2014-07-08(Tue)
小説・さやか見参!(241)
カイテツは速い。
そして鉄槌の威力は比類ない。
そんな相手を封殺するには、超接近戦から一瞬で決めるしかない。
振り上げられた鉄槌の真下にもぐりこんだ封は左手を伸ばした。
カイテツの左肩付近、鎖帷子が破壊され革鎧が破損した場所。
そこに触れ、血流と気の流れを同時に止める。
それだけで相手を戦闘不能にする事が出切る。
それが封の技なのだ。
指先が、
カイテツの腕に触れた、
そう思った瞬間、
封の動きが止まった。
封も何故自分の動きが止まったか分からず、伸ばした左腕に目を向けた。
封の細い腕は、細い小刀に貫かれていた。
一瞬遅れて激しい痛みが封を襲う。
カイテツはにやりと笑って、思い切り封を蹴り飛ばした。
巨大な足の裏が腹部にめり込み、封は息を詰まらせて吹っ飛んだ。
仰向けに倒れても勢いが止まらず、二回三回と転げる。
ようやく回転が止まっても、まだ呼吸が出来なかった。
咳込もうとしたがそれすら不可能である。
封は苦しみながらも小刀を抜こうとして左腕を見た。
小刀の刃先には釣り針のような返しがついていて抜けそうにない。
這いつくばったまま、封はカイテツを睨んだ。
『はっはっはっはァ!残念だったなァ!あと少しだったのになァ!』
カイテツは鉄槌の頭部を地面にどんと叩きつけて高笑いした。
『まさかこの刀って、その武器に仕込んでたの』
息も絶え絶えに問いかける。
身体はまだ動かない。
『その通りだァ、ほれ』
カイテツは鉄槌を担ぎ上げて柄の先端を見せた。
そこは空洞になっているようである。
小刀はそこに仕込まれていたのか。
『封、オマエ、俺の術中にはまったなァ。俺の身体を見て、俺の力を見て、この鉄槌を見て、なにより、鉄槌のカイテツって名前を聞いて、俺の事を力で攻めてくる敵だと思っただろう』
思った。
怪力で鉄槌を振り回してくるなら懐に入り込みさえすれば勝機はあるかも、と確かに思った。
『だがな!俺の本当の武器はその小さな小さな刀なんだよォ。この鉄槌で攻めて攻めて、懐に入ってきたところをぶすりって刺しちまうのが俺のやり方だァ』
なるほど。最初から完全に踊らされていたという事か。
『でもまァ、今までの相手の中では楽しませてもらった方かな』
カイテツが近付く。
封は立ち上がれない。
鉄槌の攻撃を受けた右肩も、小刀に貫かれている左腕も動かなかった。
ここまでか。
『万一に備えて、明日オマエが乗るはずだった船を下忍どもに破壊させておいたが無駄になっちまったなァ』
カイテツは楽しそうに笑った。
そうか、遠くで自分を取り囲んでいた下忍達はその為の要員だったか。
どうりで途中から姿を見せないと思った。
封は力を失ってつぶやいた。
『そっか、船、私のせいで壊されちゃったのか…申し訳ないな…』
完全に戦意を失った封を見て、カイテツが更に笑った。
『死んで詫びるしかねェなァ』
その時、
倒れている封と迫ってくるカイテツの間に何かがごろごろと転がってきた。
『!?』
カイテツの笑いが止まる。
封は転がってきた物体を確認して驚愕した。
それは一角衆の下忍の首だったのだ。
首が転がってきた方向に、カイテツと封が同時に振り向いた。
そこには無造作に詰まれた十数個の下忍の首と、そして、
『いやぁ~、船を壊そうとしてたからさ~、止めようとしてついついね~』
場違いに明るい声があった。
『なんだァ!キサマァ!!』
カイテツが吠える。
が声の主はそれには答えず
『だからさぁ、船は大丈夫だよ。明日はちゃんと旅立てる』
と封に向かって言った。
聞き覚えのあるその声に封は驚き、思わず出た叫びはうわずった。
『邪衆院天空!!』
