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2011-08-31(Wed)

アクションへの道(263)

2006年のある日。

午後だったと思う。

久留米の実家にいる僕に

(前年ぐらいから実家に戻っていた)

ナンシーが電話をかけてきました。

『会社が倒産したらしいですよ』


えっ!?

ショーチームを有していた会社が倒産したそうです。

突然の話でしばらく何の事だか分かりませんでした。

それから数時間後、夕方を過ぎたぐらいに社員のK氏からも電話がありました。

やはり倒産は事実のようです。

後輩達からも

『道場が差し押さえられてましたっ』

などと連絡が入ってきます。

『もうショーは出来なくなってしまうのか?』

メンバーみんなが同じ思いだったに違いありません。

しかしそれに関しては、

『ショーチームは新体制を作って活動していくつもりだから』

と言われ少しだけ安心しました。

まぁこの辺りは無神経に書き散らかせない内容なので、ほどほどでやめときます。

ただ、

この時1つだけ、僕が心配していた事がありました。

それは、戦隊ショーの新しいパッケージの事でした。
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2011-08-30(Tue)

8/30 代表の独り言

9月~10月は少し忙しくなりそうな代表です。

今は10月に向けて、

『忍者ライブショー さやか見参!』

の新作台本を執筆中です。

普段はスイスイ書けるのに、今回の台本は難産です。

色々盛り込み過ぎて完全に容量オーバー(笑)

当然ムダな台詞なんかをカットしなくちゃいけないんですが…

『さやか見参』らしさを作ってるのって実はムダな台詞の部分なので、削り過ぎると『らしさ』がなくなっちゃうという…

難しい所ですなぁ。

画像は下書き中の台本です。

2011-08-29(Mon)

ワークショップのお知らせ

いよいよ

第2回『ヒーローアクションワークショップ』

の開催が近付いてまいりました!

主催はコミュニコさん、
講師はワタクシ、内野でございます。

ちょっとだけ『ヒーローショー』の世界に足を踏み入れてみませんか?


9月10日(土)
18:00~21:00

アクロス福岡
地下1階(練習室2)

参加費:2000円

※途中からの参加もOKです!(事前に何時頃になるかお知らせ下さい)

※動きやすい服装でご参加下さい。

※会場は土足禁止ですので、屋内用シューズをご持参ください。

※運動が苦手な方でも大丈夫です。

皆様のご参加お待ちしております。

※お申し込みは『コミュニコ』まで

1.メールフォームから申し込む
http://form1.fc2.com/form/?id=682437
2.facebookから申し込む
http://www.facebook.com/event.php?eid=115133301918641
2011-08-29(Mon)

アクションへの道(262)

…とまぁ、

僕が何故このブログを書いてるか

なんて事をつらつらと書いてきました。

ぐだぐだとまとまらない文が続きましたが、読んで下さった方ありがとうございます♪

総括すると言いたい事は2つ。

まず1つ目は、

それぞれの時代に、

それぞれ頑張ってきた先輩達がいて、

その積み重ねの上に『現在』がある、

と言う事。

今の皆さんが『当たり前』だと思っている事は、先輩達が頑張って、戦って、試行錯誤してきたからこそ在るのだと、

それを知ってもらいたい。

現役アクターの皆さんは、もしかしたら先輩方に対して、

『あんた達のやり方は古いんだよ!』

と思う事があるかもしれません。

僕はよく思ってました。

しかし、先輩方が作った『古い(と皆さんが思う)常識』がなければ『新しい常識』だって生まれなかったんです。

それは、自分達が作った『新しい常識』が、次の世代の若者達に

『あの人のやり方は古臭いんだよな』

と否定された時に初めて分かる事なんです。

その時あなたはおそらく、

『自分らの時代にはめちゃめちゃ新しかったんやぜ!』

と弁明したくなるでしょう。

僕も何度も経験してきました。

後輩達に、

『俺のやり方が古いだぁ!?
おまえらがやってる事は全部俺らの亜流じゃねぇか!』

と言いたかった事もたくさんありますもん。

でも先輩方だって同じ事を言いたかったハズですもんね。

『現在』を盾にして『過去』を非難する事は出来ない。

僕が知る実例を挙げてそれを伝えていけたら、と思うんです。

(逆に先輩方には、自分達の時代のやり方を現在の若手に押し付ける無意味さを伝えたいですが)


2つ目に言いたいのは、僕が経験した事、感じた事、成功した事、失敗した事などを『善し悪し』ではなく参考までに知ってもらいたい、という事。

何かのヒントになるかもしれないし、反面教師にしかならないかもしれないし、イラッとするかもしれないし、『ふぅ~ん』で終わっちゃうかもしれない。

それでももし、読んで下さった方にミクロン単位でも変化があれば、それは本当に嬉しい事なんです。

特に、

『チーム所属のアルバイトアクター』

だった頃と

『武装代表』

になってからの考え方の変化を伝えられたらいいな、なんて思ってますので、これからも皆様に読んでいただけるよう精進して書き続けます。

そして是非、皆様のご意見ご感想を、コメントやメールで聞かせていただきたいと思います。
2011-08-28(Sun)

アクションへの道(261)

『あーしてみようこーしてみよう』

という癖がついたらしめたもの、

立ち回りを考えてる最中に

『今まではこう動いてたけど、こう動いてみたらどうなる?』

なんて閃いたり、

現場での突然のアクシデントに対し、

『こーゆー風に変更してみたら乗り切れないか?』

なんて閃いてみたり、

今まで嫌いだった奴の事も、

『こいつの考え方もアリなんじゃない?』

なんて思えて嫌いじゃなくなったり、

色々な変化が現われるのです。

突然ですが、『コージー』という男の話をしましょう。

コージーはキャラクターショーの後輩です。

今は就職して一線を退いていますが、『考える』という事において抜きんでた才能を持つ男だと僕は思っています。

先日、コージーが練習に参加してくれた時の事。

前蹴りの練習でマルヤマさんが上手くバランスを取る事が出来ないという一幕がありました。

僕がアドバイスしたのは『蹴り足の出し方』について。

マルヤマさんは蹴り足の軌道が少しだけズレていて、そのせいで身体の軸がぶれていたのです。

生徒さんが上手く出来ずに困っている↓↓

講師がアドバイスする↓↓

改善が見られる。

普通ならこれで完結です。

しかしそれで終わらないのがコージーなのです。

蹴りの練習が終わった後、コージーが僕に言いました。

『内野さんは蹴りの時、軸足の重心はどこに置いてますか?
僕は爪先重心にしてるんですが』

ん?
あぁ、どこだろう。
あんまり意識してなかったけど俺も爪先かなぁ。

なんで?

『いや、さっきのマルヤマさんの前蹴りですけど、バランスが取れないのは蹴り足の軌道だけじゃなくて、もしかしたら軸足の重心がズレてる可能性もあるのかなぁと思って』

なるほどね。
たしかに可能性はあるな。
まぁ今はまだ自然な動きに任せてる段階なんだけど…

『そうなんですね。
ちょっと気になったんですけど、内野さんがどう教えてるか分からないのに口出ししちゃいけないなと思って。

なので訊いてみました』



…皆さん分かるでしょうか?

コージーは練習しながらマルヤマさんの動きを見て

『なぜバランスを崩すのか?』

と考えていたのです。

そして僕がアドバイスしているのを見て、

『蹴り足以外にも原因の可能性はないか?』

と考えていたのです。

スピードは?
タイミングは?
上半身と下半身の動きのバランスは?
軸足の回転は?

おそらくは自分でも前蹴りの練習をしながら、色んな可能性を探っていたのでしょう。

これは僕も経験があるのですが、集中して練習すると、

『自分の身体と会話』

する事が出来るのです。

身体と会話しながら動いてみると、動きのポイントがどこにあるかが分かります。

(俺は上半身をぶれさせないように動いてるな)

とか、

(インパクトの瞬間はこの部分の筋肉に力が入ってるな)

とか、

自分の動きの詳細が理解出来るのです。

自身の動きを理解する事で他人に指導する際も、

『上半身がぶれないようにすると上手くいくよ』

『インパクトの瞬間はこの部分に力を入れるといいよ』

みたいに、具体的な指導が出来るのです。

コージーは、

スピードはどのぐらいバランスに影響する?

タイミングはどのぐらい?

上半身と下半身のバランスは?

