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2012-02-29(Wed)

練習日の告知です


明日は大橋で殺陣の練習ですよ~♪

3月1日(木)
昼…13:00~15:30
夜…19:00~22:30

メンバーはもちろん、興味がある方はご連絡下さい♪

busou_00@hotmail.co.jp

まで!
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2012-02-29(Wed)

小説・さやか見参!(145)

さやかと心太郎は、走っている間に何度か爆発の振動を感じた。

山全体が揺れているように思えるが、さやかは迷う事なく山を駆け下りて行く。

『さやか殿!どこに行くっシュ!?』

『そんなの、爆発の場所に決まってるでしょ!』

『どこか分かってるっシュか!?』

『分かんないの!?麓の辺り!ゆっくり東の方に移動してる!』

『さすがっシュね』

僅かな揺れから場所を特定したのか微かな火薬の匂いで分かるのか。

これがさやかの忍びとしての顔だ。

麓に下りると数ヶ所から煙が立ち上ぼっていた。

『ここが一番最初に爆破された所ね』

二人は走りながら煙の奥を覗き込む。

固い岩盤が粉砕されて穴が穿たれている。

三尺程えぐられているだろうか。

『何の為の爆破っシュかね』

東に走ると次の穴が煙を吹き出していた。

粉砕された岩の破片が辺り一面に転がっているが、さやかと心太郎はつまずく事もなくすいすいと走り抜ける。

水面をも走る忍びならではの技だ。

三つ目の爆破跡を過ぎた所に一際大きく、奥の見えない程深い穴があった。

坑道だ。

今の爆破で作られたのではなく、元々この鉱山で使用されていたものだろう。

坑道を過ぎるとまた爆破跡が二つ。

そして、

ずううん、とも、どおおん、ともつかない爆音が響いた。

近い。

爆破の主はそこにいる。

『坑道が崩れちゃうじゃない!こんな事するのは一体誰よ!』

さやかが走る。

『例の宝探しっシュかね!?』

心太郎も走る。

『それはないでしょ!?そーゆー奴は、もっと謎をちりばめて、最後の最後にようやく姿を現すもんよ。こんな所で派手に正体を明かすような単純な奴じゃないわよ!』

『確かに…』

最後の煙が見えた。

『もし謎の宝探しがそんな単純な奴だったら、がっかり…』

さやかが立ち止まる。

煙の向こうに人影が見えたからだ。

『がっかり、しちゃうわ』

現れたのは、全身赤で覆われた男だった。

赤い鉢金、赤い頭巾、赤い着物に赤い甲冑。

『ん?なんだぁ?小娘!』

粗野な口調である。

『こいつが、炎を操る、謎の宝探し…かしら…』

さやかが呟く。

明らかにがっかりした様子だ。

『さやか殿、まだこいつが宝探しかどうか分かんないっシュ』

心太郎が慌てて耳打ちした。

『小娘!小僧!よォ~く聞け!俺様は炎一族の炎丸様だぜぇ!ここに眠るお宝は、俺様がいただいてやるぜぇ!』

炎丸と名乗る男は掌から炎を燃え上がらせた。

炎に照らされたさやかと心太郎の顔は、


呆れている。

完全に呆れている。

『がっかり…っシュね…』

心太郎も呟いた。

謎の宝探しの正体を探ろうと意気込んで乗り込んできたのに…

何日かけても必ず!…と張り切っていたのに…

こんなにすぐに現れるのか。

しかも派手に。

正体も目的も、調べるまでもなく自分から明かしている。

自己顕示欲の塊か。

『はあぁーっ』

さやかと心太郎は同時にため息をついた。
2012-02-28(Tue)

久留米

昨日は久留米での練習でした。

初ですよ、初!

これまでの練習は福岡のみで行なってましたけど、今回から久留米も開始です♪

参加者は総勢8名。

長崎からよっちぃ~さんも駆け付けて下さいましたよ♪

感謝!

18時になり、準備運動、ジャンプで練習開始。

身体が温まった所で剣殺陣メニュースタート。

剣殺陣の基本といえば摺り足…

ですが、

今回は摺り足よりも、踏み込んだ後の形と途中の体重移動を重視しました。

重心を下げる事も意識してもらったのですが、こればかりは形じゃないのでイメージトレーニングしてもらうしかなさそうです。

続いて刀の持ち方、振り方。

ここは相変わらず武装流ですね。

何がどう武装流なのか知りたい方は是非練習へ。

全然大した事じゃないので怒られると思いますが。

真っ向と右袈裟を練習して前半終了。

後半はヤングチームとアダルトチームに分かれて練習しました。

ヤングチームはシオタリさんと後輩達で斬られるリアクションの練習。
指導は代表。

アダルトチームはよっちぃ~さん、じゅんぼ~さんに指導の織田先生を加えた3人で立ち回り。

こちらは武器を使わないヒーローアクションです。

ヤングチームは、これまで練習に参加されていたシオタリさんはもちろんの事、初参加の後輩の皆さんもどんどん上達していて、

『この吸収の早さ…これが…若さか!』

と唸ってしまいました。

最後はアダルトチームの発表会。

織田先生の立ち回り、じゅんぼ~さんの立ち回り、よっちぃ~さんの立ち回りと、続けて披露していただきました。

じゅんぼ~さんとよっちぃ~さんにはやりづらい立ち回りだったと思いますが、見学していたヤングチームも勉強になったみたいです。

以上で練習終了。

参加して下さった皆さん、本当にありがとうございました♪
20120227久留米

その後、代表とアダルトチームの3人は『笑笑』で3時まで盛り上がりましたとさ♪


次の練習は福岡で3月1日(木)、13:00~15:30と19:00~22:30。

次の久留米練習は3月12日(月)18:00~21:00です♪
2012-02-28(Tue)

小説・さやか見参!(144)

南の山を越えたさやかと心太郎は、のんびりと半日かけて北の鉱山へ辿り着いた。

移動に時間をかけたのは金丸という土地と、そこに暮らす人々を見ておきたかったからだ。

いざ有事の際、天の利、地の利、人の利というものは殊の外運命を左右する。

そして忍びとは、常に有事を視野に入れて行動する。

何の知識もなく金丸に入ったさやかは、少しでもこの土地の事を知っておきたかった。

『ほんとね。南と北じゃ全然違う』

山中にあって田畑に恵まれている南の山と、固い岩盤ばかりの北の山では風景ばかりか空気まで違う気がする。

『でもおいら、こっちの山も嫌いじゃないっシュ』

『そうね。私も嫌いじゃないわ。っていうか、けっこう好きよ。まだ町の方は分からないけど』

さやかと心太郎は南の山から平地を縦断し北の鉱山にやってきたのだが、その間に目にした風景には常に人々の普通の営みがあった。
農民や樵、猟師、みんなが穏やかに自分達の仕事に取り組んでいた。

子供達は遊び回り、子守りや洗濯をし、時に母親に叱られて泣いている。

そんな光景にさやかはほっとしていた。

この殺風景な鉱山とて例外ではない。

ここでは岩を砕き鉄を製する職人達が集落を作っていた。

言葉は荒々しいが殺伐としたものではない。

人々が普通に暮らせる世界、

これが平和というものなのだろう。

だとしたら、兄・山吹たけるが願った世界とはこういうものなのだろう。

(自分達が一生懸命に、死ぬまで戦い続ければ、世界を変える事が出来る)

そんな兄の言葉を思い出し、さやかは少し涙ぐんだ。

普通の人々が普通に暮らす、

そんな当たり前の事さえ、命を捨てねば叶わない世界なのだ。

自身の権力に執着する者、
財力・物欲に溺れる者、

力を誇示したがる者、

そんな連中がいる限り本当の平和は訪れない。

いつか必ず、兄が求めた世界を実現させる。

さやかは改めて誓った。

だが…

いつの時代も、どんな世界でも、他者を虐げ自己を満足させようとする輩は存在する。

それを、たかだか自分の命で変える事が出来るのか?

