2014-03-01(Sat)
小説・さやか見参!(217)
邪衆院は続ける。
『多分あの魔剣は従えたいんだ。君を。山吹さやかをね』
『私を?』
『そう。きっとね、強いのに脆い、脆いくせに強い、そんな人間が好きなんだと思う』
『言ってくれるじゃないの』
『下忍に対した時とは明らかに妖気が違う。この魔剣がこんなに猛ったのは君と』
『私と?』
『イバラキ様だけだね』
さやかは紅蓮丸の攻撃をよけて跳躍し、邪衆院の隣に着地した。
そして溜息をつくと
『イバラキと私は同じ、か。光栄だわ』
と不愉快そうに呟いた。
飛び込んできた紅蓮丸が、いや魔剣が、邪衆院ごとさやかを薙ぎ払おうとした。
さやかと邪衆院が同時に跳んだ。
空中でさやかが刀を構え直す。
『やる気だね』
『もちろんよ。私とイバラキを同じに扱うなんて。あの魔剣に腹が立ってきた』
降りてくるさやかを魔剣が斬り上げる。
さやかは刀を振り下ろすと魔剣を側面から払った。
重量に勝る魔剣はびくともしなかったが、さやかの目的はただ攻撃をかわす事ではなかった。
魔剣を払った反動を利用する為だったのだ。
払いざまに魔剣を押しその反動で身を翻す。
さやかは見事に紅蓮丸の背後に着地した。
『こざかしいわね!!』
紅蓮丸が反撃しようとするが、いかんせん刀は接近戦に弱い。
ましてや巨大な魔剣では自らの背後に張り付いた敵を攻撃する事は出来なかった。
邪衆院が拍手して明るく声をかけた。
『お見事!最初からそうすれば良かったのに』
『火遁を受けたくなかったからよ!でも今は火傷してもこの魔剣をぶん殴ってやりたいって気持ちなの』
『魔剣を殴っても手が痛いだけだからさ、代わりに紅蓮丸を殴っとけば?』
『そうするわ!』
さやかは背後から紅蓮丸の両腕を極めて動きを封じると、左に持ち替えた刀の柄頭で紅蓮丸の頭頂部を殴打した。
『ぎゃん!!』
紅蓮丸は犬の鳴き声のような声をあげて、崩れるようにがくりと倒れた。
結局今回も冴えない負け方だった。
『多分あの魔剣は従えたいんだ。君を。山吹さやかをね』
『私を?』
『そう。きっとね、強いのに脆い、脆いくせに強い、そんな人間が好きなんだと思う』
『言ってくれるじゃないの』
『下忍に対した時とは明らかに妖気が違う。この魔剣がこんなに猛ったのは君と』
『私と?』
『イバラキ様だけだね』
さやかは紅蓮丸の攻撃をよけて跳躍し、邪衆院の隣に着地した。
そして溜息をつくと
『イバラキと私は同じ、か。光栄だわ』
と不愉快そうに呟いた。
飛び込んできた紅蓮丸が、いや魔剣が、邪衆院ごとさやかを薙ぎ払おうとした。
さやかと邪衆院が同時に跳んだ。
空中でさやかが刀を構え直す。
『やる気だね』
『もちろんよ。私とイバラキを同じに扱うなんて。あの魔剣に腹が立ってきた』
降りてくるさやかを魔剣が斬り上げる。
さやかは刀を振り下ろすと魔剣を側面から払った。
重量に勝る魔剣はびくともしなかったが、さやかの目的はただ攻撃をかわす事ではなかった。
魔剣を払った反動を利用する為だったのだ。
払いざまに魔剣を押しその反動で身を翻す。
さやかは見事に紅蓮丸の背後に着地した。
『こざかしいわね!!』
紅蓮丸が反撃しようとするが、いかんせん刀は接近戦に弱い。
ましてや巨大な魔剣では自らの背後に張り付いた敵を攻撃する事は出来なかった。
邪衆院が拍手して明るく声をかけた。
『お見事!最初からそうすれば良かったのに』
『火遁を受けたくなかったからよ!でも今は火傷してもこの魔剣をぶん殴ってやりたいって気持ちなの』
『魔剣を殴っても手が痛いだけだからさ、代わりに紅蓮丸を殴っとけば?』
『そうするわ!』
さやかは背後から紅蓮丸の両腕を極めて動きを封じると、左に持ち替えた刀の柄頭で紅蓮丸の頭頂部を殴打した。
『ぎゃん!!』
紅蓮丸は犬の鳴き声のような声をあげて、崩れるようにがくりと倒れた。
結局今回も冴えない負け方だった。
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