2014-03-03(Mon)
小説・さやか見参!(219)
『こんな天候ってある?』
立ち上がった邪衆院がいぶかしんだ。
『見た事無い』
さやかも呆然と空を見ている。
一天にわかに掻き曇り、等と文句もあるが、それを目の当たりにしたのは初めてだった。
突然日が暮れたような闇が訪れる。
その中で一瞬、稲光が二人を照らした。
さやかは雷鳴に備えた。
光と音のずれで落雷の距離を測る為だ。
だが、いつまでも轟音が響く事はない。
何故ならその光の正体は雷ではないからだ。
『山吹さやか、あれ、見てみろよ』
邪衆院の声が少しうわずっている。
この男が驚く事などめったにないと言うのに。
さやかは邪衆院の視線を追った。
そこでは、
倒れている紅蓮丸の傍らでは、
伝説の魔剣がまばゆいばかりの光を放っていたのだ。
『刀が、光ってる!?』
『これは、まさに魔剣だな』
さやかと邪衆院が身構える。
斬った者を操る意外にも妖力を持っているのかもしれない。
だが、魔剣は強力な光で二人を照らす以外に変化を起こそうとしなかった。
やがてさやかが
『この光、私を呼んでるのかしら…』
と呟いて魔剣にゆっくり近付いた。
『呼んでるって?』
『分かんないけど、なんかそんな感じ』
さやかを前にして、魔剣は光を柔らかくしたように見えた。
そこから敵意は感じ取れない。
やがて柔らかな光は微かに点滅し始めた。
ゆっくりと、何かを語るように。
さやかは、そっと魔剣の柄を握った。
ずしりとした重さが伝わってくる。
若きくのいちが一人で持てるような重量ではないのだろう。
だが、さやかは何故か、
『これは自分の力で持たねばならない』
と思った。
さやかは大地を踏みしめ、腰を落とし、一気に魔剣を天にかざした。
その瞬間、
魔剣は今までにないほどの光を放ってさやかと邪衆院の視界を奪った。
『うっわ…山吹さやか、大丈夫か!?』
『大丈夫、だけど、何も見えない!!』
『俺も!!』
瞼を透かして網膜を焼かんばかりの光の中で二人はお互いを気遣っていた。
やがて、光はゆっくり、ゆっくりと弱くなって、やがて消えた。
さやかと邪衆院が正常な視界を取り戻したのは光が消えてしばらく経ってからの事である。
二人の目の前には、澄んだ青空が広がっていた。
立ち上がった邪衆院がいぶかしんだ。
『見た事無い』
さやかも呆然と空を見ている。
一天にわかに掻き曇り、等と文句もあるが、それを目の当たりにしたのは初めてだった。
突然日が暮れたような闇が訪れる。
その中で一瞬、稲光が二人を照らした。
さやかは雷鳴に備えた。
光と音のずれで落雷の距離を測る為だ。
だが、いつまでも轟音が響く事はない。
何故ならその光の正体は雷ではないからだ。
『山吹さやか、あれ、見てみろよ』
邪衆院の声が少しうわずっている。
この男が驚く事などめったにないと言うのに。
さやかは邪衆院の視線を追った。
そこでは、
倒れている紅蓮丸の傍らでは、
伝説の魔剣がまばゆいばかりの光を放っていたのだ。
『刀が、光ってる!?』
『これは、まさに魔剣だな』
さやかと邪衆院が身構える。
斬った者を操る意外にも妖力を持っているのかもしれない。
だが、魔剣は強力な光で二人を照らす以外に変化を起こそうとしなかった。
やがてさやかが
『この光、私を呼んでるのかしら…』
と呟いて魔剣にゆっくり近付いた。
『呼んでるって?』
『分かんないけど、なんかそんな感じ』
さやかを前にして、魔剣は光を柔らかくしたように見えた。
そこから敵意は感じ取れない。
やがて柔らかな光は微かに点滅し始めた。
ゆっくりと、何かを語るように。
さやかは、そっと魔剣の柄を握った。
ずしりとした重さが伝わってくる。
若きくのいちが一人で持てるような重量ではないのだろう。
だが、さやかは何故か、
『これは自分の力で持たねばならない』
と思った。
さやかは大地を踏みしめ、腰を落とし、一気に魔剣を天にかざした。
その瞬間、
魔剣は今までにないほどの光を放ってさやかと邪衆院の視界を奪った。
『うっわ…山吹さやか、大丈夫か!?』
『大丈夫、だけど、何も見えない!!』
『俺も!!』
瞼を透かして網膜を焼かんばかりの光の中で二人はお互いを気遣っていた。
やがて、光はゆっくり、ゆっくりと弱くなって、やがて消えた。
さやかと邪衆院が正常な視界を取り戻したのは光が消えてしばらく経ってからの事である。
二人の目の前には、澄んだ青空が広がっていた。
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