2014-01-07(Tue)

小説・さやか見参!(212)

『見つけましたよ、山吹さやか』

さやかが全身を紅い装束に包んだ謎の男に絡まれたのは、音駒を襲った二人組を調べている時だった。

『はぁ?』

目立たぬよう野良着で探索していたのだが、この男はさやかの変装を見破ったらしい。

(意外とやるようね…そうは見えないけど…)

そう思いながらもさやかは表情を変えず男を見返した。

紅い装束、紅い覆面、紅い鉢金、紅い甲冑。
覆面から両目だけを覗かせた男は巨大な剣を肩に担いでいる。
怪しい。
どう見ても怪しい。

『さやか、あの時は恥ずかしい姿を見せてしまいましたが…今日こそわたくしの力を見せて差し上げましょう』

紅い男が巨大な剣先をさやかに向けた。

『あの~~~…誰??』

『ずるっ』

紅い男がずっこける。

『わ、私よ私~!ほら!あんた見たでしょ!?荘島のお城でほら!足元に倒れてたはずよ!!』

さやかが小首をかしげる。

『私の足元に?あんたが??』

『そうそう』

大仰にうなずく男を見つめてしばらく考えてみたが、出てきた答えはやっぱり

『ごめーん、分かんないや』

というものだった。

男が

『が~ん…』

と口にしてあからさまに落ち込んでいる。

『ご、ごめんね!荘島に行ったのは覚えてるんだけど、私、興味ないものは目に入らないって言うか…』

照れ笑いで乗り切ろうとするさやかだが、男はその言葉で更に落ち込んだようだ。

『ず~~~ん…』

男の立ち位置だけ光が遮られているかのように暗い。

物理的に、ではなく、空気が暗くなってしまっているのだ。

さやかは自分の失言に気付いて更に照れ笑いを浮かべた。

『と、とにかく!今は調べ物で忙しいから、御用はまた日を改めてという事で…』

背を向けて去ろうとする。

さやかは音駒が襲われた現場に来ていたのだ。

心太郎の話では、犯人はかなり手練れの二人組との事なので手がかりを残している可能性は低い。

しかし調べずにはいられなかったのだ。

調査に戻ろうとしてさやかは

『あ』

と言って立ち止まった。

そしてゆっくりと振り返り、

『あんた、あいつに似てるわね』

と、改めて男を見つめた。

『あいつ?』

男も尋ね返す。

さやかは思い出す。

炎を使って戦いを挑んできた赤い男を。

秘宝・タオの鏡を使って罪も無い村人達を焼き殺そうとした非道の男を。

『あいつとは誰の事です?』

もう一度男が訊いた。

『あ、元に戻ってる』

『え?』

『さっきまでオカマみたいな喋り方だったのに』

『そんな事どうだっていいのよ!!』

どうやらこの男、普段は紳士的だが感情が高ぶると喋り方が変わってしまうようだ。

『だから、私と誰が似てるって!?』

『炎丸だったかな?あんたみたいに全身赤くて炎を使う最低な奴。うん。炎丸』

さやかがそう言うと、目の前の紅い男は一瞬黙った後、ふふふふと笑い、

『炎丸はわたくしの弟です』

と挑戦的な笑みを含ませて答えた。

『え?じゃああんたは…』

男は急に胸と声を張った。

『わたくしは炎丸の兄!炎一族長兄、地獄の炎の申し子、紅蓮丸!!覚えておきなさい!!』

さやかの耳に紅蓮丸の言葉は残っていなかったが、一つ一つの反応を見て、

(こいつ、めんどくさい…)

と、内心げっそりしていた。
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プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

くのいち・山吹さやかが活躍する『忍者ライブショー さやか見参!』、新シリーズ『ギルティー!!』も展開中!!

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