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2011-05-30(Mon)

Zepp Tokyo

米倉利紀さんのライブを観てきました。

以前、安めぐみさんとのお芝居を観た事はあったんですが歌は初めて。

いやぁ、素晴らしかったなぁ。

先日のBRATS観劇後と同じ事を書くけれど、

僕も、もっともっと武装の活動頑張らなきゃいけないなぁ。
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2011-05-29(Sun)

東京

東京にやって来ました。

劇団BRATSの舞台を観る為です。

劇団BRATS第二回公演
『Sleeve』


素晴らしい舞台でした!


昨年のローカルヒーローフェスタをご覧になった方なら
『忍者ライブショー さやか見参!』
に登場した悪役、
『血飛沫鬼(ちしぶき)』
『血塗呂(ちみどろ)』
を覚えておられるかもしれません。

その血飛沫鬼と血塗呂を演じてくれたのがBRATS主宰の安田桃太郎氏と伊藤教人氏です。


無理を言って客演をお願いしたのですが、彼らのおかげでショーのクォリティが倍ぐらい上がりましたね。

今回はそんな彼らが作り出す世界を満喫しました。


ハッキリ言って、

名作!


150分ぐらいの尺で映画化してもらいたい!なんて思ったり♪


またいつか再演してもらいたい!なんて思ったり♪

無責任にそんなワガママを言いたくなるぐらいの名作でした♪

武装も負けないように頑張らなきゃなぁ。


なんて闘志を燃やした一日でした♪
2011-05-28(Sat)

5月26日、殺陣教室(2)

武装 『代表!何か面白くなるアイデア浮かびました!?』

代表 『そんな急に浮かぶワケねーだろこのヤロー!』

武装 『…わ…めっちゃ機嫌悪い…』

代表 『それが出来るんならとっくにやってるっつーのバカヤロー!』

武装 『すいませんすいません、でも1つだけ言っていいですか?』

代表 『言ってみろこのヤロー』

武装 『実はテンションで怒ってるだけでしょ?』

代表 『…』

武装 『前回駄々こねたから素直になれないだけでしょ?』

代表 『…』

武装 『普通に報告始めても僕は気にしませんよ?』

代表 『…』

武装 『僕がいたら普通に始めにくいですよね、僕ちょっとコンビニ行ってきます』

代表 『む、無理に席を外さなくてもいいんだぞバカヤロー』

武装 『いえいえ、無理にとかじゃないですよ。ちょっと用事があって。スミマセンがしばらくお願いします』

代表 『こらっ!気を遣わなくていいんだぞ!おい!



…あいつ…


…ちっ、仕方ねぇな…あいつの顔を立てて普通に報告始めてやるか…

…えー、26日の殺陣教室は、ワタクシとシライシさんの2人でスタートしました…

シライシさんは体調が悪く、咳が出ていたようなので、スタミナ持久系はやめて、じっくり筋トレ系で進める事にしました。

いつもはジャンプ6パターンから始めますが、今回はステップ3パターン、ジャンプ3パターンに変更、ずいぶん楽だったと思います。

筋トレはいつもよりも下半身メニューを増やしました。

筋トレの次は剣殺陣です。

まずは片足ジャンプ。

これは何の練習かと言うと、摺り足に含まれる蹴り出しのコツを掴む練習なんですね。

摺り足では後ろ足で床を蹴って前方に進まなきゃいけないんですよ。

ジャンプと同じ要領で推進力を生むワケです。

次は站椿。

站椿についてはこないだ詳しく話したんで説明は省きますね。

…で、筋トレと站椿で足がプルプルしてきた所で、ジャンプの動きを応用して摺り足。

今回は前進だけ。後退はやりませんでした。

ジャンプの要領で移動して站椿の形で止まる、それが目標です。

その後は木刀を持って素振りですね。

真っ向、袈裟をやってから、少し趣向を変えて片手の逆袈裟。

なぜ片手でやったかと言うと、筋トレ的な意味です。
片手で逆袈裟をやったら上腕三頭筋に効きそうなので(笑)。

左右の斬り返しで腕が疲れたところで更にもう1つ。
自分を中心に4人の敵に囲まれてると課程して、方向を変えながら4回連続の袈裟斬り。

これはけっこう腕にきますよ~。

10カウントで動いたのですが、1カウントで4回振るのでこれだけでもトータル40回振る事になりますからね。

ここで剣殺陣は終了。

この辺りでミフネさんが到着…』

武装 『代表!ただいま!』

代表 『わったった!』

武装 『順調に進んでますか?』

代表 『う、うっせーよこのヤロー!突然帰ってくんじゃねーよ!』

武装 『ス、スミマセン!』

代表 『腹ぁ減ったから弁当でも買って来いよバカヤロー!』

武装 『あぁ、はいはい、代表の好きなデミハンバーグ弁当でいいですかね?』

代表 『出来ればチーズが乗ってるやつだよ!早く行けよこのヤロー!』

武装 『はいはい、行ってきま~す♪…あ、コーラ買ってきたんで飲んで下さい!カロリーゼロのやつ!弁当と一緒に黒烏龍茶も買ってきますね!それじゃっ!』

代表 『…





…あいつ…いい奴だな…ぐすん』
2011-05-27(Fri)

5月26日、殺陣教室(1)

武装 『あれ?代表、どうしました?』

代表 『…うん』

武装 『元気ないですね。早く報告始めて下さいよ』

代表 『…うん』

武装 『ど、どうしたんですかっ?』

代表 『いや、この報告って必要なのかなぁ、と思って…』

武装 『えぇーっ?』

代表 『なんかさ、毎回毎回同じ様な話を長々と書くのに疲れちゃったよ…誰が読んでくれてるかも分からないのに…』

武装 『代表は以前、この報告は練習参加者の復習用だって言ってたじゃないですか。やめちゃったら教室に来て下さってる皆さんが復習できなくなっちゃいますよ』

代表 『教室の参加者も読んでないんじゃない?』

武装 『それは分かんないですけど…ってか、誰が読んでくれてるか分からないのがブログってもんでしょう』

代表 『そうなんだけど、ね…』

武装 『気持ちは分かりますが、そこを頑張りましょうよ』

代表 『書いても面白い話にならないじゃん?説明ばっかりでさ』

武装 『面白さより説明重視なのがこのブログでしょうに…でも何か面白い文章になる方法を考えましょう。』

代表 『う~ん』

武装 『とりあえず今回は簡単に済ませましょ。きっと代表も疲れてるんですよ!』

代表 『う~ん』

武装 『のんびりやりましょうよ!…ってなワケで、報告は次回から!』

代表 『う~ん…』
2011-05-26(Thu)

アクションへの道(195)

メルヘンの練習には、人数こそ少ないものの男性メンバーも参加していて、

『この風潮が広まれば…』

という期待をせずにはいられませんでした。

しかしやはりアクション一辺倒の男連中からは

『メルヘン練習に行ってる男は女目当てだ』

などと非難され、状況が改善される事はありませんでした。

実際に新人の男の子達が女の子と仲良くする為に参加するなんて事も多かったんですけどね。

他のチームは分かりませんが、

あくまで僕がいたチームの話なんですが、

そしてあくまで憶測でしかないんですが、

若くしてキャラクターショーにどっぷりハマる男の子って、日常生活が満たされてない人が多かった気がします。

打ち込む部活もない、

友達も少ない、

女の子とも縁がない、

印象だけですが、そんな感じの子が多かったです。

だって、部活に打ち込んでいて、週末につるむ友達やデートする彼女がいたらショーなんか出来ないですよ。

部活よりも友達よりも彼女よりもキャラクターショーが好き!なんて奴はかなりのマイノリティでしたね。

…で、学校で女の子に縁がない寂しい男がメルヘンの練習に来る、

早く技術を覚えてほしいし辞めてほしくないから女の子(先輩)達は優しく指導する。

女慣れしていない若者はその優しさを勘違いして

『俺いけるんじゃね?』

なんて調子に乗る。

毎週メルヘン練習に参加するけど練習は二の次で、練習後のトークに精を出す…

そんな感じに見受けられるメンバーもけっこういたんですよ。

だからアクションメンバーの言う『女目当て』ってのも分からんではない。

でもさ、女目当てかどうかは取り組み方を見れば分かるじゃん?

見もしないで思い込みだけで非難するってどうよ?

僕の中ではどんどん

メルヘン>アクション

という風になっていってました。

『メルヘンの地位を向上させたい!』

それが僕の野望になりました。

しかし、メルヘンの地位を向上させたいからと言ってメルヘンにどっぷりハマってしまってはいけません。

だってアクションメンバーはメルヘンの事なんて見てもないんですから。

まずはアクションメンバーの中で一目置かれなくては。

『内野さんって上手いですよね~』

ってアクションの後輩達が思ってくれたなら、

『あぁ、俺の技術はアクションだけじゃなくメルヘンも下敷きにしてるからね』

と言える。

『みんなもメルヘン練習に来てみたら?』

と言える。

そう思ったんです。

この時期の僕は、アクション練習もメルヘン練習も人一倍頑張っていたと思います。

その中でアクションメンバーをメルヘンに誘ったり、メルヘンメンバーがアクションに入る機会を作ったりと試行錯誤していました。


…さて、

アトラクションチーム武装では初心者向けの殺陣・アクション教室を行なっています。

手前味噌になりますが、初心者の方にも、

『教え方が分かりやすい』

と言ってもらえています。

実は僕の指導法の原点はこの時期にあるのです。

メルヘンの女の子達をアクション練習に誘うと必ず、
アクションが怖い、

運動能力に自信がない、

と言われていました。

そこで僕は、慣れてない人、運動が苦手な人に対する教え方を考え始めたのです。

何と言っても僕自身が運動が苦手な人間ですから彼女達の気持ちが分かります。

『考えなくていいから、まずは動いてみろ!』

と言われても、動き方が分からないんですよね。

考えなくても動ける人には『動き方が分からない』という事が分からないんです。

手本を見せて

『下手でもいいから、手本の通りに動けばいいんだよ!』

なんて教え方をするんです。

それが出来るんなら彼女達はとっくにアクション練習に参加してる。


これがですね、

『ついて来れない奴は辞めていい!』

って環境ならそういうスパルタ式もいいと思うんです。

でもキャラクターショーのチームって、メンバーを残す事、メンバーを育てる事が必要なんです。

いかに裾野を広げて底上げするかが大事なんです。

だから僕は、出来ない人、自信がない人にこそ教えなければ、と変な義務感を持ってしまいました。
2011-05-24(Tue)

アクションへの道(194)