さやかは不安になった。

そして道中で見た金丸の子供達を思い出す。

笑顔で走り回っていた。

一生懸命に親の手伝いをしていた。

叱られてわんわん泣いていた。

笑っていても泣いていても、それは幸せな生活の範疇だった。

もし、あの子供達が、本当の悲しみの中で涙を流すような世界になったなら、

あの子達が理不尽に命を落とし、両親が絶望する世界になったなら、

さやかは強い重圧を感じた。

出来るのか?自分に。

『みんなが笑顔で暮らせる世界を作る』

そんな大きな目標を、

『その為に一生懸命、死ぬまで戦い続ける』

それだけで叶える事が??

(お兄ちゃんは何て大きな理想を掲げていたのだろう)

さやかは亡き兄に思いを馳せた。

兄もこんな重圧を感じていたんだろうか。

そして

(そんな大きな目標を、私は何て簡単に引き継いでしまったんだろう)

と思った。

後悔ではない。

後悔ではないのだが…

さやかはちらりと心太郎を見た。

何故か心太郎の意見を聞いてみたくなったのだ。

さやかが口を開こうとした瞬間、心太郎が振り返った。

『さやか殿』

『えっ?』

心太郎が耳をすました。

さやかも意識を集中する。

おおおおおん

かすかにだが山が唸り、空気を震わせていた。

『なんシュかね』

心太郎がゆっくりと辺りを見回す。

『この音は、爆発よ』

そう言うが早いか、さやかは走り出した。

一直線に、

山の麓に向かって。
2012-02-27(Mon)

アクションへの道(328)

以前のキャラクターショー事務所での出来事は、今ではどれも笑い話に出来るんですけど、武装絡みのエピソードはまだ消化しきれてないんですよね。

年月が浅いってのもあるし、どれも自分に直接係わってるってのもあるし。

…なんてネガティブな枕で始まった2009年。

さっき、2009年1月のブログを読み返してみました。

1年の目標みたいな事がうっすら書かれてましたよ。

ブログに書く書かないは別にして、毎年目標みたいなものはあるんです。

でも、上手くいったためしはないですねぇ…

目標に到達しないどころか、全く逆に進んでしまうんですよ。

努力が足りないのか才能がないのか天の采配か…


2008年はけっこう順調に進んでたもので

『今年はもっと上を!』

と当然思いますよね。

本当は営業を頑張って現場数を増やしたいんですけど、いかんせんメンバーが忙しくてなかなかスケジュールが合わない。

ならばせめてショーのクォリティを上げるしかないと、この年から練習に力を入れ始めました。

前も書きましたが、武装メンバーは経験者揃いです。

僕と阿部ぷーさんはキャラクターショーを、

みんみんは殺陣を、

ジャスティンはハリウッドアクションをやってきました。

それぞれの技量は間違いありません。

しかし系統はバラバラで、まぁバラバラの良さもあるんですが、2009年は少し統一してみようと、そう思ったワケです。
2012-02-25(Sat)

小説・さやか見参!(143)

金丸藩の領地はかなり広い。

とはいえ、栄えているのは小さな城の周りだけでほとんどは山である。

予定通り、1日半で金丸に入ったさやかは驚いた。

というか呆れた。

『山しかないじゃない』

『領地の半分は山らしいっシュよ』

心太郎がのんきに答える。

『こんなに山ばっかりじゃ人が住めないんじゃない?』

『山で暮らしてる人達もけっこういるらしいっシュよ。土地が肥えてるし水源もあるから、斜面を削って田んぼや畑を作ってるみたいっシュ』

『そうなんだ。意外にいい環境なのね』

『それとね』

心太郎が歩きながらくるりと振り返る。

『北の山には神話だか何だかが言い伝えられてるらしいっシュ』

2人が歩いている山は金丸の領地の南側に位置する。

間に平地や川を挟んで北側には別の山脈が連なっているのだ。

『神話?』

『そうっシュ。この山と向こうの山では…』

『ちょっと待って心太郎』

偉そうな口調で語り始めた心太郎をさやかが制した。

『どうしたっシュ?』

『あんたがこんなに詳しいわけがないわ。不問叔父様の受け売りでしょ!』

さやかが心太郎をびっと指差した。

先ほどから完全に聞き手に回っている自分がもどかしくなり逆襲を仕掛けたのだ。

まるで子供のような反抗心である。

しかし心太郎は、それをするりと躱し、何食わぬ顔で、

『当たり前じゃないっシュか。おいらここに来るのは初めてっシュよ。昨日の夜、不問様が詳しく教えてくれたっシュ』

とそっぽを向いた。

受け流されると自尊心が傷つく。

本当にただの子供、しかも駄々っ子である。

『な、なによ~!まるで自分の知識みたいに偉そうに語ってたくせに~』

さやかが食ってかかる。

『続けていいっシュか?この山と向こうの山では地質が全然違うらしくて…』

完全にさやかの一人相撲だ。

機嫌が良い時のさやかをからかうのは面白い。

さやかが偶に見せる子供のような顔が心太郎は好きだった。

ふくれっ面のさやかを見て心太郎はくすりと笑う。

『こっちの山は土地が肥えてるから作物が育つけど、北の山は駄目みたいっシュね。全然駄目』

『駄目、というと?』

『鉄っシュよ、鉄。向こうの山は鉄を含んだ岩がゴロゴロしてるらしいっシュ。高陵山みたいなもんっシュ』

『あぁ』

さやかとイバラキが十年ぶりに再会したのが高陵山である。

あの岩だらけの山でイバラキは特殊な鉄を採り、鋼鉄の義手を作ったのだ。

『いわゆる鉱山なわけね。それで?』

『この国が生まれた頃、そこには神様が住んでいて、山の土からきらきら輝く鏡を作っていたって神話が残ってるみたいっシュね』

鏡、

神様が作った鏡。

『その鏡は選ばれし者に不思議な力を与えてくれるって伝説があって、今でもこの辺りに眠ってる…と言われている…らしいっシュ』

『受け売りらしい曖昧な情報ね』

さやかは先ほどの仕返しとばかりに冷たくあしらった。

しかしこれで分かった。

炎を操る謎の宝探しは、その鏡を見つけようとしているのだ。
2012-02-25(Sat)

観劇


18日はラミーM5さんの『時空~TOKI~』を観て、

19日は福援隊ヤングさんの『せせらぎの間』を観て、

そして今日は…


今月は観劇の月!!

…ってなワケじゃないけど、北九州芸術劇場に向かってます。

『テトラポッド』って舞台を観てきます。

柴幸男さん演出で注目されてる作品です。

以前殺陣の練習に来て下さった藤井俊輔さんが出演なさってます。

満喫してきます♪
2012-02-24(Fri)

練習でした♪

2月23日は福岡で殺陣の練習でした!

今回の参加メンバーは代表込みで8名。

人が集まると嬉しいですね。

型をはじめ、刀を使った殺陣を中心にやりました。
20120223

興味がある方、メンバーになって一緒に練習してみませんか?

