2009-12-30(Wed)
アクションへの道(32)
「クリスマスに何が起こったか」
あれは何日だったか・・・
多分1991年12月23日・・・だった気がする(18日だったかもしれない)。
その日のショーはとある百貨店。
キャラクターは、主役が3体のメタルヒーロー物。
ショーが1ステージあった後、クリスマスの歌のコーナーがあり、そこに主役が登場する、という流れでした。
メンバーは主役3人に悪役3人。
この日は現場が1班しかなかったので、僕以外はかなりのベテランメンバーで固められています。
同行するスタッフはこの現場の営業担当さんでした。
さて、現場に到着し、ステージで場当たり(リハーサルのようなもの)を始めると、営業担当のスタッフが言いました。
「おいおい、今日はショーはないぞ」
・・・はぁっ!?
硬直するメンバー一同。
「主役が3体、歌のコーナーに出ればいいんやから、他の奴らは要らんぞ?」
・・・はぁっ!??
まだペーペーの僕も、これは頭に来てしまいました。
僕らはキャスティング担当の社員さんからショーがあると聞いてこの場にいるのです。
この営業担当もウチの事務所の社員なら、キャスティング担当もウチの社員です。
それなのに何故、大切な現場の情報が共有出来ていないのか?
この人達は一体どんな仕事をしているのか??
第一、今さら「悪役3人は要らん」とか言っているが、移動の車にメンバーが6人乗っている時点でおかしいとは思わなかったのか?
要らんのなら我々は前日にスケジュールの都合をつけてリハーサルをする必要などなかったではないか。
当日だってのんびり寝てて良かったのだ。
「ちょっと待って下さいよ、僕らはショーがあるからってキャスティングされて、リハーサルまでしてここにいるんですよ。何とかショーをする事は出来ないんですか!?」
僕は食い下がったのですが、
「あぁ無理無理。それならクリスマスツリーを運ぶ手伝いをしてくれ」
僕らは何故か、ショーとは何の関係も無いツリー運びの手伝いをさせられました。
百貨店の従業員さんと共に何十本とあるツリーを6階から2階まで運んだのです。
正直僕は・・・
ハラワタが煮えくり返っていました。
ウチの事務所にはキャラクターショー部門とは別にイベント部門があったので、こんな仕事ならイベントのメンバーを呼べば良かったのです。
もしかしたらイベントの方がギャラが高いからわざとこうしたのかもしれません。
単なる伝達ミスが原因でこうなったのかもしれません。
しかしどっちにしても、いいかげんな事この上ない!!
ツリーを運び終わって汗だくの僕は、これだけで帰ったら自分のプライドが許さないと思いました。
「これだけ働いてショーもさせてもらえないんですか」
さすがにスタッフさんも後ろめたくなったのかもしれません。
「ショーをしようにも30分も枠が取れんけんなぁ~」
少し態度が緩和されました。今だ!!
「5分だけでも時間作れませんか?ラス立ち(ラストの立ち回り)だけしましょう」
「パケはどうするんや」
「主題歌を流しててくれれば僕がしゃべりで何とかします。主役のセリフは影マイク(裏で声をアテる事)で対処しましょう」
「いいけどな、俺は影マイクはせんぞ」
きさまぁ~っ!!
誰のせいでこんな事になったと思うとるんじゃあ!!
何が「俺はせんぞ」じゃ!!少しも反省はないんかコラァッ!!