僕が所属していたチームでは、毎週『アクション練習』と『メルヘン練習』が行なわれていました。

『アクション練習』とはヒーローアクションの練習(そのまんまですね)、
『メルヘン練習』とは、可愛い系キャラでのダンスやお芝居をメインにした練習でした。

基本的にアクション練習には男性参加者が多く、メルヘン練習には女性参加者が多いというのが日常的な光景でした。

僕は前年ぐらいからメルヘン練習にも参加するようになっていましたが、それは

『自身のメルヘンショーのスキルを高めたい』

『アクションとメルヘンの掛け橋になりたい』

という2つの理由からでした。

他のチームでは分かりませんが、僕がいたチームでは、アクションの人間がメルヘンの人間を下に見る傾向があったのです。

『アクションの技術はしっかり練習しなければ身につかない』

『だから自分達はキツい思いをして練習している』

『メルヘンなんてキツい練習をしないじゃないか』

『そもそも演技なんて練習しなくても出来るじゃないか』

『メルヘンの人間は楽な方に逃げてるだけだ。だからキツくても練習を頑張ってるアクションの方が上なんだ』

なんて考えてるメンバーが多かったんですよ。

実際は、演技だって練習しなくちゃ上手く出来るワケないし、メルヘンが楽なんて事もない。

特に90年代後半からのメルヘンショーはダンスのクォリティも上がり、立ち回りも増えてきていました。

元々アクションよりもメルヘンの衣裳の方が大きいワケですから、立ち回りとダンスが本格的になればキツさだってかなりのものです。

しかしそれはメルヘンを経験してみて分かる事。

頭から馬鹿にして練習にも現場にも関わらないアクションメンバーにその苦労が分かろうハズもありません。

実際、アクションしかやっていない男性メンバーがたまにメルヘンに入って演技力の無さを露呈する事が多々ありました。

傍から見れば全く動けていないのですが本人だけはご満悦、なんて事がほとんどでした。

思い上がっているアクションメンバーがけっこういたのです。

メルヘン練習にしか行かない女性メンバーはどう考えていたのでしょうか。

後輩達に話を聞くと、

『アクション練習は怖い』

という意見がほとんどでした。

女性にとってパンチやキックは本来縁遠いものです。

それが自分目掛けて飛んでくる。

当然怖いと思います。

それに加えて排他的な雰囲気、

『メルヘンの人間が、アクションを甘く見るなよ』

といった雰囲気も怖かったようです。

彼女達もプロならば、その怖さを乗り越えてアクションに挑戦してほしい、僕はそう思いました。

しかし、いかんせんアクションの門戸が狭められ過ぎです。

まずはアクションメンバーが受け入れ体制を作ってあげなければ先には進みません。

その為にはまず、アクションメンバーがメルヘンの技術の高さをしっかりと知る事、

偏見というフィルターを通さず、ありのままのメルヘンを見直す事が必要です。

『アクションメンバーが真剣にメルヘンに取り組んでくれたらいいのに…』

これは僕の数年来の願いでもありました。

1996年辺りの『アクションへの道』にも書かれてあると思います。

アクションとメルヘンが切磋琢磨すればチーム力の底上げになるのは間違いないんです。

しかしアクションの男性メンバーはメルヘン練習には参加しない…

それは、メルヘンを馬鹿にしているから、という理由の他に

『恥ずかしいから』

という理由もありました。

彼らは自分達の芝居を、ダンスを、人に見られる事が恥ずかしかったのです。

だからこそ何やかんやと理屈をこね、メルヘンに参加しなかったのです。

でもそれじゃ、『怖いからアクション練習に行けない』って言ってる女性メンバーと変わらないじゃないですか。

いや、その気持ちを隠す為にメルヘンをこき下ろしているアクションメンバーの方がよっぽど卑怯じゃないですか。

僕はそんな風潮を糾弾したかった。

糾弾する為には自分がメルヘンの世界に飛び込まなくては。

そう考えて毎週のメルヘン練習に参加するようになっていたのです。
2011-05-24(Tue)

教えるという事

武装がチームとして動き出して3年半、

殺陣教室を始めて3ヶ月、

そこにはいつも『指導』というものが絡んでくる。

メンバーに技術を教える、

教室の生徒に技術を教える、

これは同じ事のように思えて実は全然違う。

メンバーへの指導なら『武装流』を教え込めばいい。
そして即戦力になる教え方をしなくてはいけない。

教室の生徒には、本人が望むものを教えなければならない。
もしも実践的な技術を求めているのなら、武装だけでなく色んな所で応用が利く技術を教えなければならない。
ペース配分だってエンターテイメント性だって考えなければならない。

そんな中で常々思うのは、

『自分が動く事と人に教える事は違う』

という事だ。

自分がアクターをやってきたからといって、

自分がアクションをやってきたからといって、

人に上手く教えられるとは限らない。

教える為には専用のスキルが必要になってくる。

それを考える時、いつも脳裏に浮かぶのは、かつての武装メンバー、ジャスティン坂本の事だ。

僕が彼と出会った時、彼はすでに指導するプロだった。

それからもプロとしてたくさんの人達に指導を続け、今も関西で頑張っている。

彼を思う時、「果たして自分が指導者の顔をしていいのか?」と疑問を抱いてしまう事がある。

プロとそうでない者の線引きはハッキリと分かれている、と僕は思っている。

しかしながらそのラインは素人側からは見えない、プロにしか分からないラインなのだ。

自分はまだ、ラインの向こうに行けていないかもしれない。


…とはいえ、今の僕は自信を失うワケにはいかない。

すでにプロとして教え始めた以上、指導を受けてくれている人達への責任があるからだ。

きっとジャスティンだって悩みながら歩んでいたんだろう。

今だって安穏としているワケはなく、悩み、考えながらたくさんの人達に指導しているんだろう。

それなら僕だって、悩みながらでも、たまに自信がぐらついても、前に前に進むしかない。

身近に指針になる者がいて、常に考える機会をくれる、

素晴らしい環境にいるじゃないか、俺は。
2011-05-24(Tue)

5月19日、殺陣教室(3)

代表 『ふんふんふ~ん♪』

武装 『あれ?代表』

代表 『ん?』

武装 『何してるんですか?』

代表 『何って、帰り支度に決まってるじゃん。珍しく早めに報告が済んだんだから早く帰ろうと思ってさ』

武装 『やっぱり…忘れてる…』

代表 『えっ?』

武装 『あんたぁ!“本番中に真面目過ぎるとどーたらこーたら、これについては今回話す”なんて言っとったでしょうがぁっ!!』

代表 『え…、あ、あぁ、』

武装 『何をのほほんと忘れてんですか!』

代表 『わ…いや、忘れてないよ、今から話そうと思ってた所…』

武装 『嘘つけっ!』

代表 『た、立ち回りはさ、形が大事なんだけどさ』

武装 『がるるる…』

代表 『落ち着いてね、武装くん、形が大事なんだけどさ、真面目過ぎる人はショーの最中にもそればっかり気にしちゃうんだな』

武装 『以前はそこまでで終わってましたね』

代表 『真面目過ぎる人はショーの最中も、“腕の動きはどうかな、脚の向きはどうかな、膝は、肩は、腰の回転はこれでいいよな、身体の向きは、立ち位置は、スピードは、ちゃんと習った通りにやれてるよな”…ショー中もそんな事を考えてしまう』

武装 『本番中にそこまで意識してたら形もバッチリになりそうですね』

代表 『武装くん、ここからが大事な所だよ』

武装 『はい?』

代表 『キャラクターショーのお客さんはステージ上の何を観てるんだろう?』

武装 『何って…、キャラクターを観てるんじゃないですか?』

代表 『子供達はキャラクターが正しい動きをするかどうかチェックしてる?』

武装 『いや、そんな事はないでしょうけど…』

代表 『じゃあキャラクターの何を観てるんだろうね』

武装 『……』

代表 『お客さんはね、キャラクターの感情の移り変わり、つまり演技を観てるんだよ』

武装 『演技、ですか?』

代表 『そう。ステージ上でキャラクター達が見せる喜び、悲しみ、怒り、それがあるからストーリーだって生まれるし、だからこそ観客も引き込まれるんだよ』

武装 『そう、ですね…』

代表 『アクションシーンだってそうでしょ。大切なものを傷付けられた悲しみとか、傷付けたものへの怒りとか、それでも大切なものを守ろうとする信念とか、そんな感情が発露して戦いになるんだから』

武装 『…あ、』

代表 『嬉しくもない、悲しくもない、怒ってもない、心がからっぽなヒーローが操られたロボットみたいに敵を殴ったり蹴ったり殴られたり、そんなアクションシーンが胸を打つかな?』

武装 『打たない、ですね…』

代表 『だったらもう分かるよね。腕の位置は、脚の向きは、角度は、なんて考えてるキャラクター達の殴り合いも当然心に響かない』

武装 『そうですよね、普段から“立ち回りは芝居だ”って聞かされてたのにイマイチ理解出来てなかったみたいです。…でもやっぱり技の形も気にしなくちゃいけないんでしょ?』

代表 『もちろん。形があるから演技が成り立つんだし。ただね、それはショーの本番中に考える事じゃない。本番中に形なんて考えてちゃいけないんだよ』

武装 『でもそれじゃ形が崩れちゃいません?』

代表 『何も考えずに本番で正しい動きが出来るように、その為に練習をするんだよ。基本を何度も何度も何度も何度も繰り返して身体に覚え込ませるのは、いざ本番の時に演技に集中する為でもあるんだよ』

武装 『本番中は真面目過ぎない方がいいって、そういう事だったんですね』

代表 『間違えないように恐る恐る動いてるショーなんて面白いハズないからね。本番になったら自分の練習量を信じて、思いっきり動いて一線を越えなくちゃ!』

武装 『分かりました!肝に命じます!』

代表 『よし!終わった!今度こそ撤収!!武装くん、じゃあね~♪』

武装 『はやっ!!』
2011-05-23(Mon)

アクションへの道(193)

しばらく偉そうな事を書きました、

結局のところ何が言いたかったかというと…


それまでの現場では、僕は(僕らは)事務所の言う事を聞いてれば良かったワケです。
…ってゆーか、事務所の言う通りにするのが正しかったワケです

迷った事があればスタッフに伺いを立てるし、アクシデントの対応等もスタッフ(引いては事務所)の判断に従って行動するのです。
(ショーの最中にアクシデントが起きれば自分達で対応するしかありませんが)

最終的な責任を負う者が最終的な判断を下す、
それが組織ってものでしょう。

しかし僕が参加した撮影においてはそれが出来ません。

何度も書きますが、撮影はバタバタで、状況は目まぐるしく変わっていきます。

予定していた段取りが変わってしまう事なんて日常茶飯。

それでもこの現場には、僕らに指示を出すスタッフは同行していないのです。

指示を仰ぐべき社員は同行していないのです。

いちいち電話して相談する時間なんてありません。

つまりアクターである僕らが判断しながら動かなくちゃいけなかったんです。

『ごめん!急に●●●になったんだけど●●●出来るかな!?』

撮影スタッフの相談を受ければ自分達で答えを出さなければなりません。

望まれた事は基本的にやります。

それがバッチリ出来るのか、
ある程度しか出来ないのか、
ある程度というのはどのぐらいか、
衣裳的な事なのか、体力的な事なのか、
全てを自分達で判断しなければなりません。

