2009-12-10(Thu)
瓦30枚
『キャラクターを信じている子供』の気持ちが分からない僕。
ではキャラクターショーを作るに当たって、キャラクターを演じるに当たって、一体何を考えているのか?
それは
『例えニセモノでも、良い物は良い』
という事です。
ヒーローが本物だと信じてる子は素直に喜んでほしい。
信じてない子には
『あれ、中身は人間だよな~。でも、中の奴すごいよなぁ~』
『背中にファスナーあったけど、いい話だったよなぁ~』
って思ってほしい。
キャラクターショーってのはキャラクターとしての外側(衣裳)が主役。
大袈裟に言ってしまえば、中身が誰でも(見た目がおかしくなければ)お客さんの反応はそんなに変わらないんです。
でも僕は自分の事を(生意気にも)役者のはしくれだと思っているので、
『誰でもいい中の1人』
になるワケにはいかないんです。
自分の個性や想いを目一杯放出して、衣裳を貫通させて客席まで届かせなければいけません。
観客の心を動かすのは結局衣裳ではなく演者の心だと思うのです。
その件に関して、これは何かある度に周りの人達に話して聞かせてる話なんですが改めて。
『探偵ナイトスクープ』
ってテレビ番組があります。
依頼者の悩みを番組の探偵(芸人さん)が解決する番組です。
ある回のお母さんからの依頼で
『空手をやってる息子(幼稚園~小学生低学年ぐらい)に、
「お母さんは瓦なら30枚ぐらい割る事が出来る」
と見栄を張って言ってしまった所、子供が私を尊敬してしまい、実際にやってみせないと済まない事態になってしまいました。子供を失望させたくないので何とか30枚の瓦を割れるようにして下さい。ちなみに空手の経験もなければ1枚の瓦も割れません』
というものがありました。
探偵が直行し、お母さんの腕前を見ると、確かに1枚の瓦も割れず、むしろ拳を痛める始末。
プロの指導を仰ごうと高名な空手家の道場へ行き稽古をつけてもらうがあまり進歩はない。
空手家いわく、
『そもそも30枚なんて我々でも無理ですよ』
との事。
万策尽きて出たアイデアが
『30枚割るとは言ったけど、30枚重ねて割るとは言ってない。1枚ずつ割りましょう。』
かくして、息子がお母さんの腕前を見るべく訪れた道場には空手着姿のお母さん、そして各々1枚ずつ瓦を持って1列に並んだ30名の空手家の姿が。
ポカ~ンとしてる息子にお母さんは
『今からお母さん、約束通り30枚割るからね』
と言って瓦に向かいます。
気合いを入れて正拳突きを入れるお母さん。
瓦は2枚、3枚と割れていきます。
何枚か割ったところでお母さんの拳は限界を迎えたのでしょう、1発では瓦が割れなくなりました。
苦痛の表情で2発目を入れて何とか割るものの、やがて2発でも割れなくなり、3発、4発…
そしてお母さんの拳は瓦を打てる状態じゃなくなりました。
まだまだ瓦は並んでいます。
お母さんは肘で割り始めました。
肘が駄目になると今度は足で…
満身創痍、表情からもお母さんの限界がうかがえます。
息子は硬直したようにその光景を見つめています。
やがてお母さんはフラフラになりながら最後の1枚を割りました。
「おぉ~っ」というどよめきで、息を飲んでいた現場の緊張が解けたのが伝わります。
汗だくでボロボロのお母さんはそれでも強がってニッコリ笑って
『どう?お母さんホントに30枚割れるやろ?』
と言いました。
その言葉を聞いた途端、硬直していた息子の両目に涙が溢れ、『うわあぁぁん!!』と号泣しながらお母さんに駆け寄りしがみついたのです。
しがみついたまま泣きじゃくる息子にお母さんは
『どうしたの!?どうしたの!?』
と聞きますが、息子は
『何だか分かんない!分かんないけど涙が出てくるの!』
と言って、ただ泣き続けるのでした。
…僕の文章で上手く伝わるか分かりませんが、これが僕が目指してるものです。
僕らがやってるのはあくまでショーであり演技なので、身体を痛めつけて限界を観せなくちゃいけないと言ってるワケじゃありません。
ただ、一生懸命に伝えようとする熱い心は、言葉にならない深い部分に伝わるという事を忘れちゃいけないと思うのです。
特に子供達と向かい合う僕らの仕事は。

ではキャラクターショーを作るに当たって、キャラクターを演じるに当たって、一体何を考えているのか?
