2010-01-07(Thu)
アクションへの道(35)
みんながやってない事をやろう!!と思って剣の練習をしようと思った僕。
しかし、当時僕がいたチームでは武器を使う練習はほとんどやっていなかったので、当然教えてくれる人もいません。
僕の先生はもっぱらビデオでした。
キャラクターショーの聖地・後楽園ゆうえんち野外劇場のショーのビデオを観ながら動きを真似したりしたものです。
それと、同じ地域の他チームから学んだ事もありました。
そのチームと僕がいたチームで合同練習をした際に、他チームのリーダーの方が剣のお手本を見せてくれたのです。
僕はその動きを密かに覚えていて、ビデオで覚えた動きとミックスして練習しました。
おかげで(上手い下手いは別にして)同期の中ではいち早く剣を使えるようになったと思います。
実際は他人の動きを覚えただけで出来るようになるワケではありませんが・・・
パッと見て簡単に見える動きにも実は複雑な道理が隠されています(本当は隠されているのではなくて、見る側が気付かないだけなのですが)。
なので、出来ない人間がレベルの高い動きをマネした場合、それは単なる猿マネで終わってしまう事がほとんどです。
例えば、算数の先生がスケッチブックに
『2+5=7』
と書いたとします。
この先生はもちろん計算の理屈が分かって書いているワケです。
今度はクレヨンを持った幼児が、そのスケッチブックを見ながら
『2+5=7』
と書いたとします。
この幼児は算数の「さ」の字も知らなければ、「2」という形が何を意味するのかも知りません。
ただ、見たままをクレヨンでなぞったに過ぎないのです。
一見同じように見える『2+5=7』ですが、かたや計算式、かたや意味のない落書きです。
「見た目が同じならどうでもいいんじゃね?」
という方がいるかもしれませんが、僕はそれも別に否定するつもりはありません。
ただ僕には全く違うものに見えるというだけの話です。
今回はまた、いつも以上の理屈っぽさですね・・・
どうせならもっとマニアックにいきますか!
僕の周りのショー関係者にも
「上達するには練習あるのみ!」
という考えの人がたくさんいます。
しかしぼくは
「上達するには練習と勉強あるのみ!」
と思っています。
勉強を研究と言い換えてもかまいません。
全国にはたくさんのアクションチームがあり、その中にはキチンとした師を持たないチームもたくさんあります(僕がいた所もその1つだと思いますが)。
そういったチームには、形ばかりの技は伝わっていても、そこに含まれる色々な物が伝わっていないケースが多いものです。
そういった、自分達がやっているものの由来や根本を知る事は僕は大事だと思います。
その為に必要なのが研究です。
敵の右ストレートを左手で受ける時、身体の他の部位はどう動いているか?それは何故そう動いているのか?
その答えを持っているか否かでアクションは大きく変わってきます。
武術のことわざに、『七分看脚、三分看手』というものがあります。
敵と向かい合った時には、手に3割、脚に7割注意を向けろというような意味ですが、裏をかえせばそれだけ脚の動きが大切だという事です。
脚といっても蹴り技の事ではありませんよ。
歩法や体重移動などの脚さばきです。
上半身の動きは下半身にあらわれるという事なんです。
という事は、敵の右ストレートを左手で受けた時、それが本気で受けたのか段取りで受けたのか、余裕があるのかないのかまでが下半身にあらわれる事になります。
こういった下半身の用法は、形だけ盗んでる人には分かりません。
試しにアマチュアのアクションをじっくり観てみて下さい。
手の動きは複雑なのに、脚はほとんど動かない・・・
そういうアクションが意外に多いハズです。
この件にに関しては『打拳容易走歩難』ということわざもあります。
これは、パンチやキックの練習は簡単だけど、歩法や脚さばきの習得は難しいという意味です。
やはり武術の言葉ですが、僕は武術も殺陣も習得までの根本は同じだと思っています。
マニアックついでにもう一つ、『単刀看手、双刀看走、大刀看口』も紹介しておきましょう。
これは刀を使っている人の力量を見る時のことわざですが、片手で刀を振っている人を見る時は、もう片方の空いている手を見る事、両手に刀を持っていたら脚さばきを見る事、大きな刀を持っていたらその刃筋を見る事、という意味です。
つまり大刀を除いて、武器の動き以外の所に力量が現れる、と言っているのです(大刀の場合は刃の動きで筋力を見るそうです)。
これだけ読めば、『他人の動きを覚えただけで出来るようになるワケではない』という僕の言葉も分かってもらえると思います。
本当のプロが、殺陣を殺陣たらしめているものを素人が簡単に見抜く事など出来るはずはなく、それゆえに形は似ていても全くの別物になってしまうという事・・・
結局、この時点で僕が出来るようになっていた剣殺陣なんて、形ばかりの猿マネレベルでしかなかった、という恥ずかしいオチなんです。