初心者大歓迎です!
2012-02-24(Fri)

小説・さやか見参!(142)

不問の屋敷を出たさやかと心太郎は、帰るべき山吹の里とは反対の方向に向かって歩いていた。

これには理由がある。

『さやか殿、おいらはこれから金丸藩に向かうっシュ』

屋敷を出てすぐ、心太郎がこう言ってきたのだ。

『えっ?金丸藩って山吹の里とは反対方向じゃない。それにけっこう離れてるわよ?』

『夜になったら走るっシュから、そんなにかからないっシュよ』

それでも1日半はかかるだろう。

『さやか殿も来るっシュか?』

『一体何しに行くのよ』

『実はおいら、不問様から密命をいただいたっシュ』

心太郎は得意気だ。

『密命?』

『はいっシュ。実は金丸藩にはお宝が眠ってるって噂があって…』

『それ聞いた事あるわね。ただのお宝じゃない、とっても不思議なものが金丸藩にはあるらしいって。でも噂でしょ?それを探しに行くのが密命なの?あんた、不問様にからかわれたんじゃないの?』

『そうじゃないっシュよ。宝探しは忍びの本分ではないっシュ。実は…』

『なによ』

『そのお宝を探して、藩内を怪しい奴がウロウロしてるらしいっシュ』

『はぁ?なにそれ』

さやかは呆れた顔をした。

あるかないかも分からない宝を探す怪しい人物。

それを取り押さえようとでもいうのか。

わざわざ忍びが出張る必要があるとは思えなかった。

『そいつを捕まえに行こうってんじゃないわよね』

『捕まえるかどうか分からないけど、正体を掴むのがおいらの役目っシュ』

『ちなみに、相手は何人なの?』


『分かってるのは1人だけっシュ』

さやかは大きなため息をついた。

『そんなの、お役人に任せときなさいよ』

『だって怪しい奴っシュよ?』

『そもそも宝探しなんてみんな怪しい連中でしょ』

『お役人には無理なんシュよ』

『どうしてよ』

『その宝探し、炎を自在に操るらしいっシュ』

心太郎の答えが想像を超えていたので、さやかの思考が一瞬止まった。

『…えっ?』

『念じるだけで辺りが火の海になる、口から火を吐く、手足から炎を飛ばす、そんな奴、お役人にどうにか出来るっシュか?』

『出来…ないわね…でもそんな話信じられないわ』

『そいつを捕まえようとした金丸藩のお役人が何人も大火傷させられたらしいっシュよ』

『…』

なるほど。それで金丸から不問の所に相談があったという事か。

そのような妖しい術を使うならば並の人間では太刀打ち出来まい。

我ら忍者でなければ。

『分かった。私も行くわ』

『そう言ってくれると思ったっシュ!』

『でもあんた、これ、不問様からの密命でしょ?私にとはいえ、こんなぺらぺら喋って良かったの?』

『不問様が、さやか殿には話していいって。さやか殿ならきっと“自分も行く”って言い出すはずだからって』

お見通しか。

さやかは悔しそうに不問の屋敷を眺めて、

『不問の叔父様、本当に油断ならない男ね』

と呟いた。

こうして2人は山吹の里とは反対の方向へ歩き出したのである。

さやかは心太郎の後ろを歩きながら、ぼんやりと

(音駒との再会はまだまだ先になりそうだなぁ…)

と考えていた。
2012-02-22(Wed)

小説・さやか見参!(141)

数日後、

傷が癒えたさやかは心太郎と共に不問の屋敷を出る事にした。

『すっかり長居してしまって、不問様にはご迷惑をかけてしまいました』

深々と頭を下げるさやかに、不問は相変わらず軽く笑った。

『何度も言うが、全然迷惑などしておらんぞ。怪我をした姪っ子の手当てをするのが何の迷惑なものか』

『しかし、山吹の忍びとして…』

言いかけたさやかを不問は笑いながら一喝する。

『馬鹿者。忍びだからこそ怪我もするんだろうが。そこらで畑仕事をしてる普通の娘が度々大怪我しておったらそっちの方が不思議だ』

心太郎が間抜けな声で

『なるほど』

と相槌を打つ。

『さやか』

突然呼ばれて、うつむいていたさやかは顔を上げる。

『は、はい?』

『おまえ、珍しく緊張していないようだね』

『え?』

『たけるが死んでからこれまで、おまえは私と会う度に緊張していただろう。ところが今は緊張してる様子がない』

さやかは呆気に取られた。

そんな事、今は全く考えていなかったからだ。

確かに、これまでは不問に会う度に緊張していた。

どう接していいか分からなかったからだ。

父・武双や、もう1人の叔父・錬武の持つ張り詰めた空気。

それを持たない不問はどちらかと言うと苦手だった。

さやかは自分の心を探ってみる。

言われてみれば本当に緊張の色は見られない。

驚いて顔を上げたさやかに不問はにんまりと笑顔を作った。

『おまえはね、たけるが殺されてから、ずーーっとぴりぴりしてたんだよ。山吹を継がなきゃいけない、かたきを討たなきゃいけない、だから気を抜いちゃいけないって』

そうかもしれない。

『ぴりぴりしていたいから兄上達みたいな厳粛な人達といると落ち着くんだな。嫌でもぴりぴりするから』

そうかもしれない。

『ところが私ときたらこの調子だからね。ぴりぴりの“ぴ”の字もない。さぞや付き合いづらかった事だろう』

『そ、そんな事は』

『いいんだよ本当の事なんだから。でもね、今のさやかはぴりぴりしてない。だから私といても緊張しないし心太郎とも仲直り出来たんだよ』

さやかと心太郎が気まずかった事を何故知っているのか。

さやかは心太郎を見る。

心太郎は首を横に振った。

(おいらは言ってないっシュ)

という事だろう。

どうして、と言いかけたさやかに不問は

『ここに来る道中、何か良い事があったんだね。心を解きほぐすような何かが』

と言った。

さやかの脳裏には、音駒の屈託ない笑顔が浮かんだ。

はっと気付くと、不問はにやにやしながらさやかの顔を見ている。

脳裏の音駒を覗かれた気がしてさやかは赤面した。

『何があったかは別にいいさ』

追求されないと逆に全て見透かされてる気がしてしまう。

『さやか、おまえはこれから山吹を継ぎ、厳しい任務をこなしていかなければならない。その中ではぴりぴりする事の方が多いと思う。おまえは私と違って真面目だからね。でもね、今みたいな緩やかな気持ちも大切にしなさい。自分の中にはこんな穏やかな感情もあるんだって忘れないようにしなさい。分かったね』

不問は優しく、そして珍しく真面目な口調だった。

『はい』

さやかも素直に真っ直ぐに答える。

『道中気をつけてな。兄上や里の者達にもよろしく』

そう言って立ち去る不問に、さやかと心太郎は頭を下げた。
2012-02-21(Tue)

アクションへの道(327)

2008年最後のショーは、11月の太宰府。

某小学校のお祭りでのステージでした。

当時の武装広報部長、乖離の口添えでプログラムに入れてもらったのでした。

この時のショーは第1話。

メンバーは、みんみん、ジャスティン、阿部ぷーさん、たいさ、僕。
スタッフはヒガシ。
武装♪

もう慣れたもので、ショーは問題なく終了。

ショーの後は、控え室として用意していただいた教室でみんな大はしゃぎ!
おいしぃ~♪

そうか~、
僕とヒガシはテレビのロケでしょっちゅう小学校に行ってるけど、みんなは小学校の教室とか久しぶりだよね~。

低いイス、低い机で食べるお弁当は楽しくて美味しかったなぁ。

そういやヒガシとかたいさの事は『アクションへの道』の中では紹介してなかったですよね。

ヒガシは元々、テレビのロケに同行してくれるスタッフでした。

僕が個人的にロケの仕事をいただくようになり、知り合いのMCさんに

『誰かスタッフ出来そうな人いない?』

と訊いて紹介してもらったのがヒガシなんです。

聡明で機転が利く彼女は信頼に足る人物で、

(いつか“さやか見参”のスタッフもお願いしたい…)

と考えていました。

そしてローカルヒーローフェスタ2008の時にようやく実現したのです。

以来何度かスタッフを、1度はレッスンを受けてもらってMCにもチャレンジしてもらいました。

キャラクターショーの経験もないのにあんなに安心して仕事を任せられるスタッフはなかなかいないですよ。
ヒガシ

さて、そのローカルヒーローフェスタの直前にある事件が起きました。

創立メンバー“やっちゅん”の突然の脱退です。

当然フェスタのキャストとして決定してましたから僕も困りました。

『ショーの仕事で一度キャスティングされたらキャンセルはありえんのやぞ~!』

とは言ったものの、やっちゅんは業界の人間ではありません。

大学生ですからやりたい事もやるべき事もあるでしょう。

僕はやっちゅんの脱退を認めざるを得ませんでした。

しかしフェスタに出演させる人数は決まっている。

もう1人キャストを見つけなきゃいけない。

そこで連絡を取ったのがたいさでした。
たいさ左袈裟

かつて熊本城の忍者『タカ丸』さんがお供を連れて武装の練習を見学に来て下さった事がありました。

その時のお供の1人がたいさだったんです。

口数の多くない男でしたが、

『おっ?意外にこーゆーの(ショーとか)好きそうだぞ?』

と思いました。

そんな印象があったので、やっちゅんが抜ける事になってすぐ

『やってみませんか?』

と連絡したのです。

たいさは練習熱心で独特のセンスがあって非常に良かったですね~。

就職で遠くに行ってしまったのが残念です。
武装!
2012-02-21(Tue)

みんなの力を合わせよう!クリック募金 14

ニュースを見ていると、

やっぱりまだ先は長いのかなと感じます。

それでも絶対に前に進んでいる。

1cm分でもコンマ1mm分でも、何か前進のお手伝いが出来るなら…


『みんなの力を合わせよう!クリック募金』


クリック募金
クリックで救える命がある。



忍者ライブショーさやか見参!



