2010-01-04(Mon)
アクションへの道(33)
久しぶりの『アクションへの道』。
1991年後半は、大きい舞台に立てたり、しゃべりを経験したり、ホームレスになったり、女の子にフラれたりと色々ありました。
時は12月、ホームレスの僕には厳しい季節でした。
許可が出れば道場に泊まっていましたが、そうじゃなければ外で寝なければいけません。
ある日の練習の後、社員さんがやって来て、
『道場締めるぞ~』と言いました。
施錠の合図です。
こう言われた日は道場に泊まれません。
僕は外に出ました。
寒い、寒すぎる。
これじゃ公園に寝る事は不可能です。
現在は夜の10時…
事務所が開くのは朝の10時…
ちょうど12時間…
そうだ!
6時間歩いてどこかへ行って、6時間かけて戻ってくればいいんだ!
ナイスアイデアです。
身体も暖まるし。
僕は大きな通りを歩き始めました。
これだけ大きな通りならどこまでもつながってるハズだ…
しかし残念ながら、僕は福岡の地理なんて全然知らなかったのです。
1時間も歩くと海にぶつかってしまいました。
その辺りの道は入り組んでいて、右に行けばいいのか左に行けばいいのかさっぱり分かりません。
やむなく僕はUターンしました。
この大きな通りなら、反対に行けばどこまでも行けるハズだ…
再び歩き始めた僕。
しかし…
1時間ほど歩いたところで雨が降ってきたのです。
12月の雨!
傘も無く打たれている僕がいます。
駆け込んで雨をしのぐ場所もありません。
身体は冷えきっていきます。
震えが止まりません。
『ヤ、ヤバい!これはマジでヤバい!!』
もう背に腹は代えられません。全財産を使ってもどこかに逃げ込むしかありません。
ポケットを探ると…
1500円…
何も出来ん!
しかしそれでもどこか探さなければ!!
僕はカプセルホテルかサウナを探そうと思いました。
しかし土地勘が全くないので探す事が出来ません。
全身ビショ濡れ、身体の芯まで冷えるとはこの事かと思うぐらい冷えきり、震えながらさまよう僕。
この時の願いはただひとつ、
『温かいお風呂に入りたい…』
その時!遠くに黄色いライトが見えました。
建物の屋上に設置された看板を煌々と照らしています。
深夜12時、こんな時間に看板を照らしている職種なんか限られています。
ましてやあれは飲食店の看板ではない…
サウナか!?カプセルホテルか!?
可能性はある!!
僕は足を早めました。
全財産1500円じゃどうにもならないかもしれません。
でもこれが最後の望み!
早歩きで進む僕…
段々と近付いてくる看板…
ついに!
ついに見えたその看板には!
『●●葬祭場』
・・・・・・
僕は…心が折れてしまいました…
なので仕方なく、冷えて動かない身体を引きずって事務所に戻る事にしました…
戻ってきている社員さんがいるかもしれません。
わずかな期待を胸にビルの下に立ちましたが…
当然1つの明かりも点いてません。
僕はビルの屋上に上りました。
屋上の一部にはトタン屋根があり、何とか雨をしのげるのです。
僕は手近にあった段ボールにくるまり、屋根の下にうずくまりました。
濡れて冷えた身体はもう暖まりません。
しかし、落ちて来る雨を避けられるだけでも大違いです。
風が強くなり、雨も勢いを増してきました。
吹き込んでくる雨を避けようと隅に寄ると…
バキバキッ!
頭上で嫌な音が聞こえました。
そして目の前に屋根の破片が落ちてきて…
ザバーッ!!
そうです。雨と風で屋根が破壊され、たまっていた雨水が僕の上から降ってきたのです。
この時の状況はまさに『ひょうきん族』の懺悔の部屋でバツを出された時のそれでした。
冷えた身体に更に降り注ぐ冷たい雨…
この時の心境はもう
『このままじゃ死ぬ!』
なんて生易しいものではありませんでした!