など自分の身体に問いかけながら動いてみて、結果的に

『軸足の重心が踵側にあるとバランスを崩し易いぞ』

という答えに行き着いたのでしょう。

ここまで原因の可能性をリストアップ出来れば、もし軸足が原因でなくても次のアドバイスが出来るでしょう。

このように、例えば原因を突き詰めて考えておけば、答えをだすのが比較的容易になるのです。

これは他人へのアドバイスだけでなく、自分自身が壁にぶつかった時にも有効なんですよ。

考える癖がついてる人はスランプ知らずだと僕は思っています。

しかし、コージーの考える癖はそこで終わりではありません。

蹴りのバランスが崩れるのは、蹴り足の軌道だけじゃなく軸足も原因かもしれないぞ↓↓

教えてあげた方がいいかな↓↓

いや、講師の内野さんを差し置いて自分が口を出すのは立場をわきまえない行為だ↓↓

もし内野さんが『軸足の重心は踵側!』と教えているなら自分のアドバイスは余計な口出しだし、なにより内野さんの立場がなくなる↓↓

じゃあ個人的に内野さんに質問してみよう。

と、ここまで考えて僕に

『内野さんは軸足の重心はどこに置いてますか?
僕は爪先ですが』

と尋ねてきたのです。

コージーは決して天才肌ではありません。

人並み以上のセンスを持ち合わせているワケでもありません。

しかし彼は努力を怠らない人間でした。

自分の前に立ちはだかるたくさんの壁に、真摯に向かい合った結果、今のコージーがあるのです。

強い責任感で自分を追い込んできたコージーだからこそ、このように自然に考える癖がついているのです。

だからこそ彼は上手くなり得たのです。


後輩達の中には単純に

『コージーさんって上手いですよね~!』

なんて賞賛を送る者達がいますが、彼の努力を知ろうともせずに賞賛する事は、逆に失礼ではないか、という気がします。


つづく。
2011-08-27(Sat)

8月25日の報告(後編)

21時前にウチダさんフジイさんが到着して後半戦開始です。

最初は膝上げや蹴り上げのストレッチ。

それから前蹴り。

イケメンコンビは初めての前蹴りです。

お2人とも少し身体が固そうなので、要ストレッチですね♪

初めてやってもらったのに…

応用の2段蹴りまで進めちゃいました。

初めて2段蹴りをやってもらったのに…

2段蹴りを落とされるリアクションまでやらせてしまいました。

リアクションを含め、立ち回りの動きには『インパクト』が必要になります。

僕の言うインパクトとは、

『瞬間的に筋肉に力を入れる事』

です。

もちろん実戦的な動きにもインパクトは必要なのですが、立ち回りの技に含まれるそれは少し意味合いが違います。

実戦技でのインパクトは攻撃力を増す為のものだったりしますが、立ち回りの中でのインパクトは

『演技を演技として成立させる為のもの』

なのです。

簡単に言うならば『技が当たった』『技が決まった』等を表現するのがインパクトなのです。

メニューに戻りましょう。

ただ蹴りを落とされるだけというのも単純なので、先週の練習とミックスして、

2段蹴りを落とされて山形を避ける

と発展させてみました。

グイグイ進め過ぎ?

進め過ぎですね。

でもウチダさんとフジイさんは演技のお仕事の中で使える技術を求めて来られてるので、実践的なメニューを盛り込んでいこうと思ってます。

足技の次は『摺り足』。

全員、普段のアドバイスや前回の指導をしっかり把握していました。

摺り足をしながらの素振り(真っ向)も問題無しです。

みんな覚えがいいので、調子に乗って体重移動も加えてみました。

その後に素振りをやった…かどうかの記憶がないのですが、『型』はやりました。

僕『マルヤマさん、型の名称は覚えてます?』

丸『ある程度は…』

僕『じゃあ名称で号令お願いします。ウチダさんとフジイさんは先週やったのを思い出しながらやって下さい』

という感じでマルヤマさんの号令で何度か型をやりました。

マルヤマさんには名称を教えながら、
ウチダさんフジイさんには細かい点の修正をしながら進めましたが、3人ともスイスイとやってのけます。

僕『ウチダさんもフジイさんもよく覚えてましたね』

藤『覚えるも何も…初めてやりましたけど…』

僕『えっ!?先週やりませんでしたっけ!?』

内『やってないですね…』

僕『それは…スミマセンでした…』

先週教えたと思い込んでました…

ボケてるのか!?代表!!

でもせっかく型を教えたんで、その中から『八双』と『柳』を抜き出して『受け』をやりました。

実際の攻撃や実際の受けを知っておくのは大事ですからね。

でも今回は僕が攻め手で、皆さんには受け手に専念していただきました。

さて、最後のメニューは、前半でマルヤマさんにやってもらった『壁に向かっての袈裟』です。

前回書いたので説明は割愛させていただきます。

指導に熱が入ってしまって、ふ、と時計を見ると…

『げっ!終了時間を10分も過ぎてる!!』

いつの間にか練習室の使用時間をオーバーしていたのです。

『しゅ、終了~!
みんな急いで着替えて退出~!!
お疲れ様でした~!!』

車田正美の『男坂』の如く、急激に終了する殺陣教室でした。

おかげで画像も撮りそこないましたわ…

何はともあれ、マルヤマさん、ウチダさん、フジイさん、お疲れ様でした!

今回もありがとうございました!
2011-08-26(Fri)

8月25日の報告(前編)

8月25日(木)は殺陣教室でした!

…夕方、Sちゃんとの打ち合わせを済ませてから練習場へ。

先に到着していたマルヤマさんと共に練習開始。

木刀を取り、まずは『型』。

今は動作と順番を身体に染み込ませているいる段階です。

十五の形がスムーズに出せるようになったら第1ステージクリアって感じでしょうか。

もう1つの型もやりました。

先ほどの型は構えの動作が多いのですが、次の型は攻撃専門です。

覚え易いのは後者ですかね。

この2つの型は、完璧に覚えようが上手くなろうが、いつまでも続けなければいけないものだと僕は思っています。

型の後は『素振り』。

真っ向と袈裟の2種類です。

剣殺陣の第一歩は、とにかく刀に慣れる事、
その為にもたくさん刀を振る事が大事です。

続いては向かい合った状態で『合わせ』。

前回までは本気で打ち合っていましたが、今回は立ち回り用に『当てない』合わせです。

素早く振って当てないようにする為のポイント、『力の抜き方』、『力の入れ方』を説明しました。

武装では『当てない殺陣』を目指しているので、是非体得してほしいですね。

同じ要領で、『合わせ』からの『はじき』もやってみました。

『はじき』『はじかれ』では『太刀筋』が重要になってきます。

太刀筋は全てにおいて重要ですが、『斬る』以外の場面でも大事だという事ですね。

きれいに『はじいた』ように、『はじかれた』ように見せる為にも『太刀筋』を意識しなければなりません。

太刀筋を意識するという事は刃筋を意識するという事です。

細かいポイントがたくさんあるので、時間をかけて少しずつ覚えてほしいですね。

前半戦の最後は『左右の袈裟』。

これは普段壁に向かってやってる練習です。

近距離の相手に当てないように刀を振る練習ですが、袈裟と袈裟の『つなぎ』の部分は僕のオリジナルです。

全身を柔らかく使い、体重移動と手首のスナップで刀を振ります。

これが出来れば『速く』『きれいに』『なめらかに』動く事が出来ると思います。

(後編へ)
2011-08-25(Thu)

アクションへの道(260)

もちろん、そこまで自分を追い込んで、アイデアを絞り出してまで会社(代表)にサービスする必要はありません。

メンバーにそんな義務は課せられていないのですから。

しかしながら、

『あーでもないこーでもない』

と考える事は、自分の引き出しを広げる事になるのです。


『自分の引き出しを広げる』

その為に、

『逃げられない立場』

になったつもりで物事に対処してみてはいかがでしょう?

と、僕は若者達に提案してみたいのです。

逃げられないと言っても大層に考える必要はありません。

アトラクションチーム武装というちっぽけなチームの、ちっぽけな代表ぐらいの責任感で良いのです。

それだけでもずいぶん物の見方が変わると思いますよ。

ここまで書いてもまだ、

『なんで出来の悪い新人を教える為にそんな努力しなきゃいけないんだよ~』

と思っちゃうアナタ。

新人さんは分からなくて当たり前、出来なくて当たり前、モチベーションが低くて当たり前、

つまり出来が悪いのが普通なのです。

そして、出来が悪い後輩を上に引き上げてあげるのが先輩の役目なのです。

『出来が悪い』と言って後輩の指導を投げ出す先輩こそ

『出来の悪い先輩』

ですよ。

まぁそれはさておき、

『引き出しを広げる』

というのは後進の育成のみに役に立つものではありません。

ありとあらゆる事に役に立つのです。

引き出しを広げれば視野が広がります。

もちろん経験による知識、智慧が身につきます。

すると、直面する全ての物事に対し、

『あーしてみようこーしてみよう』

という意識が働くようになるのです。


つづく。
2011-08-24(Wed)

桃のカスタードケーキ


お友達のお店でケーキを買いました。

熊本県荒尾市の

『小さなケーキ屋さんMOGU-MOGU』

の、季節限定

『桃のカスタードケーキ』
です。

こちらのお店では

『卵・乳製品・小麦粉・白いお砂糖』

を使っていないので、食物アレルギーがある方でも安心♪

そう書くと味気無いケーキだと思われそうですが、甘過ぎず、ふんわりとした上品な味で、食べた後もお腹にもたれない感じ。

通常のケーキに比べるとカロリーもかなり低めなんだとか。

材料が良い分ちょっとお値段も張りますが、たまにはこんなケーキもいいんじゃないかと思った次第です。

以上宣伝になりますが、決して大袈裟に書いてるワケではありません。

熊本県荒尾市の

『小さなケーキ屋さんMOGU-MOGU』

アトラクションチーム武装HPにもリンクしてるんで、是非一度検索してみて下さいね♪
2011-08-24(Wed)

アクションへの道(259)

人手不足からもクォリティーの低下からも逃げられないならどうするか?