ペーペーの僕の怒り爆発でした。
「いいですよ。全部僕が声をアテます。それならいいですね!?」
こうして何とかラス立ちだけは出来るようになりました。
まず僕が裏でしゃべります。
悪役『はっはっはっは!人間ども!今からお前たちのクリスマスを台無しにしてやる!戦闘員!行け!!』
戦闘員2体が登場。暴れます。
そしてボスの僕が登場。
悪役『人間ども!我々は悪の組織●●軍団!この地域を制圧する為に、まずはお前らに犠牲になってもらうぞ。戦闘員!やれ!!』
客席を襲う戦闘員。ボスはクルッと背を向けます。
そして出来るだけ肩を動かさないように気をつけて・・・
主役『待て!●●軍団!』
ボスは正面を向いて、
悪役『こ、この声は!えぇ~い、出て来い!!』
しゃべりながら背を向けて、
主役『行くぞ!トォ~ッ!!』
主役3体登場。
ボスは客席に背を向けてしゃがみ、口元が見えないようにします。
そしてまずカッコイイ声で、
主役『俺は、主役A!』
次は軽めの声で、
主役『主役B!』
最後は低めの声で、
主役『主役C!』
そしてまたカッコイイ声で、
主役『3人揃って、●●●●!!』(ホントはこんな名乗りじゃない)
ボス、立ち上がって、
悪役『こうなれば勝負だ!行くぞ!!』
アクション。
ボスやられてフラフラしながら、
悪役『おのれ、●●●●め!』
そして崩れ落ちて口元を隠します。
主役『よし、とどめだ!●●●●キ~ック!』
立ち上がるボス、3人のキックをくらって、
悪役『うわぁ~っ!覚えていろ~っ!!』
と、ステージ裏に隠れます。
息の乱れを隠しながら、
主役『みんな!大丈夫だったかい?それじゃこの後は楽しい歌のコーナーだ!!』
正直ね・・・めちゃめちゃだったと思うんですよ・・・
だって僕はキャラクター歴1年で、まだ何回かしかしゃべりもやった事なかったんですから・・・
1人4役て・・・
でもこれがきっかけで少し自信がついたというか・・・
いくら素晴らしい動きをする同期達でもこれは出来ないんじゃないかな、と。
動きでは敵わなくても僕は別のジャンルで張り合えるんじゃないかな、と。
そう思えただけでもこの日の現場は良かったのかな?
でも僕にとって結果オーライってだけで、プロの仕事としてはいかんよね!!
スタッフさんには猛省を促したい!!
・・・って、もう18年も昔の話か・・・
ちなみに今までの僕の最高記録は1人7役です。
※この日の主役Cに入っていたのは現在武装メンバーの阿部です。
僕はこの時の阿部さんの動きを見て、
「あ、キャラクターを演じるってこーゆー事なんだ!」
と目からウロコが落ちたのでした。
あれは何日だったか・・・
多分1991年12月23日・・・だった気がする(18日だったかもしれない)。
その日のショーはとある百貨店。
キャラクターは、主役が3体のメタルヒーロー物。
ショーが1ステージあった後、クリスマスの歌のコーナーがあり、そこに主役が登場する、という流れでした。
メンバーは主役3人に悪役3人。
この日は現場が1班しかなかったので、僕以外はかなりのベテランメンバーで固められています。
同行するスタッフはこの現場の営業担当さんでした。
さて、現場に到着し、ステージで場当たり(リハーサルのようなもの)を始めると、営業担当のスタッフが言いました。
「おいおい、今日はショーはないぞ」
・・・はぁっ!?
硬直するメンバー一同。
「主役が3体、歌のコーナーに出ればいいんやから、他の奴らは要らんぞ?」
・・・はぁっ!??
まだペーペーの僕も、これは頭に来てしまいました。
僕らはキャスティング担当の社員さんからショーがあると聞いてこの場にいるのです。
この営業担当もウチの事務所の社員なら、キャスティング担当もウチの社員です。
それなのに何故、大切な現場の情報が共有出来ていないのか?
この人達は一体どんな仕事をしているのか??
第一、今さら「悪役3人は要らん」とか言っているが、移動の車にメンバーが6人乗っている時点でおかしいとは思わなかったのか?
要らんのなら我々は前日にスケジュールの都合をつけてリハーサルをする必要などなかったではないか。
当日だってのんびり寝てて良かったのだ。
「ちょっと待って下さいよ、僕らはショーがあるからってキャスティングされて、リハーサルまでしてここにいるんですよ。何とかショーをする事は出来ないんですか!?」
僕は食い下がったのですが、
「あぁ無理無理。それならクリスマスツリーを運ぶ手伝いをしてくれ」
僕らは何故か、ショーとは何の関係も無いツリー運びの手伝いをさせられました。
百貨店の従業員さんと共に何十本とあるツリーを6階から2階まで運んだのです。
正直僕は・・・
ハラワタが煮えくり返っていました。
ウチの事務所にはキャラクターショー部門とは別にイベント部門があったので、こんな仕事ならイベントのメンバーを呼べば良かったのです。
もしかしたらイベントの方がギャラが高いからわざとこうしたのかもしれません。
単なる伝達ミスが原因でこうなったのかもしれません。
しかしどっちにしても、いいかげんな事この上ない!!