ヒーロー連合ジャスター



グランパワーヒノクニ



遠州忍者 魁斗&鼈甲



未来環境防衛隊ドラゴンマン

2012-02-20(Mon)

福援隊ヤング

土曜日に引き続き日曜日も観劇。

ワタナベエンターテインメント九州の芸人さん・タレントさんで構成された劇団『福援隊ヤング』の

『せせらぎの間』

というお芝居です。

福援隊のお芝居には毎回爆笑させられて、でも少しホロリとさせられて、観終わった後に何だかスッキリするんですよね~。

今回ももちろん素晴らしかったです!

座長の町田隼人さんをはじめ福援隊ヤングの皆様、お疲れ様でした!

そしてありがとうございました!
2012-02-19(Sun)

時空

1ヶ月ほど前の話。

久留米某所で演劇のチラシを見つけまして、

『おっ!』

と思い、すぐにチケットを買ったんですよ。

で、昨日その公演を観てきました。

『時空~TOKI~』

ラミーM5というアクションチームの舞台です。
チラシ

ラミーM5さん、
あの大葉健二さんが立ち上げたチームです。

大葉健二さんといえば、僕の中では犬飼現八なんですが、再ブレイク中の『宇宙刑事ギャバン』が有名ですね。
ギャバン

ギャバンは変身後のカッコ良さもさる事ながら、大葉さん演じる変身前の『一条寺烈』の魅力で人気を博したと言っても過言ではないでしょう。

当時テレビを観る事を許されていなかった僕がしばらく

『イチジョウ ジレツ?変な名前』

と思っていたのはガチで余談です。

最近ゴーカイジャーとギャバンが映画で共演して話題になり、周りの特撮ファンはみんな大騒ぎしていました。

ギャバン世代の中には

『ゴーカイジャーなんて出さずにギャバンだけの映画にすればいいのに!』

なんて言ってる人もいましたが。

これは失礼な話ですよね。

子供はゴーカイジャーが好きに決まってる。

ギャバン単体の映画だったら、そりゃマニアは観に行くでしょうけど興行収入はどうなるか分からないですよね。

まぁそんな気持ちもありまして、

『俺はギャバンギャバンと受かれないぞ!そもそもリアルタイムで観てないしな!』

なんて意地を張ってましたが、映画を観てからしばらくは

『ダイダガダイダガダイダガダイダガギャ~バン!
ダイダガダイダガダイダガダイダガギャ~バン!』

と口ずさんでいる僕がいました。

ギャバンパワー恐るべし。

まぁそれはさておき。

そんな経緯で、

『ラミーM5さんが九州公演するなら観に行かねばなりますまい!』

って事で田主丸まで出かけたワケです。

田主丸。

福岡県久留米市です。

ちなみに僕は久留米人です。

周りの人達から

『ラミーM5の久留米公演が云々』

と言われる事がありましたが、正直まだ

田主丸=久留米

にピンと来てません。

田主丸が久留米に合併されたのは2005年。

最近の話なんです。

なので、

『えっ!?田主丸って久留米なの!?』

って感覚を拭えないんです。

初めて行く田主丸。
田主丸

改札でICカードが使えなくて困りました。

まぁそんなこたどうでもよくて、いよいよ『そよ風ホール』で観劇。

伊賀忍者とその宿敵が近未来にタイムスリップするストーリー。

もちろんアクションシーン満載です。

初めて見るナマ大葉健二さん。

初めてのナマ大葉健二アクション。
大葉さん

うんうん。

公演後は大葉さんも含め、出演者全員でのお見送り。

再び僕の脳裏に

ダイダガダイダガダイダガダイダガギャ~バン!

が流れました。

観劇後は香川からいらっしゃったdragonmacさんと飲みました。

ずっとお話ししたかったので感無量でした♪

もっといっぱいお話ししたかったけど、また次回に持ち越しです。

僕も香川に行こう!

dragonmacさん、ありがとうございました!


酔っ払って最終電車に揺られながら脳裏に流れる曲は

『聞こえるか~い、空~と海~の息吹、息吹、息吹…』
ドラゴン

でした。
2012-02-19(Sun)

小説・さやか見参!(140)

『さやか殿!』

心太郎は駆け寄ってくる。

『さやか殿、もう怪我は治ったっシュか?』

少し痛むがもう足を引きずる事もない。

『ほとんどね』

『良かったっシュ~!』

て心太郎は安堵のあまり座り込んだ。

さやかは少し微笑んで空を見上げる。

雲のない空は果てしなく遠く、果てしなく青い。

さやかが不問の屋敷に到着してから五日が過ぎていた。

傷を負ってここに辿り着いたさやかは、あろう事か不問との面会中に眠りに落ちてしまい、翌日になってようやく巻き物を渡す事が出来たのだ。

『不覚だったなぁ…』

さやかが呟く。

『何がっシュか?』

こんな時の心太郎は耳聡い。

『なんでもないわよ』

『不問様の前で寝てしまった事がっシュか?』

『分かってんなら聞かないでよ。嫌な奴』

心太郎は笑った。

『仕方ないっシュよ。あの布団には気持ちを安らげる香が染み込ませてあったっシュから』

さやかはまぶたを閉じて、あの、とても良い香りの布団と襦袢を思い出した。

あれは香を焚いた部屋に数日干して匂いを染み込ませたものらしい。

心太郎の話によると、さやかが予定通りに到着しなかった時点で、不問は香の準備を命じたのだそうだ。

恐ろしいほど全てを見通している。

予想や予測に収まらぬ、それはもはや予知能力ではないのかとさやかは思った。

目を閉じたさやかを包むように冷たい風が吹く。

不問の屋敷の広い庭で、さやかと心太郎はその風を受けた。

二人の髪がなびく。

ひんやりとした風がなんだか清浄なものに思えた。

さやかは目を開いて心太郎の横顔を見る。

視線を感じて心太郎が振り返る。

屈託のない笑顔だ。

『…心太郎、こないだはごめんね』

『どうしたっシュか?急に』

『どうもしないけど』

しばらく前、二人は山吹の里で気まずい別れをしたままだったのだ。

正論を説く心太郎に対し、さやかが感情的に噛み付いた事が原因である。

さやかの心には罪悪感が澱のように溜まっていた。

それだけでなく、年下の、しかも弟子のような心太郎に諭された劣等感まで抱えていた。

ここで再会してからも、もやもやした気持ちはあったのだ。

だが心太郎はあくまで普通に、何事もなかったかのように自分に接してくれている。

ならば自分も何事もなかったかのように心太郎に接しようか…

だがそれはさやかの心が許さなかった。

あまりに卑怯だ。

弟子の優しさに甘えて便乗しようなんて。

それならいっそ謝ってしまった方がすっきりする。

『あんたの言う事が正しいのは分かってる。でも、どうしてもまだ受け入れられなくて』

さやかはしばらく黙って、

『だから、ごめん』

ともう一度謝った。

心太郎ははにかんだ笑顔になって

『おいらの言う事は理想論っシュから』

と答えた。

『さやか殿の気持ちを考えたら、あんな事言われても納得出来ないの分かるっシュ。…って言うか、さやか殿が怒るの分かってて言ったっシュ』

『そう、なの…?』

『さやか殿には理想論も必要だと思って…いつも重い現実を背負ってるっシュからね』

『そう、なんだ…』

さやかは心太郎の優しさに胸をえぐられる思いがした。

『おいらね、』

心太郎はさやかに向き合うと、元気な声で

『さやか殿の死にたいって気持ちがなくなるまで一生懸命頑張るっシュ!』

と宣言した。

一瞬ぽかんとしたさやかだったが、『ふっ』と笑うと、困ったような照れたような表情になって

『立派な弟子だなぁ』

と呟いた。

そして空を見て

『私も、弟子に負けない立派な師匠にならなくちゃ』

と独り言を言った。

冬の空に、軽やかな鳥達の歌声が響いていた。
2012-02-18(Sat)

