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2012-04-28(Sat)

キャラクターを立てる

えー、

今回はアクションではなく

『ショーのストーリー作り』

のお話。


僕はオリジナルストーリーにおいて一番大切なのは

「キャラクターを立てる」

事だと思っています。

キャラクターだけではありません。

そのストーリーにおいて、重要な「作戦」や「武器」や「技」が出てくるのなら、それらも立てなきゃなりません。

「立てる」とは何なのか?

「観客の印象に残す」という事です。

観終わった後、

「あの人は何だったんだっけ?」
「なんか武器が出てきたよね?」
「結局どんな作戦だったの?」
「技?そんなのあった?」

なんて言われてはエンターテイメントとして失敗だと思うのです。

キャラクターやその他を立てる為にはかなり緻密な構成と、それを成立させるテクニックが必要となります。

ここをおろそかにすると、

「ただ物語が流れて終わった」

という残念な結果になります。

作品が観客の印象に残らないという残念な結末を迎えます。

ちなみに、僕の物語作りのバイブルはこちらです▼
バイブル
小池一夫の漫画学
『キャラクターはこう創る!』

小池一夫の漫画学
『キャラクターはこう動かす!』

小池一夫のキャラクター原論
『キャラクターはこう活かす!』

の3冊。

これは12年前に初版で買って、かなり読み込みました。

もちろん僕の腕ではまだまだキャラクターを活かしきれてませんが、それでもこの本を読まなければ、山吹さやかは、幻龍イバラキは、紅蓮丸は、もっと違う印象を皆さんに持たれていた事でしょう。

登場したキャラクター達が残念な思いをせずに済む物語作りを、僕は心掛けていきたいと思います。
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2012-04-27(Fri)

今週も楽しかった♪

26日は練習でしたよ~♪


13時からの練習は残念ながら参加者ゼロ!

寂しいけれど、独りの練習も、それはそれで有意義なものです。

こーゆー時にこそ基本練習!

『摺り足』『素振り』『型』は、剣殺陣の基本三種の神器と言っても過言じゃない気がします。

よってこの3つを時間いっぱい(独りで)やりました♪

基本はキツいけど楽しい♪

独りの練習が終わってから、ひと駅歩いてとある中華料理屋さんに向かいました。

友人が担々麺をオススメしていて無性に食べたくなったのです。

ところが到着した時間はちょうど『準備中』。

がっくり肩を落として練習場に戻りました。

19時からの夜の練習は独りじゃありませんでした♪

男性チームは、シライシさん・カナオカさん・タカヒラさんの3名。

女性チームは、モリさん・カワヅさん・オカダさんの3名。

そこに織田先生と代表を加えた総勢8名での練習でした。



やっぱり人数が多いと盛り上がる!

夜のメニューもまずは基本から。

素振りと摺り足からスタートし、刀を合わせたり山形したり、そして簡単な立ち回りをしたり。

ちなみに練習メニューはその日の参加者を見て決めるので流動的です。

初めての方やまだ不慣れな方、だいぶん慣れてきた方、皆さんが楽しんで無理なく上達出来る練習を目指してます。

興味があるけど尻込みしちゃってるって方も安心して参加して下さいね♪

お問い合わせは

busou_00@hotmail.co.jp

までどうぞ♪

最後は参加者達から嫌な顔をされながら軽い筋トレ。

以上で練習終了です。

参加してくれた皆さん、お疲れ様でした!

2012-04-26(Thu)