そうならないように向かい合うしかありません。

新人が辞めないように頑張るしかありません。

新人が上手くなるように頑張るしかありません。

メンバー達は言うでしょう。

『無理ですよ』

『あいつやる気ないですもん』

『同じ事を何回言っても覚えないんですよ』

『ショーをナメてるんですよ』

これらの発言は、メンバーに『育てない』という選択肢が与えられているからこそ出るのです。

逃げ場がない代表は

『無理でも育てなきゃいけない』

『やる気がない奴を育てなきゃいけない』

『覚えが悪い奴を育てなきゃいけない』

『ショーをナメてる奴を育てなきゃいけない』

と言う事しか出来ないのです。

さぁ、ここからが重要。

代表は、やる気がない新人も育てなければならない。

だから、

『何故やる気がないのか』

を考えるのです。

いや、

『そもそも本当にやる気がないのか?』

という所から考えるのです。

もしやる気がないのなら、どうすればやる気が出るかを考えて対処する。

あれならどうだ、
あれで駄目ならこれならどうだ、
これで駄目なら次はどうする、と、
目的が達成されるまで、手を変え品を変えチャレンジするのです。

本当はやる気があるのにそう見えないだけだったら?

どうすればやる気が周りに伝わるか、を考えて対処する。

あーでもないこーでもない、あーしてみようこーしてみよう、と。

覚えが悪い新人に対しても同じです。

どうしたら覚えてもらえるのか、
自分の教え方に問題はないか、
考えて考えて、
あーでもないこーでもないとチャレンジするのです。
この

『あーでもない、こーでもない、
あーしてみよう、こーしてみよう』

こそが新しいアイデアを生むのです。

時間がかかりましたが、ようやく本題に辿り着きました。

『逃げなければ新しいアイデアが生まれる(可能性がある)』

というのはこの事なんですね。

今まで途中で諦めていた事、

そこから『諦める』という概念を取り去ると、極限までアイデアを絞らざるを得なくなるのです。


『なーんだ、
そんな簡単な事か』

と思われるかもしれませんが、これが出来ない人はかなり多いと思いますよ。

普通なら1手で諦める。

頑張ってる人でも2手~3手。

それで、

『ここまでやったんだからもういいだろう』

って思っちゃう。

その

『もういいだろう』

は、

『ここから先は、会社(代表)に責任を背負ってもらおう』

って事なんですね。

それは悪い事ではありません。

メンバーというのはそれをしてもいい立場にいるんです。

しかし、

『これを解決させるのが自分の仕事!』

と自分を追い込み、2手~3手、そして4手5手6手と突き詰めていく内に、今まで思い付かなかったアイデアが浮かんだりするんです。


つづく。
2011-08-23(Tue)

アクションへの道(258)

現在、アトラクションチーム武装のメンバー指導担当は代表である僕なんですが、

もし、

これから先、

運動が苦手な人や、態度が悪い人、

勘違いしてる人や、物覚えの悪い人、

気が合わない人や、やる気が感じられない人が来た時、

僕はどうするべきでしょうか?


どうするべきもこうするべきもありません。

『育てる』しかないのです。

かつて、メンバーの1人だった時のように、『育てる』か『育てない』か、なんて選択肢はないのです。


メンバーの1人という立場なら、人手不足になっても代表に対し、

『なんでメンバー募集しねぇんだよ~』

と文句でも言ってればいいワケです。

仕事数が減っても、

『もっと営業頑張れよ~』

なんて言ってればいいのです。

ショーのクォリティーが下がっても、

『ろくなメンバーがいねぇなぁ~』

と愚痴っていればいいのです。

これは、責任を負う必要のない『メンバー』だから言える事なんですね。

責任を負わなくていいから新人への指導も投げ出せるのです。

『いざとなれば代表がどうにかするだろう』

『どうにかするのが代表の仕事なんだし』

『どうにもならなかったら代表の責任だ』

そう言える立場にあるからこそ、『新人を育てない』という選択肢も持てるワケです。

実際どうにもならなかったら代表の責任だし、どうにかするのが代表の仕事なのです。

だからこそ代表は人手不足にならないようにメンバーを募集し、
ショーのクォリティーを下げないように指導をするワケです。

もし、自分が指導を辞めてメンバーが辞めてしまったら。

代表は責任を転嫁する事が出来ません。

自分が指導を辞めてショーのクォリティーが下がってしまったら。

誰のせいにも出来ません。

そのせいでクライアントさんから

『おいっ!6人編成のハズだろう!なんで今日は5人しか来てないんだ!?』

『なんなんだ今日のショーは!学芸会レベルじゃないか!それでもプロか!?』

なんてクレームが来ても言い逃れは出来ないのです。

『いやぁ~、最近入ってきたのが駄目な奴ばっかりで…根性ないからすぐに辞めちゃうんスよね~』

『でしょ~?今の連中は口ばっかりでろくに練習しないから全然上手くならないんスよ~』

代表として、こんな恥ずかしい言い訳は出来ないんです。

辞めさせてしまったのも、上達させられなかったのも全て自分の責任なんですから。

もちろんそれで仕事がなくなれば自分が一番苦しいワケです。


この、

誰にも責任を転嫁出来ない立場、

言い訳が出来ない立場の事を僕は、

『逃げられない』

と表現しているのです。


つづく。
2011-08-22(Mon)

アクションへの道(257)

人材が集まったら今度は教育が始まるのですが、多くの場合、新人メンバーを指導するのは先輩メンバーです。

『教育担当の社員さん』みたいな人がいる事務所もあるのかもしれませんが、僕の周りではあまり聞きません。

指導するメンバーのほとんどはアルバイトです。

つまり新人の教育がアルバイトに委ねられるのです。

これは上手くいってる時はいいんです。

得てしてアクターは『教えたがり』だったりするので、新人を自分色に染めるのが楽しかったりもしますし。

しかしそれは、あくまで『出来の良い新人さん』が相手の場合。

態度の悪い新人、
覚えの悪い新人、
運動能力の低い新人、
気が合わない新人、
やる気が見えない新人、

そんな相手にぶつかった場合、指導の意欲は一気に萎えてしまいます。

『あいつ、新人の癖に態度が悪い』
『何回やらせても出来ねぇんだよな』
『やる気がない奴にはいくら教えても無駄だよ』

そう言って指導を投げ出してしまいます。

これは仕方ありません。

メンバーには新人を教育する義務はないのですから。

教育担当という肩書きがあるワケでも、何かの手当てが付くワケでもありません。

出来の悪い新人に嫌な思いや苦労をさせられてまで所属事務所にサービスする必要はないのです。

メンバーが『出来の悪い新人さん』の指導を辞めたらどうなるか。

当然ながら技術力アップは見込めず、放り出された新人はいつまでも下手なままです。

下手なメンバーが増えればショーのクォリティーが下がります。

ショーの出来が悪くなれば仕事の依頼も少なくなるかもしれません。

先輩に相手にしてもらえない新人さんが辞めてしまうという可能性もあります。

そうするとメンバー数が減り、現場に対応出来なくなり、結果仕事が減るかもしれません。

ショーのクォリティーが原因でも、メンバー数が原因でも、仕事が減るのは会社にとって大きな痛手となります。

さてここで、

話の矛先を『会社』から『僕』に移してみましょう。

もちろん会社と僕では話の規模は大きく違いますが、内容に大した差はありません。

僕が率いる『アトラクションチーム武装』も、やはり頭数が必要で、その頭数は優秀なほど望ましい。

頭数が足りなければ仕事の依頼も受けられないし、メンバーが優秀でなければ依頼そのものが来なくなるからです。

しかし、待っていて優秀な人材が集まる可能性は限り無く低い。

やはり、来てくれた人材を逃さず、優秀なメンバーに育てるというのが現実的な対処法です。

※(武装では、これまで幸い優秀なメンバーや助っ人が集まってくれましたが、それは奇跡的な事なんです)


つづく。
2011-08-21(Sun)

アクションへの道(256)

自分には大きなターニングポイントが2回あったと思います。


1つは自分の傲慢が後輩との軋轢を生み、現場を干された2002年、

一生懸命に取り組んでいるのに仕事を干され、クビまで切られそうになるなんてなかなかありません。

これは当時の僕がどれだけ問題を抱えていたかという証明だと思います。

次が、武装を立ち上げた2007年、

これがなければ僕の考え方はずいぶん違っていたでしょうね。

この時に得た教訓、

これは『代表』という立場にならなければ(僕は)気付かなかった教訓です。

ショーチーム所属のアクターだった頃には特に考えなかったし、考えたとしても実践しなかった事です。

しかし、

もし、アクター時代にこういう考え方が出来たなら、

自分はもう少し成長出来たんじゃないかと、

そんな風に思うのです。

だから、

僕が『今』思う事を後輩達に伝えたい、と、

そう考えてしまうのです。

いつも長々とブログを書いてしまうのは、それが原因だったりもするのです。

僕が武装を立ち上げて、

代表になって気付いた事。

それは、

『逃げなければ新しいアイデアが生まれる(可能性がある)』

という事です。

この事についてしばらく書いていきたいと思います。

『逃げなければ新しいアイデアが生まれる(可能性がある)』

僕がそう思ったのは、

『代表』は『逃げられない立場』だ

と気付いてからです。

僕が『逃げられない』と実感したエピソードの一例をあげてみましょう。

一番逃げられないと思ったのは、

『メンバーへの指導』

に関する事ですね。

2002年、仕事を干された時に気付いたのは、

『人を指導する為にはまず相手を認めなくちゃいけない』

って事と、

『褒めない者には叱る権利はない』

って事でしたが、これはすごく当たり前で、わざわざ代表にならなくとも気付く事です。

30歳になるまで気付かなかった僕がおかしいのです。
(でも気付かず指導に当たっている人もけっこういるんですよ)

