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2012-01-15(Sun)

アクションへの道(313)

前回の続き。

スタッフさん達はアクターの体力にも気を使ってくれてました。

事前に

『今日はこういう事をするけど、どのぐらい(の時間)なら大丈夫そう?』

と訊いて下さったり、

『ごめん!今回は1時間半ぐらいかかりそう!
無理しなくていいから!
途中でヤバいと思ったら合図して!』

と言って下さったり。

それは僕らアクターが全力で演技する事を分かって下さってるからなんですね。

夏場のロケではカメラが止まる度にタレントさんが声をかけてくれました。

僕はロボットのキャラクターを演じていたので、

『おいおい無理しなくていいぞ~!ショートしてないか?バッテリー切れてないか?』

なんて感じで。


またまた余計な事を書きますけど…

キャラクターの扱いが酷い現場ってあるんですよ。

夏場の炎天下に、平気で2時間ぐらい着ぐるみを出したりするんです。

おまけにそれを、

『俺はキャラクターを炎天下に2時間出しっぱなしにしてるからね!』

なんて自慢気に語ったりするんです。

これは現場の善し悪しじゃなくて、キャラクターを扱う人の善し悪しですね。

そんな自慢話を聞かされるとこちらは

『炎天下に2時間は殺人行為ですよっっ』

ってやんわり批判するしかないんですけど、そーゆー人に限って、

『俺もたまに入るけど2時間ぐらいはやるよ?』

なんてドヤ顔で言うんです。


プロが入る2時間と素人が入る2時間を一緒にしないでいただきたい。


例えば有名テーマパークのキャラクター。

いつ見てもキャラクターでしょ?

動きに隙がないでしょ?

キャラクターって、

例えばキャラクターとしての姿勢を維持する為に、アクターは中ではけっこう無理な体勢になってたりするんですよ。

腰とか肩とか膝とかにめちゃめちゃ負担がかかる体勢。

それで日常生活の何倍もの筋力を使って、人の何倍も大きな動きをしてるんですよ、キャラクターの仕草を表現する為に。

なおかつ、視界が悪い中で、安全に気を配りながら、

遠くで子供が手を振っていないか、

近くで子供が握手を求めていないか、

死角に入り込んでる子供はいないか、

泣いてる子供はいないか、

パンチしに来た悪ガキはいないか、

等々注意を払っているんです。

それがキャラクターの仕事だから。

でも、それだけのマルチタスクを炎天下で長時間続けられるハズがない。

プロにだって限界はあるんです。

その限界をいかに引き伸ばせるかがプロの仕事たる部分でもあるんですが…

比べても仕方ないですが、

『俺もたまに入ってるよ~』

なんて素人さんはどうでしょう?

棒立ち。

目線(本人の、じゃなくて着ぐるみのね)はどこ向いてるか分からない。

呼吸したい時はマスクを持ち上げて口を出す。

歩く時はアテンドに手を引いてもらう。

可愛らしさ皆無。

それはキャラクターじゃなくて『人間が入った着ぐるみ』にすぎません。

そんなんなら2時間保つかもしれませんね。

そーゆー人にとってはキャラクターなんて

『演技とかどうでもいいから2時間出ててほしいんだよ!』

って感じかもしれませんが、だったらプロに頼まないでほしい。

『クライアントの依頼に応えるのがプロ』

って考え方もあるかもしれませんが、そんな誇れない仕事、僕は嫌です。

僕らの仕事は『人間が入った着ぐるみ』じゃなくて『キャラクター』なんです。



…なんて…

僕は

『良いものを褒める為に悪いものをけなす必要はない』

が信条なんですけど、比較しないと分からない事もあるので…


とにかく、その番組の撮影は

『キャラクターを大切にしてくれる現場だった』

って事を言いたいだけなんです。
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プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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