練習と殺陣教室

えー、

これまで記載に不適切な部分がありましたので、ここで改めて

◆アトラクションチーム武装
メンバー練習日


月曜日(第1・第3を除く)
久留米市野中町
夜の部…18:00~21:00

毎週木曜日
福岡市南区
昼の部…13:00~15:30
夜の部…19:00~22:30

アトラクションチーム武装はステージイベントやテレビなどで活躍するショーチームです。
あなたもメンバーになって殺陣やアクションの技術を身につけてみませんか?
詳細や会費につきましてはお問い合わせ下さい。


◆アトラクションチーム武装
殺陣指導・殺陣教室


アトラクションチーム武装では殺陣指導・殺陣教室のご依頼も承っております。
剣劇からヒーローアクションまで(アクロバット以外)ご相談下さい。

指導費用
初回 1名/2000円(3時間)
以降 1名/1000円(3時間)

スケジュール確認やその他詳細はお問い合わせ下さい。

busou_00@hotmail.co.jp
(アトラクションチーム武装)
2012-02-18(Sat)

お芝居体験小屋

昨日はコミュニコさんの

『お芝居体験小屋』

に参加してきました。

コミュニコは、殺陣練習の参加メンバー、コガさんとシライシさんが運営している団体です。

コミュニコさんでは中国語講座や演劇ワークショップなどを定期的に開催されてるのですが、今までタイミングが合わず、ようやく初めての参加となりました。

2人1組になって、1枚の台本をベースに、状況や感情を考えていく。

2人の組み合わせや設定が変われば演技も変わっていく。

それを相手と話し合いながら芝居を作り上げて表現してみる。

ただ台本を読むのではなく、『行間』を読む。

それがお芝居の醍醐味の1つなんですよねぇ♪

人によって行間の読み方が違うから当然演技も変わってきます。

なので、同じシチュエーションのお芝居でも演者が変われば全然違うものになるんですね。

今回も、他の方達の演技を見て

『なるほど。その手もあったか』

と感心する事が多々ありました。

いい経験をさせていただきました♪
20120217お芝居体験小屋


さて、『行間』を読まなければならないのは立ち回りも同じです。

ただ決められた動きをするのではなく、

どんな人物が

どんな感情で

どんな状況で戦っているかを考えて動かなくちゃいけないのです。

たった1発のパンチに、刀のひと振りに、それらを表わさなければ『立ち回り』は成り立ちません。

綺麗な技、速い技、難易度の高い技、それらはそれだけではただの『技』で終わってしまいます。

『技』に『感情』や『状況』を乗せて初めて立ち回りたりえるのです。
2012-02-17(Fri)

練習

昨日は殺陣の練習でした!

参加者は、代表込みで8名。

多いですね!

その中の1名は初めての参加です。

参加メンバー最年少!。

スポーツ経験はないとの事でしたが、熱心ですごく上手でした!

将来有望な逸材なので、これからも是非続けて欲しいですね。

今回は刀の振り方を練習して、後は斬ったり斬られたり。
20120216シオタリさん

皆さんテンション高く、デーハー(派手)に動いてくれました♪
20120216ミヤタさん

熱心に、そして楽しんで練習して下さる皆さんのおかげで今回も盛り上がりました!
20120216集合

皆さんお疲れ様でした!
2012-02-14(Tue)

アクションへの道(326)

で、2008年10月、2年目の『まつり草ヶ江』…

前年より盛り上げようとアクションシーンを多くしてみたんですけど、肝心のストーリーがイマイチでしたね…

まだショーのスタイルが定まってなかったんで、試行錯誤していた時期だったんです。

なのでこのパッケージは、この時1回きりしか使ってないんですよ。

黒歴史ですね。

おまけにビデオも写真もなくて、ホントに幻のショーなんです。

内容としては、幻龍イバラキが、さやかの兄・たけるを殺したかたきである事が語られる重要な話だったんですけどね。

出来ればリメイクしたいなぁ…

あ、

この時期にもう1本録音したパッケージがありまして、

それもいまだ公演していない幻のパッケージになってるんですが…


このパッケージには『炎丸』という敵が出てきます。

トレジャーハンターです。

どこかで聞いた設定ですね。

この翌年、2009年の『まつり草ヶ江』で登場したトレジャーハンターの紅蓮丸。
紅蓮丸
そう。

炎丸は紅蓮丸の弟なんです。

紅蓮丸登場の前年に、弟・炎丸が登場するパッケージを作ってたんですよ。

…と言うより、炎丸パケがあったから翌年の紅蓮丸パケを思い付いたんです。

紅蓮丸は『斬った相手を意のままに操る伝説の魔剣』を探していましたが、炎丸は

『選ばれし者に力を与える伝説の“タオの鏡”』

を探していました。

僕の中に、

『謎の小道具が登場するエピソードには炎一族が登場する』

という設定が生まれたんです。

このエピソードも是非公演したいものです。


そして…

小説を読んで下さってる方はご存じかもしれませんが、紅蓮丸、炎丸にはもう1人弟がいます。

その名は灯火丸(ともしびまる)。

この炎3兄弟が登場するショーもいつか実現させたいものです。
2012-02-14(Tue)

個人練習

昨日は1人での練習となりました。

自分自身の練習では以下のような事に気をつけています。

●ストレッチをいつも以上にしっかりやる
●ステップや筋トレ等の体力向上メニューを多めにやる
●基本技を中心に、ゆっくり丁寧に回数をこなす
●指導する時にどう説明するかを考えながら練習する

速く動く練習も大切ですが、ゆっくり丁寧に動いて自分を客観的に分析する事も必要ですね。

指導法を考えながら練習するというのも、自分の動きを理論的に確認出来るのでオススメです♪
20120213
2012-02-13(Mon)

小説・さやか見参!(139)

断と封が一角の砦に戻ったのは、さやかが不問の屋敷に辿り着いた翌日だった。

血讐は開口一番

『遅かったではないか』

と言ったが、それもそのはず、二人は走る気力もなく、ただ黙って歩いてきたのだ。

残り3年の命を宣告された断、

子を産めぬ身体にされた封、

気が沈むのも当然である。

しかも二人には、血讐に対するわずかな不信感が生まれていた。

『そりゃあ遅くもなりますよ』

断が愛想なく呟く。

その視線は、血讐の後ろの血飛沫鬼と血塗呂に注がれていた。

『遅くなった上に戻ったのは俺達だけですよ。荊木の奥義も、ね。この通りです』

断は両の掌をひらひらさせて、手ぶらで戻った事を強調した。

『だらしない。せっかくの好機であったものを』

『そちらの二人のおかげでね、幻龍だけでなく山吹ともご対面でしたよ』

血飛沫鬼と血塗呂はにやにやと笑っている。

『血讐様』

封が口を開いた。

『あの場所に幻龍だけでなく山吹の娘までおびき出したのは何故です?』

『山吹がおらなんだら上手く事が運んだと?』

『そうは言いません。正直イバラキと邪衆院天空の力は想像以上…まともに戦っても勝てるかどうか…』

血飛沫鬼がけけけと笑った。

赤と白の兄弟は、断と封がどのように負けたのか、その一部始終を知っているのだ。

断が血飛沫鬼を睨む。

わざとらしく口を塞ぐ血飛沫鬼を見て血塗呂が笑った。

『まぁ裏で色々細工してくれんのはありがたいんですけどね』

断が足を投げ出して地面に座り込む。

『もっと上手いやり方があったんじゃないですかい?血讐様ともあろう名策士が』

そう皮肉られた隻眼の老忍者は、ふふふと笑って

『策と言うのはな、幾重にも絡めながら進めるのが肝心なのだ。
ただ敵を倒す、ただ奥義を奪う、というだけでは脆いもの。
焦ってはならん。
上手く絡み合った罠こそが、最終的には強靭な策となるのだ』