では『代表』として指導する場合の

『逃げられない事』

とは何なのか。

ショーのメンバーって、色んな人が集まるんですよ。
TVキャラクターを扱うチームだと繁忙期には100人を越すアクターが動く事もあって、とにかく頭数が必要なんです。

だからアクター希望者は基本的に採用する事になります。

年齢や病気、怪我、その他特別な要因がなければ

『じゃ、とりあえずやってもらいますか』

ってなるんです。

その結果、色んなタイプが集まる事になります。

動ける人、運動が苦手な人、社交的な人、付き合い下手な人、偉そうな奴、勘違いしてる奴、ただのヒーローオタク…

キャラクターショーチームは、

『いかに良い人材を採用するか』

ではなくて、

『入ってきた人材をいかに育てるか』

に最も力を入れていると言っても過言ではないのです。


つづく。
2011-08-20(Sat)

殺陣教室・報告

8月18日(木)は殺陣教室でした。

今回は帰省中の『コージー』が参加してくれました。

コージーはキャラクターショー時代の仲間で、技術・考え方共に最も信頼出来る1人です。

コージーと生徒の『マルヤマさん』、そして僕の3人で練習スタート。

まずは木刀での素振りから。

最近はメニューを前半(19:00~21:00)と後半(21:10~22:30)に分けてます。

前半は簡単な反復メニュー、
後半は理論の説明や動きの細かいチェック等の深い部分をやるようにしています。

と言うワケで、細かい事は気にせず『真っ向斬り』と『袈裟斬り』で回数をこなします。

それから剣殺陣の型。

マルヤマさんは型の順序を覚えている段階なので、身体が覚えるまで何度も繰り返さなくてはなりません。

こちらも細かい所は気にせず、大まかな部分だけを修正していきます。

続いての『剣合わせ』は

『天(上段)』
『地(下段)』
『天地』

の3種類。

狙う位置がブレないように、それだけ気をつけてもらいました。



次の『受け』は『八双』と『柳』。

刀も素手も、『受け』は実際にやらないと感覚が身につかないので、攻め手は本気で狙い、受け手は本気で受けるよう心掛けています。

しかしながら、コージーもマルヤマさんも、攻撃の威力がハンパない!

木刀に

ガツゥーンッ!!

と衝撃が走り、その余波は腕をビリビリと震わせます。

『ぐぁっ!こりゃ腕への負担ハンパねぇぞっ!』

弱音を吐きそうになりながら何とか乗り切り、一息ついてから思いました。

『…マルヤマさんは平気な顔をしている…
同じ衝撃を受けているハズなのに…』

格闘技経験者とはいえマルヤマさんは二十歳の女の子です。

僕らと一緒に木刀を振り、ガツンビリビリと打ち合えるマルヤマさん…

ただ一言…

スゴイ…

いや、俺がヘタレなのかもしれん…

ヘタレ…

腕以上に心への負担を受けながら、メニューは足技に移行。

膝上げなどのストレッチをしてから蹴りの基本。

ここで『シライシさん』も到着されました。

という事で、一緒に『前蹴り』『回し蹴り』。

身体が固いシライシさんは要ストレッチで、少しずつ蹴り足が高くなるように頑張ってほしいですね。

マルヤマさんは実戦的な蹴りの癖が身についているので、立ち回り用の蹴りに徐々に慣れて欲しいと思います。

2人とも努力家なので、全く心配はしていませんが。

蹴りの後は、武装ではお馴染みの、そして最も人気のないメニュー、『ステップ&ジャンプ』。

シライシさんの到着を待ってのフルセット4曲分です。

『嫌がらせかよッ!』

シライシさんの心の声が聞こえるようです。

でもこれは、『リズム感』『筋力』『持久力』を一度に鍛えられる素敵なメニューなので、出来ればみんなでやりたいんだも~ん。

※(みんなでやりたいなら練習の最後に参加者全員でやればいいではないか、と思うかもしれないが、慣れない生徒さんにこれをやらせると次週から来なくなっちゃう可能性があるので人を選んでいるのである)

ここで前半戦終了。

休憩している所へ『コガさん』『ウチダさん』『フジイさん』が到着。

ウチダさんとフジイさんは『ケイコとマナブnet』で武装殺陣教室を知り

(武装はケイコとマナブnetに掲載されているのです)

先週来て下さったイケメン2人組です。

もっとも先週はリハーサルだったので見学していただくにとどまりましたが。

コガさんはご購入いただいた『武装・殺陣教室シャツ』着用で参加して下さいました。
(写真撮り忘れた…仕方ないので開封してない画像を…)



公表してませんでしたが、殺陣教室の生徒さんだけが購入出来るメンバーTシャツを作ったんですよ。

武装メンバーシャツの色違いで1枚2500円です。

物好きな生徒さんは是非どうぞ。

それはさておき、


初参加のウチダさんフジイさんに

『剣殺陣と素手殺陣、どちらがいいですか?』

と訊いた所、

『剣殺陣がやりたいです!』

との事だったので、剣殺陣の基本中の基本、『摺り足』から始める事に。

摺り足は要点が多くて初めての方には難しいメニューです。

出来なくてもいいので、ポイントを意識して動いてもらう所から始めました。

重要なポイントの1つ、

『後ろ足を蹴って前進する』

感覚を覚えてもらう為に、『片足ジャンプ』というオリジナルメニューを挟んで、改めて摺り足。

ウチダさん、形が決まっています。

バスケットをやっていたそうなので、きっと運動能力が高いんでしょうね。

続けて、木刀を持ってもらい、『正眼の構え』『上段の構え』『真っ向斬り』を覚えてもらいました。

とりあえずの形と動きを覚えた所で『抜刀』を加え、
慣れてきた所で更に『納刀』を追加しました。

抜刀→正眼→上段→真っ向→正眼→納刀

これを一連でやると立ち回りらしくなってきます。

初参加の2人に合わせたメニューですが、他の皆さんも、基本を再確認出来るいい機会になったと思います。

最後は少し立ち回り的な事をしてみようと思い、1対1の短い手をつけてみました。

僕が木刀を持って山形→足斬りでかかっていき、それを避けてもらうという立ち回りです。

頭を狙ってくる刀を左、右と避け、足を狙ってきた刀を両足ジャンプで躱す、
こう書けば簡単に思えますが、しっかりと避けの形を作らなければならないので意外に難しかったりします。

コージーがお手本を見せてくれて助かりました。

ここではフジイさんがバッチリ決まってましたね。

フジイさんはサッカーをなさってたらしく、ウチダさんともども運動能力の高さを感じさせます。

スポーツをやってた人達は身体を動かすコツを知ってるのかもしれませんね。

交代しながら何回も繰り返して、ラストのシライシさん、
僕は少しだけ難易度を上げてみました。

シライシさんは殺陣教室の生徒第1号で、そろそろ僕の呼吸を読めるハズ、と思ったからです。

僕はタイミングを計らせないように無言でかかっていきました(他の人達には掛け声を出してからかかっていた)。

驚きながらも練習通りに躱すシライシさん。

見事に期待に応えてくれました。

以上で18日のメニュー終了です。

参加の皆さん、お疲れ様でした!

ありがとうございました!!