『ごめん、今日は撮影に2時間ぐらいかかりそうなんだけど、体力的にどうかな?
…それと、途中で子供達と50m走とか出来ないかな…?
無理だったらしなくていいからね!』

なんて言われた際にも体力や衣裳など色んな事を考慮した上で、

『今の季節なら2時間保ちますよ。大丈夫です。
50m走も着ぐるみが大きいからスピードは遅いでしょうがいけると思います。
ただ、もし体力が保たなくなった場合、万が一どうしようもなくなった場合はアクター交代しますので5分間だけ時間をいただけませんか?
出来るだけ交代しなくて済むように頑張りますけど万が一の場合にはお願いします』

なんて答えるのです。

そして、

『もし交代する事になった場合、何かしら合図を出しますので、バッテリー交換という名目でハケさせて下さい』

なんてお願いまでするのです。


マスコットキャラクターはロボットだったので、いざと言う時の為に『時々バッテリー交換が必要』という設定を作っていたのでした。

ある程度の設定は決まっていましたが、現場で必要な設定はこのように僕が勝手に決めていました。

耳がアンテナになってるだの、ベルトの☆がバッテリーになってるだの、テレビ局のスピーカーに繋がないと声が出ないだの、子供達を言いくるめる為の設定をたくさん考えました。

まぁ余談でしたね。


つまりですね、

それまでの僕はただのアクターで、難しい判断は社員やスタッフに任せていました。

なので、何かミスがあった時は

『俺はスタッフの言う通りにしたんだからスタッフの責任だろ~』

なんて甘える余地があったんです。

スタッフや社員に頼れないロケの状況だったからこそ、

『現場でのベスト』

を自分の頭で考えるようになったと言えます。

これが武装を立ち上げてからどれだけ役に立っているか。

この撮影は、今の自分を作る上で本当に勉強になる仕事でした、って事が言いたかったのです。


まぁ勝手に判断して勝手に動くアクターなんて事務所からは煙たがられるだけなんですけど。
2011-05-23(Mon)

5月19日、殺陣教室(2)

武装 『代表、ワークショップお疲れ様でした。大成功だったみたいですね』

代表 『ありがとう。参加してくれた皆さんとコミュニコのお2人が盛り上げてくれたおかげなんだけどね』

武装 『画像を見たら楽しそうな雰囲気が伝わってきましたよ。こちらの報告も楽しくいきましょうね。前回は剣殺陣メニューが終わったところでした。これから変則メニューのボディアクションに入るんですよね』

代表 『そこの説明からだったね。いつもはさ、基本をしっかりやってるでしょ』

武装 『しっかりすぎるぐらい基本ばっかりですね』

代表 『この日はね、21日のワークショップに向けた練習をやったんだよ』

武装 『普段の基本とワークショップの内容は何か違うんですか?』

代表 『全然違うんだこれが。基本をしっかりやってたら何時間あっても先に進まないからね。時間内に形にする為にはとりあえず形だけを教える必要があったんだよ』

武装 『そういえば告知には、“最後はストーリー仕立てのアクション”みたいに書いてありましたね』

代表 『そうなんだよ。時間内にそこまで持っていく為にはどんどん形を覚えてもらうしかなくて』

武装 『技術を身に付ける殺陣教室と、アクションを体験するワークショップでは練習内容も変わってくるんですね』

代表 『で、ミフネさんはワークショップに少し遅れて参加するって言ってたから、遅れて来ても内容についてこれるように、先に色々教えたんだ』

武装 『あぁ、なるほど。変則ってそういう事ですか』

代表 『具体的にはリアクションとか避けとか受けをやったね。こちらでは形ばかりじゃなくて基本から教えたけど』

武装 『その次が…棒…って言ってましたね。棒の練習はかなり久しぶりな気がしますが』

代表 『うん。ホント久しぶり。これはね、ミフネさんのリクエストなんだ』

武装 『へぇ~』

代表 『ミフネさんは書家としてパフォーマンスをしている人で、そこで使えるかもしれないから棒が習いたいって最初に聞いてたんだよ』

武装 『書道のパフォーマンスですか。面白そう。棒の動きを応用したいって事は大きな筆を使うのかなぁ』

代表 『みたいだよ。今回は一番簡単な棒の回し方を覚えてもらいました』

武装 『棒を回すのは派手に見えるけど意外に簡単、なんですよね』

代表 『慣れるまではぎこちないけど、コツを掴めばすぐに早く速くきれいに回せるようになるよ』

武装 『ミフネさんが筆をビュンビュン回してる姿を見てみたい』

代表 『きっと近い将来見れるよ。続いては立ち回り。ここしばらくやってる手の応用だね』

武装 『避けて跳んで蹴って、のシリーズ』

代表 『それに手を加えながら、セリフも加えながら』

武装 『セリフ?』

代表 『正義のヒーロー対悪の怪人って設定でお互いにセリフを言いながらね』

武装 『楽しそうだなぁ~』

代表 『立ち回りも演技であり感情の発露だからね。セリフを言いながらの方が気持ちが入り易いよ』

武装 『ミフネさんがノリノリになってる姿が思い浮かびます(笑)』

代表 『最後は地獄のボックスで終了しました』

武装 『地獄って大袈裟な』

代表 『いや、上半身の弱いミフネさんにとっては地獄だったと思うよ。…ま、これからもやらせるけど』

武装 『うへぇ!この人やっぱりドSだ!!』
2011-05-22(Sun)

ヒーローアクションワークショップ

5月21日(土)、アクロス福岡にて、コミュニコさん主催の

ヒーローアクションワークショップ

が開催されました!

その中で僕は恐れ多くも『講師』という大役を務めさせていただきました。
ワークショップ 1

短い時間の中ではありましたが、攻撃を受けた際のリアクション、攻撃に対する受け、パンチやキックといった攻撃、それらを組み合わせた立ち回りを経験してもらいました。
ワークショップ 2

そして最後には簡単なキャラクターショーでヒーロー&ヒロインを演じてもらったり♪

参加者の皆さんはアクション未経験でしたが、とても真面目で集中力があり、しかもノリまで良くて、終始楽しい雰囲気でレッスンを進める事が出来ました。

コミュニコのコガさん&シライシさん、

参加者の皆さん、

アシスタントで手伝ってくれた阿部さん&織田先生、

本当にありがとうございました!

お疲れ様でした!!
ワークショップ 3
2011-05-20(Fri)

5月19日、殺陣教室(1)

武装 『あれっ?19日の報告に変わってる…12日の報告って終わりましたっけ?』

代表 『ハッキリとは終わってないけど、内容的には終わってたからフェードアウトからフェードインしよう』

武装 『…はぁ…まぁ内容が終わってたなら問題ないですよね。…あ、でも、本番中に真面目過ぎるとどうとかって話が途中でしたよ。続いては次回って言ってませんでした?』

代表 『その続きも少し待ってて。19日の報告の中で終わらせるから』

武装 『分かりました。19日はどなたが来られたんですか』

代表 『ミフネさん1人』

武装 『ミフネさん?』

代表 『以前公園教室の時に来て下さったMさん、それがミフネさんなのだ』



武装 『あーっ、初参加でめっちゃ色々やらされた方ですね!』

代表 『そうそう』

武装 『という事は2回目の参加ですね』

代表 『うん。前回は公園だったんで実技メインだったけど、今回は練習室で基本をしっかりやったよ』

武装 『ではメニューを』

代表 『大きく分けて、筋トレ→剣殺陣→ボディアクション→棒→立ち回りの5種類』

武装 『お、珍しいのが入ってますね。詳細をお願いします』

代表 『了解。まずはジャンプからの筋トレ。これをしっかりやりました』

武装 『ミフネさんどうでした?』

代表 『少しキツそうだったけど楽しそうだったよ』

武装 『身体動かすの好きっぽいですもんね。剣殺陣は?』

代表 『こないだ説明した站椿。いつもより長めにね。それからジャンプして摺り足』

武装 『またジャンプですか?』

代表 『ウォームアップのジャンプと違って、摺り足の感覚を身に付ける為のジャンプだね。詳しい説明は需要がないだらうから省きます』

武装 『出た、秘密主義』

代表 『ジャンプの感覚を活かして摺り足をした辺りで、けっこう足がガクガクしてた。站椿が効いてる』

武装 『効果バツグンですね、站椿』

代表 『それから壁に向かって袈裟斬り。安全で効果的な刀の振り方を覚えてもらったよ』

武装 『あぁ、代表が以前のチームで唯一教わった剣殺陣の練習ですね』

代表 『若い時にもっと色々習いたかったなぁ…。でも、そのコンプレックスが今の自分を作ってるんだろうから文句言えないね。次は素振り。真っ向と袈裟の2種類』

武装 『ミフネさんはメニューについてきてました?』

代表 『スピードを上げるとフォームが崩れるけど、ちゃんとついてきてたよ。参加2回目であれだけ出来れば文句ないよね』

武装 『シライシさんといいミフネさんといいセンスありますね~』

代表 『集中して一生懸命取り組んでるから、ってのが大きいんじゃないかな。後は指導を素直に受け入れてるからってのもあると思う』

武装 『センスも大事だけど、やっぱり取り組む姿勢が一番大事って事なんですかね』

代表 『そう思うよ。努力が足りない人はどれだけセンスがあっても伸び悩む気がする』

武装 『センスがある事に安心せず常に精進…ですね』

代表 『然り。さて、次はボディアクションなんだけど…』

武装 『ボディアクションなんて言葉、今まで使わなかったですよね?今回はどうして?』

代表 『う~ん、ちょっと変則メニューだったからね』

武装 『変則メニューって?』

代表 『ま、とりあえず今回はここまで、って事で』
2011-05-20(Fri)

アクションへの道(192)

…なんだか最近ブログの文章が堅かったですね。

~である!

…軍人か!

~なのだ!

…バカボンのパパか!

