武装 『今回は剣殺陣メニューからですね』
代表 『そう。最初はね、刀を振り下ろした姿勢をジッとキープする練習。まぁ便宜上、站椿とでも呼ぼうかね』
武装 『たんとう?』
代表 『ホントの站椿とは違うけど、俺の中では同じイメージでやってるから、殺陣教室ではそれを“站椿”と呼ばせて下さい』
武装 『本来、站椿と呼ばれるものがあるんですね。それって?』
代表 『中国武術の用語でね。簡単に言うと、同じ姿勢をキープする鍛練法』
武装 『へぇ~』
代表 『まぁ詳細はいいでしょ』
武装 『えっ、そういった詳細を書くのがこのブログの趣旨でしょ?』
代表 『今回はもういいでしょ。いつかね』
武装 『ちぇっ』
代表 『実はさっき、途中まで書いた文章を謝って消去しちゃって…もう1度説明文を書くのがしんどいのよ。ってなワケで先延ばしにさせてもらえない?』
武装 『仕方ないなぁ。途中で文章を消去しちゃったショックったらないですしね。でもいつか説明して下さいよ』
代表 『分かった分かった』
武装 『站椿の次は』
代表 『いつもの摺り足。前進後退ね。これは摺り足で移動して“刀を振り下ろした姿勢”になる練習なんだけど、移動した上で正しい姿勢になるのはちょっと難しいんだ』
武装 『勢いとか体重移動とかが加わると、決められた姿勢で止まるのは難しいでしょうね』
代表 『でもさ、正しい姿勢を身体が完璧に記憶してたら移動した後でも再現性が高くなると思わない?』
武装 『身体が完璧に記憶してたらですね…あっ…その為の站椿なんですか!』
代表 『そうそう!とっさの時にも正しい姿勢が崩れないように、身体に完璧に覚え込ませる。その為の站椿だよ!』
武装 『ますます詳しい説明が聞きたくなりましたが、それは近々お願いしますね』
代表 『分かった。任せとけ』
武装 『絶対ですよ』
代表 『次は摺り足に真っ向の素振りを加えて』
武装 『フランス料理のメニューみたい(笑)』
代表 『うるさいよ』
武装 『スミマセン』
代表 『素振りをする時には摺り足なんだけど、シライシさんに関しては、今は細かいフォームは気にしてない。足を動かして刀を振れればいい』
武装 『今は身体を作る段階、という事ですね』
代表 『全ては身体が慣れてから。まぁそれでも常に正しいフォームを意識しておかなきゃいけないんだけどさ』

武装 『今回の素振りは真っ向だけですか?』
代表 『いや、その後に、更に真っ向100回、袈裟100回、逆袈裟100回、抜き胴50回やったよ』
武装 『あれ?真っ向の素振りはすでにやったんじゃ?』
代表 『先にやった真っ向は摺り足と上半身を連動させる為の素振り、後からやったのは上半身を強化する為の素振り』
武装 『ややこしいし面倒臭い!』
代表 『確かに…もっとスッキリしたメニューを組み立てられないか考えてみるよ』
武装 『合理的な練習内容を考えるのも難しいですね』
代表 『それも俺の仕事だからねぇ。素振りの次は型。やっぱり型は大切だよね。この型には16種類の動きが入ってるんだけど、それがとっさに出来るまで何回も何回もやらなきゃいけない』
武装 『まさに基本中の基本って事ですか』
代表 『そう。基本の話で言うとね、基本技ってのは、ただ覚えるだけじゃ駄目。ただ動けるだけじゃ駄目。そんなのは“基本が出来ている”とは言えない』
武装 『何が出来なきゃいけないんでしょう』
代表 『ズバリ、応用。キチンとマスターした基本形を状況に合わせて応用出来た時に初めて“基本が出来ている”と言えるんじゃないかな』
武装 『考えてみたら、応用あっての基本ですもんね』
代表 『基礎工事はしっかりやらなきゃいけないけど、その上に家が建たなきゃ意味ないですよ、みたいな感じかな』
武装 『納得です』
代表 『型が終わった後は攻め手と受け手に分かれて八双受けと柳受けをやりました。立ち回りではやらないけど、実際に打ち込んで本気で受ける練習を取り入れてます』
武装 『リアリティーを知る為に?』
代表 『うん。斬ったり斬られたりは体験出来ないけど、打ったり受けたりは出来るからね。本物の緊迫感や緊張感を知っておけば立ち回りで演技に変換しやすいでしょ?』
武装 『確かに』
代表 『実際に殴ったり斬ったりは必要なくても、立ち回りをやる以上は真剣勝負の緊迫感を知っておくに越した事はないからね。それにこれは安全性を高める為の練習でもある』
武装 『えっ?そうなんですか?逆に危なそうですけどね』
代表 『本気で狙ってくる攻撃を受けたり避けたりの練習をしてれば、立ち回り用の攻撃なんて受けるも避けるも楽なもんでしょ』
代表 『あ、そうですね。立ち回りでは実際に狙わないワケですからね』
武装 『次回はこの続きから話してみよう』
代表 『ラジャ。今回はいつも以上に長かった!』