※武装殺陣教室(初心者向け)は、毎週木曜、19時から開催しております。

場所は福岡市南区大橋。

参加費は1000円(初回のみ2000円)です。

参加申し込み、お問い合わせは

busou_00@hotmail.co.jp

へお気軽にどうぞ♪
2011-08-20(Sat)

アクションへの道(255)

ここまでを読んで下さった方は、

『なんだよ、
結局後輩達に偉そうな事言いたいだけかよ』

と思ってるかもしれませんね。

どのエピソードも突き詰めれば、

『後輩達に知っていてもらいたい』

という所に落ち着いてしまうので、そう受け取られても仕方ないかと思います。

まぁ確かに説教臭さや押し付けがましさはありますよね。

もっとやんわりと伝える能力があれば良いのですが、現時点ではまだ身についていないようです。

それでも1つ言えるのは、

僕は偉そうにアドバイスしたいと思った事はない、という事です。

だって自分が後輩より偉いなんて思わないんですもん。

そりゃあ自分を基準にして考えたら、

自分より上だと思える後輩、
自分より下だと思える後輩、
色んなタイプがいるんですけど、

上の奴に媚びるとか、
下の奴に驕るとか、

そんな事ではないと思うんです。

だって何をもって上と言うのか下と言うのかも分からないし、
そんなの自分の基準に過ぎないんだし。

なによりチームの仲間ってのは、良いショーを作る為に競い合ったり一丸となったりする存在であって、優越感をもって見下したりするものではないから。


僕は若い頃エゴの塊でした。

下と思える奴を見ては優越感に浸り、
上と思える奴を見ては劣等感を抱き、
いつも自分を認めてもらう事ばかり考えていて、

それが原動力になって頑張れた部分も大きいんですけど、必ずしもコンプレックスをバネにする必要はなかったかな、って今は思います。

『アイツに負けないように頑張る』



『アイツを見返す為に頑張る』

は似ているようでベクトルが全然違うんですよね。

そう思えた時、初めて

『上手い奴は上手い』

『すごい奴はすごい』

と素直に思えるようになりました。

逆に

『まだまだだな』

って思える後輩は

『まだ至っていない』

というだけの事だと思えるようになりました。

つまり、

『良い後輩』



『良くなろうとしている後輩』

しかいないのだと考えられるようになったのです。


だとしたら上から偉そうに説教する必要はありません。

僕はただ、僕の知っている事、僕が経験した事を、

『何かの参考になればいいな』

と思って語り継ぐのみです。

何となくそれが僕の使命のような気がしているんです。

語り口調が偉そうなのは申し訳ないですけどね。


つづく。
2011-08-19(Fri)

アクションへの道(254)

実際のところ、

『まったく新しいもの』

を作り出す事はもはや不可能だと思います。

長い年月の中でほとんどのアイデアが出尽くしているからです。

それでも、『知っている』と『知らない』とでは、天と地ほどの差があるのです。

かつて僕はショーの台本を書いていました。

パッケージだけでも30本は書いたのではないでしょうか(しゃべりショーの台本を入れればもっとあります)。

キャラクターショーは決まり事が多い(※)ので、おのずとパターンも決まってきます。

※最後はヒーローが勝つ
※子供に分かる内容
※主人公が死んではいけない
※1話完結
※アクションシーンがある

などなど。

そうなると、『全く新しいパターン』を作り出すのは無理だと気付くワケです。

先輩方の話を聞いてみると、同じようなストーリーはほとんどやってるみたいだし。

しかし、先輩方の経験談を聞かない、
ショーの歴史を紐解かない、
経験の浅い後輩達は、そこに気付かないんですね。

初めて台本を書く事になったある後輩は僕に言いました。

『斬新なアイデアを思い付きました!
ヒーローと怪人の身体が入れ替わるんです!』

…いやいや、キャラクターショーではありきたりだから。

他の後輩はこう言います。

『敵に操られてヒーロー同士が戦うんです!
新しいでしょ!?』

新しいでしょ!?と言われても、

『使い古されてるでしょ!?』

としか答えようがありません。

アクションに関してもそうです。

もともと実戦的な武術があり、

それを様式的な立ち回りにして、

様式美が追求されて、

革新派がリアルな殺陣を生み出して、

舞台の殺陣、映画の殺陣、テレビの殺陣などがそれぞれ発展して、

時代劇の殺陣だけでなく現代殺陣も完成されていき、
それらを応用してヒーローアクションが生まれて。

ヒーローアクションも、様式美が入っていたり、

剣劇の影響が見てとれたり、

様式美を廃してみたり、

ボディアクションが主流になってみたり、

いろんな流れがあって現在に繋がっているのです。

それらを知らずに

『すっげぇ新しいアクションを考えました!』

と言ったところで、

『それ、30年前に流行った殺陣だよ!』

なんて事になりかねないのです。

プロの殺陣師、アクション監督は、そういった事を踏まえて新しいものを作ろうとしているんです。

だから本物のプロは研究に余念がない。

僕もまだまだ全然研究不足ですが、

『新しいものを作る為には、古いものを研究する事が必要である』

という事を、ほんの少しでも後輩達に知ってもらえればな、と思いながらブログを書いてたりするのです。


つづく。
2011-08-18(Thu)

アクションへの道(253)

『温故知新』って言葉がありますよね。

古いものを知る事で、現在の事をより理解する、というような言葉です。

僕はこれを

新しいものを作る為には古いものを研究しなければならない

と解釈しています。

『新しい』とは、『過去』や『現在』との比較で生まれる概念です。

すなわち、『過去』や『現在』を知らないものに、新しいものは作れないのです。

新しいものを作る為には、まず古いものを知る事。


かなり極端な喩え話をしましょう。

博多のラーメン店『一蘭』。

その一部の店舗では『重箱』に入ったラーメンがあるそうです。

現在ラーメンの器の主流はもちろん『どんぶり』。

『重箱』は少数派です。

しかし、もし数十年後、『重箱』が主流になっていたら。

『ラーメンは重箱で食べるもの』

というのが常識になって早十数年、

そこに次世代のラーメン界を担おうとする1人の若者が現われた!

彼は言う。

『今のラーメン業界は古いやり方に縛られ過ぎなんスよ。
もっと新しいやり方を考えなきゃ』

『だからね、俺はまず器から見直す事にしたんです。
オッサン達は、ラーメンは重箱って常識みたいに思ってますからね』

『これ聞いたら斬新でびっくりしますよ。
俺、ラーメンをどんぶりに入れようと思ってるんです!』

『かつ丼とか牛丼が入ってるようなどんぶりにラーメンが入ってたらびっくりしません!?
きっと重箱よりも食べやすくなるし、これなら目新しくて、若い奴等も食いついてくると思うんスよ!』

『やっぱり常に、新しいアイデアを出していかなくちゃですね!』


…どうでしょう?

これは極端な喩えですが、
古きを知らずに新しいものを作ろうとすると、こんな恥ずかしい事になったりするんですよ。

キャラクターショーにおいても同じ事です。

仮に『仮面ライダー』をキャラクターショーの始まりとしても(本当はもっと古いですが)40年の歴史があるワケで、

ことアクションに関しては、歌舞伎や能まで遡る事も出来るワケで、

それを知らずして新しいものは作れないと、そう思いません?

だから僕は、僕が知ってる事、僕がやってきた事を書き残して伝えていきたいと思っています。

後輩達が新しいものを生み出せるように。
2011-08-17(Wed)

アクションへの道(252)

僕の言う『楽園』とは、

『無条件に自分を受け入れてくれる居心地のいい場所』

の事です。

誰とも意見がぶつかる事なく、

自分の意見にみんなが賛同してくれて、

みんなで同じ方向を向いて、

楽しく和気あいあいと良い結果だけを残していけるような、

そんな場所を指して僕は『楽園』と呼んでいます。

もちろんこんな場所は存在しません。

ただの幻想です。

なので『楽園』という言葉には僕なりの揶揄が含まれています。

集団で何かを作り出す時、

みんなが良いものを作ろうとしているなら、

そして、自分もそこで何かを主張しようとするならば、

必ず何かしらの『戦い』が生まれるものなのです。

どんなに目的を同じくする仲間でも、

どんなに仲の良い親友でも、

戦わなければ良いものは作れないんです。

『良いものを作る』とはそういう事なんです。

僕は、上を目指そうとしている後輩達には、この

『楽園幻想』

に囚われてほしくない。

なので自分の戦いの記録をブログに記しています。

僕は僕自身の経験しか書けませんが、

良いものを作ろうとしている先輩達は、みんな戦ってきたのだと、

若者達に知ってもらいたいんです。

同期で親友のSくんとも何度も激しくぶつかりました。

現役の頃リーダーだったH氏にも嫌と言うほど歯向かいました。

恩人とも言える社員、大男のKさんにも数え切れないほど盾突きました。

そして同い年の社員、K氏にもどれだけ迷惑をかけた事でしょう。

彼らは全て、アクターとしても尊敬に値する存在であり、僕がお世話になった人達です。

そんな人達とも戦わなければいけない事はあるんです。

この人達だけじゃありません。

同期、先輩、社員、後輩、スタッフやMC、クライアントさん、色んな人がそれぞれ戦って、良いショーを作ろうとしているのです。

それを知れば、安直な楽園探しなど意味がないと分かってもらえるのではないでしょうか。


つづく。
2011-08-16(Tue)

アクションへの道(251)

当たり前すぎる話ですが、

ショーに関わる人のほとんどは

『良いショー』

を目指して頑張っています。

しかしながら各々の考え方がありますので、メンバー同士で食い違ったり、ぶつかったりする事があります。

僕はよく『食い違ってぶつかったエピソード』を書きますので、その場合、相手を非難するような表現を使ったりします。

しかし、『良いショー』を目指してる人は、例えどれだけ意見が違おうとも、尊敬に値する人なのです。

だから僕は出来るだけ敬意を払って、

僕が敬意を持っている事が分かるように書いているつもりです。

この『敬意』が伝わらなければただの悪口を書いていると思われて仕方ないでしょう。

前々回、

『誤解を受けるとしたら自分の文章力の無さ』

と書いたのはそういう事です。


しかし中には敬意を払うに値しない人物も登場します。

良いショーを作ろうともせず、

観客の事も考えず、

ただ自分が楽する事を考え、

ただ自分が利益を享受する事だけを考えている、

そんな人のエピソードを書く事もあります。

そんな時は僕は一切敬意を払いません。

おそらく文章からもそれは滲み出ているんじゃないでしょうか。

そんな違いを読み解いてみるのも『アクションへの道』の楽しさかもしれません。

勝手に書かれてる人達はたまったもんじゃないでしょうけど。

『いつか誰かに刺されるかもしれない』

とビクビクしながら書いてます(笑)