『と言う事は血讐様、荊木の奥義奪取と並行して何かを進めておられるのですか?』

『そういう事だな』

血讐は短く答えるっ断と封にくるりと背を向けた。

『断、封、しばらくは身体を休めておけ』

立ち去ろうとする。

『待って下さいよ』

挑むような口調で断が引き止めた。

『俺達だって血讐様の手足として命張ってんだ。何をやろうとしてんのか、少しは教えてくれたっていいじゃないですか』

それを聞いて血讐が肩越しにふふっと笑う。

血飛沫鬼、血塗呂もへらへらと笑った。

そして振り返った血讐は自分のこめかみを指差し、

『人の身体の中で、これから何をするか分かっておるのは脳だけだ。手足は何も知らぬ。脳に言われるまま動くのが手足の役目であろう』

『くっ!』

断の頭に血がのぼった。

相手が血讐でなければ斬りかかっていたかもしれない。

しかし血讐は涼しい顔で断に近寄り

『だがな、脳は脳だけでは何も出来んのだ。手足があり胴があり頭がある。そのおかげでようやく脳は役目を果たせるのだ』

と肩に手を乗せた。

そして中味のない慈愛の笑みを浮かべると、血飛沫鬼と血塗呂を引き連れて去って行った。

『断』

封が呼び掛ける。

窘めるような、心配しているような声だ。

『あぁ』

こちらも、『分かってる』とも『心配するな』ともつかない返事である。

それでもこの二人の間には通じるのだろう。

断は簡単に躱された怒りの矛先をどこにぶつけて良いか分からず、

『くっそ…まったく狡猾なじじいだぜ』

と毒づいた。
2012-02-12(Sun)

アクションへの道(325)

初めてのドラマ撮影&アクション指導も無事に終わりました。
ボインガーバトル

オンエアを観た時は嬉しかったですねぇ。
ボインガーOP

さて、オンエアの直後、2回目の『まつり草ヶ江』に出演させていただきました。

僕らが初めて『忍者ライブショー さやか見参!』のパッケージショーを公演させてもらったのがこの『まつり草ヶ江』なんです。

2年目という事で気合いが入ります。

昨年より盛り上がるショーにしなければ…!

えー、ここで『さやか見参!』の歴史を振り返ってみましょう。

パッケージを使用した『第1話』のショーの初公演は2007年10月。

場所は前述の『まつり草ヶ江』です。

実は(実はも何も、今まで何度も書いてきましたが)それ以前に、パッケージを使わない『さやか見参!ミニショー』を公演してまして、こちらは2007年7月。

なので僕の中では『山吹さやか』のデビューは7月、『さやか見参!』のスタートは10月、という風に解釈しています。

ちなみに7月と10月では山吹さやかのキャストが違います。

7月は1回きりの参加となりましたが後輩のYちゃん。

10月は、それから3年半山吹さやかを演じてくれた『みんみん』こと片山亜沙美ちゃん。

どちらもさやかの忍び装束が似合う可愛い女の子でした♪

なんで急に歴史を振り返ったかというと、7月の『山吹さやかデビュー』の時の画像をUPしようと思ったから。

先日久しぶりに写真を発見しましてね。
春日2

当時はデジカメなんて持ってなくて『写るんです』で撮ったもんだから、データじゃなくて写真です。

写真を撮影したのでボケボケです。

でもせっかくだから、一応、ね。

これ、さやかと兄・たけるの修行シーンです。
春日4

ここだけの裏話。

この時、本当はさやかの宿敵イバラキを出そうと思ってたんですが、衣裳の製作が間に合わなかったんです。

そこで、現状完成しているものだけを使って、さやかの兄・山吹たけるというキャラクターを作ったんです。

このショーがなかったら山吹たけるは生まれませんでした。

たけるの衣裳はこの後イバラキの衣裳として改修されるワケですが、

『たけるの衣裳とイバラキの衣裳は何故似ているのか?』

という自分の中の疑問を解決せねばならなくなり、そこから

『イバラキがたけるの装束を奪った』→『イバラキがたけるを殺して成りすまそうとした』

というストーリーが生まれたんです。

行き当たりばったりでしょ?(笑)


よく見ると、さやかがマイクを持ってますね。
春日5

なんとこの時は、さやかとたける、2人で喋ったんです。
春日3

子供にインタビューするさやかの姿が見れたのはこの日のショーだけ!
春日1

お遊びに参加した子供達には忍者の頭巾とオモチャの刀をプレゼントしました♪

ちなみに山吹たける、本当はこんな感じじゃないんです。

もっと細身のイケメンなんです。

いつか過去のエピソードを公演する時にはたけるに相応しい役者を使いますのでお許しを!!
2012-02-12(Sun)

すぐにケチをつける男。それは俺。

最近の若い子は特撮番組の裏事情に詳しいですよねー。

特にショー関係者は、スーツアクターの事とか良く知ってる。

ほとんどメルヘンにしか入らない女の子まで

『●●さん(テレビで大活躍されてるスーツアクターさん)の動きがカッコいい!』

みたいな話で盛り上がってる。

こんな時代が来ようとは思わなかったなぁ。

僕が新人の頃はチームの誰もそんな事に興味なくて(特殊なチームだったんです)、僕がスーツアクターの話なんかしようもんなら

『ふぅん』

と呆れ顔で聞き流されてたもんですが。

やっぱり平成に変わってから流れが変わりましたよねぇ。

でね、

別にその流れにケチをつけるワケじゃないんですけどね、

いや、結局つけるんですけどね、

TVキャラクターショーのアクターさんには、

『情報のコレクションだけで終わってほしくない』

って思うんですよ。


『あのキャラクターを演じてるのは●●さんだ』

とか

『●●さんの動きはカッコいい』

とか、

そういう知識だけで終わらず、自分がカッコ良く動けるように頑張ってほしいなと思うんですよ。

憧れるスーツアクターさんのように。

出来れば本家を超えるつもりで。


テレビで活躍されてるスーツアクターさんの気持ちは分からないけど、きっと形だけマネされても嬉しくないんじゃないかなぁ、と僕は思います。

本当にそのスーツアクターさんをリスペクトしているなら、その人の演技のバックボーンまで考えないといけないんじゃないかなぁ、と。

それをせずに形だけマネしても、そのマネがどれだけパーフェクトだとしても、アクションとしては(言葉は悪いけど)オソマツな気がします。

それならテレビと違っても自分の全力を出して演じた方がよっぽどいいんじゃないか…

これはあくまで僕個人の意見ですけどね。


こんな事を言うと若い子達から

『テレビあってのショーなんだから、テレビの動きを再現しないと!
子供達から“テレビと違う”って言われちゃいますよ!』

なんて批判されますが…

だったら本当にテレビの動きを再現しないと。

あなた達が

『●●さんの動きって凄いよねぇ』

と言ってる、その●●さんと同じクォリティのアクションを見せなきゃいけないんじゃない?

