2011-11-05(Sat)
小説・さやか見参!2(105)
微かに擦れる音がした。
枝に払われた青大将が逃げたのだろう。
積もった枯れ葉は乾いた音をもって通り行く者の存在を露呈する。
さやかは少し立ち止まって集中した。
先ほどの蛇が遠ざかり、そして動きを止めた。
落葉の下で虫が土を掘っている。
頭上で梟が、ゆっくりと首を動かす。
まだ幼さの残る百姓姿のくのいちは、己の感覚の冴えに満足し昂ぶった。
出来ればこの枯れ葉の絨毯の上を走り出したい。
わずかな物音ひとつ立てずに林を走り切る自信がある…
思わずそんな事を考えて、さやかはこっそり照れ笑いをした。
自分の能力を誇示したがるなんて、やっぱり私もまだまだね。
改めて、ゆっくりと歩き出す。
しばらく歩くと、周りがぼぉっと明るくなった。
どうやらこの場所には空の明かりが差し込むようだ。
とは言っても陽は完全に落ちているので、うっすらとした星明かりでしかないのだが。
それでも超人的な視力を持つ忍びにとっては充分すぎる光量であった。
『そろそろかしら』
さやかは少しだけ目をこらした。
先ほど意識を集中した際、林の奥から歩いてくる人の気配を察知したのだ。
あの速度で歩き続けたのなら、もうそろそろ鉢合うはずだ。
何者なのかは分からない。
若い男性、
身体は細身で大きめの荷物を背負っている、
なにやら考え事をしながら歩いているようで悪意や敵意は感じられない。
町人…商人か、
そういった人種であろう。
おそらくそうだと思うが、そういう者に化ける事に長けた忍びもいるので一応の用心は欠かせない。
やがて遠くに蝋燭の灯が見えた。
枝に払われた青大将が逃げたのだろう。
積もった枯れ葉は乾いた音をもって通り行く者の存在を露呈する。
さやかは少し立ち止まって集中した。
先ほどの蛇が遠ざかり、そして動きを止めた。
落葉の下で虫が土を掘っている。
頭上で梟が、ゆっくりと首を動かす。
まだ幼さの残る百姓姿のくのいちは、己の感覚の冴えに満足し昂ぶった。
出来ればこの枯れ葉の絨毯の上を走り出したい。
わずかな物音ひとつ立てずに林を走り切る自信がある…
思わずそんな事を考えて、さやかはこっそり照れ笑いをした。
自分の能力を誇示したがるなんて、やっぱり私もまだまだね。
改めて、ゆっくりと歩き出す。
しばらく歩くと、周りがぼぉっと明るくなった。
どうやらこの場所には空の明かりが差し込むようだ。
とは言っても陽は完全に落ちているので、うっすらとした星明かりでしかないのだが。
それでも超人的な視力を持つ忍びにとっては充分すぎる光量であった。
『そろそろかしら』
さやかは少しだけ目をこらした。
先ほど意識を集中した際、林の奥から歩いてくる人の気配を察知したのだ。
あの速度で歩き続けたのなら、もうそろそろ鉢合うはずだ。
何者なのかは分からない。
若い男性、
身体は細身で大きめの荷物を背負っている、
なにやら考え事をしながら歩いているようで悪意や敵意は感じられない。
町人…商人か、
そういった人種であろう。
おそらくそうだと思うが、そういう者に化ける事に長けた忍びもいるので一応の用心は欠かせない。
やがて遠くに蝋燭の灯が見えた。