さて、

先ほど、『良いショーを作ろうとしている者同士でも意見がぶつかる事がある』と書きました。

これも後輩達に知っていて欲しい事の1つです。

これはショーの世界に限った話ではありませんが、

他人と意見がぶつかったり、

自分の意見を受け入れてもらえなかったりした時、

簡単に

『あぁ、自分の居場所はここじゃない』

なんて考えて団体を抜けたり別の団体に移籍したり、はたまた自分で団体を立ち上げたり、

そんな風に行動してしまう人ってけっこう多いんです。

しかし別の団体に移った所で結果は何も変わりません。

結局は意見の食い違いが生まれるし、自分の主張が通らない事も当然ある。

気の合う仲間を集めて作った自分の団体だって同じです。

ここで、

『人それぞれ考え方が違うのが普通』

『意見はぶつかって当たり前』

そう思えなければ何度も同じ失敗を繰り返してしまいます。

脱退や移籍を繰り返し、団体の解散と立ち上げを繰り返し、
何の成果も残せないまま年数だけを重ねていく事になってしまいます。

これに対し僕は、

『楽園なんてない』

という主張をするようにしています。

つづく。
2011-08-15(Mon)

個人練習

今日は大橋で練習しま~す。

筋トレと基本がメインです。

参加したい方は連絡お待ちしてまーす♪
2011-08-15(Mon)

アクションへの道(250)

しかしながら、ただ

『先輩方も今の君達と同じように考えて頑張ってきたんだよ、

だから簡単に先輩を非難しちゃいけないよ』

なんて書いたとしても説得力はありません。

人を説得するには具体例が必要なのです。

そこで僕は具体例を書く事にしています。

僕が書ける具体例は、僕が経験してきた事です。

僕が先輩に対し、

『古臭ぇんだよ!』

と憤り、

反逆し、

成功したり失敗したりして、

数年経って先輩の気持ちを理解する、

その過程を紹介していく必要があるのです。


これを実際のエピソードを元に書く場合、
先輩方を『古臭い考えの持ち主』として登場させねばなりません。

古い因習をもって若手の成長を阻み、ショーをつまらなくしている『邪魔者』として描かなくてはならないのです。

逆に僕自身(や同期メンバー)は、より良いショーを作ろうとするチャレンジャーとして、
そして頭の固い先輩に邪魔される『被害者』として書かねばなりません。

先輩達に邪魔されながらも新しいショー、面白いショーを作ろうとする僕の物語、

ここまでを読めば、ただ先輩達の悪口を書いているように思えるでしょう。

しかし物語はまだ終わっていないのです。

それから数年が経ち、僕が先輩達を理解した時、

そのエピソードをもって1つの完結を迎えるのです。

そこに至った時、古臭い邪魔者だった先輩は『若者を導く先達』となり、

古き因習を打ち破ろうとする僕らの挑戦は『若気の至り』になるのです。


このブログを読んでくれている後輩達も、今はただまっしぐらに、新しいショー、より良いショーを求めて頑張っていると思います。

その中で先輩達の教えに、古臭いやり方に反発を覚える事もあると思います。

今はそれでいい。

しかしいずれ、『現在の土台を作ってきた先人達に感謝する日が来るよ』と、

それだけは言っておきたいのです。


なのでもし、

『内野の野郎、俺の悪口ばっかり書きやがって!』

なんて思ってる方がいましたら(いっぱいいるでしょうけど)それを踏まえて読んでみて下さい。

僕の真意が分かってもらえると思います。


もし、

『どこをどう読んでも悪口にしか思えないぞ!?』

って場合は、本当に悪く書いてる可能性もありますけどね。


つづく
2011-08-14(Sun)

アクションへの道(249)

やめときゃいいのに前回またもや攻撃的な内容で締めちゃった武装代表です。

なんかね、

言いたい事が色々あり過ぎて文章がまとまらないんですわ(笑)

周りの人達からはたまに

『君のブログは敵を作る為に書いてんの?』

なんて言われちゃいますが…

そんなつもりは毛頭なくてですね、

文脈を読み取ってもらえれば誤解を受ける事もないと思ってるんですが…

それでも誤解を受けるとしたら僕の文章力の無さですね。

精進しなきゃ。

そうそう、後輩達に対するメッセージの途中でした。

僕がそれなりにキャリアを重ねて思った事の1つに、

『自分が経験した事のほとんどを、先輩方は経験してきている』

というのがあります。

若い時って、先輩達の言ってる事、やってる事が古臭く見えたりするんですよね。

『なんでもっと新しいアイデアを出さないんだろう!?』

『昔ながらのやり方を諾々と続けやがって…』

『時代は変わってんだよ!』

そんな風に思えてしまって、斬新なアイデア、奇をてらった手法に走ってしまったり…


しかし実は、先輩方も若かりし頃は同じ事を考えてたりするんですね。

そして斬新な、奇をてらった事を試してみて、

そして失敗したり成功したりして、現在につながってるワケです。

つまりは、現役メンバーが『良い』と思って続けているものも『良くない』と思って変えようとしているものも、全ては先輩方の試行錯誤の末に積み重ねられたものなのです。

自分達は先人が築いた土台の上に立っている、

この土台があるから新しいものを求めて歩く事が出来る、

その真実に、若い内はなかなか気付く事が出来ません。

数年経って、

先輩達と同じ苦労をして初めて気付く事が出来るのです。

逆に言えば、先輩達と同じ苦労をするまでは、どんなに頑張っても気付く事は出来ません。

それでも僕は若き後輩達に、

『先輩達も今の君達と同じように考えて頑張ってきたんだよ』

という事を発信していきたい。

いずれ

『内野さんのブログに書いてあったのはこの事だったのか!』

と思ってもらえるように。


つづく
2011-08-14(Sun)

和水町に山吹さやか見参!

8月13日(土)は、熊本県玉名郡和水町の

『和水町 第40回夏祭り盆踊り大会』

にて、『忍者ライブショー さやか見参!』を公演してきました!

高い櫓の上でのショーは久しぶりで、なんだかキャラクターショー時代を思い出してしまいました♪


玉名の子供達はみんなシャイで、得体の知れない忍者ショーを遠巻きに眺めていて、

でも決して冷めてるとかじゃなく、『興味があるけど恥ずかしい』って感じでしたね。

ショーの出来はなかなかのものだったので、きっとお客さん達には喜んでいただけたと思います。

さて、今回研修としてショーに入ってもらったマルヤマさん、

ご実家が近くだという事で、お母様が観に来て下さいました。

ショーを観てどう思われたかなぁ。

若干気になっております。

現地の担当さんや音響さん、その他の皆さんにも非常に良くしていただいて、とても楽しく現場を終える事が出来ました♪

みんなありがとう!

お疲れ様でした!!
2011-08-12(Fri)

リハーサルでした

11日はリハーサルでした。

なんの?

13日の『忍者ライブショー さやか見参!』の、です。

今回は無理を言って徳永潤さんにお手伝いいただく事に。

徳永さん、よろしくお願いしますね!

そして殺陣練習のメンバー、マルヤマさんにも研修として入っていただく事にしました。

マルヤマさん、よろしくお願いします!


リハ時間も残りわずか、これから最後の通しリハをしようかという時に、殺陣練習参加希望の男性がお2人来られました。

少しの時間だけリハを見学していただきましたが、果たしてどう思ったか…

来週来てもらえたら嬉しいな…


兎にも角にもまずは明日!

熊本県玉名郡和水町、
多目的広場で行われる

『夏祭り盆踊り大会』

に、さやか見参!!