『同じアクションは出来ないけど、出来るだけ同じになるように努力してますよ!』

でいいの?

そんな本家の劣化版じゃ子供達だって

『テレビよりカッコ悪い…』

ってガッカリしちゃうんじゃないの?

マネをしてカッコ悪いニセモノになるぐらいなら、ニセモノでもカッコいいアクションを見せてやりたい。

僕はそう思ってるんですよね。


こんな事を書くから嫌われるんだよなぁ…

分かってんだけどねぇ…
2012-02-12(Sun)

小説・さやか見参!(138)

さやかは離れにある小さめの座敷にて不問を待っていた。

正座すると、手裏剣で裂かれた太ももの傷が痛んだ。

(痛いぐらいがいい)

さやかは思った。

傷が痛めば緊張が和らぐような気がしたのだ。

不問に会うのは緊張する。

もちろん、もう一人の叔父である練武にも緊張するのだが、しかし不問は明らかに異質であった。

掴み所がない、というのか、考えが読めない、というのか…

そんな事を考えていると襖が開いた。

不問だ。

もう五十に近いというのにその顔は若い。

すらりとした長身が若さを強調しているのかもしれない。

柿渋で染めた上下の作務衣に身を包んだその姿は若隠居といった風情だ。

さやかはすっと頭を下げる。

『あぁ、いい、いい、そんなに畏まらんでも』

口調が軽い。

不問はいつもこんな感じだ。

『頭も、ね、上げなさい。傷が痛むだろうから足も崩しなさい』

そう言いながら不問はささっとさやかの前に座った。

さやかは頭を上げて不問の顔を見る。

当然足を崩すような事はしない。

『怪我人なんだから、そこで寝てもらってても全然かまわないんだよ』

『ご冗談を…そのような使者は聞いた事がございません』

さやかは軽く流した。

だが冗談ではなかったようで、不問は手を打ち

『いいやそれがいい。誰か、布団と薬草と薬湯を持ってきなさい』

と人を呼んだ。

『え?…えっ!?…あ、あのっ…』


かくしてさやかは女中達に囲まれ、敷かれた布団の上で手厚い看護を受ける事になってしまった。

固辞するさやかの事など気にもせず不問は座敷を出て襖を閉じる。

『ここまでご迷惑をかけては父に叱られます。どうぞ中に入られて下さい』

『何を言う。手当て中の姪っ子の裸など見たら、私の方が兄に叱られるわ』

襖の向こうから笑い声が聞こえた。

『私の傷など放っておいていただいてかまいません』

『なぁに、来るのが遅いからね、途中で何かあったんだと思って準備していたんだよ』

さやかは黒い襦袢を女中達に脱がされ、傷口に薬を塗られていた。

『何かあったんなら善い事か悪い事か。さやかの性格から言って、任務より善い事を優先するとは思えない。でも何故か、昔から危ない事には首を突っ込んでしまうところがあるよね』

図星である。

『迫ってくる危険なら回避も容易いけど、自分から入ってしまっては脱する事は難しい。だから多少の怪我はしてるんじゃないかと思っていたよ。想像以上に酷い怪我で驚いたけど』

不問はもう一度笑った。

快活な笑い声を聞いて、さやかは情けない気持ちになる。

『本当に申し訳ありません。身勝手な行動をした結果、このような無様な姿を晒してしまい、不問様にまでご迷惑を』

『別に迷惑ではないぞ。さやかの命も無事で任務も果たしているじゃないか』

さやかの旅の目的は、不問に巻き物を届ける事であった。

確かに巻き物は手元にある。

『私の命はともかく、下手をすれば巻き物を奪われていたかもしれません。軽率な行動ゆえに』

『さやか、おまえは山吹の中でも突出した才を持つくのいちだ。だがな、まだまだ若い。今は色々経験して成長する時期なのだ』

『しかし、山吹の後継としては悠長な時間は』

『人は経験を積まねば成長出来んよ。経験は年齢に付随するものだから、焦っても仕方がない』

慰められているような気がしてさやかはうつむいた。

傷口に包帯が巻かれていく。

『兄のたけるは幼き頃より優れた忍びであったと聞いております。それに不問様も幼少の頃より並外れた才能を発揮されていたと。優秀な者は皆そうなのではないのですか?私には生まれ持った才が足りないのかもしれません』

『はははっ』

語気を荒げるさやかに対し、不問は短く笑った。

『人には誰しも、持って生まれた才能というのがあるんだよ。兄上達もそう、たけるもそう、もちろんさやかだって持っている。種類は違えどその才には多いも少ないもない』

女中達は手当てを終えると、さやかに長襦袢を着せて布団に寝かせた。

さやかの身体が柔らかに沈み込む。

掛けられた布団も羽根のように軽く暖かい。

そして何やらいい香りがした。

その香りは布団からだけではなく、纏っている襦袢からも香ってくる。

なんだかほっとする香りだ。

さやかが落ち着いたのを確認してから女中の一人が襖に近付いた。

『不問様』

膝をついて声をかける。

手当てが済んだら改めて面会する手筈になっていたのだろう。

だが襖の向こうからは

『しばらく静かに寝かせておいてあげなさい』

という優しい声が返ってきた。

女中が驚いて振り返ると、さやかはすやすやと寝息を立てていた。

山吹の里を出立して数日ぶりの安らかな眠りだった。
2012-02-11(Sat)

みんなの力を合わせよう!クリック募金 13

暖かい春が、

そして安心して暮らせる日が一日も早く来る事を祈ってます。


『みんなの力を合わせよう!クリック募金』


クリック募金
クリックで救える命がある。



忍者ライブショーさやか見参!



ヒーロー連合ジャスター



グランパワーヒノクニ



遠州忍者 魁斗&鼈甲



未来環境防衛隊ドラゴンマン

2012-02-10(Fri)

木曜の練習にて

2月9日は殺陣の練習日でした!

代表、
織田先生、
シライシさん、
ラテさん、
シオタリさん、

そして初参加のミヤタさん、
見学のヤマシタさんの総勢7名。

今回は珍しく、摺り足をすっとばして木刀を振る練習から始めてみました。

真っ向、袈裟の斬り方、刀を合わせたりはじかれたり斬られたりの立ち回りまで。

普段は地味な練習ばかりでなかなか進まないので、たまにはこんな駆け足のメニューもいいかも。

僕と織田先生の1対1の立ち回りや、シライシさんメインの立ち回りも披露しましたよ。

さて、この日はシライシさんの誕生日。

練習後にみんなでお祝いの気持ちを込めてシュークリームを食べました♪

シライシさん、HAPPY BIRTHDAY!!
20120209

そして皆さん、お疲れ様でした!
2012-02-10(Fri)

アクションへの道(324)

ロケ隊は公園から海のそばに移動しました。

いよいよここでボス怪人(僕)の登場です。
ボインガー怪人

突如現れヒーロー達をピンチに追い込んでいく怪人…

台詞は別の方がアフレコして下さると聞いていましたが、とりあえず地声で喋らせていただきました。

着ぐるみアクターはテキトーに動いているワケではありません。

各々演技のプランは違っても、

『この台詞だからこの動き!』

というのがあるのです。

例えば、

①『ふっふっふっふ…』という笑いで身体を上下に揺すり、

②『この場所は』で両手を広げ、

③『我々が』で右の掌を胸にあて、

④『破壊する!』で左のガッツポーズ

という演技があったとします。

これでもしアフレコがズレたら…

①身体を揺すりながら
『ふっふっふ、この場所は』

②両手を広げて
『我々が』

③胸に手をあて
『破壊する!』

④無言で得意気にガッツポーズ

みたいになったりするんですね。

これ、僕らからするとすっごく恥ずかしい事なんですよ。

だって、単に演技が下手な人みたいじゃないですか。

だから、

『この動きでこの台詞です!』

というのを声担当の方に知っていただきたくて地声で喋ったのです。

後日オンエアを観ると、アフレコではなく僕の地声台詞を使っていただいてました。

着ぐるみの覗き穴が大きかったので声を拾えたらしくて。

想定外に声の出演までさせていただいてニンマリの代表でした。

ただ、公園で撮影時間を使いすぎたらしく、ラストのアクションシーンがほとんどなくなったのは寂しかったですね。

でもでも、めちゃめちゃ楽しい現場でした!!