~つづく~
しかし、当時僕がいたチームでは武器を使う練習はほとんどやっていなかったので、当然教えてくれる人もいません。
僕の先生はもっぱらビデオでした。
キャラクターショーの聖地・後楽園ゆうえんち野外劇場のショーのビデオを観ながら動きを真似したりしたものです。
それと、同じ地域の他チームから学んだ事もありました。
そのチームと僕がいたチームで合同練習をした際に、他チームのリーダーの方が剣のお手本を見せてくれたのです。
僕はその動きを密かに覚えていて、ビデオで覚えた動きとミックスして練習しました。
おかげで(上手い下手いは別にして)同期の中ではいち早く剣を使えるようになったと思います。
実際は他人の動きを覚えただけで出来るようになるワケではありませんが・・・
パッと見て簡単に見える動きにも実は複雑な道理が隠されています(本当は隠されているのではなくて、見る側が気付かないだけなのですが)。
なので、出来ない人間がレベルの高い動きをマネした場合、それは単なる猿マネで終わってしまう事がほとんどです。
例えば、算数の先生がスケッチブックに
『2+5=7』
と書いたとします。
この先生はもちろん計算の理屈が分かって書いているワケです。
今度はクレヨンを持った幼児が、そのスケッチブックを見ながら
『2+5=7』
と書いたとします。
この幼児は算数の「さ」の字も知らなければ、「2」という形が何を意味するのかも知りません。
ただ、見たままをクレヨンでなぞったに過ぎないのです。
一見同じように見える『2+5=7』ですが、かたや計算式、かたや意味のない落書きです。
「見た目が同じならどうでもいいんじゃね?」
という方がいるかもしれませんが、僕はそれも別に否定するつもりはありません。
ただ僕には全く違うものに見えるというだけの話です。
今回はまた、いつも以上の理屈っぽさですね・・・
どうせならもっとマニアックにいきますか!
僕の周りのショー関係者にも
「上達するには練習あるのみ!」
という考えの人がたくさんいます。
しかしぼくは
「上達するには練習と勉強あるのみ!」
と思っています。
勉強を研究と言い換えてもかまいません。
全国にはたくさんのアクションチームがあり、その中にはキチンとした師を持たないチームもたくさんあります(僕がいた所もその1つだと思いますが)。
そういったチームには、形ばかりの技は伝わっていても、そこに含まれる色々な物が伝わっていないケースが多いものです。
そういった、自分達がやっているものの由来や根本を知る事は僕は大事だと思います。
その為に必要なのが研究です。
敵の右ストレートを左手で受ける時、身体の他の部位はどう動いているか?それは何故そう動いているのか?
その答えを持っているか否かでアクションは大きく変わってきます。
武術のことわざに、『七分看脚、三分看手』というものがあります。
敵と向かい合った時には、手に3割、脚に7割注意を向けろというような意味ですが、裏をかえせばそれだけ脚の動きが大切だという事です。
脚といっても蹴り技の事ではありませんよ。
歩法や体重移動などの脚さばきです。
上半身の動きは下半身にあらわれるという事なんです。
という事は、敵の右ストレートを左手で受けた時、それが本気で受けたのか段取りで受けたのか、余裕があるのかないのかまでが下半身にあらわれる事になります。
こういった下半身の用法は、形だけ盗んでる人には分かりません。
試しにアマチュアのアクションをじっくり観てみて下さい。
手の動きは複雑なのに、脚はほとんど動かない・・・
そういうアクションが意外に多いハズです。
この件にに関しては『打拳容易走歩難』ということわざもあります。
これは、パンチやキックの練習は簡単だけど、歩法や脚さばきの習得は難しいという意味です。
やはり武術の言葉ですが、僕は武術も殺陣も習得までの根本は同じだと思っています。
マニアックついでにもう一つ、『単刀看手、双刀看走、大刀看口』も紹介しておきましょう。
これは刀を使っている人の力量を見る時のことわざですが、片手で刀を振っている人を見る時は、もう片方の空いている手を見る事、両手に刀を持っていたら脚さばきを見る事、大きな刀を持っていたらその刃筋を見る事、という意味です。
つまり大刀を除いて、武器の動き以外の所に力量が現れる、と言っているのです(大刀の場合は刃の動きで筋力を見るそうです)。
これだけ読めば、『他人の動きを覚えただけで出来るようになるワケではない』という僕の言葉も分かってもらえると思います。
本当のプロが、殺陣を殺陣たらしめているものを素人が簡単に見抜く事など出来るはずはなく、それゆえに形は似ていても全くの別物になってしまうという事・・・
結局、この時点で僕が出来るようになっていた剣殺陣なんて、形ばかりの猿マネレベルでしかなかった、という恥ずかしいオチなんです。
~つづく~
スポンサーサイト