ショーは19:15からの予定です♪
2011-08-11(Thu)

アクションへの道(248)

自分の未熟な頃を振り返り、現在と比較する事で反省点を浮き彫りにし、
自分への戒め、そして後輩達へのメッセージを示す事。

あるいは若い頃の情熱を思い返し、現在の自分の指針とする事。

僕が『アクションへの道』を書くのにはそんな理由があります。

そして、

『キャラクターに関わる事の大変さ』

を伝えたいというのも大きな理由の1つです。

『えっ!?普通は楽しさを伝えるもんじゃないの!?』

なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

いいんです楽しさなんて。

どうせキャラクターの世界に入って来る人は、
そして続けている人のほとんどは、
この世界に興味があったり好きだったりするワケですから、

興味があって好きな仕事は楽しくて当然なんです。

好きな世界にいるんだから楽しくて当然。

逆に楽しくないならこんな仕事やめてしまえばいい。

誰かに強要されてやるような仕事じゃないんだから。

だから僕は

『ショー(キャラクター)ってこんなに楽しいよ!』

なんて言うつもりはありません。

むしろ、

『自分が楽しむ為だけにキャラクターに関わってる人』、

『楽しい事だけしかしようとしない人』に、

『そうじゃないんだよ!』

と伝えたい気持ちが大きいんです。


我々の仕事は(今風に言えば)スーツアクターです。

キャラクターの衣裳を着けて演技をする俳優です。

それにはもちろん技術が必要ですし、技術を体得する為の練習や勉強が必要です。

スーツアクターの仕事とは、それら身に付けた技術を用い、鑑賞に堪え得る、観客を満足させる作品を作り出す事なのです。

しかし中には、

『キャラクターの格好をしている事』

に満足してしまい、

『子供に囲まれている事』

で悦に入ってしまう人がいるのです。

それだけで満足しちゃう人は本当に楽しくて仕方ないでしょうね。

大した努力もせず、
何の技術もなく、
スーパーヒーローの姿で人前に登場して、
子供達から握手や撮影をねだられるワケですからね。

それは100%衣裳の人気なんですが、そーゆー奴は自分の実力みたいに勘違いしちゃうんですよね。

おまけにショーの後、

『いやぁ~、今日はめっちゃ暑かったんで途中で倒れるかと思いましたよ~』

なんてドヤ顔で言われたりすると、

『何の努力もしとらんのやから暑いぐらい我慢せぇっ!』

と言いたくなってしまいます。


つづく
2011-08-10(Wed)

アクションへの道(247)

さてさて、

アクションへの道、

現在は2006年のエピソードの真っ只中。

2006年というと今から5年前。

5年という歳月を『長い』と思うか『短い』と思うかは人それぞれですが、ぼくの感覚では

『5年前なんて、ついこないだじゃん』

って感じです。

なので、この時期のエピソードに関しては生々しさが残っていて、書く事に躊躇があったりもします。

特に人間関係においては現在の僕に直接つながる人が多く、またそのほとんどが恩人である為、

『迂闊な事を書いて迷惑をかけたくない』

という思いがある事は否めません。

しかし、

それでもやっぱり書き続けなければならないと思ってます(誰も望んでないかもしれないけど)。

なのでここで、

ラストスパートに入る前にこれまでを振り返る意味も込めて、

この

『アクションへの道』

というシリーズについて考えてみたいと思います。


僕がこのシリーズを書こうと思ったのは、僕の

『ショーに対する熱い思い』

を残しておきたいと思ったからです。

熱い思いの中には、こだわりであるとか、哲学であるとか、方法論であるとか、色んなものが含まれているワケですが、単に

『俺はこう思う!』

という結果のみを語るのではなく、

『何故そう思うようになったのか』

『何を根拠にそう思うのか』

という過程を示していくべきだと考えました。

その為には、僕が見聞してきたもの、経験してきた事を紹介していくのがベストである、と、そう判断したワケです。

正直言って、このシリーズは『面白おかしく』書くつもりはありません。

誰かを批判したり、逆に媚びたりするつもりもありません。

全ての登場人物は、僕に『考えるきっかけ』をくれた人達として描いています。

エピソードによっては厳しく批判したり、激しく非難したりもありますが、それはあくまで、『僕が』『その時に』そう思ったというだけの事。

これも『アクションへの道』の1つのポイントです。

例えば、僕と社員さんの意見がぶつかって対立するエピソードがけっこうありますが、それも

『当時の僕の主観で書いてるが故』

という事が多々あります。

僕や同期の仲間達が会社を非難する時、常に

『正義は我らにあり』

と信じていました。

正しい事を言っているのは我々で、会社が間違っているのだと、“その時の”僕達は信じていたのです。

なので、当時の僕の主観でエピソードを書くと会社側が悪役になってしまいます。

しかしそこが終わりではありません。

それが『考えるきっかけ』なのです。

終わりどころかスタートなのです。

どういう事か?

『アクションへの道』は僕の成長の物語です。

経験を重ね、見聞を広める内に考え方が変わってきます。

後々になって思い返した時に、当時の社員さんの言動がようやく理解出来る事があるのです。

豊富な経験と知識を持つ先人が、たくさんのデータを元にして出した結論、

それを納得出来なかったのは、ひとえに僕ら若手の経験不足によるものだったと、後年になってようやく気付くのです。

先輩方が結論に至るまでの『式』を、データの蓄積が乏しい我々は読み解く事が出来なかったのだと。

他にも、

『俺達バイトは無責任にあーだこーだ言ってたけど、そりゃ社員の立場ならそうはいかないよなぁ』

なんてのも、後々になってようやく思い至った事です。

つまり、社員さんや先輩方、その他周りの人達との衝突は、

『自分の信じる正義は、必ずしも普遍的な正義ではない』

と僕が気付く為のエピソードとして書かれているのです。


これは自分に対する戒めや反省として書いているし、
当時の僕と同じように正義を主張して周囲とぶつかってしまう若き後輩達に向けたメッセージでもあるのです。

『立場や経験によって、考える式が変わってくるよ。
おのずと答えも違ってくるよ』

という事を若者達には知っていてほしいと思います。


まぁそれでも貫き通さなきゃいけない正義もあるんですけどね。


つづく
2011-08-09(Tue)

アクションへの道(246)

前回は『イラッ』としたエピソードを長々と書いてみましたが、今回もそんな感じです♪


とある歴史をテーマにした公園でのイベントでショーをする事になりました。

僕指名で

『しゃべりをよろしく』

との事だったのです。

『しゃべり』を頼まれるという事は、普段やってるショーじゃなくて、

『特別なストーリーのパッケージ』

か、

『スペシャルショー』

か、
逆に規模の小さな

『ミニショー』

か、
大体そんな所のハズです。

もしそうならストーリーを考えなければなりません。

更に言えば『しゃべり用の(BGM)パッケージ』を作らなければなりません。

それならば早く情報が欲しいものです。

どんなストーリーにしたらいいのか、

キャストは何人なのか、

せめてこれぐらい分からないと何も進められないので、僕は営業担当に確認を取りました。

しかし、何回訊いても

『まだ細かい事は決まっていない』
『打ち合わせ中』
『近々決まる』

などと言うのです。

何も分からないまま本番は近付いてきて、いよいよ1週間前…

『いくらなんでも1週間前には内容決まっとるやろ!?』

と思い確認の電話を入れましたが

『まだ決まっていない』

との事。

『そんな馬鹿な!!』

愕然とする僕。

その直後、友人が

『こんなのがあったよ~』

と1枚のチラシを僕にくれました。

それはその公園で行われるイベントのチラシでした。

だったらショーの事も何か書いてあるのでは!?

目を通すとそこにはキャラクターの写真と『キャラクターショー』の文字、

そして、

『●●公園と日本の歴史を破壊しようとする怪人にヒーローが立ち向かうオリジナルストーリー!

ヒーローは日本の歴史を守れるのか!?』

という説明が…


なんだよ!
ショーの内容決まってんじゃん!!

しかもカラー印刷のチラシが出回ってるぐらいですから、原稿を作ったのはかなり前なハズ、

だとしたらもっと前に内容も決まってたハズです。

そして営業担当がそれを知らなかったハズはないのです。

この営業担当さん、
実は元々アクターで僕の大先輩。

アクターとしてはすごい方ですが、いかんせん性格がテキトーなんです。

僕は彼に電話しました。

『チラシ見ましたよ!ストーリー決まってるじゃないですか!このストーリーでショーを作るから詳細を教えて下さい!』

しかし彼はこの期に及んで、

『まだ詳細が決まってない。決まったら連絡する』

と言うのです。

そして連絡がないままショーの3日前…

リハーサルは翌日です。

もうここで決まらなかったらショーなんて作れません。

『まだ分からない』

と言われたらもうこのショーからは手を引こう…

そう決意して営業担当に電話しました。

『もう3日前ですよ!?明日リハーサルなんですよ!?さすがに詳細決まってますよね!?』

すると彼は

『おう、やっと決まったよ』

と答えました。

しかしその内容は驚くべきものでした。

『普段と同じパッケージをやるから』


…ん!?

普段のパッケージ!?

普段のパッケージには日本の歴史も、ましてや●●公園の名前も出てこないぞ?

『えっ?
だって●●公園オリジナルストーリーでしょ!?
日本の歴史を守る話でしょ?
普段のパッケージにそんな要素は全くないですよ!?』

『だからね、オマエがしゃべり怪人になって、ショーのしょっぱなに出て、

我々は日本の歴史を破壊しにきた!
この●●公園も破壊してやる!

みたいな事を言うワケよ。
それから通常のパッケージを流せば客も

あぁ、この悪役は日本の歴史を壊しにきたんだ

って思うやろ』


いやいやいや!
ストーリー部分には歴史は全く絡まないから!

そんなんに騙されるほどお客さんも馬鹿じゃないから!