反省して少し柔らかくしますね。



『キャラクターの役割』について、なんて言ってる僕ですが、撮影初期の頃は役割どころか何をしたらいいのかすら全然分かりませんでした。

ある程度ロケに慣れ、何度かオンエアを観る事で、ようやく、

『あ、この時は(キャラクターが)映るな』

『一生懸命リアクション取ってるけど、ここは基本的に映らないのか』

なんて事が分かるようになり、
スタッフさんの動きで何となくの進行具合いも分かるようになり、
カメラが回っていない時間の雰囲気も段々読めるようになり、

ようやくその中で僕は自分が演じるキャラクターの役割を見つけたのです。

それは、

『撮影中に子供達を飽きさせない』

という事、です。


このコーナーはオンエア上では5分~10分ぐらいしか流れないので、テレビを観ている子供達は撮影も短時間で終わると思っています。

しかし、撮影って実はすごい時間かかるんですよね。

素人が絡めばなおさら、

大勢の子供が関われば言わずもがな。

10分のコーナーを撮る為に1時間半もかかるなんて子供達には想像も出来ないでしょう。

最初は

『イェーーーイ!!』

と積極的にカメラに向かっていた子供達が、30分を過ぎたぐらいから

『…意外と長いね…』

なんて囁きくようになり、1時間を回る頃には

『…イェーー、イ…』

明らかにトーンダウンしてしまいます。

途中からおしゃべりが増え、好き勝手に動き出します。

タレントさんもスタッフさんも子供達の集中力を切らさないよう一生懸命です。

しかし前回書いたように撮影中はバタバタなので思うようにフォローが出来ません。

そんな時に微力ながらフォローするのがキャラクターの役割、と僕は(勝手に)判断したのです。

だってフリーで動けるのはキャラクターだけなんですもの。

子供達のテンションが下がった気配を察知した時こそキャラクターの出番です。

広い体育館を縦横無尽に走り回り、参加者に、先生に、見学の生徒達に絡みます。

撮影に飽きた子供達は刺激に飢えているので予想外のアクションで大いに盛り上がるのです。

しゃべれないキャラクターにとって頼みの綱はボディアクションのみ。

子供達を盛り上がるのに一番有効だったのはお笑い芸人さんのネタです。

オリエンタルラジオさんの『武勇伝』、

小島よしおさんの『そんなの関係ねぇ』、

レイザーラモンHGさんの『フォーッ!』

長州小力さんのパラパラ、

色んなネタをやりました。

ギャグだけではありません。

戦いを挑んでくる子供がいれば本格的にスパーリングをやりました。

軽やかに技を繰り出すと歓声が上がったものです。

ダンスだってやりました。

撮影の邪魔にならない範囲で思い付く限りのネタをやりました。

体力的にはめちゃめちゃハードでしたが、子供達も喜んでくれれば万事OKです。

後でタレントさんやスタッフさんから、

『余計な体力を使わせてゴメン!でも場をつないでくれて助かったよ!』

なんて言ってもらえれば疲労だって勲章です。


余談、

子供達のリクエストに応えてお笑い芸人さんのネタをやっていると、ある女の子から

『ヒロシやって!』

と言われました。

『…ヒロシです…』

もちろん最大限の演技をしたのですが…

傍から見れば巨大な着ぐるみが立ち尽くしているだけ…

子供達から

『あれ?止まった!?』

『疲れた?キツいのにやらせてゴメンね』

と心配されたのは苦い想い出です。


動きで見せるネタ以外は着ぐるみには出来んとです…

タケシです…

タケシです…

タケシです…
2011-05-18(Wed)

5月12日、殺陣教室(4)

武装 『マックで英気を養った所で続きいきましょう!』

代表 『うぅ…武装くん…ひどいよ…』

武装 『え?』

代表 『俺がカロリー摂取を控えてる前でバクバクバクバク…』

武装 『控えるのは代表の勝手、食べるのは僕の勝手です。さ、進めましょ!』

代表 『うぅ…。足技にいく前には…』

武装 『下半身の筋トレですね!』

代表 『うぅ…。筋トレの後は…』

武装 『膝上げや蹴り上げのストレッチですね!』

代表 『うぅ…』

武装 『もう!しっかりして下さい!そんなに落ち込むぐらいなら好きなだけ食べなはれ!』

代表 『うぅ…』

武装 『勝手に控えて勝手に落ち込まれたら迷惑です!』

代表 『…それもそうだね…』

武装 『じゃ、気を取り直して…』

代表 『じゃじゃん!次は!いよいよ!前蹴りだぁ!』

武装 『…いや、普通のテンションでいいですから…』

代表 『あら、そう?今回はねぇ、前蹴りと回し蹴りをやったんだよ』

武装 『シライシさんは回し蹴り初めてですよね』

代表 『そうだよ』

武装 『今回は色々やらせましたねぇ!』

代表 『とりあえず体験Dayだね。今後のメニューを考えた際に、1つずつ進めたい時と、広く浅く進めておきたい時があるんだよ』

武装 『じゃあ回し蹴りは…』

代表 『とりあえず身体を通してもらったって事で…以上で足技終了~!』

武装 『はやっ!』

代表 『最後は立ち回りでーす』

武装 『最近いつもやってる立ち回りですか?』

代表 『アレンジを加えてね。いつもは刀vs徒手だったけど、今度は刀vs刀にしてみたよ。普段やってる動きを盛り込んでね』

武装 『そうなんだぁ。言われてみれば刀の立ち回りはシライシさんやってなかったですね』

代表 『ある程度の動きは基本でやったから、そろそろ実際に動いてみないとね。せっかくだから役を決めて台詞もつけてみた』

武装 『お芝居形式ですか』

代表 『まぁホントに一瞬の短い芝居だけどさ』

武装 『シライシさんは演劇出身だから、テンション上がったんじゃないですか』

代表 『上がったねぇ(笑)シライシさんの発案で、新選組・土方歳三vs岡田以蔵って設定を作って』

武装 『観てみたかった!』

代表 『こないだも紹介したけど、観たかったらこちらからどうぞ→(12日の殺陣動画)』

武装 『おぉーっ、シライシさんノリノリじゃないですか!カッコいい!』

代表 『注文をつけようと思えば細かい部分は色々あるけど、立ち回りではノリノリで思い切り動く事も必要だからね。これはその好例だよね』

武装 『ノリノリは必要ですか。ノリでやっていいなら僕でも乗り切れそう!…と思いましたけど、慣れない事をする時はやっぱり緊張で縮こまっちゃいそうです』

代表 『実は真面目なんだね武装くん』

武装 『えっ?』

代表 『いや、いい事なんだけど、ショー中も真面目すぎる人が多いなぁって思ってて』

武装 『えっ…ショー中は不真面目な方がいいんでしょうか』

代表 『そうじゃないけど(笑)でも真面目な人はショーの最中も1つ1つの動きをキチンとやろうって意識しちゃってる。まずは構えだよな、次は相手を見るんだよな、右足を斜め後ろに引くんだよな、左の外受けだよな、右手は腰に引くんだったよな、…って』

武装 『でもでも、立ち回りは形が大事って代表いつも言ってるじゃないですか。だったらショーの最中も形を意識した方がいいんじゃないですか?』

代表 『武装くんもまだまだだなぁ』

武装 『えーっ!?なんで!?』

代表 『それは次回説明するよ』
2011-05-18(Wed)

アクションへの道(191)

キャラクターの役割を知る事、

それは自分達が演じるキャラクターが、イベント全体の中でどの位置にいるのかを把握する事だ。

前回書いた撮影におけるキャラクターの状況(打ち合わせもほとんどなく、進行中も何が起きているか分からない等)は、キャラクターショーの現場ではあってはならないだろう。

キャラクターショーではキャラクターが主役だからだ。

メインのキャラクターがあやふやな演技をしていては成り立たないからだ。

しかし別のイベントではどうだろうか。

タレントが、子供達が、選手達が、偉い人達が主役で、キャラクターはほんの彩りなんてイベントがほとんどじゃないだろうか。

僕らキャラクターは『賑かし』と表現される事もあれば、クライアントさんから露骨に『客寄せパンダ』と呼ばれた事もある。

これはいじけて皮肉を言ってるワケではなく、また開き直ってるワケでもないが、『賑かし』には『賑かし』の、『客寄せパンダ』には『客寄せパンダ』の仕事がある。

完璧を求められない、

プロの仕事を求められない、

ハッキリ言って、誰が入ってもかまわない、

ただ着ぐるみがそこに立っていればいい、

クライアントさんがそういうつもりで我々を呼ぶ事だって実際にあるのだ。

ならばそこに打ち合わせは必要ないだろう。

細かい進行を知る必要もないだろう。

ただ言われた場所に立って賑かせばいい。

『そんなんじゃプロの俺達が入る意味ないじゃん!』

というアクターがいるかもしれない。

しかし、果たしてそうだろうか?

僕は思う。

『プロの仕事とは、クライアントさんやお客さんに求められるものではない』

と。

『求められずともプロの仕事をする、それがプロというものだ』

と。

『俺達はプロなんだ!』

と声高に主張する必要なんてない。

客寄せパンダとして、出来る限りのプロの技術でお客様を楽しませればいい。

その結果、『誰が入っても変わらん!』と言っていたクライアントさんが

『やっぱりプロは違うな!』

と思ってくれたらそれが最高じゃないか。

『プロ』という言葉は他人に語る肩書きじゃない。

自身の努力、知識、経験、そして責任を背負った矜持こそを『プロ』と呼ぶべきだ。

…まぁ人によって考え方は違うだろうけど、僕にとっての『プロ』ってそういうものだな、と気付いた事が、番組に関わって一番勉強になった事かな、と思う。

…あ、僕が参加した番組のスタッフさんからは、

『着ぐるみなんて誰が入っても同じだ!』

『いてもいなくても変わらないんだから、その辺に立ってりゃいいんだ!』

みたいな扱いを受けた事は一切ありません。

スタッフさんもタレントさんも、びっくりするぐらいキャラクターを大切にして下さいました。

撮影は巻きでバタバタしながらも、キャラクター(アクター)の体調を気遣って下さり、時には見せ場さえ作っていただいた事も。

おそらく(僕の勝手な想像ですが)この撮影で僕らに求められていたのは、

『撮影がバタバタで、正直キャラクターにかまってる余裕がない、だからプロの技術で上手く合わせてもらえないだろうか』

という事なんだと思う。

キャラクターを軽視して放置したのではなく、プロとして信頼して任せてくれたのだ。

そういった環境だったからこそ僕は

『各現場において、キャラクターはどうするのがベストか』

を深く考えるようになったのだ(※)。



(※)深くは考えるが行き着く先は浅い
2011-05-17(Tue)

10分

週末のアクションワークショップで使う音源のセリフを録音してきました。

先輩の音響屋さんにミキサーをお願いし、仕事仲間の女の子Nちゃんに声をお願いしました(もちろん僕もしゃべりましたよ)。

短いパッケージを2本(実質1.5本)。

録音にかかった時間は10分ぐらいじゃないでしょうか。

武装の録音はけっこう早くて、普通の30分パッケージなら1時間もあれば録音が終わります。

これは声優の皆さんの技量とミキサーのH先輩の技量と僕のいい加減さがあいまった結果でしょう。

とか言いながら、他のチームがどのぐらい時間をかけているのか知らないのですが…

まぁ僕基準では早い、という事で(笑)
2011-05-17(Tue)

ヒーローアクション ワークショップに向けて

いよいよ今週土曜日に迫ったコミュニコさん主催の

『ヒーローアクション ワークショップ』

に向けて、着々と準備を進めております。

参加者の皆さんには、2時間半(実質2時間)の中で、いくつかの基本技を覚えてもらい、最後はショー形式のアクションに挑戦してもらいます。

当日は短い時間の中でやる事がたくさん!