『こんなに冷たくて逃げ場がない状況で死ねなかったら発狂してしまう!!』
本気でそう思いました。
事務所が開くまでまだ6時間もあります。
僕は正常でいられる自信がありませんでした。
とにかく、屋上ではもう雨をしのぐ事は出来ません。
今度は駐車場に移動しました。
この駐車場はビルの1階にあるので雨が吹き込んでくる心配はありません。
幸いな事に、機材運搬時のクッションとして使う汚い毛布が2枚ほど置いてありました。
僕はその毛布にくるまり駐車場の隅にうずくまりました。
これなら何とか一息つけるかも…
しかし今度は床に雨水がたまってきました。
水溜まりは段々大きくなり、とうとう僕が座るスペースがなくなってしまいました。
僕は階段を上り、2階の入口前に座り込みました。
もう他に行く所はありません、行く力もありません。
事務所が開くまであと数時間…
もしかしたら早出の社員さんがいるんじゃないか、早朝出発の現場があるんじゃないか、わずかな望みを持つ事で何とか正気を保ちました。
結局、早出も早朝出発の現場もなく、最初の社員さんが出社してこられたのは9時半頃でした。
ほとんど僕と面識のない女性社員だったので、階段を上ってきて僕を見つけた時は驚きのあまりフリーズしていた記憶があります。
なんたって、会社の入口の前に、汚い毛布にくるまってガタガタ震えているビショ濡れの男が座り込んでいるのですからそれも仕方ありません。
僕は寒さで動かない口でようやく、
『僕はキャラクターのアルバイトなんですが、道場を開けてもらえないでしょうか』
と言いました。
しかしこの社員さんは同じ会社だけど別のフロアの方だったので道場を開ける事は出来ませんでした。
僕が別の社員さんに鍵を開けてもらって道場に入れたのはそれから15分後。
僕は何とか12時間耐え忍ぶ事が出来たのです。
そして僕はどうにかして部屋を借りようと決意しました。
お風呂さえ付いていれば、温かいお風呂に入れる部屋ならどこでもいいと思いました。
そして、親にも助けてもらい部屋を借りたのはそれから2ヶ月後。
西暦は1992年になっていました。
1991年後半は、大きい舞台に立てたり、しゃべりを経験したり、ホームレスになったり、女の子にフラれたりと色々ありました。
時は12月、ホームレスの僕には厳しい季節でした。
許可が出れば道場に泊まっていましたが、そうじゃなければ外で寝なければいけません。
ある日の練習の後、社員さんがやって来て、
『道場締めるぞ~』と言いました。
施錠の合図です。
こう言われた日は道場に泊まれません。
僕は外に出ました。
寒い、寒すぎる。
これじゃ公園に寝る事は不可能です。
現在は夜の10時…
事務所が開くのは朝の10時…
ちょうど12時間…
そうだ!
6時間歩いてどこかへ行って、6時間かけて戻ってくればいいんだ!
ナイスアイデアです。
身体も暖まるし。
僕は大きな通りを歩き始めました。
これだけ大きな通りならどこまでもつながってるハズだ…
しかし残念ながら、僕は福岡の地理なんて全然知らなかったのです。
1時間も歩くと海にぶつかってしまいました。
その辺りの道は入り組んでいて、右に行けばいいのか左に行けばいいのかさっぱり分かりません。
やむなく僕はUターンしました。
この大きな通りなら、反対に行けばどこまでも行けるハズだ…
再び歩き始めた僕。
しかし…
1時間ほど歩いたところで雨が降ってきたのです。
12月の雨!
傘も無く打たれている僕がいます。
駆け込んで雨をしのぐ場所もありません。
身体は冷えきっていきます。
震えが止まりません。
『ヤ、ヤバい!これはマジでヤバい!!』
もう背に腹は代えられません。全財産を使ってもどこかに逃げ込むしかありません。
ポケットを探ると…
1500円…
何も出来ん!
しかしそれでもどこか探さなければ!!