スタッフ・キャストの皆さんには今でも感謝してます♪
ボインガー大集合

~余談~

たまにテレビの撮影で着ぐるみに入って、

『CM用に30秒ぐらい動いて下さい』

みたいに言われる事がありまして。

『どんな風に動いたらいいですか?』

と訊いても

『まだ台詞が決まってないんで、とにかく30秒動いてて下さい』

なんて感じで。

あれはかなりやりづらいですね~。
2012-02-09(Thu)

小説・さやか見参!(137)

『さやか殿!』

心太郎の声が響いた。

さやかが目的地に着いたのは、音駒と別れた翌日の夜であった。

足を引きずりながら、傷の手当てをしながらだったので、存外に時間がかかってしまったのだ。

ここは山吹の分家である。

『どうしたっシュか!?その傷は!!』

心太郎が駆け寄ってくる。

その後を屋敷付きの忍び達がついて来る。

この屋敷の者達にとって、さやかは本家からの大切な客人なのだ。

『誰か、早く手当てをお願いっシュ!』

心太郎が金切り声をあげた。

近くにいた中年の忍びが素早くさやかの隣りにしゃがみ込む。

『かしこまりました。さやかお嬢様、こちらへ』

だがさやかはやんわりとその手を押し退けた。

『ありがとう。でも大丈夫。それよりも先に巻き物を不問の叔父様に』

不問。

この分家を取り仕切る男の名だ。

さやかの叔父である。

山吹では、長男である武双(さやかの父)が本家を継ぎ、次男の練武、三男の不問がそれぞれに分家を持っている。

本来、山吹が二つの分家を持つ事は珍しいのだとさやかは聞いていた。

山吹では、長男を後継、次男をその後見と定めていて、三男以降はそれに仕える忍び衆として扱われる。

後継には『武●』、後見には『●武』と、『武』の文字が付く名を与えられるが、三男より下には名前すらない。

※さやかの兄・たけるは『武尊』と書く

しかしながら、幼少の時期に長男次男に劣らぬ頭角を現した者だけは、名を与えられ、山吹の一員に迎えられるのだ。

これはなまなかならぬ事である。

山吹を担う者として英才教育を受ける長兄次兄に対し、下の者達は十把一絡に戦闘員としての修行を課せられる。

その中で特殊な才能を発揮出来る者などそうはいない。

山吹の歴史の中でも三男以降が名を残した例は少ないのだ。

先ほど、『山吹が二つの分家を持つ事は珍しい』と書いたのはそういう事である。

武双、練武の弟は、武術の腕はそこそこであったが、超人的な博識を身に付けていた。

忍びの世界の事にとどまらず、世間の些事から医学、はたまた天体の動きまで、誰に習うでもなく知っていた。

それらの知識を下敷きに編み出される理論は山吹のみならず十二組全てを発展させたと言っても過言ではない。

『天才、などと言う枠には収まらぬ男』

とは武双の弁である。

他人に問う事を必要とせぬ博識博学な三男は、十歳で『不問』と名付けられたのだ。
2012-02-07(Tue)

アクションへの道(323)

いよいよアクションシーンの撮影日がやってきました。
ボインガーレッド

戦闘員役のメンバー4人を引き連れて現場入りです。

まずは公園でのアクションシーン。

主人公達5人(+武器)の一番の見せ場です。

僕は監督と打ち合わせしながらそれぞれのヒーローに立ち回りを振り付けました。

主演のタレントさん達の動きはシンプルにカッコ良く、その分戦闘員には派手にリアクションしてもらいました。

…で、
僕はこの時に改めて思ったんです。

『タレントさんって凄いなぁ!』

と。

おそらく殺陣の経験はほとんどないでしょうに、こちらの意図するイメージを掴み取って下さるんですね。

おまけにカメラが回ると更に良くなるんです。

おかげで思った以上に迫力あるアクションシーンになって僕も大満足でした。

もう一度書くけど、

『タレントさんって凄いなぁ!』


そんな中でもイエローは特に良かったですね。

格闘技経験者だからかもしれませんが、動きにメリハリがあって、

これぞヒーローの動き!

って感じでした。

▼イエロー
ボインガー・イエロー

さて、戦闘員達はと言えば、お馴染みの戦闘員タイツで身を包み、ノリノリで暴れておりました。

▼悪役達
ボインガー悪役達

撮影が終わって覆面を脱いだら、鼻だけが日焼けして真っ赤でしたとさ。
2012-02-07(Tue)

基本

2月6日は個人練習をしてきました。

何故なら1人だったからです。

大勢での練習ももちろん大切ですが、1人だと気兼ねなく自分のペースで練習出来るからいいですね。

僕は1人で練習する際は基本に時間をかける事にしています。

しかも出来るだけ地味でキツいメニュー。

武装の練習では『ゴーオンジャー』のエンディングに合わせたステップや筋トレのメニューがありまして、これがキツいもんでみんなに嫌われてるんですが…

教室ではせいぜい2曲しか使ってませんが、実際は8曲分のパターンがあります。

上半身4曲、下半身4曲。

1人の時はそれをフルにやるんです。

で、剣殺陣メニューは、摺り足、素振り、型など。

ボディアクションは突きや手刀、裏拳などの手技に足技数種類。

最近は跳躍してみたりもします。
2012跳躍1

ついでにもう1回。
2012跳躍2

1人練習の画像って地味だから、少しはハデに見えるようにと思いまして…アハハハ…

えー、私いつも、

基本が大事、基本が大事と念仏のように唱えておりますが、

かつて大先輩から

「オマエは基本が分かってない!」

と怒られた事を思い出しました。

あれは私が20代半ばだったでしょうか。

道場で1人、『殴り』と呼ばれる技を練習していた時の事。

そこへやって来た大先輩から件の一言を言われたワケです。

「オマエは基本が分かってない!」

と。

私はこの技を練習する際、以下のように

▼①振りかぶった状態から
殴り2
▼②ストレートを打って
殴り3
▼③振り抜いて
殴り4
▼④振りかぶった状態に戻す
殴り2

という風にしていたのですが、大先輩いわく、

▼①ファイティングポーズから
殴り1
▼②振りかぶって
殴り2
▼③ストレート
殴り3
▼④振り抜いて
殴り4
▼⑤ファイティングポーズに戻す
殴り1

というのが基本なんだとおっしゃるワケです。

けっこうボロクソに言われた私は正直思いました。

「ど~でもええわ!」

いや、ホントはどうでも良くないのかもしれないですよ。

でもこの時は説明も一切なく、

「一旦構え直すのが基本なんだ!」

としか言われなかったんで、基本としての意味を見出す事が出来なかったんです。

だってそんなに変わらないじゃん。


もしも僕のこの技を見て、客席の子供達が

「あいつのパンチ、だっせ~」

と言うのならアンタの言う通りにしてやるよ!


…なんて思ってました。


若さですね♪

この時の大先輩の発言にバックボーンがあったのかなかったのかは分かりませんが、『基本技』という以上、基本としての説得力って必要だと思うんですよ。

「こうした方が技を出し易いだろ」でも、

「この方がカッコ良く見えるだろ」でも、

「この動きはこんな応用が出来るんだぜ」でも、何でもいいんです。

教えてもらった方が、

「なるほど!この技は大切だ!」

と思えないと基本は成り立たないと思うんです。

だから私はこの大先輩の指導を完全にスルーしました。

こーゆー体験が私の理屈っぽい指導を生んだのかもしれませんね。

まぁ何にせよおとなげないですね。

先輩、スルーしてごめんなさい。

ちなみに練習ではファイティングポーズ有りで教えてます。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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