2011-03-31(Thu)

小説・さやか見参!2(86)

『いま思えばね』

後ろに立ち話を聞いていた心太郎にさやかは言った。

『いま思えば、大丈夫って笑ったお兄ちゃんの顔、なんだか申し訳なさそうだった』

さやかは像の前に立つ兄の幻影を見ている。

『多分、その後すぐに命を落とす事が分かってたんだと思う。…って言うか、くちなわ殿と向き合う為に命を捨てるって決めてたんだと思う』

心太郎はさやかの後ろ姿を見つめている。

もやに差し込む光がさやかを包み、一種幻想的に映し出していた。

かすかに髪がなびく。

『どこにも行かない、とも言えず、これから死ぬ、とも言えず、苦し紛れに大丈夫だなんて言って…お兄ちゃん、私に気休めを言うのが申し訳なかったんだろうね』

たけるが荊木砦に火を放ち命を落とすのはすぐ後の事である。

心太郎は前に進みさやかに並んだ。

斬られた女神をじっと見つめてつぶやく。

『イバラキが…』

切り口をそっと撫でる心太郎の姿が兄と重なり、さやかは一瞬はっとした。

『大切なものを自分で斬っちゃうなんて…私には信じられない。大切なものは大切に守ればいいじゃない』

感情がほとばしったのか口調が荒くなる。

『私の一番大切なものまで奪って…!』

それだけ言うとさやかは黙った。


心太郎も黙って何かを考えていたが、

『おいらはその時のイバラキの気持ち、何となく想像つくっシュよ』

と言った。

『えっ?』

さやかが驚いて振り向く。

『イバラキは悪い奴だし嫌いだし絶対許さないっシュけど…』

心太郎はそう前置きした。

『きっとイバラキの心は空っぽだったんシュね。そして寂しかったんシュよ』

『イバラキが、寂しかった?』

『だって、小さい頃に家族を失って荊木流に拾われたっシュよね?』

『そうよ。でも荊木のみずち殿やかがち様とは本当の親子みたいに』

心太郎がさえぎる。

『それでも本当の親子じゃないっシュ』

言い切った言葉が何となく冷たいように思えた。

さやかにはよく分からない。

『本当の親子じゃなくても、何十年も一緒に暮らせば…お互いに思いやっていたなら家族同然でしょ!?』

『本当の家族に囲まれてたさやか殿には分からないっシュよ』

心太郎の言葉は間違いなく冷たかった。

『母上の事は分からないっシュけど、尊敬出来る父上がいて大好きな兄上がいて…』

『心太郎…』

『だからイバラキはさやか殿やたける殿が羨ましかったんシュよ。だからたくさんの愛に溢れている山吹流を目の敵にしてたんシュよ』

さやかは心太郎の両親が誰なのか聞いた事がなかった。

頭領もそれに関しては語らなかったし、心太郎自身も知らなかったからだ。

そう考えると心太郎とイバラキの境遇はよく似ている。

ならば今語られているのはイバラキの心情であり心太郎の心情なのだろうか。

『心太郎…あんた…』

心太郎も痛みや悲しみを抱えていた。

さやかはそれに気付かなかった。

本当の家族のように接すれば本当の家族になれるのだと簡単に考えていた。

恵まれた者の驕りであったのかもしれない。

『ま、おいらの事はさておいて』

わざと明るい口調で声を張る。

『イバラキは、心が空っぽで寂しくて、愛情を求めてたんじゃないっシュかね。人との関わりを求めていたんシュよ』

『…』

『でも家族でない自分が家族として受け入れてもらえるのか、きっと自信がなかったっシュ。みずち様やかがち様が本当に自分を受け入れてくれてるのか自信がなかったっシュ』

『受け入れてたわよ、絶対!みずち殿もかがち様もとっても優しい方だったもの!』

『家族だから受け入れて当然、家族だから受け入れられて当然、そう思えるのはさやか殿が本物の家族に囲まれていたからっシュ』

言葉が厳しい。

『家族同然とはいえ本来は赤の他人っシュよ?他人が自分を心から受け入れてくれるなんて、どうやったら自信を持って言えるっシュ?さやか殿はそんなに自信があるっシュか?』

心太郎がさやかの目を見た。

いすくめられるような鋭さだ。

『たける殿は受け入れてくれたとして、おかしらも受け入れてくれたとして、他の人達はどうっシュか?』

口を挟む事も出来ない。

『雷牙殿は本当にさやか殿を受け入れてくれてるっシュか?親友の妹だから気を遣ってる可能性はないっシュか?各組の頭領達は?さやか殿が山吹の直系だからわきまえてるって可能性がないと言えるっシュか?』

考えた事がなかった。

家族の愛で満ち足りていたのかもしれない。

『他人が自分を愛してくれるなんて簡単には思えないっシュ。…少なくともおいらは』
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2011-03-31(Thu)

形だけじゃダメなんだ

例えば

プロの書家が書いた『空』という文字、

書道の素人が書いた『空』という文字、

それは同じ書き順で書かれて同じ形をしている。

この2つ、
書道の知識や経験がない人から見たら何ら違いはないかもしれない。

しかし、素人目に違いが分からないからと言って

『この2枚はプロの作品です』

と言ってしまったならどうだろう?