基本練習・個人練習

こないだ初めて剣道の雑誌を立ち読みしたんですよ。

そしたらとあるインタビューに、

『我々の練習内容は、8割が基本です』

みたいな事が書かれてありまして、

改めて、

なるほど、やっぱり基本だなぁ~

なんて思った次第です。


殺陣やアクションを『カッコ良く』『テンポ良く』『速く』決める為には、まず、

スムーズに動ける事

が必要なんですね。

スムーズに動く為には、動きを身体に覚えさせなきゃいけない。

何度も何度も何度も何度も反復練習して、

『まるで日常みたいに』

動けるようになる事が大切なんです。

歩いたり、食事をしたり、メールしたりはスムーズに出来ますよね。

おしゃべりしながらでも出来るし、状況によって急いだりのんびりしたりも出来る。

これは基本の動作を身体が覚えているから。

殺陣やアクションも同じです。

基本が出来ていれば変化や応用に対応出来る。

基本が出来ていなければ変化や応用に対応出来ない。

だから基本練習が大事なんです。

上手くなりたい方は、基本練習の反復を疎かにしないよう気をつけて下さい。


もう1つ、

とっても大切な事があるんですが…

せっかくなので書いておきましょう。

もう1つ大切な事、

それは『個人練習』です。

ほとんどの場合、『団体での決められた練習時間』というのがあると思いますが、その時間だけ練習していても上手くはなれません。

例外なく、上手くなる人は時間外の練習を頑張っています。

即ち『個人練習』を頑張っている、という事です。

決められた練習時間というのは『課題を与えられる時間』です。

与えられた課題を『個人練習』でしっかりと自分の物にして、次の練習時間に臨む。

そうでなくてはいつまでも上達は出来ません。

これからの練習、注意して周りを見て下さい。

練習時間しか練習しない人は、練習の度に毎回同じ事を指導されているハズです。

前回の練習で出来なかった事は今回も出来てないハズです。

そして

『これがなかなか出来ないんですよね~』

なんて言ってるハズです。

決められた練習時間というのは、『出来るようになる場』ではありません。

『前回与えられた課題をどこまで自分の物にしたか』を発表する場です。

それが分からなければ、これから先、上手くなる事はないでしょう。

基本練習と個人練習、

この2つを重視して下さい。


また偉そうに書いちゃった。

僕も頑張りますっっ(汗)
2012-04-24(Tue)

こちらこそ

殺陣指導で参加させていただいた、久留米大学演劇部の公演

『贋作マクベス』

が終了しました。

22日、23日の公演で、僕は22日に観に行きました。

演劇に関しては全くの素人なので専門的な感想は書けませんが、観客として純粋に楽しめましたよ♪

やるなっ、演劇集団GAZ'!!

殺陣シーンも、稽古期間わずか2ヶ月という事を感じさせない出来で、僕はちょっと鳥肌立っちゃいました。


大学経験のない僕は、初めて大学のサークルに関わったのですが、GAZ'の皆さんは楽しげで情熱的で、そして一生懸命で…

その充実した雰囲気に、軽く嫉妬を覚えたりして。

久留米大学演劇部にたくさんの新入部員が入ったら僕も嬉しいなぁ。


演劇部の皆さん、2ヶ月間お疲れ様でした。

皆さんから『今までありがとうございました』って言われた時、

『あ、俺、部外者に戻っちゃうんだ』

って少し寂しかったですよ。

こちらこそ、ありがとうございました♪
2012-04-23(Mon)

作品第一

プロとして作品を作る人間は、

『作品第一』

じゃないと駄目だなぁと思います。

自分の感情や事情よりも作品のクォリティを優先しなくちゃいけないと思うんです。
2012-04-22(Sun)

昇華

つい最近も書きましたが、立ち回りっていうのは『技の羅列』になっては駄目で、

『感情の発露』

であるべきなんですね。

つまり、

『カッとなって思わず手が出てしまった』

『いきなり殴られそうになったので反射的に殴り返してしまった』

『殺すつもりで背後から忍び寄って刺した』

等々、

技に至るまでの『経過』を現わす事が最も重要なワケです。

その段階を目指して頑張っていきましょう!


さて、

感情を表現する為にはテクニックが必要です。

殺陣を始めて間もない方にはまだ難しいかもしれないので、なんとな~く頭の片隅に入れていて欲しいのですが…

それは、ただ身体を動かすのではなく、

『下半身からの力を伝達させて身体を動かす』

というテクニックです。


なんだよ!もったいつけたワリには昔からクドクド言ってる事じゃねーかよ!

とお思いの読者諸兄もいらっしゃるでしょう。

そうです。

昔からクドクド言ってます。

大切な事だから、いつまでもクドクド言いますよ!!


下半身から力を伝達させる事がどうして感情表現に繋がるのか?

それが分かるには時間がかかるかもしれません。

僕がこの事をしっかり意識し始めたのはアクションを始めて5年目~6年目ぐらいでした。

自分が気付くのに5年も6年もかかったんですから、始めたばかりの人に要求するような事はしません。

でも、とりあえず伝えてはおきたいと思います♪


さて、いよいよ今日と明日は久留米大学演劇部の公演です!

久留米大学演劇部
演劇集団GAZ'

新入生歓迎公演2012

『贋作マクベス』


新入生歓迎公演ですが、一般の方も大歓迎!

観覧無料ですから、お気軽に足をお運び下さい。

日時▼
4月22日(日)
17:30開場 18:00開演
4月23日(月)
18:15開場 18:45開演

場所▼
久留米大学御井学舎
御井学館3階大ホール

皆さんも是非応援してあげて下さい!
2012-04-21(Sat)

愛の鞭

19日、夜の練習は思ったより参加者が多くて嬉しかったです。

ラテさん、
モリさん、
カワヅさん、
カナオカさん、
タカヒラさん、
シライシさん。

そこに僕を加えた7名での練習でした。

中練習室(いつもよりかなり広い)で良かった!