ツリーを運び終わって汗だくの僕は、これだけで帰ったら自分のプライドが許さないと思いました。
「これだけ働いてショーもさせてもらえないんですか」
さすがにスタッフさんも後ろめたくなったのかもしれません。
「ショーをしようにも30分も枠が取れんけんなぁ~」
少し態度が緩和されました。今だ!!
「5分だけでも時間作れませんか?ラス立ち(ラストの立ち回り)だけしましょう」
「パケはどうするんや」
「主題歌を流しててくれれば僕がしゃべりで何とかします。主役のセリフは影マイク(裏で声をアテる事)で対処しましょう」
「いいけどな、俺は影マイクはせんぞ」
きさまぁ~っ!!
誰のせいでこんな事になったと思うとるんじゃあ!!
何が「俺はせんぞ」じゃ!!少しも反省はないんかコラァッ!!
ペーペーの僕の怒り爆発でした。
「いいですよ。全部僕が声をアテます。それならいいですね!?」
こうして何とかラス立ちだけは出来るようになりました。
まず僕が裏でしゃべります。
悪役『はっはっはっは!人間ども!今からお前たちのクリスマスを台無しにしてやる!戦闘員!行け!!』
戦闘員2体が登場。暴れます。
そしてボスの僕が登場。
悪役『人間ども!我々は悪の組織●●軍団!この地域を制圧する為に、まずはお前らに犠牲になってもらうぞ。戦闘員!やれ!!』
客席を襲う戦闘員。ボスはクルッと背を向けます。
そして出来るだけ肩を動かさないように気をつけて・・・
主役『待て!●●軍団!』
ボスは正面を向いて、
悪役『こ、この声は!えぇ~い、出て来い!!』
しゃべりながら背を向けて、
主役『行くぞ!トォ~ッ!!』
主役3体登場。
ボスは客席に背を向けてしゃがみ、口元が見えないようにします。
そしてまずカッコイイ声で、
主役『俺は、主役A!』
次は軽めの声で、
主役『主役B!』
最後は低めの声で、
主役『主役C!』
そしてまたカッコイイ声で、
主役『3人揃って、●●●●!!』(ホントはこんな名乗りじゃない)
ボス、立ち上がって、
悪役『こうなれば勝負だ!行くぞ!!』
アクション。
ボスやられてフラフラしながら、
悪役『おのれ、●●●●め!』
そして崩れ落ちて口元を隠します。
主役『よし、とどめだ!●●●●キ~ック!』
立ち上がるボス、3人のキックをくらって、
悪役『うわぁ~っ!覚えていろ~っ!!』
と、ステージ裏に隠れます。
息の乱れを隠しながら、
主役『みんな!大丈夫だったかい?それじゃこの後は楽しい歌のコーナーだ!!』
正直ね・・・めちゃめちゃだったと思うんですよ・・・
だって僕はキャラクター歴1年で、まだ何回かしかしゃべりもやった事なかったんですから・・・
1人4役て・・・
でもこれがきっかけで少し自信がついたというか・・・
いくら素晴らしい動きをする同期達でもこれは出来ないんじゃないかな、と。
動きでは敵わなくても僕は別のジャンルで張り合えるんじゃないかな、と。
そう思えただけでもこの日の現場は良かったのかな?
でも僕にとって結果オーライってだけで、プロの仕事としてはいかんよね!!
スタッフさんには猛省を促したい!!
・・・って、もう18年も昔の話か・・・
ちなみに今までの僕の最高記録は1人7役です。
※この日の主役Cに入っていたのは現在武装メンバーの阿部です。
僕はこの時の阿部さんの動きを見て、
「あ、キャラクターを演じるってこーゆー事なんだ!」
と目からウロコが落ちたのでした。
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