2009-12-03(Thu)
アクションへの道(14)
初現場、初忘年会を終えて年は明け、1991年。
僕はお正月も連日戦隊のショーに入れていただいていました。
初ショーでは緊張していて何も考える余裕がなかったのですが、今回はそれなりに気持ちの余裕があったみたいで、
「今まで自分が見ていた場所に立ってるんだなぁ・・・」
と感慨深くなったりしました。
この頃は練習・現場の度に帰って日記を書いていました。
自己紹介してくれない先輩達の名前を周囲の会話から拾い出して忘れないように書き記したり、新しく習った技の名前をメモしたり、ショーでの失敗を綴って、繰り返さないように気をつけたり・・・
色んな事が書いてあって、今読み返しても面白かったり参考になったりします。
例えば、あるリハーサルの日、先輩の1人が僕に
「お、今週も入っとるんやねぇ。何(の役)に入っとると?」
と声をかけてくれました。僕はちょっと自嘲気味に
「当然したっぱですよ」
と答えました。
当時読んでいたキャラクターショー関係の書籍で戦闘員の事を「したっぱ」と書いてあったのでそれが普通なのかと思っていたのもありますが、やはりどこか恥ずかしい気持ちがあったのでしょうか。
しかしこれ、新人が発するにはあまりにもデリカシーに欠けた生意気な発言です。
怒鳴られても仕方ないんじゃないか、と今の僕なら思います。
しかも後で知ったのですが、その先輩は戦闘員役に誇りを持ち、極めんと頑張ってらっしゃる方だったのです。
事実後年まで
「戦闘員といえばこの人」
みたいに言われていた方です。
でもその先輩は怒る事も声を荒げる事もなく、
「あのな、戦闘員は確かにしたっぱやけど、そのしたっぱがおらんかったらショーは出来んし、したっぱ次第でショーの出来が変わってくるんやぞ」
と教えてくれました。
ひしひしとプライドを感じさせる言葉です。
これ以降は当然ながら戦闘員役に恥ずかしさを感じる事はなくなりました。
日記には他にもこういった事が書かれていました。
何度目かの練習の時、とある社員の方が
「きみ、なかなかすじがいいって評判だよ」
と褒めてくれた、と。
正直身体を動かす事で人から褒められた事なんかありません。
だから今でもそれが本心から言われた言葉なのか新人を長続きさせようと発せられた言葉だったのか分かりません。
でもやはり、一生懸命やってる事を認めてもらっているという気持ちになれたからこそ今までショーに関わってこれたのではないでしょうか。
その社員さんの言葉でもう一つ印象に残っているものがあります。
それもとある日の練習日でした。
練習終了後に僕を含めた新人数人を集めてその人は
「君達の仕事はね、役者なんだよ。仮面を着けて大きな衣裳を着たりするけど、やるべき事はテレビや映画に出てる不通の俳優と同じなんだ」
と言いました。
これは新人ながら、何となく伝わるものがありました。
ヒーローの衣裳を着て、ヒーローになりきって、テレビと同じポーズを取る、動きを再現する。
これではコスプレと変わりません。
子供達に伝えたいものを持っていて、それを伝える技術を持っていて、それを伝える為に衣裳を着るのがプロだ。
きっとそういう事を言いたかったのだと思います。
これは今でも僕の基本精神です。
僕がやりたいのはキャラクターショーであってコスプレではありません。
これが理解出来たのは(本当に理解出来てるかは分からないけど)、中学時代の文化祭でコスプレ精神丸出しのショーをして後悔していたからだと思います。
やはり失敗は糧になるんですね。
数年前、衣裳を着る事で自己満足気味になっていた後輩にこの話をした事があります。
何か伝えるものがなきゃプロじゃないぞ、と。
すると後輩はこう答えました。
「僕は動きを再現する事で、テレビのヒーローのカッコ良さを伝えたいんです。だから今のままでいいんです」
色んな意見があると思うし、何が正解かは分かりません。
でも僕個人としては、
「テレビのヒーローのカッコ良さはテレビがすでに伝えている。充分過ぎるぐらいに。カッコいい事を知ってるから子供達はショーに足を運んでくれているんだ。だとしたら伝えるべきものはその先にこそあるんじゃないのか?」
と思います。
↓↓2001年か2002年辺りのクリスマス前後。
ショーの後輩達を家に招いてパーティーした時の写真

ちなみに・・・
ここまで書いておきながら、我がアトラクションチーム武装の「忍者ライブショー さやか見参!」には子供達へのメッセージはな~~~んも入ってません(コラ!)
