2011-12-18(Sun)
小説・さやか見参!(123)
邪衆院とイバラキは同時に一歩踏み出した。
断と封が構える。
邪衆院は穏やかな顔つきでイバラキに訊いた。
『どちらを?』
イバラキも余裕たっぷりに答える。
『どちらが良い』
一瞬『うーん』と考えてから、
『じゃあ掃除係』
と言って、邪衆院は飛び出した。
断と封は身構えたが、邪衆院は二人を飛び越え、自らのクナイに傷ついてもがいている白装束の集団に向かって行った。
深手を負っているとはいえ、そこは一角衆の配下である。
各々が最期の力を振り絞って邪衆院に襲いかかる。
だが、誰一人として邪衆院に傷をつける事は出来なかった。
まるで見えない壁にぶつかるかのように、邪衆院に近付いた者は次々と崩れ落ちていったのだ。
見ると、倒れた者達は総じて脚がおかしな方向に曲がっていた。
膝の関節を完全に破壊されている。
邪衆院は、敵が自分の射程範囲に入って来た瞬間に骨を砕いていた。
しかも、一動で、である。
敵の攻撃を避け、己の体勢を整え、攻撃を放つ。
これは三動だ。
つまり邪衆院は、敵の攻撃を避けながら同時に攻撃を放っているのである。
この程度なら相手が何人何十人であろうと造作もないのだ。
邪衆院天空にとっては。
どうすれば複数の敵と戦えるのか、
幻龍組の下忍中忍から訊かれる度に邪衆院はこう答える。
『まずは敵の攻撃が当たらない位置に動く事だね。最小限の動きで。
そこから一番早く出せる技を出せばいいよ』
あまりに簡単な答えなので質問者は拍子抜けしたが、当然難易度は高い。
ましてや複数の敵が相手の場合、の話なのだから。
『大勢が一斉にかかってくるとしてもさ、瞬間的に見れば自分の近くにいるのはせいぜい四人。
だから、四つの攻撃を同時に躱して四つの攻撃を瞬時に出せるようにすれば相手が何人いたって大丈夫。
向こうがかかってきてくれるなら尚いいね。
こっちは最小限の動きで済むから楽だよ』
事も無げに答えた若き教練の言葉に下忍達は動揺を見せた。
自分達にそのような事が可能なのかと疑問を持ったようだった。
その狼狽を見てとった邪衆院は軽く『ははっ』と笑って、
『出来るかどうかは地道な鍛練の積み重ね次第だね』
と言っていたが…
邪衆院の戦いぶりを横目で見ていたイバラキは、
『手下どもに見せてやれば良かったわ。
積み重ねるとはこういう事だとな』
と言って、断と封に向かった。
断と封が構える。
邪衆院は穏やかな顔つきでイバラキに訊いた。
『どちらを?』
イバラキも余裕たっぷりに答える。
『どちらが良い』
一瞬『うーん』と考えてから、
『じゃあ掃除係』
と言って、邪衆院は飛び出した。
断と封は身構えたが、邪衆院は二人を飛び越え、自らのクナイに傷ついてもがいている白装束の集団に向かって行った。
深手を負っているとはいえ、そこは一角衆の配下である。
各々が最期の力を振り絞って邪衆院に襲いかかる。
だが、誰一人として邪衆院に傷をつける事は出来なかった。
まるで見えない壁にぶつかるかのように、邪衆院に近付いた者は次々と崩れ落ちていったのだ。
見ると、倒れた者達は総じて脚がおかしな方向に曲がっていた。
膝の関節を完全に破壊されている。
邪衆院は、敵が自分の射程範囲に入って来た瞬間に骨を砕いていた。
しかも、一動で、である。
敵の攻撃を避け、己の体勢を整え、攻撃を放つ。
これは三動だ。
つまり邪衆院は、敵の攻撃を避けながら同時に攻撃を放っているのである。
この程度なら相手が何人何十人であろうと造作もないのだ。
邪衆院天空にとっては。
どうすれば複数の敵と戦えるのか、
幻龍組の下忍中忍から訊かれる度に邪衆院はこう答える。
『まずは敵の攻撃が当たらない位置に動く事だね。最小限の動きで。
そこから一番早く出せる技を出せばいいよ』
あまりに簡単な答えなので質問者は拍子抜けしたが、当然難易度は高い。
ましてや複数の敵が相手の場合、の話なのだから。
『大勢が一斉にかかってくるとしてもさ、瞬間的に見れば自分の近くにいるのはせいぜい四人。
だから、四つの攻撃を同時に躱して四つの攻撃を瞬時に出せるようにすれば相手が何人いたって大丈夫。
向こうがかかってきてくれるなら尚いいね。
こっちは最小限の動きで済むから楽だよ』
事も無げに答えた若き教練の言葉に下忍達は動揺を見せた。
自分達にそのような事が可能なのかと疑問を持ったようだった。
その狼狽を見てとった邪衆院は軽く『ははっ』と笑って、
『出来るかどうかは地道な鍛練の積み重ね次第だね』
と言っていたが…
邪衆院の戦いぶりを横目で見ていたイバラキは、
『手下どもに見せてやれば良かったわ。
積み重ねるとはこういう事だとな』
と言って、断と封に向かった。
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