メニューの中心は素振りと摺り足。

とにかく木刀を振りました。

バッサバッサとカラミを斬りまくる練習も。

左右から向かって来る敵を、右袈裟と左袈裟で斬って斬って更に斬る!!

己の築いた屍の山に、シンの皆さん大爆笑!

何のこっちゃ分からんって?

何のこっちゃ教えませんよ。

でもこんな感じって事です▼
20120419

最後は、

立ち回りチーム
(シライシさん・ラテさん・モリさん)



リアクションチーム
(代表・カナオカさん・カワヅさん・タカヒラさん)

に分かれて各々練習しました。

立ち回りチームは、ラテさんとモリさんをカラミに、シライシさんが立ち回りを付けます。

リアクションチームはカワヅさんとタカヒラさんに斬られる演技を覚えてもらいました。

最後の最後は立ち回りチームの発表。

代表が回転系の動きを加えてハードルを上げていました。

基本の動きも大切ですが応用も大事ですからね!

シライシさんには幅を広げていただきたいので愛の鞭です♪

この動画はmixiで観れるかもしれません。

以上、19日の練習報告でした!

皆さんお疲れ様でした!
2012-04-21(Sat)

みんなの力を合わせよう!クリック募金 21

福岡では花見のシーズンも終わりました。

暑くなったり寒くなったりで微妙な気候です。

世間ではゴールデンウィークを控えて、ややテンション上がって…るのかな?

なんにしても、心がウキウキする状況ってのは素敵だな、と思います。


『みんなの力を合わせよう!クリック募金』


クリック募金
クリックで救える命がある。



忍者ライブショーさやか見参!



ヒーロー連合ジャスター



グランパワーヒノクニ



遠州忍者 魁斗&鼈甲



未来環境防衛隊ドラゴンマン

2012-04-20(Fri)

久留米大学演劇部 演劇集団GAZ’

週末の告知です!


久留米大学演劇部
演劇集団GAZ’

新入生歓迎公演
『贋作マクベス』

4/22(日)
17:30開場 18:00開演
4/23(月)
18:15開場 18:45開演

久留米大学御井学舎
御井学館3階大ホール

久留米大の新入生の皆さん!
是非足を運んでみて下さい!
そして演劇部のドアを叩いてみて下さい!

観覧無料ですので、一般の方も何卒よろしくお願いいたします!

▼ある日の稽古風景
久留米大

ちなみに武装代表が殺陣指導で参加しました。

GAZ’の皆さんがどれだけ完成させて下さるか楽しみです!
2012-04-19(Thu)

間もなく夜練習

昼の練習には2名参加してくれましたよ~。

夜はどうなるっシュかね~。

皆さんお仕事がありますから、

『早く終わったら行きます!』

『仕事次第で行けなくなるかも…』

って感じなんですけど、

忙しい合間を縫って来ようとしてくれる、その姿勢が嬉しいじゃあ~りませんか♪

開始まで後5分~♪
2012-04-19(Thu)

小説・さやか見参!(160)

『鳥飼の藩主が出したお触れはね、

虚言妄言蜚語をもって他人を欺くを禁ず。

って内容だったんだって』

それを聞いて心太郎は、少し肩透かしをくらったような気持ちになった。

『お触れ…って、それだけっシュか?』

『そう』

『つまり、嘘とか噂話で他人を騙しちゃ駄目って事っシュよね』

『そう』

前のめりに聞いていた心太郎は身体を後ろに投げ出して脱力した。

『なーんだ。藩主様がどんな無理難題を言ったのかと思ったら、すごく立派な、ってか普通の内容じゃないっシュか』

『そうなのよ』

『人を騙しちゃいけないって事と、藩の人達が態度悪くなる事と関係あるようには思えないっシュけどねぇ。ましてや愛する許婚にまで冷たくなる意味が分からないっシュ』

『そうね。確かにこれだけじゃ意味分かんないでしょうね』

『え?』

心太郎が上体を起こす。

『他にも何かあるっシュか?』

『うん。このお触れにはね、条件が付いてるらしいの。いかなる理由があっても、とか、どんな意図の下にも、とか。つまり、騙す気がなくても結果的に騙したような結果になったら駄目って事ね』

