでCDショップに走りました。


内容が分からない以上使い物にならない可能性もあるので自腹で購入し、急いで事務所に戻りました。

さっそく全員で聴いてみると…

台詞や音楽が被っていたりして、使えそうな効果音はありませんでした。

聴き終わるや否や大先輩の怒りが爆発!

『何やこのCDは!全然使えんやないか!!
オマエはこんなしょーもないCD買ってきやがって!
どーゆーつもりや!!』


…使えるか分からないから試しに、って、再三言ってたんですけどね。

アンタが困ってたから自腹で買ってみたんですけどね。

こんなにキレられるとは思わなかったよ。

…あ、この大先輩、遊園地で

『観覧車から降りてくるのが遅い!!』

ってキレてた先輩です。

当時で20代後半ぐらいだったのかな?

よくキレるね。
元気だね。


これがきっかけで、ショーとは完全に距離を置く事にしました。

ショーへの想いは封じ込めてバイトに専念する事にしました。

そのストレスで僕の体重は95kgをオーバーしていました。
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プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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