そして鉄槌の威力は比類ない。
そんな相手を封殺するには、超接近戦から一瞬で決めるしかない。
振り上げられた鉄槌の真下にもぐりこんだ封は左手を伸ばした。
カイテツの左肩付近、鎖帷子が破壊され革鎧が破損した場所。
そこに触れ、血流と気の流れを同時に止める。
それだけで相手を戦闘不能にする事が出切る。
それが封の技なのだ。
指先が、
カイテツの腕に触れた、
そう思った瞬間、
封の動きが止まった。
封も何故自分の動きが止まったか分からず、伸ばした左腕に目を向けた。
封の細い腕は、細い小刀に貫かれていた。
一瞬遅れて激しい痛みが封を襲う。
カイテツはにやりと笑って、思い切り封を蹴り飛ばした。
巨大な足の裏が腹部にめり込み、封は息を詰まらせて吹っ飛んだ。
仰向けに倒れても勢いが止まらず、二回三回と転げる。
ようやく回転が止まっても、まだ呼吸が出来なかった。
咳込もうとしたがそれすら不可能である。
封は苦しみながらも小刀を抜こうとして左腕を見た。
小刀の刃先には釣り針のような返しがついていて抜けそうにない。
這いつくばったまま、封はカイテツを睨んだ。
『はっはっはっはァ!残念だったなァ!あと少しだったのになァ!』
カイテツは鉄槌の頭部を地面にどんと叩きつけて高笑いした。
『まさかこの刀って、その武器に仕込んでたの』
息も絶え絶えに問いかける。
身体はまだ動かない。
『その通りだァ、ほれ』
カイテツは鉄槌を担ぎ上げて柄の先端を見せた。
そこは空洞になっているようである。
小刀はそこに仕込まれていたのか。
『封、オマエ、俺の術中にはまったなァ。俺の身体を見て、俺の力を見て、この鉄槌を見て、なにより、鉄槌のカイテツって名前を聞いて、俺の事を力で攻めてくる敵だと思っただろう』
思った。
怪力で鉄槌を振り回してくるなら懐に入り込みさえすれば勝機はあるかも、と確かに思った。
『だがな!俺の本当の武器はその小さな小さな刀なんだよォ。この鉄槌で攻めて攻めて、懐に入ってきたところをぶすりって刺しちまうのが俺のやり方だァ』
なるほど。最初から完全に踊らされていたという事か。
『でもまァ、今までの相手の中では楽しませてもらった方かな』
カイテツが近付く。
封は立ち上がれない。
鉄槌の攻撃を受けた右肩も、小刀に貫かれている左腕も動かなかった。
ここまでか。
『万一に備えて、明日オマエが乗るはずだった船を下忍どもに破壊させておいたが無駄になっちまったなァ』
カイテツは楽しそうに笑った。
そうか、遠くで自分を取り囲んでいた下忍達はその為の要員だったか。
どうりで途中から姿を見せないと思った。
封は力を失ってつぶやいた。
『そっか、船、私のせいで壊されちゃったのか…申し訳ないな…』
完全に戦意を失った封を見て、カイテツが更に笑った。
『死んで詫びるしかねェなァ』
その時、
倒れている封と迫ってくるカイテツの間に何かがごろごろと転がってきた。
『!?』
カイテツの笑いが止まる。
封は転がってきた物体を確認して驚愕した。
それは一角衆の下忍の首だったのだ。
首が転がってきた方向に、カイテツと封が同時に振り向いた。
そこには無造作に詰まれた十数個の下忍の首と、そして、
『いやぁ~、船を壊そうとしてたからさ~、止めようとしてついついね~』
場違いに明るい声があった。
『なんだァ!キサマァ!!』
カイテツが吠える。
が声の主はそれには答えず
『だからさぁ、船は大丈夫だよ。明日はちゃんと旅立てる』
と封に向かって言った。
聞き覚えのあるその声に封は驚き、思わず出た叫びはうわずった。
『邪衆院天空!!』
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