2013-01-06(Sun)
小説・さやか見参!(179)
『イバラキが!?』
さやかが驚いて声をあげた。
『どうやらそうらしいっシュ』
『なんであいつが…何の為に!?』
さやかが腰を浮かせて心太郎に詰め寄る。
『ちょ、ちゃんと話すから落ち着くっシュよ~!』
さやかと心太郎は頭領・武双に命じられて虎組の屋敷を訪れていた。
虎組の頭領・鋭牙、次期頭領・雷牙ともに留守だったので、座敷で帰りを待っている所なのである。
山吹の頭領・武双と虎組の鋭牙が旧知の間柄である事から、両家の繋がりは深い。
たけるの親友だった雷牙は、さやかにとってもう1人の兄も同然の存在である。
かつて山吹たけるを殺し、雷牙に瀕死の重傷を負わせたのが他ならぬ幻龍イバラキである。
『あちこちの殿様を操ってるのがイバラキだって言うの?あの、嘘をついてはならぬって御触れはイバラキが出してたってわけ?なにそれ、意味が分かんない』
『だから!ちゃんと説明するって言ってるじゃないっシュか!さやか殿!落ち着いてっシュ!』
渋々腰を落ち着けたさやかに心太郎は不問から聞いたままを伝えた。
『なるほど。人が人を騙す事のない世を作る為の実験をしてるって事ね。人間不信のあいつらしいわ。でもまさかここでイバラキと繋がってくるとはね』
と、さやかがため息をついた。
そこへ、
『全くだ』
と声がして、雷牙が入ってきた。
『雷牙!』
さやかが立ち上がり心太郎は居住まいを正す。
『さやか、心太郎、共に行くぞ。これより鬼退治じゃ』
『鬼退治?』
首をかしげるさやかに雷牙が頷く。
『ああ。先ほど頭領達からの命が下った。我々はこれより各組の精鋭を集めてイバラキを討ちに出る。龍と虎、つまり我々は共に荘島へ向かえとの事だ』
それを聞いてさやかの眼が変わった。
鳥飼で泣いていたゆりの事を思い出したのだ。
藩主を操って御触れを出したのがイバラキならば、ゆりを悲しませたのはイバラキだという事だ。
絶体に許せない、とさやかは心中で呟く。
『心太郎』
『はいっシュ!』
さやかの気持ちを読んだのか、心太郎も精悍な眼付きになって立ち上がった。
それを見て雷牙がにやりと笑う。
『おっ、さやか、気合いが入ってるな』
『当然。よし、雷牙、心太郎、行こう』
こうして三人はそれぞれの組の手下を連れて里から旅立った。
さやかが驚いて声をあげた。
『どうやらそうらしいっシュ』
『なんであいつが…何の為に!?』
さやかが腰を浮かせて心太郎に詰め寄る。
『ちょ、ちゃんと話すから落ち着くっシュよ~!』
さやかと心太郎は頭領・武双に命じられて虎組の屋敷を訪れていた。
虎組の頭領・鋭牙、次期頭領・雷牙ともに留守だったので、座敷で帰りを待っている所なのである。
山吹の頭領・武双と虎組の鋭牙が旧知の間柄である事から、両家の繋がりは深い。
たけるの親友だった雷牙は、さやかにとってもう1人の兄も同然の存在である。
かつて山吹たけるを殺し、雷牙に瀕死の重傷を負わせたのが他ならぬ幻龍イバラキである。
『あちこちの殿様を操ってるのがイバラキだって言うの?あの、嘘をついてはならぬって御触れはイバラキが出してたってわけ?なにそれ、意味が分かんない』
『だから!ちゃんと説明するって言ってるじゃないっシュか!さやか殿!落ち着いてっシュ!』
渋々腰を落ち着けたさやかに心太郎は不問から聞いたままを伝えた。
『なるほど。人が人を騙す事のない世を作る為の実験をしてるって事ね。人間不信のあいつらしいわ。でもまさかここでイバラキと繋がってくるとはね』
と、さやかがため息をついた。
そこへ、
『全くだ』
と声がして、雷牙が入ってきた。
『雷牙!』
さやかが立ち上がり心太郎は居住まいを正す。
『さやか、心太郎、共に行くぞ。これより鬼退治じゃ』
『鬼退治?』
首をかしげるさやかに雷牙が頷く。
『ああ。先ほど頭領達からの命が下った。我々はこれより各組の精鋭を集めてイバラキを討ちに出る。龍と虎、つまり我々は共に荘島へ向かえとの事だ』
それを聞いてさやかの眼が変わった。
鳥飼で泣いていたゆりの事を思い出したのだ。
藩主を操って御触れを出したのがイバラキならば、ゆりを悲しませたのはイバラキだという事だ。
絶体に許せない、とさやかは心中で呟く。
『心太郎』
『はいっシュ!』
さやかの気持ちを読んだのか、心太郎も精悍な眼付きになって立ち上がった。
それを見て雷牙がにやりと笑う。
『おっ、さやか、気合いが入ってるな』
『当然。よし、雷牙、心太郎、行こう』
こうして三人はそれぞれの組の手下を連れて里から旅立った。
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