『へぇ…。例えば、約束してた事が何らかの事情で出来なくなったりしたら、それも罰の対象って事っシュか』

『そういう事。それもかなり厳しい罰らしいわよ。場合によっては打ち首』

さやかは恐ろしい言葉を淡々と吐いた。

『えっ!騙す気がなくても!?』

『そう』

『そ、それは厳し過ぎじゃないっシュか!?』

『厳し過ぎよね。しかも、人を欺いた罪人の情報は役所に知らせる義務があるんだって』

心太郎はしばし言葉を失って、うむむと唸っている。

『で、でも、確かに厳しいっシュけど、騙したり騙されたりがなくなるのはいい事…っシュよね?』

『まぁね。でも程度によるわ』

さやかは立ち上がった。

今はもう男装を解いている。

月明りに照らされて髪がなびいた。

『鳥飼の善良な人達はね、些細な事でも故意でなくても嘘をついた人を見つけたら役人に知らせるようになったんだって。それはそうよね。それをしなかったら自分がお咎めを受けてしまうんだから。通報された人は裁かれて、何人も命を落とした。その結果、どうなったと思う?』

さやかに突然問い掛けられて心太郎はとまどった。

『え?…そして誰も嘘をつかなくなった…なんて…違うか。えーと…』

心太郎は考え込む。

さやかは黙って答えを待っている。

心太郎は情報を整理した。

今の話は富男とゆりの破局に繋がらなければならないのだ。

そしてようやく思い至る。

『…あ…、みんな、他人が信用出来なくなった?』

『そう』

さやかがうなずいた。

『この行き過ぎた善意のお触れはね、悪い方に転がってしまったの。嘘をついて密告された者は厳しい裁きを受ける。それを利用する奴が出てきたのね。つまり、気に入らない者、邪魔な者を、嘘つき呼ばわりして片っ端から密告しちゃうの。被害者面してね』

『でも実際は騙されてないんシュよね!?』

『そうよ。でもそんなの本人達同士の事だからね、役人には真偽は分からない。ただ被害者がいる以上、その訴えは本当だとして扱われちゃう』

『あんまりっシュ!冤罪じゃないっシュか!それは申し開き出来ないんシュか!?』

『自分はやってない、嘘なんてついてない、誰も騙してないなんて言ったって聞いちゃもらえないわよ。本物の罪人だって同じ事を言うんだから』

『そんな…』

『そうするとね、みんなが疑心暗鬼になる。誰かが自分を陥れようとしてるんじゃないかって猜疑心が強くなる』

さやかが心太郎に背を向けた。

おそらく悲愴な表情を見せまいとしたのだろう。

『周りの誰も信用出来なくなってね。あいつは自分を密告しようとしてるかもしれない、じゃあこっちが先に密告してやれ、って、みんながそう考えるようになった。そうして罪のない人達が互いに密告し合って、たくさんの人が裁かれた。領民の多くがね、罪人のぬれぎぬを着たくないばかりに、人を欺く本物の罪人になってしまったのよ』
2012-04-17(Tue)

コンセプト

アクションに関わる人間として、

僕はまだ5流にも6流にもなれない、

『流』という文字を付ける事すら憚られるレベルですけど、

やっぱり1流の方の話は聞いておくべきだなぁ、と思いますね。

なので殺陣師の方や俳優さん、スーツアクターさん(こちらも俳優さんなんですが)のインタビューが大好きです。

殺陣師さんがどんな事を考えて立ち回りを付けるのか、

その立ち回りを実演する俳優さんは1手1手にどんな思いを込めているのか。

形や技術と同じくらい大切な事だと思います。

ブルース・リーは自身の創った武術『ジークンドー』に関して、

『ジークンドーは技術じゃない。コンセプトなんだ』

と語っていたそうですが、技術というのはコンセプトから発生するものなんですね。

僕は表面だけの立ち回りを付けたくないし演じたくないなぁ。


自分の中にしっかりしたコンセプトを持つ為に、

勉強勉強♪
2012-04-17(Tue)

小説・さやか見参!(159)

『なんかさー、聞いててツラくなっちゃったわよ』

さやかは溜め息をついた。

金丸の領地に戻って心太郎と合流したさやかは、先程のゆりと父親の話をしていたのだ。

『変わっちまったのは富男だけじゃねぇ、鳥飼全体が変わっちまったんだ』

そう言って父親が語ったのは次のような内容だった。

ゆりの許婚である富男は、ある日を境に急に冷たくなった。

ゆりは戸惑ったが、虫の居所が悪い時もあるだろうとそれまで通りに接していたそうである。

しかし日を追う毎に富男の態度は冷たく、

いや、冷たい等というものではない、

まるでかたきを見るような目でゆりを見るようになった。

話しかけても愛想なく、極力言葉を交わすのを避けているような反応だった。

ゆりは何か落ち度はなかったかと自分を責めた。

富男に別の想い人が出来たのかとも考えた。

しかしそれは違うようだった。

富男はゆりだけではなく、全ての人々に敵意を向けていたからだ。

そこでゆりは気が付いた。

富男だけではない。

これまで家族のように接していた店の者達も全ておかしくなっている。

丁稚も番頭もおかみも大旦那も、皆が猜疑の目を向け合っていた。

自分の知らない所で何かあったのだろうか?