参加者の皆さんも僕ら講師も大変そう。

でもすごく楽しそうな気配を感じます♪


ヒーローアクションワークショップは↓↓

5月21日(土)
アクロス福岡 地下1F練習室3
18時~20時半
参加費2000円
参加方法
◇メールフォームからお申し込む◇
http://form1.fc2.com/form/?id=625443
◇facebookから申し込む◇
http://www.facebook.com/event.php?eid=129060753837078¬i

◆コミュニコ◆
(http://ameblo.jp/communenico/)
2011-05-17(Tue)

5月12日、殺陣教室(3)

武装 『えーと、前回は、“本気で狙う練習をしておくとショーでの安全性につながる”って話で終わりました』

代表 『本気の攻撃を本気で受けたり避けたりする練習をしておくと、受けや避けのタイミングが分かるんだよね』

武装 『立ち回りの攻撃と本気の攻撃では受け手のタイミングも変わってくるもんですか?』

代表 『全然違うよね。立ち回りの攻撃と違ってモーションが小さいから、かなり集中してないと避け損なっちゃう。スピードも速いし実際に狙ってくるワケだしさ』

武装 『なるほど。そういう攻撃を受ける練習をしておけば立ち回りで余裕が出来るというのもうなずけます。立ち回りの攻撃はモーションも大きいし軌道も分かりやすいし何より狙ってこないですからね』

代表 『そうそう。だからこそ技を見切る余裕が出来る。よく漫画なんかでさ、“オマエの攻撃は見切った”とか言って、技をギリギリで躱したり、攻撃がスローで見えたりみたいな演出があるじゃない?』

武装 『ありますねぇ』

代表 『あの現象が立ち回り中に起きるワケよ』

武装 『ホントですか!?』

代表 『マジで。だから受けるも躱すも自在になる。そうなったら攻撃が当たって怪我をしたり衣裳を破損したりって危険性も少なくなる。なにしろ攻撃する側も当てない練習をしてるワケだからね。こうして攻めと受けの距離をゼロに近付けていく事は客観的なリアリティーにもつながるんだよ』

武装 『なるほどですねぇ。安全面も演技面もプラスになるなら言う事なしですね。…あ、もし攻め手が未熟で、本番中に本気で狙ってきたらどうします?』

代表 『問題ないでしょ。元々本気の攻撃を受ける練習をしてるんだから』

武装 『あ、そーか』



代表 『剣殺陣メニューはこの後の山かけと斬り返しで終了』

武装 『山かけは頭を左右から斜めに斬り下ろす技でしたね』

代表 『山形って呼ぶのが一般的かもしれない。俺は誰に山かけって習ったんだろう?キャラクターショーのチームでは山々(やまやま)って呼んでたし』

武装 『一般的かそうでないかは別として、色んな呼び方があるんですね。斬り返しはどんなんですか?何となく想像はつきますけど』

代表 『ほう。説明してみい』

武装 『斬って返すんでしょ?つまり1回斬って、返す刀でもう1度斬る。…合ってます?』

代表 『正解正解♪』

武装 『やったぁ』

代表 『斬り返しは頭を斜めに斬り下ろして、横薙ぎに刀を返す技だよ。これを左右やって、次は足技に突入』

武装 『ねぇ代表、最近は超長文が続いてるんで、たまには早めに切り上げてみません?』

代表 『ん?…そうだな、そうしようか』

武装 『スミマセン、口出ししちゃって…』

代表 『いいよいいよ、せっかくだからマックにでも行って、週末のアクションワークショップの作戦でも練るわ』

武装 『あ、僕もお供します!』

代表 『よし、行くぞ武装くん!』

武装 『はいっ!』
2011-05-16(Mon)

アクションへの道(190)

2001年、僕にとって大きな出来事は、地方局のテレビ番組に参加させていただいた事だろう。

なぜ事務所が僕をキャスティングしたかと言えば単にスケジュールの都合が付き易かったからなのだが、その偶然に僕は今でも感謝する。

小学生をメインターゲットにした情報バラエティーみたいな番組で、僕はマスコットキャラクターのアクターとして第1回放送から関わらせてもらった。

この番組に参加した8年間(撮影に呼ばれた頻度はすこぶる低いけれど)、本当にたくさんの勉強をさせていただいたし、たくさんの方々と出会う事が出来た。

今の僕があるのはこの番組のおかげ、と言っても過言ではない。


勉強という事で言えば、まずペーパーだった僕が車の運転を覚えた(アクターのスキルとは関係ないじゃん!)。

この撮影には僕と女性メンバーが2人1組で参加していた。

午前と午後でアクターとアテンド(付き人)を交代する為だ。

もちろん移動の車も自分達で運転しなければならない。

そこで会社から

『基本的には(運転に慣れている)女性メンバーに運転を任せるけど、この機会にオマエも運転を覚えろ』

との特命(?)が下ったのだ。

というワケで僕は後輩である女性メンバーに厳しく指導を受けた。

『内野さんっ!なんでここで車線変更しちゃうんですかっ!』

『内野さんっ!いつまで1速で走るつもりですかっ!』

テレビ局のスタッフも同乗しているというのに、いつも怒鳴られたものだ。

この女性メンバー、『人前で怒りたがる』癖がある。

移動の車内でもそうだが、テレビ局内でも現場でも、人目があるとどうでもいい事で僕を怒鳴り散らすのだ。

周りの人達は、明らかに後輩である女性に怒鳴られている僕を見てクスクス笑っている。

そういった事で優越感に浸るのが好きな側面が彼女にあった事は間違いない。

それに関してはまた別のエピソードで触れると思う。

といずれにしても、僕が現在ハイエースにメンバーを乗せて現場に行けるのは、この厳しい後輩のおかげなのだ。

さて、次は実際にアクターとして勉強になった事だ。

僕はそれまで、テレビ番組の撮影は事前にしっかりと打ち合わせがあって、キチンと分かりやすい合図の元に進められるのだと思っていた(以前関わった撮影はそんな感じだったし)。

しかし状況によってはそうではない事もあるのだ。

僕が参加した番組の場合、メインはタレントさん達であり参加する子供達である。

タレントさんは100人以上の子供達と絡みながら番組を進行しなければならない。

マスコットキャラクターは特に絡みもなく、言われた立ち位置で流れに合わせて動いていればいい。

難しい事など何もない。

なので事前の打ち合わせも特になかった。


では撮影中の指示はどうか?

昼休みや放課後という限られた撮影時間に大勢の子供を相手にスタッフさんはバタバタ。

そんな中でマスコットキャラクターにまで細かい指示があるハズもない。

カメラがいつ回っていつ止まったかも僕らには分からなかった。

タレントさんと子供達がどんな話をしているかも聞こえなかった。

集中して状況確認したいが、悪ガキ達に囲まれてそれも出来なかった。

着ぐるみは僕が経験してきた中でも屈指のキツさだ。

休憩する暇もなく、平均して1時間~1時間半、長い時は2時間ぐらい出ずっぱり。

重い着ぐるみを支える肩に激痛が走る、

重い腕パーツを支える筋肉が悲鳴をあげる。

最初の頃は

『えーーっ!?撮影ってこんな感じなんー!?』

と思っていた。

でも、

それを続ける内に気付いた事がある。

それは

『キャラクターの役割』

について、だ。
2011-05-15(Sun)

5月12日、殺陣教室(2)

武装 『今回は剣殺陣メニューからですね』

代表 『そう。最初はね、刀を振り下ろした姿勢をジッとキープする練習。まぁ便宜上、站椿とでも呼ぼうかね』

武装 『たんとう?』

代表 『ホントの站椿とは違うけど、俺の中では同じイメージでやってるから、殺陣教室ではそれを“站椿”と呼ばせて下さい』

武装 『本来、站椿と呼ばれるものがあるんですね。それって?』

代表 『中国武術の用語でね。簡単に言うと、同じ姿勢をキープする鍛練法』

武装 『へぇ~』

代表 『まぁ詳細はいいでしょ』

武装 『えっ、そういった詳細を書くのがこのブログの趣旨でしょ?』

代表 『今回はもういいでしょ。いつかね』

武装 『ちぇっ』

代表 『実はさっき、途中まで書いた文章を謝って消去しちゃって…もう1度説明文を書くのがしんどいのよ。ってなワケで先延ばしにさせてもらえない?』

武装 『仕方ないなぁ。途中で文章を消去しちゃったショックったらないですしね。でもいつか説明して下さいよ』

代表 『分かった分かった』

武装 『站椿の次は』

代表 『いつもの摺り足。前進後退ね。これは摺り足で移動して“刀を振り下ろした姿勢”になる練習なんだけど、移動した上で正しい姿勢になるのはちょっと難しいんだ』

武装 『勢いとか体重移動とかが加わると、決められた姿勢で止まるのは難しいでしょうね』

代表 『でもさ、正しい姿勢を身体が完璧に記憶してたら移動した後でも再現性が高くなると思わない?』

武装 『身体が完璧に記憶してたらですね…あっ…その為の站椿なんですか!』

代表 『そうそう!とっさの時にも正しい姿勢が崩れないように、身体に完璧に覚え込ませる。その為の站椿だよ!』

武装 『ますます詳しい説明が聞きたくなりましたが、それは近々お願いしますね』

代表 『分かった。任せとけ』

武装 『絶対ですよ』

代表 『次は摺り足に真っ向の素振りを加えて』

武装 『フランス料理のメニューみたい(笑)』

代表 『うるさいよ』

武装 『スミマセン』

代表 『素振りをする時には摺り足なんだけど、シライシさんに関しては、今は細かいフォームは気にしてない。足を動かして刀を振れればいい』

武装 『今は身体を作る段階、という事ですね』

代表 『全ては身体が慣れてから。まぁそれでも常に正しいフォームを意識しておかなきゃいけないんだけどさ』



武装 『今回の素振りは真っ向だけですか?』

代表 『いや、その後に、更に真っ向100回、袈裟100回、逆袈裟100回、抜き胴50回やったよ』

武装 『あれ?真っ向の素振りはすでにやったんじゃ?』

代表 『先にやった真っ向は摺り足と上半身を連動させる為の素振り、後からやったのは上半身を強化する為の素振り』

武装 『ややこしいし面倒臭い!』

代表 『確かに…もっとスッキリしたメニューを組み立てられないか考えてみるよ』

武装 『合理的な練習内容を考えるのも難しいですね』

代表 『それも俺の仕事だからねぇ。素振りの次は型。やっぱり型は大切だよね。この型には16種類の動きが入ってるんだけど、それがとっさに出来るまで何回も何回もやらなきゃいけない』