『それはあんまりでしょう!?
全然オリジナルストーリーじゃないじゃないですか!!』

そう憤る僕に先輩は飄々と

『俺の中では立派なオリジナルストーリーです』

なんてぬかします。

『先輩、それは子供騙しにしても悪質過ぎますよ。
せめて通常のパッケージをベースにして、オリジナルストーリーと呼べるものを作りましょうよ!』

『パッケージを編集する時間がないから無理やな』

『パッケージが作れないなら全編しゃべりにしましょうよ!』

『全部しゃべりにするとグダグダになったりするからな。
しゃべりは最初の説明だけで』


なるほど。

これは確信犯です。

最初から通常ショーをやるつもりで、

でもそれを明らかにすると確実にクレームが来るので、

ギリギリまで『まだ分からない』を貫いたのでしょう。

想像するに、通常ショーとオリジナルショーでは予算のかけ方が違うハズ。

もしそうだとしたら、この時もオリジナルパッケージ製作費を加えて普段以上の予算を組んでいたのではないでしょうか?

その予算はどこへ消えるのか??

まぁ予算の話は置いておくとしても、
あのチラシを見て、

『へぇ~、●●公園のオリジナルストーリーなんだって!』

と期待してくれたお客さん達に対する責任はどう取るのか?

おそらく何も考えてないのでしょう。

子供達の顔なんか脳裏にも浮かばないのでしょう。

古いアクターがよく言う、

『子供なんてキャラクターが出て戦ってりゃ喜ぶんだから!』

の精神なんでしょうね。

馬鹿野郎。

子供を舐めんな。

キャラクターショーを舐めんな。


僕は電話を切ると、キャスティングをしている後輩に連絡しました。

『本当に急でスマンが、●●公園の現場から俺を外してくれ。

お客さんを平気で騙すような悪事に俺は荷担したくない』


この判断の善し悪しは分かりません。

一度受けた仕事をキャンセルするのはプロとしてどうなのかとも言われました。

しかし自分の信念を曲げてまでショーをする事は出来なかったんです。


それにしても…

こんなに悪質な仕事してる社員がいんのか…

こんな事してたらウチの会社潰れるぞ…


僕はそう思いました。

そして実際、この年に会社が潰れてしまったのです。
2011-08-08(Mon)

第二回 ヒーローアクションワークショップ

コミュニコさん主催

『第二回ヒーローアクションワークショップ』開催!

講師:内野 武(アトラクションチーム武装)



子供の頃に憧れたヒーローのカッコいいアクションを体験出来るワークショップです!

第1回はヒーロー・ヒロインになりきって怪人と戦っていただきました。

第二回目の今回は怪人、そして戦闘員にも挑戦出来ます!

もしかするとキャラクターのアテレコにも挑戦出来るかも??

【詳細】
日時:9月10日(土)
18:00~21:00
会場:アクロス福岡地下1階練習室2
参加費:2000円

※途中参加OK!(事前に何時頃になるかお知らせ下さい)

※動きやすい服装でご参加下さい。

※会場は土足禁止ですので、屋内用シューズをご持参ください。

※ヒーローアクションは競技ではなくお芝居ですので、運動が苦手な方でも大丈夫です。

皆様のご参加お待ちしております。

※お申し込み方法
(申し込み先は武装ではなくコミュニコになっております)

1.メールフォームから申し込む
http://form1.fc2.com/form/?id=682437
2.facebookから申し込む
http://www.facebook.com/event.php?eid=115133301918641
2011-08-07(Sun)

アクションへの道(245)

えー、

キャラクターショーというのはアクターだけでは成り立たないものでして、

MCと呼ばれる司会のお姉さんですとか、

音響を担当するスタッフですとか、

色んな人達が力を合わせてショーを作るのでございます。

たくさんの人が集まれば、その分色んな人がいるってなもんでして…


これは、あるショッピングモールでのエピソード。

九州のとある島にオープンしたショッピングモール。

そこでのオープニングイベントでキャラクターショーが呼ばれまして、
僕はHIROの班の一員として現地に乗り込んだのです。

ステージ状況を確認してみた所、場所はエントランス前の広場。

ただしあまりスペースは取れないようです。

まぁ我々はステージが広かろうが狭かろうが演るしかないし、ある程度は対応出来る経験値がありますが、問題は『客席』が狭かった事。

狭いというよりは『幅がなかった』のです。

ステージも客席もベタ(地面)。

その状況で『幅がなく』『奥行きがある』客席だと、立ち見になった場合、前方の数列しかショーを観る事が出来ません(下図参照)。

 ステージ

 ○○○○
 ○○○○
 ●●●●
 ●●●●
 ●●●●

※立ち見だと前方の観客○からはステージが見えるが、何列か後の観客●は○が壁になってステージを見る事が出来ない。


ならば解決策は簡単、
全員座ってもらえばいいのです。

そうすれば後ろのお客さんにもショーを観てもらえます。

ただ…

先ほど書いたように、客席はエントランス前の地面。

直接座らせるワケにはいきません。

僕とHIROはスタッフに訊きました。

『ブルーシートは持ってきてないんですか?』

どうやら持ってきていないようです。

僕らは客席の状況を説明し、ショッピングモールさんからブルーシートをお借りする事を提案しました。

するとスタッフは渋い顔をして動こうとしません。

『??』

僕らが答えを待っていると彼は、

『いや、今回はブルーシート無しで、お客さんには立って観てもらおう』

と言いました。

『えぇーっ!?
だってそれじゃほとんどのお客さんがショーを観れませんよ!?』

『今回はブルーシートを持ってきてないから仕方ない』

『仕方ないって…
だからお借りしようって言ってるじゃないですか!
お店にダメって言われたんなら仕方ないですけど、
どうして訊こうともしないんですか!』

『今回は立ち見してもらって、
会社に戻ったら報告書の改善案に“備品としてブルーシートが必要”って書くから。
次回からはちゃんとブルーシートを持ってこれるようにするから今回はいいやろう』

『なんで今回はいいんですか!?
僕らはショーを演りに来たんじゃないでしょう!?
ショーを観てもらう為に来たんでしょう!?
観てもらえなくても“今回はいいや”って、それ、どういう事ですか!?
今日来てくれる子供達に顔向け出来ないでしょう!
ダメでもいいからこちらの担当さんに訊いてみて下さいよ!』

僕らの必死の声に対しスタッフさんは言いました。

『あのさ、俺も、社員のKも、クライアントに借りを作るような事は好きじゃない』

…はぁっ!?

こちらのお店のお客様に喜んでもらう為の提案やろ!?

地面に座らされた、
ショーが見えなかった、
そんな苦情がお店に来ないようにブルーシートをお借りしたいって話やろ!?

それが何で『借りを作る』事になるんじゃっ!

クライアントさんだってお客様の為なら喜んで貸して下さるわ!

…要はこのスタッフ、担当さんに頭を下げるのが嫌なのです。

頼み事をしに行くのが面倒なのです。

おまけに僕らを言いくるめる為にKさんの名前を利用する神経が気に食わん!

アホか!

虎の威を借るな小者が!

『じゃあKさんに電話して確認して下さいよ。
Kさんがダメって言うなら僕らも諦めますよ』

しかしスタッフは

『あいつも忙しい時間だしなぁ…』

とか言いながら電話しようとしません。

もし確認した場合、スタッフとKさんの意見が食い違う可能性があるからです。

そうなったらスタッフが単に面倒臭がっていた事が僕らにバレてしまうからです。

『今回はないから、とか、借りを作りたくないから、とかじゃなく、良いショーが出来るように努力するのがスタッフの仕事じゃないんですか!』

僕は頭にきて、そのまま店内の100円ショップに入り、自腹でガムテープとありったけのレジャーシートを買いました。

『これなら借りを作らないからシート敷いていいですよね。敷きますよ』

僕とHIROはシートを地面に貼り付けていきました。

スタッフは自分の言う事を聞かない僕らに対し、露骨に不満顔です。

『そんな勝手な事をやられたら会社が困る』

会社が、なんてわざわざ言う所が小者なんです。

『どう困るんですか?』

『こんな事をしたらクライアントさんに

“前回はそちらでシートを用意してもらったね。
次回も頼むよ”

って言われるかもしれん。

そしたら毎回俺らがブルーシートを持って来ないかんくなるやろ!?』

『ちょっと待って下さい、さっきあなた何て言いました?』

『え?』

『報告書に“次回からブルーシートが必要”って書くんでしょ?
次回からは持ってこれるようにするから、って言いましたよね?』

『…』

『次回から用意するつもりだったなら、次回用意しろって言われて困る必要ないじゃないですか。
何言ってんですか』

怒りを堪えてブルーシートを貼る僕らの横でスタッフは相変わらず

『…Kが何て言うかなぁ…』

なんて虎の威を振りかざすのでした。


たまにこんな残念な人がショーに関わってたりします。

もちろん会社の意見とアクター個人の意見は違う事もあるでしょうが、
僕らの仕事は

『観客あって』

のものだと肝に銘ずるべきだと思います。
2011-08-06(Sat)

次回の『さやか見参!』は

ショーの告知です!

8月13日(土)
『和水町 第40回夏祭り盆踊り大会』
(熊本県玉名郡和水町多目的広場)

にて、

『忍者ライブショー さやか見参!』第1話

を公演します!

時間は19:15~19:45(予定)

来れる方も来れない方も、応援よろしくお願いします!!


プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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