しかしそれは店の中だけにとどまらず、客も、取引先も、町を行き交う人達も、つまるところ鳥飼全てがおかしくなっていたのだ。

富男の態度の豹変にゆりは心を痛め、やがて精神を病んだ。

当然である。

それまで愛し愛されていた者が突然変わってしまったのだから。

心を病み働けなくなったゆりに店は暇を出した。

事実上の解雇である。

最後の奉公の日、ゆりは富男の気持ちを確認しようと思っていた。

まだ自分と夫婦になる気持ちがあるのかどうか。

もう気持ちが離れているのならそれでも仕方ない。

だが富男の気持ちだけは知りたかった。

しかし、

暇を言い渡してから富男は一度もゆりの前に顔を出さなかった。

結局、ゆりは訳も分からぬまま富男に捨てられてしまったのだ。

話を聞いた父親は何度も富男に会いに行った。

結婚の意思があるのかないのか教えてくれ、

もしないのならそれでもいい、理由だけでも聞かせてくれ、

そう伝えたかったのだが門前払いを受けるばかりで富男に会う事は一度も出来なかった。

ゆりは自ら婚約を破棄するしかなかった。

それからのゆりは気塞ぎの病を重くするばかりで、毎日泣いて泣いて、口にするのは『死にたい』の一言だけだったそうだ。

そこまで聞いて心太郎はさやかの心情を慮った。

状況は違えど、大切な者を失った喪失感は、さやかも兄を殺された時に味わっているからだ。

『それで富男さんや鳥飼の人達が変わってしまった原因は分かったっシュか?』

心太郎が気遣いながら尋ねる。

さやかは心太郎の優しさに気付いて心の中で感謝した。

『どうやら原因はね、ある日鳥飼藩主から出されたお触れみたいなの』

『お触れ?』

『そう。お触れ』

さやかは顔を上げた。

金丸の城に緋色の月がかかっていた。
2012-04-16(Mon)

小説・さやか見参!(158)

『おら、おとうの事を探してるだけだで、余所の事情を根掘り葉掘り訊くつもりはねぇ』

とりあえず家の中に通されたさやかはそう言った。

家はわりと広く、なかなか立派な造りである。

それなりの由緒がある家系ではないかとさやかは思った。

表は店になっているようでなにかしらの商いをやっている形跡はあるが、今は人気なく静まりかえっている。

もしかするとしばらく休んでいるのかもしれない。

娘の様子がおかしい事と関係があるのだろうか。

さやかは目まぐるしく回転する思考を表情に出さず、ぶっきらぼうにまくしたてた。

『出稼ぎのおとうが金丸から戻らねぇもんで、おら探しに来たんだけど…金丸で話を聞いたら鳥飼の方に行ったって…そんでおらも鳥飼に行ったら…』

ゆりが美しくもやつれた表情で口を挟む。

『町の様子がおかしかったんですね?』

さやかがゆりの目を見てうなずく。

『町だけじゃねぇ、小さな村から山ん中まで、鳥飼の人達はみんなおかしかった…』

『やっぱり…』

ゆりが不安げに呟く。

『みんな冷たくてとげとげしてて、あれじゃおとうの事なんて聞けやしねぇ。あそこは昔からああなのか?』

『そんな事ありません…』

か細く答えたゆりは、急に父親の方を向き、

『父ちゃん、やっぱりそうだ!富男さんだけが変わったわけじゃなかったんだ!』

と声を荒げた。

父親は框に腰掛けたまま

『ああそうだ。だからといって今さらどうしようもねぇ。全部終わっちまったんだ!』

と怒鳴った。

ゆりは髪を振り乱して父親にすがりつき、

『どうして、どうして急にこんな事になったのか、分からないままじゃ、私…』

と泣き崩れた。

ここには口を挟まぬが賢明であろう。

さやかは黙っている。

しばらくの間、ゆりの嗚咽だけが空間を満たしていた。

やがて、

その空気に耐えられなくなったのであろう父親が、誰にともなく語り始めた。

『富男ってのは、ゆりの許婚だった男だ』

声に力がない。

『ゆりの奉公先の大店の若旦那でな。身分違いにも娘を見初めてくれて』

話しながら、ちらとゆりを見る。

本当は触れたくない話題なのだろう。

『春には鳥飼に嫁ぐ事になっとった』

父親の言葉が滞ったのでさやかが独り言のように口を開いた。

『へぇ、身分違いかぁ。ここも立派なお屋敷だけんどなぁ。その大店はよっぽど大きな所なんだなぁ』

『今は寂れちまったが、先代の頃はまだこの店も流行ってたんだ。その頃の付き合いもあったんで先方もゆりの奉公を引き受けてくれたんだが…』

男はちらりと娘を見た。

娘は顔を伏せて静かにすすり泣いている。

しばし逡巡した後…

父親は意を決して

『確かに、富男はある時期からすっかり変わっちまった。いや、富男だけじゃねぇ、おめぇの言う通り、鳥飼全体が変わっちまったんだ』

と話し始めた。
2012-04-16(Mon)

あ、公演日が変更になってたんだ

昨日(4月15日)は博覧演記さんの稽古でした!

