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2012-03-16(Fri)

小説・さやか見参!(152)

さやかが駆け付けた時、炎丸は全身水びたしで、巨大な水たまりの中で気を失っていた。

空から降った水の塊は炎丸に直撃したらしい。

龍神が降らす雨は、村人やさやかには全く害を為さなかったが悪人は見逃さなかったというわけだ。

まぁそれでも炎が消えたおかげでこの悪人も一命を取り留めたのだが。

仰向けに倒れた炎丸の身体の上で、タオの鏡がゆらゆらと光っていた。

それはとても優しく、何か語りかけるような光であった。

さやかはそのゆらいだ光を見て、何となく鏡の言いたい事が分かった気がして、

『タオの鏡、力を貸してくれてありがとうね』

と感謝を伝えた。

すると鏡もそれに答えるように柔らかい光を放ってさやかを包み込む。

やがて光は徐々に弱くなり、やがて鏡は景色を映し出す本来の姿に戻った。

さやかは炎丸の身体から鏡を拾いあげて、そっと抱き締めた。

言うまでもないかもしれないが、先ほど現われた龍の正体は巨大な竜巻である。

海上で発生したそれは、大量の海水を巻き上げながら川を伝って移動して来たのだ。

下流から上流へ川の水を吸い上げながら逆上り、ますます巨大に成長した竜巻は村の上空で回転を停止させ、宙に巻き上げていた莫大な量の水を落下させたのである。

それでは、これはただの偶然であろうか?

さやかが真言など唱えずとも竜巻は自然発生し燃え盛る火の海を消してくれたのであろうか?

いや、とてもそうとは思えない。

なぜならその規模の割に、あまりにも被害が小さかったからだ。

海からこの村に至るまでにはいくつもの村や集落がある。

それらはどこも巨大な竜巻に飲まれればひとたまりもないような小さな集落なのだが、見事なまでに全てが被害を免れている。

竜巻は律儀なまでに川から外れる事なく、ひたすら水だけを吸い上げて進んで来たのだろう。

そして村の上空から水を降らせた時も、村人やさやかを避け、炎(と炎丸)だけに直撃させている。

もし村の女や子供達に直撃していればただでは済まなかったであろう。

そんな偶然があるだろうか。

やはりあの竜巻を呼んだのはさやかであり、さやかに力を貸したのがタオの鏡、なのだろう。

『選ばれし者に不思議な力を与えてくれる鏡』

つまりタオの鏡はさやかを選んだという事か。

その鏡は今、さやかの胸に抱かれている。
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プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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