それは
『例えニセモノでも、良い物は良い』
という事です。
ヒーローが本物だと信じてる子は素直に喜んでほしい。
信じてない子には
『あれ、中身は人間だよな~。でも、中の奴すごいよなぁ~』
『背中にファスナーあったけど、いい話だったよなぁ~』
って思ってほしい。
キャラクターショーってのはキャラクターとしての外側(衣裳)が主役。
大袈裟に言ってしまえば、中身が誰でも(見た目がおかしくなければ)お客さんの反応はそんなに変わらないんです。
でも僕は自分の事を(生意気にも)役者のはしくれだと思っているので、
『誰でもいい中の1人』
になるワケにはいかないんです。
自分の個性や想いを目一杯放出して、衣裳を貫通させて客席まで届かせなければいけません。
観客の心を動かすのは結局衣裳ではなく演者の心だと思うのです。
その件に関して、これは何かある度に周りの人達に話して聞かせてる話なんですが改めて。
『探偵ナイトスクープ』
ってテレビ番組があります。
依頼者の悩みを番組の探偵(芸人さん)が解決する番組です。
ある回のお母さんからの依頼で
『空手をやってる息子(幼稚園~小学生低学年ぐらい)に、
「お母さんは瓦なら30枚ぐらい割る事が出来る」
と見栄を張って言ってしまった所、子供が私を尊敬してしまい、実際にやってみせないと済まない事態になってしまいました。子供を失望させたくないので何とか30枚の瓦を割れるようにして下さい。ちなみに空手の経験もなければ1枚の瓦も割れません』
というものがありました。
探偵が直行し、お母さんの腕前を見ると、確かに1枚の瓦も割れず、むしろ拳を痛める始末。
プロの指導を仰ごうと高名な空手家の道場へ行き稽古をつけてもらうがあまり進歩はない。
空手家いわく、
『そもそも30枚なんて我々でも無理ですよ』
との事。
万策尽きて出たアイデアが
『30枚割るとは言ったけど、30枚重ねて割るとは言ってない。1枚ずつ割りましょう。』
かくして、息子がお母さんの腕前を見るべく訪れた道場には空手着姿のお母さん、そして各々1枚ずつ瓦を持って1列に並んだ30名の空手家の姿が。
ポカ~ンとしてる息子にお母さんは
『今からお母さん、約束通り30枚割るからね』
と言って瓦に向かいます。
気合いを入れて正拳突きを入れるお母さん。
瓦は2枚、3枚と割れていきます。
何枚か割ったところでお母さんの拳は限界を迎えたのでしょう、1発では瓦が割れなくなりました。
苦痛の表情で2発目を入れて何とか割るものの、やがて2発でも割れなくなり、3発、4発…
そしてお母さんの拳は瓦を打てる状態じゃなくなりました。
まだまだ瓦は並んでいます。
お母さんは肘で割り始めました。
肘が駄目になると今度は足で…
満身創痍、表情からもお母さんの限界がうかがえます。
息子は硬直したようにその光景を見つめています。
やがてお母さんはフラフラになりながら最後の1枚を割りました。
「おぉ~っ」というどよめきで、息を飲んでいた現場の緊張が解けたのが伝わります。
汗だくでボロボロのお母さんはそれでも強がってニッコリ笑って
『どう?お母さんホントに30枚割れるやろ?』
と言いました。
その言葉を聞いた途端、硬直していた息子の両目に涙が溢れ、『うわあぁぁん!!』と号泣しながらお母さんに駆け寄りしがみついたのです。
しがみついたまま泣きじゃくる息子にお母さんは
『どうしたの!?どうしたの!?』
と聞きますが、息子は
『何だか分かんない!分かんないけど涙が出てくるの!』
と言って、ただ泣き続けるのでした。
…僕の文章で上手く伝わるか分かりませんが、これが僕が目指してるものです。
僕らがやってるのはあくまでショーであり演技なので、身体を痛めつけて限界を観せなくちゃいけないと言ってるワケじゃありません。
ただ、一生懸命に伝えようとする熱い心は、言葉にならない深い部分に伝わるという事を忘れちゃいけないと思うのです。
特に子供達と向かい合う僕らの仕事は。

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