これまで演劇に関わった事のない僕には、1つの作品が出来上がっていくまでの課程・紆余曲折が新鮮です。

殺陣もあらかた決まりましたので、後は本番用に調整するのみ…

なんて簡単に言ってますが、前回書いたように、ここからが難しいんですよね!

ちなみに例によって、僕が殺陣を考える時はこんな感じです▼



頭の中だけで処理しきれないんですよね(苦笑)


あ、

この博覧演記さんの公演ですが…

以前、6月8日・9日・10日と告知しましたが…

変更になりました!(スミマセン)

改めて告知しときます!

博覧演記
旗揚五周年記念作品
第一弾

『妖師探偵(あやかしたんてい)・妖魔鬼神篇』

◆日時◆
6月15日(金)
18:30開場、19:00開演
6月16日(土)
13:30開場、14:00開演
18:30開場、19:00開演
6月17日(日)
13:00開場、13:30開演
17:00開場、17:30開演

◆場所◆
『Live in JST(ライブインジャスト)』
久留米市東合川町2-3

※チケットは前売り2000円、当日2200円…だったかな??

ドリンク代込みです。

前売りご希望の方は

busou_00@hotmail.co.jp

までご連絡下さい♪

(1)お名前
(2)年齢
(3)住所
(4)電話番号
(5)メールアドレス
(6)ご希望の日時
(7)枚数

を明記下さるようお願いいたします。

こちらから確認の連絡をさせていただきます。

ちなみにワタクシは悪役の1人『酒天童子』役です。

何卒よろしくお願いします♪

そして週末はコチラもよろしくお願いします↓↓

◆information◆

久留米大学演劇部
演劇集団GAZ'

新入生歓迎公演2012
『贋作マクベス』

日時▼
4月22日(日)
17:30開場 18:00開演
4月23日(月)
18:15開場 18:45開演

場所▼
久留米大学御井学舎
御井学館3階大ホール

(観覧無料)
2012-04-15(Sun)

本気、に見せる嘘

指導をさせてもらうようになってから、

殺陣が完成するまでにはたくさんの要点があるんだなぁ~

と再確認しました。


段取りを覚えたり動きの形を覚えたりが第1ポイントですよね。

これが出来なきゃ立ち回りが出来ません。
(※これが出来た時点で満足しちゃう人もけっこう多いです)


続いてテンポとタイミングを覚えます。

動きや形が良くても、これが駄目だと立ち回りが台無しになってしまいます。

動きも段取りもOK、
テンポもタイミングもバッチリになったら次は、

立ち位置はどうなってるか、

とか、

客席からはどう見えているか、

等の『見せ方』をチェックして調整します。

せっかくカッコ良くキメてるのにステージの端っこにいるとか、

せっかく難易度の高い技をやってるのに観客に見えてないとか、

もったいない事になるのを防ぐ為です。

段取り・形・テンポ・タイミング・見せ方。

ここまで来れば、ほぼ完成形と言ってもいいでしょう。

とは言え、この段階までにかなりの技術が必要なのですが…


さて、

先ほど僕は

『ほぼ完成』

と書きました。

キチンとした形を、

キチンとしたテンポとタイミングで、

段取り通りにしっかり観客に見せる事が出来る。

これ以上、何が必要だと言うのでしょうか。


それは

『役の感情』

です。

殺陣、立ち回りというのは『戦いの演技』です。

何故戦っているのか、

どんな気持ちで殴ったのか、

どれくらい痛いのか、等が伝わらなければ演技として成立しません。


役の感情が入るまで、立ち回りは立ち回りではないのです。

立ち回りに感情を入れる。

これは言葉ほど簡単ではありません。

よく

『役になりきる』

なんて言葉を耳にします。

役になりきって、その怒りや悲しみ、喜びを自分のものにするという事です。

しかし、役になりきっただけでは中途半端に終わってしまいます。

もう1つ先が大切なんです。

役になりきって感情を自分のものにしたら役から離れなくてはならないのです。

『役になりきった自分』を客観視して、

『まるで役になりきってるかのように』

役を演じなければならないんです。


これ、役者さんには伝わってると思いますが、役者さんではない読者の方に詳しく説明すると…

例えば『怒りにまかせて殴る』というような時、本当に怒ってパンチを出すのではなく

『本当に怒っているように見えるパンチを出す』

事が重要なんですね。

その為には自分を客観視していなければなりません。

(俺の表情は本気の怒りを表してるか?)