ただ、メッセージはありませんが伝えたいものは込められています。
メッセージと伝えたいものって同じじゃないの?って思われるでしょうがそこは僕の中に明確な区別があるんです。
まぁそれは置いといて・・・
今回は精神論になっちゃいましたね。
そういえばその日記には上記のような事ばかりでなく、今ではすごく当たり前な事も書いてあって笑えました。
「この業界では昼でも夜でも、初めて会った人にはおはようございますと挨拶するらしい!」
まだ擦れてない可愛い時代があったのね(笑)
僕はお正月も連日戦隊のショーに入れていただいていました。
初ショーでは緊張していて何も考える余裕がなかったのですが、今回はそれなりに気持ちの余裕があったみたいで、
「今まで自分が見ていた場所に立ってるんだなぁ・・・」
と感慨深くなったりしました。
この頃は練習・現場の度に帰って日記を書いていました。
自己紹介してくれない先輩達の名前を周囲の会話から拾い出して忘れないように書き記したり、新しく習った技の名前をメモしたり、ショーでの失敗を綴って、繰り返さないように気をつけたり・・・
色んな事が書いてあって、今読み返しても面白かったり参考になったりします。
例えば、あるリハーサルの日、先輩の1人が僕に
「お、今週も入っとるんやねぇ。何(の役)に入っとると?」
と声をかけてくれました。僕はちょっと自嘲気味に
「当然したっぱですよ」
と答えました。
当時読んでいたキャラクターショー関係の書籍で戦闘員の事を「したっぱ」と書いてあったのでそれが普通なのかと思っていたのもありますが、やはりどこか恥ずかしい気持ちがあったのでしょうか。
しかしこれ、新人が発するにはあまりにもデリカシーに欠けた生意気な発言です。
怒鳴られても仕方ないんじゃないか、と今の僕なら思います。
しかも後で知ったのですが、その先輩は戦闘員役に誇りを持ち、極めんと頑張ってらっしゃる方だったのです。
事実後年まで
「戦闘員といえばこの人」
みたいに言われていた方です。
でもその先輩は怒る事も声を荒げる事もなく、
「あのな、戦闘員は確かにしたっぱやけど、そのしたっぱがおらんかったらショーは出来んし、したっぱ次第でショーの出来が変わってくるんやぞ」
と教えてくれました。
ひしひしとプライドを感じさせる言葉です。
これ以降は当然ながら戦闘員役に恥ずかしさを感じる事はなくなりました。
日記には他にもこういった事が書かれていました。
何度目かの練習の時、とある社員の方が
「きみ、なかなかすじがいいって評判だよ」
と褒めてくれた、と。
正直身体を動かす事で人から褒められた事なんかありません。
だから今でもそれが本心から言われた言葉なのか新人を長続きさせようと発せられた言葉だったのか分かりません。
でもやはり、一生懸命やってる事を認めてもらっているという気持ちになれたからこそ今までショーに関わってこれたのではないでしょうか。
その社員さんの言葉でもう一つ印象に残っているものがあります。
それもとある日の練習日でした。
練習終了後に僕を含めた新人数人を集めてその人は
「君達の仕事はね、役者なんだよ。仮面を着けて大きな衣裳を着たりするけど、やるべき事はテレビや映画に出てる不通の俳優と同じなんだ」
と言いました。
これは新人ながら、何となく伝わるものがありました。
ヒーローの衣裳を着て、ヒーローになりきって、テレビと同じポーズを取る、動きを再現する。
これではコスプレと変わりません。
子供達に伝えたいものを持っていて、それを伝える技術を持っていて、それを伝える為に衣裳を着るのがプロだ。
きっとそういう事を言いたかったのだと思います。
これは今でも僕の基本精神です。
僕がやりたいのはキャラクターショーであってコスプレではありません。
これが理解出来たのは(本当に理解出来てるかは分からないけど)、中学時代の文化祭でコスプレ精神丸出しのショーをして後悔していたからだと思います。
やはり失敗は糧になるんですね。
数年前、衣裳を着る事で自己満足気味になっていた後輩にこの話をした事があります。
何か伝えるものがなきゃプロじゃないぞ、と。
すると後輩はこう答えました。
「僕は動きを再現する事で、テレビのヒーローのカッコ良さを伝えたいんです。だから今のままでいいんです」
色んな意見があると思うし、何が正解かは分かりません。
でも僕個人としては、
「テレビのヒーローのカッコ良さはテレビがすでに伝えている。充分過ぎるぐらいに。カッコいい事を知ってるから子供達はショーに足を運んでくれているんだ。だとしたら伝えるべきものはその先にこそあるんじゃないのか?」
と思います。
↓↓2001年か2002年辺りのクリスマス前後。
ショーの後輩達を家に招いてパーティーした時の写真

ちなみに・・・
ここまで書いておきながら、我がアトラクションチーム武装の「忍者ライブショー さやか見参!」には子供達へのメッセージはな~~~んも入ってません(コラ!)
ただ、メッセージはありませんが伝えたいものは込められています。
メッセージと伝えたいものって同じじゃないの?って思われるでしょうがそこは僕の中に明確な区別があるんです。
まぁそれは置いといて・・・
今回は精神論になっちゃいましたね。
そういえばその日記には上記のような事ばかりでなく、今ではすごく当たり前な事も書いてあって笑えました。
「この業界では昼でも夜でも、初めて会った人にはおはようございますと挨拶するらしい!」
まだ擦れてない可愛い時代があったのね(笑)
スポンサーサイト