武装 『まさに基本中の基本って事ですか』

代表 『そう。基本の話で言うとね、基本技ってのは、ただ覚えるだけじゃ駄目。ただ動けるだけじゃ駄目。そんなのは“基本が出来ている”とは言えない』

武装 『何が出来なきゃいけないんでしょう』

代表 『ズバリ、応用。キチンとマスターした基本形を状況に合わせて応用出来た時に初めて“基本が出来ている”と言えるんじゃないかな』

武装 『考えてみたら、応用あっての基本ですもんね』

代表 『基礎工事はしっかりやらなきゃいけないけど、その上に家が建たなきゃ意味ないですよ、みたいな感じかな』

武装 『納得です』

代表 『型が終わった後は攻め手と受け手に分かれて八双受けと柳受けをやりました。立ち回りではやらないけど、実際に打ち込んで本気で受ける練習を取り入れてます』

武装 『リアリティーを知る為に?』

代表 『うん。斬ったり斬られたりは体験出来ないけど、打ったり受けたりは出来るからね。本物の緊迫感や緊張感を知っておけば立ち回りで演技に変換しやすいでしょ?』

武装 『確かに』

代表 『実際に殴ったり斬ったりは必要なくても、立ち回りをやる以上は真剣勝負の緊迫感を知っておくに越した事はないからね。それにこれは安全性を高める為の練習でもある』

武装 『えっ?そうなんですか?逆に危なそうですけどね』

代表 『本気で狙ってくる攻撃を受けたり避けたりの練習をしてれば、立ち回り用の攻撃なんて受けるも避けるも楽なもんでしょ』

代表 『あ、そうですね。立ち回りでは実際に狙わないワケですからね』

武装 『次回はこの続きから話してみよう』

代表 『ラジャ。今回はいつも以上に長かった!』
2011-05-13(Fri)

アクションへの道(189)

『2001年の夏は暑かった』ばかり書いていても仕方ない。


とは思ったが、やはりこの年の想い出は『暑かった』事なのだ。


とある夏祭りでのショー。

夕方に1ステージ、夜に1ステージというプログラムだった。

3人のヒーローが活躍するアクションショーだった。

夕方、
ただでさえ暑いのに、西日を浴びながらの激しいアクション。

ショーが終わってヒーローの1人を演じていたメンバーが倒れた。

我々とて長年の経験から、

『非常に疲れている』



『ちょっとヤバい』

の違いは分かる。

倒れたメンバーは、明らかに『ちょっとヤバい』状態だった。

僕らはとにかく彼を安静にさせて、2回目のショーで彼の負担を減らすべく打ち合わせを始めた。

しばらく時間が経ち…

打ち合わせを終えた我々が彼を見ると…

彼は『苦しむ』でもなく、ただ、

『ぐったり』

としていた。

『ちょっとヤバい』が『非常にヤバい』に変わっていた。

『緊急事態』と言ってもいい。

同じ班に入っていた大ベテランの先輩が最終判断を下した。

『Sさん(スタッフ)、こいつを病院に連れて行って。2回目はヒーローを1人減らしてしゃべりでいこう。
内野、しゃべりでストーリーと構成を考えといてくれ、俺は音響さんと打ち合わせしてくる』


この『アクションへの道』の中で、僕はこの大先輩を悪く書く事が多い。

しかし実際の所は(当然だけど)尊敬して余りある所もたくさんあるのだ。

この時の迅速な判断、行動は賞賛に値する。

突発的なアクシデントに対しての見極め、適切な人材配置、指示の的確さ、どれを取っても見事なものである。

これはイベントの世界で長年修羅場をくぐってきた経験値がそうさせるのだろうか。

いや、きっとそればかりではない。

先輩は若い頃から大勢の人達の上に立ってきた方なので、自分を含めた人の動かし方を心得ているのだ。

僕は関心しながらストーリーを考えた。

ここは僕の経験値を活かす所だ。

1人が倒れたからしゃべりにすると言っても、ただ単に

『3人のヒーローを2人に減らしたストーリー』

を作ればいいワケではない。

『出来るだけ1回目と変えない事』

が重要なのだ。

ストーリーから立ち回りから全てを新作にしてしまったらゼロからリハーサルをやらなければいけなくなる。

1回目が終わってしばらくして決定した事なので、2回目のショーまで時間はないのである。

出来るだけパッケージと同じストーリー(展開)で、

立ち回りも極力変更させずに、

ヒーロー、戦闘員に台詞を極力喋らせずに(スタッフがいないので影マイクが出来ないのだ)、

なおかつショーとしての盛り上がりを損なわない、

そんな構成を考え、30分ぐらいで完成させなければならない。

結論から言えば、このショーは成功でした。

キチンと盛り上げられたと思うし、メンバーへの負担も少なく出来たし。


すごく当たり前の事なんですが、こうしたアクシデントやトラブルは無い方がいいに決まってます。

でも、それでも起きてしまうのがトラブルやアクシデントなんです。

僕が考えるプロの仕事の定義の1つは

『アクシデントに対応出来る事』

なんですが(もう1つは、常に平均点のショーが出来る事。仕事の再現性が高い事)、このような事態に対応する事でそのスキルを磨かなきゃいけない、

そう思います。


さて、数日してから再会した後輩は元気になっていました。

ホッとしました。

正直、

『このまま死ぬんじゃないか』

と思っていたからです。

無事で良かった。


キャラクターショーには危険がいっぱいです。
2011-05-13(Fri)

5月12日、殺陣教室(1)

武装 『さっそくですが、今回はシライシさんとマンツーマンだったそうですね』

代表 『端折り方が上手くなったね』

武装 『毎回長いから頑張って短くしないと』

代表 『確かに。じゃあテキパキと内容を説明しよう。最初はジャンプ』

武装 『2曲分?』

代表 『そう。…で、1曲目は今まで通りで2曲目に腕の振りを加えてみたよ』

武装 『お、また1つ難易度が上がったんですね。どうでした?』

代表 『キツかったわ~、シライシさんもキツそうだった~』

武装 『ジャンプだけでもキツそうなのに…』

代表 『でもジャンプにも慣れてきてたからね。少しずつ変化をつけた方が効果も高いかな、と』

武装 『まぁそうかもしれませんね』

代表 『それから壁に向かって倒立をやろうとしたけど…』

武装 『けど?』

代表 『シライシさんの身体が倒立のやり方を忘れてたんで断念(笑)』

武装 『(笑)。倒立なんて日常生活じゃやりませんもんねぇ』

代表 『なので筋トレに突入。今回は倒立の代わりに腕立てキープからスタート。後はいつもとあんまり変わらない』

武装 『いつもがあんまり分かりませんが…まぁいいでしょう』

代表 『引き続き手技。今回は空手パートのみ』

武装 『空手パート?手技メニューにパート分けがあったんですか?初耳です』

代表 『明言したのは今が初めてだもん(笑)これまで漠然と分けてはいたんだけどさ』

武装 『ちなみにどう分けてるんですか?』

代表 『正拳や手刀、裏拳、各種の受けなんかは空手パート。殴りとか、捌いてからの裏拳とか、立ち回りを想定した動きは立ち回りパート』

武装 『なるほどなるほど。実戦的なものが空手パートなんですね』

代表 『今までシライシさんには正拳突きしか教えてなかったけど、今回はすごいよ』

武装 『すごい?何がですか?』

代表 『正拳突きの中段・上段をやって、手刀、裏拳の中段と顎打ち、上段受け、外受け、内受け、下段受け。正拳以外は全部初めて』

武装 『詰め込みすぎでしょー』

代表 『まぁ詰め込みすぎなんだけど、別に全部上手くやれって言ってるワケじゃなくて、一回経験しといてほしかったんだよ』

武装 『上手くやらなくてもいいんですか?』

代表 『そうそう。こんな動きのこんな技があるって知ってもらうのが目的だったから。さらっとでも一回やっとけば、何となく次がラクな気がしない?』

装 『まったくゼロからやるよりは…』

代表 『身体も徐々に馴らしていきたいしね』

武装 『シライシさんは大変だったでしょうね~』

代表 『大変だったと思うけど、でも初めてにしては上手く動けてたよ』

武装 『そうですか。やっぱり取り組み方が真剣だと会得も早いんですね』

代表 『ただ、いつもよりかなりキツそうだった。もしかしたら体調悪いのかなぁとか心配だったよ』



武装 『大丈夫だったんですか?無理はしないでほしいです』

代表 『倒れたり怪我したりしたら元も子もないからね』

武装 『手技は以上で終了ですか?』

代表 『受けの動きを復習して手技は終わり。これ以上続けると集中力が保たないんで、剣殺陣メニューに入りました』

武装 『じゃあそれは次回に』

代表 『そだね』
2011-05-12(Thu)

アクションへの道(188)

2001年の夏は暑かった、と書いた。

他の年も暑いのだが、一際暑かったように思う。

着ぐるみやヒーローショーをやっていると、よく

『暑くて大変でしょう!』

と労いの言葉をかけていただく。

言っても詮無い事ではあるが、

『暑いでしょう!』

と言って下さる方が想像するより何倍も暑い。

夏場のアクションショーなど、『暑い』ではなく『熱い』なのだ。

照り付ける太陽、

日陰にいても汗が吹き出す気温、

身体にびっちりと張り付くゴテゴテした衣裳、

酸素も視界もないに等しいマスク、

その中での演技、アクション。

暑さを増す要素ばかりがてんこ盛り、
それがキャラクターショーだ。

ハッキリ言って、ショーの出来不出来に関わらず、

『1回のショーをこなす』

だけでも不慣れな人間には、そしてショーが好きでない人間には不可能だと思える。
(だから新人さんにはある程度ラクな演出をつけなければならないのだ)

だが我々はプロである。

『出来不出来に関わらず』

なんて言っている立場ではない。

どんなにキツくとも、どんなに苦しくとも最高のショーをする義務がある。

もしも

『ヒーロー番組が好きだから』

『コスプレが趣味だから』

といった理由だけでショーの世界に足を踏み入れようとしている方がいたら言っておきたい。

『日常生活でも死者をだしてしまう近年の暑さの中、サウナの中でサウナスーツを着込み、フルフェイスのヘルメットを被ってビリーズブートキャンプをする覚悟はあるのか?』

と。


直接の面識はない知り合いの話だが、

『キャラクターショーが大好き!』

を公言していたほぼ素人の男性は、とある現場の途中、あまりのキツさに仕事を放棄して行方をくらませた。

ショーではなくグリーティングのみの現場だったそうである。
(グリーティング…キャラクターが会場を練り歩き、握手や撮影などを行なう事)

まぁ彼の場合は特殊なのかもしれないが、これはそこまで稀な事ではない。

数日間通しの現場で、2日目の朝に来ない(連絡も取れない)新人なんてざらにいるのだ。

改めて言うが、アクションの世界に飛び込む以上はそれなりの覚悟で臨んでほしい。
(こうやって狭き門にしちゃうのも良くないと思うけど)