(パンチの振りかぶりは本気に見えているか?)

(間合いは怒りの表現に適切か?)

等々…

これらは冷静じゃないと分からないですよね。

役になりきって本気で怒ってたら、こんな事考えないでしょ?

なのでお芝居として殺陣をやろうって方は、

『段取り』『形』『タイミング』『テンポ』『見せ方』『感情』

の6つを忘れないようにしてほしいと思います♪


◆information◆

久留米大学演劇部
演劇集団GAZ'

新入生歓迎公演2012
『贋作マクベス』

日時▼
4月22日(日)
17:30開場 18:00開演
4月23日(月)
18:15開場 18:45開演

場所▼
久留米大学御井学舎
御井学館3階大ホール

(観覧無料)
2012-04-14(Sat)

久留米大学演劇部

2月末から、久留米大学演劇部の方々に殺陣を指導させてもらっていました。

『次の公演では本格的に殺陣を取り入れたいので』

という事でした。

その公演が、いよいよ来週に迫っています。

久留米大学演劇部
演劇集団GAZ'

新入生歓迎公演2012
『贋作マクベス』



劇団『柿喰う客』の主宰、中屋敷法仁さんが高校生の時に書いて最優秀創作脚本賞を受賞した作品です。

これを演劇集団GAZ'の皆さんがどう演じるのか?

そして殺陣未経験者だった皆さんが、2ヶ月足らずでどこまで成長したのか!?

本当に楽しみです♪

新入生歓迎公演ですが、一般の方も大歓迎!

観覧無料ですから、お気軽に足をお運び下さい。

日時▼

4月22日(日)
17:30開場 18:00開演

4月23日(月)
18:15開場 18:45開演

場所▼

久留米大学御井学舎
御井学館3階大ホール

僕は日曜日に行く予定です♪

皆さんも是非応援してあげて下さい!


久留米大学演劇部のブログはコチラ↓↓
http://sorairo-2532.jugem.jp/
2012-04-14(Sat)

充電…?

ご無沙汰です。

小説やクリック募金を除くとかなり久しぶりのブログです。

こんなに更新しなかったのは初めてかもしれない。

ストレスやアレルギーによる不調、

いまだ襲い来る鬱による不調、

色んなものが猛威を奮ってましたので、

『もういいや!ブログ放置しちゃえ!』

みたいな気持ちになってました。

『普段マメに書いてんだ!たまに休んだっていいだろう!』

みたいな。

『鬱の時にネガティブ過ぎるブログを書くより、何も書かない方がマシだろう!』

みたいな。

『書いたって書かなくたって、どうせ反応はないんだ!』

…みたいな。


とりあえず今は回復してるみたいなんで、今月に入ってからの空白を取り戻すべく、真面目に更新していきたいと思います。


ではまた後ほど♪
2012-04-11(Wed)

みんなの力を合わせよう!クリック募金 20

春休みも終わり、入学式シーズンですね!

爆破予告で入学式を中止させた若者が先頃逮捕されましたが、本当に悲しい事だと思います。

嫌な事、ツラい事はありますが、少しでも前を向いて、そして進んでいけたらいいですね。


『みんなの力を合わせよう!クリック募金』


クリック募金
クリックで救える命がある。



忍者ライブショーさやか見参!



ヒーロー連合ジャスター



グランパワーヒノクニ



遠州忍者 魁斗&鼈甲



未来環境防衛隊ドラゴンマン

2012-04-02(Mon)

小説・さやか見参!(157)

