2013-09-23(Mon)
小説・さやか見参!(195)
死に物狂いで走る忍者の速さは我々の想像をはるかに超える。
普通ならば歩いて一日半、いや、今が深夜である事を考えるとゆうに二日を越えそうな距離である。
それを心太郎は短い夜の間に走り切ったのだ。
だがそれでも、
道中、心太郎は焦り、悩んでいた。
音駒は今のさやかにとって大切な人だ。
彼のおかげでさやかの精神がどれだけ安定しているか、それは近くで見ていればよく分かる。
『不本意に、理不尽に死なねばならなかった者の為にも、我々は必死に生きるべきだ』
という音駒の言葉は、兄の死というさやかの呪縛を解こうとしている。
その音駒に万が一の事があれば、
さやかは今度こそ立ち直れないかもしれない。
だから心太郎は音駒に忍鳥として育てられた鳩を預けていたのだ。
しかし、
音駒を襲ったのは、どうやらただ者ではないらしい。
侍か忍びか、はたまた武芸者か分からぬが、かなりの手練れである事は間違いない。
これは予想外だった。
音駒が誰かに命を狙われるなど考えてもいなかった。
いや、考えたとて、手練れが音駒の命を狙う理由など思い当たらない。
とにかく、
生きていてほしい。
そんな事を頭の中でぐるぐると考えながら心太郎は走ったのだ。
と、
夜の闇と同化した鳩が地面に降りた。
普通ならば決して見えぬそれも、夜目の利く忍びならば見逃す事はない。
心太郎は鳩が降りたその先に、
血にまみれて倒れている音駒を見つけた。
普通ならば歩いて一日半、いや、今が深夜である事を考えるとゆうに二日を越えそうな距離である。
それを心太郎は短い夜の間に走り切ったのだ。
だがそれでも、
道中、心太郎は焦り、悩んでいた。
音駒は今のさやかにとって大切な人だ。
彼のおかげでさやかの精神がどれだけ安定しているか、それは近くで見ていればよく分かる。
『不本意に、理不尽に死なねばならなかった者の為にも、我々は必死に生きるべきだ』
という音駒の言葉は、兄の死というさやかの呪縛を解こうとしている。
その音駒に万が一の事があれば、
さやかは今度こそ立ち直れないかもしれない。
だから心太郎は音駒に忍鳥として育てられた鳩を預けていたのだ。
しかし、
音駒を襲ったのは、どうやらただ者ではないらしい。
侍か忍びか、はたまた武芸者か分からぬが、かなりの手練れである事は間違いない。
これは予想外だった。
音駒が誰かに命を狙われるなど考えてもいなかった。
いや、考えたとて、手練れが音駒の命を狙う理由など思い当たらない。
とにかく、
生きていてほしい。
そんな事を頭の中でぐるぐると考えながら心太郎は走ったのだ。
と、
夜の闇と同化した鳩が地面に降りた。
普通ならば決して見えぬそれも、夜目の利く忍びならば見逃す事はない。
心太郎は鳩が降りたその先に、
血にまみれて倒れている音駒を見つけた。
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