僕も夏場のショーでは、必殺技をくらって(怪人役なので)テントに戻ると、一瞬でも早く衣裳を脱ぎたかった。

まずマスクを脱がせてもらいたかった。

呼吸がしたかった。

それが分かっているので後輩も急いでマスクを脱がせようとする。

するとファスナーがひっかかって脱げなくなったりする。

『落ち着けぇっ!慌てなくていいっ!落ち着いて開けろぉっ!』

僕も慌てた声で叫んだものだ。

そして衣裳を脱ぐと、とりあえずテントに大の字に倒れる。

背中の下は熱いアスファルトだ。

背中が焼けそうに熱い。

汗がいつまでも吹き出す。

でも動けない。

どうにか呼吸を整えて立ち上がると、地面には僕の形の水溜まり(汗溜まり)が出来ている。

夏場は毎回そうだった。

しかし大の字で休めるのはメンバーに恵まれている時だけ。

新人や慣れないメンバー、使えない奴が戦闘員役の時は、衣裳からダッシュでジャージに着替えてステージに飛び出さなければならない。

サイン会や撮影会の手伝いをする為だ。

滝のように流れる汗を拭いながら、

『こちらに1列にお並び下さーい!』
『撮影会は後ほど行ないまーす!』
『はい!写真撮るよー!ママの方向いてカッコ良くポーズ!』

と叫び続けるサイン会、撮影会。

『テントで大の字で休んでても死にそうなのに…!』

と思いながら動き回っているのだが、ふと意外に元気な自分に気付く。

『あれ?俺、元気じゃね?』

『じゃあ大の字になってる時は何であんなキツいんだ?』

『もしかして、休んでても大丈夫っていう甘えがあるからキツいのか!?』


普段の自分に対する、

『キツいフリをした甘え疑惑』

が浮上してしまう夏のひと時だった。
2011-05-11(Wed)

アクションへの道(187)

2001年の夏はとにかく暑かった!

熱中症という言葉を知ったのも、それで命を落とす事があるというのもこの年だった。

なにしろ、登校中の学生さんが亡くなったりしたのだ。

そんな中、炎天下で警備員のバイトをする僕もその影響を受けないワケにはいかなかった。

当時通っていた現場は道路を作っている最中で日陰などなく、暑さで作業員が何人か倒れた。

そこに1人で派遣されていた僕は、ダンプを誘導してあっちに走りこっちに走り、とにかく走り回っていた。

あまりに汗をかくので、冷凍したお茶4リットルを毎日持って行っていたのだが、どうやらこれが良くなかったらしい。

胃が弱ってしまったのかもしれない、
ある時を境に、食べても飲んでも戻してしまうようになったのだ。

これはけっこうツラかった。

暑い中を走り回る、
大量の汗をかく、
お茶を飲む、
戻す、

この繰り返しだ。

会社に『休みをくれ!』と言ってみたがもらえなかった。

どうやら年配の警備員達が(熱中症で)バタバタと倒れ、人手が足りなかったらしい。

僕はみるみるやつれてきた。

どんどん落ちる体重、
どんどん落ちる脂肪、

やがてこの夏バテ状態が楽しくなってきた。

前年からダイエットしていたのだが、それが加速する形で痩せていく。

よし!

こうなったら夏バテを利用してダイエットだ!

それからは毎朝5時に起きて筋トレ、

最低限の食事を摂りながら警備で走り回る、

警備が終われば道場へ行き、筋トレ&有酸素運動、

アクションの練習をみっちりやって帰って寝る。

そんな日々を送った。

練習がない日も筋トレとジョギングを続けた。

おかげでこの年はかなりいい身体をしていたと思う。

ショーに入っても、あえてキツい事をやった。

現役の後輩達との真剣勝負が楽しかった。


この年は本当に充実していた。

年間通して現場に入った数も、アクションリーダー、メルヘンリーダーと並んで1位だったぐらいショーに入った。

おそらくここで僕は道を誤ったのかもしれない。

それに関してはもう少し後に書こう。
2011-05-10(Tue)

研究・勉強

アクションの上達を願うなら、練習はもちろんだけど、知識や理論も多少は必要だと思う。

知識や理論がないという事は、練習内容や技術について考える余地がないという事だ。

新人の頃なら何も考えなくていい。

余計な知識で頭でっかちにならず、与えられた課題に必死に取り組むのが新人の仕事だ。

しかし、ある程度のレベルに達した者、人に教える立場になった者は積極的に研究と勉強を重ねるべきだと思う。

『これは何故こうなのか』

理屈が分からなければ自らが先に進む事も人を導く事も出来ない。

真の意味で上に立っている者は研究や勉強を欠かさず、なおかつ人一倍の練習を怠らない。

(残念ながら武装代表はまだまだハンパなのだ)

知識や理論に目もくれず練習のみを黙々と行なうのは二流、

練習もそこそこに、かき集めた知識のみを偉そうにひけらかすのは三流、四流、いや、それ以下だろう。


キャラクターショー(もしくはスーツアクター)の研究というのは、他人のショーを観る事ではない。

テレビのヒーロー番組を何度も見返す事ではない。

(いや、それも必要なんだけど、そればっかりじゃ駄目って事ね)

アクションに、お芝居に結び付きそうなものは何でも観て吸収する、その姿勢が大切だ。

言っておくが、『技』や『動き』を覚えてパクるのは研究ではない。

『何故そうなったのか』

『何を表現する為にどうしたのか』

『それを自分が再現する為には何をすればいいのか』

を考えて精進するのが研究だ(と思う)。

だからもし、アクションに関して一家言持っているならば、パチンコに行く前に、飲みに行って酔っ払う前に、その他諸々の自由を享受する前に、

『自分はちゃんと研究・練習やってるかな?』

と考えるべきだ。

もしやるべき事を怠って嗜好にふけっているなら、今後アクションを語るのはよした方がいい。


オマエだよ。


この文章を打ってるオマエ。





…俺かっ!!
2011-05-09(Mon)

小説・さやか見参!2(94)

『奥義の在処を突き止める事は出来なんだが、みずちの息の根を止めただけでも上出来じゃ』

血讐はおだやかな口調でかすみを労った。

『前から気になってたんですけど…』

断が口を開いた。

『血讐様ってみずちと何かあったんですか』

『答えとうない』

穏やかに声で短く吐き捨てた血讐はどことなく不機嫌に思えた。

感情を見せるなど珍しい、と封は思った。

しかし断は血讐の感情の機微を読めなかったようだ。

『って事はやっぱり何かあったんですよね。気になるなぁ』

『断、血讐様にだって秘めた想い出ぐらいあるわよ』

封が冗談ぽい口調で諫める。

厳しく言えば角が立つかもしれない。

封はこんな時、ついつい丸く納めようとしてしまう。

殺戮を生業とする者とは思えぬ気の遣いようだ。

血讐は封の心理を看破して

『ふふ』

と笑った。

やはりおなごの方が読心の術に長けておるようだ。

それに比べて断などのほほんとしている。

自分の言葉にひやひやした封の気持ちを察する事など出来ぬのであろう。

これと組んでいては封も苦労が絶えまい。

いや、互いの性分が違うからこそ調和が取れているのかもしれぬ。

そんな事を考えながら断と封を交互に見る。

血讐の視線を感じた断は目をそらし、

『秘めた想い出ねぇ』

と蒸し返しながら立ち上がった。

『断、』

その先の言葉を制そうと封が立ち上がる。

その時だった。

『ん?』

と断が声をあげたのは。

『ど、どうしたの?』


横顔に向かって問い掛けると、珍しく真顔の断が身体ごと振り向いて

『あれ、違ったのかな』

と、やや興奮気味に言葉を発した。

『あれ?』

『おふう見てないか?イバラキが身に付けてた巾着』

『え?…あぁ、うぐいす色の?』

『それだよ!』

断の力強い言葉の後に間の抜けた沈黙が流れた。

そしてやはり封の返事も間の抜けたものだった。

『…なにが?』

『だーっ!だからよ!あれに入ってんじゃないかって言ってんだよ!』

断はもどかしそうに頭をくしゃくしゃと掻いて

『荊木の奥義が!』

はっきりとそう言った。

予想外の展開に一瞬刻が止まる。

『…あれ、に?』

封が記憶を辿る。

『まさかぁ!奥義を納めるには小さすぎるでしょ』

確かにイバラキは常に巾着を身に付けていた。

しかしそれは赤子の拳ぐらいの大きさで、一派の奥義を隠せるような物とは思えなかった。

だから封も対象から外して考えていたのだ。

『奥義が元々何に記されてたかは分からねぇけどよ、口伝の部分は棄てて、最も重要な記述だけ残していたら?それだけならあの袋に入らねぇかな?』

『そ…』

否定しようとして同時に可能性を探り言葉に詰まる。

『そんな事するかしら?奥義のほとんどを棄ててしまえば、術の伝承に支障が出るかもしれないのよ?』

『イバラキほどの奴なら全部覚えてるんじゃねぇか?』

『それはあんたの想像でしょ』

断と封のやり取りに血讐が割って入った。

『あの男が、幻龍組を誰かに継がせるだろうか…?』

断と封が同時に血讐を見る。

血讐もゆらりと立ち上がった。

『術を継がせるという事は、その相手を信頼し受け入れるという事だ。我らの策略により怨念の塊となった幻龍イバラキが誰かに跡目を託すとは思えん。ならば…』

血讐の後を受けて断が呟く。

『すでに会得した奥義は棄てても問題ない…』

『どちらにしても、我らが求める奥義の大半は失われたという事に…』

封の顔に動揺が浮かんだ。

『まぁ落ち着け』

そう言ったのは血讐だ。

『その巾着に入っているのが奥義の一部だったとして…イバラキがいまだ会得出来ぬほどの秘技か、あるいは会得しても棄てられぬほどの極意か、どちらかの可能性もある』

『分かりました』

封が背筋を伸ばした。

目付きが鋭くなっている。

『とりあえずあれを手に入れりゃあいいんだな』

断は不敵な笑みを浮かべ、無精髭をさすった。

そして軽く地面を蹴ると―

二人の姿は同時に消えた。

それを見て

『ふっ』

と笑い、血讐はまた縁側に腰掛けた。

血飛沫鬼、血塗呂の兄弟はいつの間にか姿を消していたが、それに気付いていたのは老忍者ただ一人だった。
2011-05-09(Mon)

5月5日、殺陣教室(4)