『あなたは鳥飼から来られたんですね!?』

美しい娘はさやかを問い詰めるように訊いた。

『よさねぇか、ゆり!』

男は力づくで娘を押し戻そうとしたが、ゆりと呼ばれた娘は華奢な身体で必死に抵抗した。

『父ちゃん離して!なんで何も教えてくれないの!?』

『今さら何聞いたって、もう無駄なんだ!だったら忘れた方がええ!』

『忘れる?簡単に言わないで!他人事だと思って!』

『他人事だと!?ゆり!おまえ、親の気も知らねぇで!』

男が平手を振り上げた。

娘が思わず目を閉じる。

だが、その平手が振り下ろされる事はなかった。

さやかが素早く手首を掴んで止めていたからだ。

『なんだか分かんねぇけど、二人とも少し落ち着いた方がええで』

さやかは少年の声でゆっくりと抑制した。

娘は驚いて目を開け、男は一瞬呆気に取られた。

『ふん』

掴まれた手首をふりほどいて、男がさやかに反論しようとする。

『たに…』

『他人のおらに口を出されるいわれがないのは分かってるけんどな、やっぱり目の前の事は止めなきゃお天道さんに申し開き出来ねぇもんだで』

言葉を遮られた男は怒鳴り損なって唸った。

『だったら早く出て…』

『出て行くけんどさ、こちらも知りたい事があって必死で尋ね回ってるんだ。もし鳥飼の事を何か知ってるなら教えてもらえねぇか』

『そんな事は知ら…』

『知らないわけがねぇ。それはゆりさんの口振りで分かる』

父親は黙った。

怒声を発した瞬間、まるで先を読んだかのように反論されてしまう。

ぶつけようとした怒りをするりと躱され続け、脱力したというか疲労を感じたというか、

とにかくこれ以上怒鳴る気にならなくなったのだ。

これはさやかの持つ戦闘技術の1つである。

戦いにおいて、あからさまな戦意を持って向かってくる敵には効く。

敵の動きをを読み、攻撃(気)が当たった瞬間に受け流す、

これを繰り返すと敵は少しずつ戦意を削り取られていくのだ。

当たってから受け流すというのが肝心で、完全に躱したり、しっかり受け止めたりすると効果は薄い。

口論においては、まず相手の発言を読み、先に相手に口を開かせ、言葉が出た瞬間に反論するという方法を採る。

話そうとした内容を無効化された相手は、それから次の反論を考えなければならない。

わずかだが間が空いてしまう。

そしてようやく口を開くとまた無効化され間を空けられてしまう。

その繰り返しが口論する気力を奪い取ってしまうのだ。

父親はしばし脱力して立ち尽くしていたが、やがて溜め息をついて、

『おまえはサトリみてぇだなぁ。心を読んでんのか』

と言った。

さやかは否定も肯定もせず、ただにっこりと笑って返した。
2012-04-02(Mon)

酒天

『さやか見参!』のキャラクター、幻龍イバラキ。

そのネーミングの元になったのは言わずもがな、有名な鬼である『茨木童子』です。

京を荒らし回っていた茨木童子は渡辺綱に左腕を斬り落とされます。

なので幻龍イバラキも山吹武双に左腕を斬り落とされ、鋼鉄の義手を付けているのです。

ちなみにイバラキは『荊鬼』と書きます。

鬼としてイバラの道に踏み込んでしまった故の名前です。

さて、

茨木童子と因縁の深い鬼といえば酒天(酒呑)童子です。

酒天は茨木の親分だとも親だとも夫だとも仲間だとも言われている鬼です。

今回不思議な縁で、その酒天童子を演じさせていただく事になりました。


4月1日(日)。

殺陣指導として劇団・博覧演記さんの稽古に参加した時の事。

主宰にこう訊かれました。

『内野さんのお知り合いで、どなたか酒天童子をお願い出来そうな方はいらっしゃいませんか』

本来は主宰が酒天を演じる予定だったのですが、諸々の都合で変更があったようです。

で、考えたのですが…

まず僕の知り合いは福岡の人間が多い。

久留米まで稽古に来れる者が限られてきます。

そして、僕の知り合いはイベント関係者が多い。

イベントが入る為、日曜日の稽古に出られない者がほとんどです。

それ以外の者は殺陣の技量が微妙。

酒天といえば大物ですから、それなりに動ける者でないと…

なんて色々考えたら…

誰もいないんですよね…(泣)

自分の顔の狭さに泣きたくなります。

なので、

『だったら僕がやります!』

…と…

『僕は…僕は…エヴァンゲリオン初号機パイロット、碇シンジです!』

ぐらいの感じで言っちゃったんですよね。

演劇経験ゼロのくせにさ!

思わず、

演劇の~経験は~ゼロ~ゼロ~♪

なんて歌っちゃいましたよ。

あ、元ネタは

君の名は~ウルトラマン~ゼロ~ゼロ~♪

です。

分かりにくいですね。

スミマセン。

そんなワケで、武装代表2012年の初チャレンジは『演劇』です。

頑張ります。

博覧演記『妖師探偵』
6月8日、9日、10日。
場所は久留米の『Live in JST(ジャスト)』さんです。

また詳細は告知します。
2012-04-01(Sun)

みんなの力を合わせよう!クリック募金 19

4月です!

新学期、新年度、

とにかく『始まり』の季節です!

みんなでぽかぽか暖かい春の始まりを感じられたらいいですね♪


『みんなの力を合わせよう!クリック募金』


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プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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