僕はカプセルホテルかサウナを探そうと思いました。
しかし土地勘が全くないので探す事が出来ません。
全身ビショ濡れ、身体の芯まで冷えるとはこの事かと思うぐらい冷えきり、震えながらさまよう僕。
この時の願いはただひとつ、
『温かいお風呂に入りたい…』
その時!遠くに黄色いライトが見えました。
建物の屋上に設置された看板を煌々と照らしています。
深夜12時、こんな時間に看板を照らしている職種なんか限られています。
ましてやあれは飲食店の看板ではない…
サウナか!?カプセルホテルか!?
可能性はある!!
僕は足を早めました。
全財産1500円じゃどうにもならないかもしれません。
でもこれが最後の望み!
早歩きで進む僕…
段々と近付いてくる看板…
ついに!
ついに見えたその看板には!
『●●葬祭場』
・・・・・・
僕は…心が折れてしまいました…
なので仕方なく、冷えて動かない身体を引きずって事務所に戻る事にしました…
戻ってきている社員さんがいるかもしれません。
わずかな期待を胸にビルの下に立ちましたが…
当然1つの明かりも点いてません。
僕はビルの屋上に上りました。
屋上の一部にはトタン屋根があり、何とか雨をしのげるのです。
僕は手近にあった段ボールにくるまり、屋根の下にうずくまりました。
濡れて冷えた身体はもう暖まりません。
しかし、落ちて来る雨を避けられるだけでも大違いです。
風が強くなり、雨も勢いを増してきました。
吹き込んでくる雨を避けようと隅に寄ると…
バキバキッ!
頭上で嫌な音が聞こえました。
そして目の前に屋根の破片が落ちてきて…
ザバーッ!!
そうです。雨と風で屋根が破壊され、たまっていた雨水が僕の上から降ってきたのです。
この時の状況はまさに『ひょうきん族』の懺悔の部屋でバツを出された時のそれでした。
冷えた身体に更に降り注ぐ冷たい雨…
この時の心境はもう
『このままじゃ死ぬ!』
なんて生易しいものではありませんでした!
『こんなに冷たくて逃げ場がない状況で死ねなかったら発狂してしまう!!』
本気でそう思いました。
事務所が開くまでまだ6時間もあります。
僕は正常でいられる自信がありませんでした。
とにかく、屋上ではもう雨をしのぐ事は出来ません。
今度は駐車場に移動しました。
この駐車場はビルの1階にあるので雨が吹き込んでくる心配はありません。
幸いな事に、機材運搬時のクッションとして使う汚い毛布が2枚ほど置いてありました。
僕はその毛布にくるまり駐車場の隅にうずくまりました。
これなら何とか一息つけるかも…
しかし今度は床に雨水がたまってきました。
水溜まりは段々大きくなり、とうとう僕が座るスペースがなくなってしまいました。
僕は階段を上り、2階の入口前に座り込みました。
もう他に行く所はありません、行く力もありません。
事務所が開くまであと数時間…
もしかしたら早出の社員さんがいるんじゃないか、早朝出発の現場があるんじゃないか、わずかな望みを持つ事で何とか正気を保ちました。
結局、早出も早朝出発の現場もなく、最初の社員さんが出社してこられたのは9時半頃でした。
ほとんど僕と面識のない女性社員だったので、階段を上ってきて僕を見つけた時は驚きのあまりフリーズしていた記憶があります。
なんたって、会社の入口の前に、汚い毛布にくるまってガタガタ震えているビショ濡れの男が座り込んでいるのですからそれも仕方ありません。
僕は寒さで動かない口でようやく、
『僕はキャラクターのアルバイトなんですが、道場を開けてもらえないでしょうか』
と言いました。
しかしこの社員さんは同じ会社だけど別のフロアの方だったので道場を開ける事は出来ませんでした。
僕が別の社員さんに鍵を開けてもらって道場に入れたのはそれから15分後。
僕は何とか12時間耐え忍ぶ事が出来たのです。
そして僕はどうにかして部屋を借りようと決意しました。
お風呂さえ付いていれば、温かいお風呂に入れる部屋ならどこでもいいと思いました。
そして、親にも助けてもらい部屋を借りたのはそれから2ヶ月後。
西暦は1992年になっていました。
スポンサーサイト