武装 『前回は蹴りの前の筋トレで終わっちゃいましたね』

代表 『自分でもびっくりだよ』

武装 『筋トレの先に進みましょう』

代表 『足を上げる為の筋肉を鍛えたら次は足を上げる為のストレッチ。膝上げと蹴り上げだね』

武装 『筋力と柔軟性の両方を使って蹴りを出せる身体を作るんですね』

代表 『論理的、かつ科学的』

武装 『なのに代表の蹴りが低いのは何故でしょう』

代表 『うるさいですよ』

武装 『やっぱりお腹の肉が邪魔ですか?』

代表 『殺しますよ』

武装 『ストレッチの後は蹴りですね』

代表 『前蹴りをね、左右30本ずつぐらいやったかな。とにかくテーマは筋肉を意識する事ね』

武装 『意識した蹴りとしてない蹴りは違いますか』

代表 『違うね。鋭さが全然違う。筋肉を意識するっていっても脚全体に力を入れるワケじゃなくて、上げる筋肉、伸ばす筋肉、曲げる筋肉をそれぞれ意識する』

武装 『上げる時には上げる筋肉を、伸ばす時には伸ばす筋肉を、って事ですか』

代表 『まさしくその通り』
武装 『瞬間的にそれぞれの筋肉を意識するにはかなり慣れが必要なんでしょうね』

代表 『次は蹴りを落とされる練習…これは2人とも練習済みだからささっと終わらせて、蹴りを落とされて山かけを躱す練習をしたよ』

武装 『山かけの避けは最近やってますよね』

代表 『いつもやってるのはその場で避ける動きだけど、今回は移動を加えてみた。斬ってくる刀をくぐって前方に出るような動きだね』

武装 『移動が加わるだけで難易度が上がりますね。何かコツはあるんでしょうか?』

代表 『足を盗む事かな』

武装 『出た、代表が教えてくれない“盗む”!』

代表 『あまりに簡単なコツすぎてさ。最後は今のメニューを入れた立ち回りをしてみました。最近やってるあのシリーズ』

武装 『避けて跳んで、のやつですね』

代表 『そう。前回は、避けて跳んで蹴って落とされてしゃがんで受け身、だったけど、それを、』

武装 『分かりました。避けて跳んで蹴って落とされて避けて移動、にしたんでしょ?』

代表 『おぉっ!?君はエスパーか!?』

武装 『代表の思考と練習パターンが分かってきましたからね。立ち回りの後、練習の最後には何かキツい事をやったんでしょ』

代表 『よ、読まれてる…いかにもその通り。久しぶりにボックス』

武装 『嫌われてるメニューTOP3に入るであろうボックスですね』

代表 『2人ともボロボロだったよ』

武装 『練習の最後にやったらそりゃキツいでしょうよ』

代表 『だからその後にジャンプを2曲分』

武装 『2セット目!?これも嫌われてるメニューの上位でしょう』

代表 『でも2人とも、“ボックスよりは断然ジャンプがいい!”って言ってたよ。“足は腕の3倍の力があるから!”って(笑)』

武装 『そんな問題なのかなぁ(笑)』

代表 『まぁそんなんで基本あり、体力作りあり、立ち回りありの殺陣教室でした』

武装 『次は12日、木曜日ですね』

代表 『そう。じゃ俺はそろそろ…』

武装 『あれ?慌ててどこに行くんですか?』

代表 『今日は独りで練習してくる。殺陣教室を始めてから自分の練習が出来てなくてさ』

武装 『そうなんですね』

代表 『がっつり基本と筋トレに励んでくるよ。それじゃ行ってきます!』

武装 『行ってらっしゃ~い♪』
2011-05-08(Sun)

5月5日、殺陣教室(3)

代表 『刀を使った立ち回りの後は大腿部を中心にした筋トレです』

武装 『という事は、次は蹴り技ですね』

代表 『おぉっ!?ホント分かってきたねぇ武装くん!』

武装 『毎度の事ですからね。いつも足技の前に下半身の筋トレをやるじゃないですか。蹴りで使う筋肉を鍛えて足が出やすいようにしてるんでしょ?』

代表 『身体を動かすのは筋肉だからね。やっぱり筋力がないといい動きは出来ない』

武装 『当たり前…に思えますけど、そういう基本的な部分って見落としがちになりますよねぇ』

代表 『以前同じチームにいた女の子達の話なんだけど』

武装 『はい?』

代表 『良くない例えに出しちゃって申し訳ないんだけどさ、その子達が新人さんに、

“着ぐるみで歩く時は膝を高く上げなきゃいけない”

とか

“着ぐるみはもっと高くジャンプしなくちゃ跳んでるように見えない”

とかって指導してたんだよね。』

武装 『それが間違ってたんですか?』

代表 『いや、指導の内容は正しい。一分の隙もない。ただその子達は、技術的な練習はするけど身体作りに関しては全くやってなかった。だから、

“膝を高く上げて!”

って言っても自分達の足が上がってないんだよ。

“高く跳んで!”

って言っても跳べてないんだよ』

武装 『へぇ~。代表は筋トレするように言わなかったんですか?』

代表 『もちろん何度も言ったよ。でも、地味でキツい事は嫌いみたいで、色々と言い訳しては結局何もやらなかったなぁ』

武装 『ふ~ん。その子達は上手くなりたくなかったんですかね?上手くなりたかったら嫌なトレーニングでも我慢してするでしょ?…出来てない自覚がなかったとか?』

代表 『自覚はあったみたいだよ。いつも

“どうやったら上手くなりますか!?”

って相談されてたもん』

武装 『むむ…』

代表 『その度に走りなさい筋トレしなさいって言ってたんだけどね』

武装 『僕には分からないです。その子達は上手くなりたかったんでしょ?、なぜ代表が教えた身体作りを実戦しなかったんですか?』

代表 『つまりね、彼女達には自覚がなかったんだよ。身体を動かすのは筋肉なんだって自覚がね』

武装 『?』

代表 『嫌な筋トレをしなくても、地味でキツい身体作りをしなくても、テクニックを磨けば何とかなるって思ってたんだよ。逆に言うと、

“自分が出来てないのは単にテクニックが足りてないせいだ”

と言い訳する事で、筋トレから逃げてただけなんだ。だからね、彼女達が知りたかった“上手くなる方法”ってのは、“楽に効果が出るコツ”の事なんだよ』

武装 『なんだか都合のいい話ですね~』

代表 『筋トレを薦めたら、

“私達は身体を鍛えたいんじゃなくて上手くなりたいんです!”

なんて言ってたからなぁ。ホント都合のいい事を言うよね』

武装 『結局その女の子達はどうなりました?』

代表 『当然というか必然というか、鳴かず飛ばずで終わったよ。厳しい事を言えば、悩んでるフリをして自分に酔いながら、仲間と楽しく過ごして終わりましたとさ』

武装 『わぁ、ホントに厳しいなぁ…』

代表 『何が言いたかったかというと、上手くなる為にはテクニック以前に必要なものがあるという事。動く身体がなければテクニックなんて身に付けようもないって事』

武装 『話が長かったけど分かりました。例えば蹴りで言うなら、

“ただ蹴りだけをやってても蹴りの練習にはならない。蹴りを出せる身体作りを含めたものこそ蹴りの練習と呼べるのである”

みたいな事ですよね?』

代表 『武装くん!上出来だ!』

武装 『えへへっ』
2011-05-07(Sat)

今年のゴールデンウィークは…

久しぶりに観客としてキャラクターショー三昧でした!!

4月29日のゴーカイジャー↓
八女ゴーカイジャー

5月3日のゴーカイジャー↓
だざいふゴーカイジャー

5月4日の仮面ライダーオーズ。
ちっちゃくて見えないでしょうけど平成ライダー大集合!!
グリーンランドオーズ

タジャドルもいます↓
グリーンランドタジャドル

同じく5月4日のスイートプリキュア↓
グリーンランドプリキュア

同じく5月4日のウルトラマンゼロ!
ウルティメイトフォース・ゼロの面々↓
ウルトラマンランド
左から『ミラーナイト』『ウルトラマンゼロ』『グレンファイヤー』『ジャンボット』

5月5日は練習日だったのでどこにも観に行けなくて…

5月7日のゴーカイジャー↓
マリノアゴーカイジャー

以上、満喫したゴールデンウィークの報告でした!!
2011-05-07(Sat)

アクションへの道(186)

2001年のゴールデンウィーク最終日。

ベテラン4人と新人3人、ショーが苦手なメンバー1人で始まったしゃべりショーもいよいよラストです!

ゴールデンウィークのように、数日に渡り同じメンバーでショーをする機会があると、

『ド新人がどこまで成長するか』

が楽しみの1つだったりしますが、この時の新人さん達は成長が早かったですね!

立ち回りも上手くなりましたが、何より動きのスピードが上がった!

おかげでショーの尺が合わなくなり、最終日には立ち回りを1つ追加する事に。
立ち回りを追加するほど新人が上達する事ってなかなかないですよ(僕の策略もあるんですが)。

センスのある新人達だったんですね。

3人のうち、後々まで残ったのは1人だけでしたが、その1人は今や東京で映像や舞台に関わり本格的にアクションをやっています。

先輩気取りでいたらいつの間にか先を越されてたって感じで恥ずかしくもありながら彼の活躍を応援している僕なのです。


ところで…

しゃべりショーには(基本的に)録音された台詞がありません。

スタッフや手の空いているキャストが裏で声をアテたりするんです(影マイクと呼んでいます)。

しかしながらゴールデンウィークはスタッフも不慣れな方が多いので影マイクをお願いするのも忍びない、

という事はキャストが声をアテるしかない。

それを説明する前に、この時のキャストを紹介しておきましょう。

レッド :ベテラン(♂)
ブルー :新人(♂)
イエロー:新人(♂)
グリーン:準新人(♂)
ピンク :ベテラン(♀)

敵幹部 :ベテラン(♀)
戦闘員 :新人(♂)
怪人  :僕

つまりこの時のキャストは半数が新人、
ベテランの半数が女性だったんです。

とゆー事は、僕以外に声をアテれそうなのはレッド役しかいない。

しかしながらレッドは新人ばかりのショーを引っ張る為にステージに出ずっぱり…

そうです。

僕は怪人(自分)の声だけでなく、ピンク以外の6役、おまけにナレーションまで1人でやってたんです。

そんな事出来るのかって?

出来るんです!

声色の使い分けが上手くいってたかは別として…

怪人としてステージに立ちながらヒーロー達の声を出し、自分(怪人)との会話を成立させる…


僕が初めてそれをやったのは1991年、まだ新人の頃でした。

それから研究を重ね、ついには自己最高の1人8役をこなすまでになったのです!

…いや、こなせてたかは分からないですけど…

でも、こうやって考えると、現在が2011年でしょ、

いま書いてるのが2001年の話でしょ、

初めて1人数役のしゃべりをやったのが1991年でしょ、

そりゃー年も取るわな!って感じですね!


最終日のショーが終わった後、現地の担当さんが声をかけて下さいました。

『ゴールデンウィークにこのレベルのショーが見れるとは思わなかった!』

これを言われた時は本当に嬉しかったなぁ。

メンバー全員の、特に新人さん達の頑張りが実を結んだ気がしました。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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