2015-03-22(Sun)
小説・さやか見参!(262)
西の町を出たさやかと心太郎は半日ほど歩き、翌日の昼前には東の町へ入った。
町に足を踏み入れてすぐ、さやかが
『一目瞭然ね』
と呟いた。
心太郎も
『聞き込むまでもないっシュね』
と答えた。
町のいたる所に猫を描いた護符のようなものが貼られてある。
これは庚申教が信仰されている証なのだ。
『昨日の町より広まってるみたいっシュ』
小さな祠をちらりと見ながら通り過ぎる。
祠にはお稲荷様の狐ではなく猫の姿のご神体が祀られている。
『ほんとね。という事は布教の発祥も東寄りなのかしら』
『西の庚申山は関係なかったんシュかねぇ』
『ここではっきりさせておかないと今後の作戦も決められないわね』
さやかは小さくうなずいた。
『心太郎、しばらくこの町にもぐりこむわよ』
二人は昼過ぎには二手に分かれて行動を開始した。、姿を隠しながら人々の信仰の状況を探った。
目立たぬように変装したり家屋に侵入して潜んだりしながら人々の信仰の状況を探り、深夜になると合流して情報を交換した。
しかし、情報らしい情報はなかなか耳に入らなかった。
この町では日常に溶け込みすぎて庚申教の事など誰も話題にしないからだ。
皆、朝も晩も、ただ黙って当たり前に手を合わせて祈る。
時々短い祝詞のようなものを呟く者もいるが、そこには何の手がかりもなかった。

ようやく状況が動いたのは調査を始めて四日目である。
『どうやら月に一度、この辺りの信者達が集まって集会を開くらしいわよ』
深夜に合流したさやかが心太郎にそう告げた。
『集会?どこでっシュか?』
『町外れに森になってる所があったでしょ?あそこらしいわ』
『え?あそこなら一緒に調べたじゃないっシュか。お社とか祠とか、何か祀られてる感じじゃなかったっシュよね?』
『そこは単に集会の場所になってるだけなのかもね。そこから他の場所に移動するとか。まぁ分かんないけど』
確かに町の外には庚申教の手がかりとなりそうな物は何もなかったのだ。
『分かんないけど、集会があるってんなら行ってみるしかないでしょ』
心太郎がうなずく。
『そりゃそうっシュね。今のところ他に何の動きもないし…よし、行ってみるっシュ!で、次の集会はいつっシュか?』
心太郎にそう訊かれてさやかは苦笑いした。
『それが、まだ十日も先なんだって…あははは。それまでもう少し町の調査を続けましょ』
町に足を踏み入れてすぐ、さやかが
『一目瞭然ね』
と呟いた。
心太郎も
『聞き込むまでもないっシュね』
と答えた。
町のいたる所に猫を描いた護符のようなものが貼られてある。
これは庚申教が信仰されている証なのだ。
『昨日の町より広まってるみたいっシュ』
小さな祠をちらりと見ながら通り過ぎる。
祠にはお稲荷様の狐ではなく猫の姿のご神体が祀られている。
『ほんとね。という事は布教の発祥も東寄りなのかしら』
『西の庚申山は関係なかったんシュかねぇ』
『ここではっきりさせておかないと今後の作戦も決められないわね』
さやかは小さくうなずいた。
『心太郎、しばらくこの町にもぐりこむわよ』
二人は昼過ぎには二手に分かれて行動を開始した。、姿を隠しながら人々の信仰の状況を探った。
目立たぬように変装したり家屋に侵入して潜んだりしながら人々の信仰の状況を探り、深夜になると合流して情報を交換した。
しかし、情報らしい情報はなかなか耳に入らなかった。
この町では日常に溶け込みすぎて庚申教の事など誰も話題にしないからだ。
皆、朝も晩も、ただ黙って当たり前に手を合わせて祈る。
時々短い祝詞のようなものを呟く者もいるが、そこには何の手がかりもなかった。

ようやく状況が動いたのは調査を始めて四日目である。
『どうやら月に一度、この辺りの信者達が集まって集会を開くらしいわよ』
深夜に合流したさやかが心太郎にそう告げた。
『集会?どこでっシュか?』
『町外れに森になってる所があったでしょ?あそこらしいわ』
『え?あそこなら一緒に調べたじゃないっシュか。お社とか祠とか、何か祀られてる感じじゃなかったっシュよね?』
『そこは単に集会の場所になってるだけなのかもね。そこから他の場所に移動するとか。まぁ分かんないけど』
確かに町の外には庚申教の手がかりとなりそうな物は何もなかったのだ。
『分かんないけど、集会があるってんなら行ってみるしかないでしょ』
心太郎がうなずく。
『そりゃそうっシュね。今のところ他に何の動きもないし…よし、行ってみるっシュ!で、次の集会はいつっシュか?』
心太郎にそう訊かれてさやかは苦笑いした。
『それが、まだ十日も先なんだって…あははは。それまでもう少し町の調査を続けましょ』
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