素人が、自分の書いた文字を掲げて

『プロの作品です』

と言ったならどうだろう?

いわんや、

『自分の作品もプロの作品と同レベル』

と思い込んだならどうだろう?


先ほど書いたように、知識や経験のない人には違いが分からないかもしれない。

しかしながら、同じ書き順、同じ形の文字にも厳然たる『プロ』『素人』の差が存在するのです。


その差を理解する事が上達への一つの道だと思います。


立ち回りにも同様の事が言えます。


順序や動きをマネしたところで『プロの立ち回り』にはならないのです。

その順序や動きに至るまでの確かな道程があってこそのプロなんです。

形ばかりでは駄目なんです。


僕もついつい先達の形ばかりをなぞって慢心してしまう事がありますが、常に戒めておかねば、と思っています。
2011-03-30(Wed)

3/28の練習

武装 『代表~。そろそろ練習報告しましょうよ~。代表~。…あれ?いないな。もう鹿児島旅行からは帰ってきてるハズなのに…

ん?

代表から僕宛の手紙だ。

なになに?


28日の練習は一人でジャンプと筋トレをやりました。
…ってかそれだけしかやってません。
話を面白く膨らます自信がないので今回の報告は辞退いたします。



…な、なんだと…!?』
2011-03-29(Tue)

小説・さやか見参!2(85)

最初さやかは、なぜ自分がこの山中に足を運んだのか分からなかった。

兄たけるに想いを馳せていたはずなのに、どうして憎きイバラキの―

荊木流の土地に来てしまったのか。

しかし横一文字に叩き斬られた女神の像を見た時に思い出したのである。

十年前。

叛乱を起こし姿を消していた荊木流が舞い戻った時。

荊木流が幻龍組と名を改めて要塞のような砦を築いた直後の事だった。

使者に立った虎組の雷牙がイバラキによって重傷を負わされた翌日、たけるはこの場所へさやかを連れてきた。

先ほどの心太郎のように、幼いさやかは訊いた。

『お兄ちゃん、この石はなに?きれいに斬られてる』

そして先ほどのさやかのように、兄は答えた。

『これはな、女神様の像だよ』

『女神様?これが?』

『今は足の部分しか残ってないから分からないよな。上半身を斬り落とされる前は美しい女神様の形をしてたんだよ』

『ふぅん…それなのにどうして斬られちゃったの?』

たけるはその問いには答えなかった。

『じゃあ、誰が女神様を斬ったの?』

たけるは視線を落として、しばし考えてから

『くちなわ殿だ』

と言った。

くちなわとはイバラキのかつての呼び名である。

『くちなわ、殿…』

さやかの中でくちなわは恐ろしい存在になりつつあった。

十二組を裏切り、かつての仲間を次々と手にかける非道の忍者。

それならばたかだか石像ごとき、神をも畏れず刃にかけたのだろう。

疑いもなくそう思った。

だが、たけるの言葉はそれをやんわりと否定した。

『この女神様はな、くちなわ殿にとって、本当に大切なものだったんだ』

声の奥に兄の悲痛を感じた気がしてさやかは黙った。

目をやると兄は無残な女神を見つめている。

『この女神様はあの人にとって、唯一の心の拠り所だったんだ』

たけるは鋭い斬り口にそっと手をあてた。

『この像にすがっていたからこそ、くちなわ殿は社会と繋がっていられた…』

必死に考えたが、さやかには何も理解出来なかった。

『この女神様だってただの石でしょ?どうしてこれがないと人と繋がれないの?』

納得いかないようだ。

『こんなのなくたってみんなと仲良くすればいいじゃない』

それを聞いてたけるは寂しげに微笑んだ。

『そうだな。そう出来れば良かったな』

『それにさ、そんなに大切なものならどうして斬っちゃったの?斬らなきゃ良かったじゃない』

正論だ。

『さやかの言う通りだよ。大切なものなら斬らなきゃいい』

『でしょ~?』

得意気なさやかを見て、たけるは笑った。

素直な妹が可愛くて仕方ない。

『なぁさやか』

突然呼ばれて、さやかは少し驚いた顔で見返す。

『なぁに?』

『さやかにも大切なものってあるか?』

『当たり前じゃない!たっくさんあるわよ』

両手を広げている。

たくさんを表現したのだろう。

『じゃあ、そのたくさんの中で一番大切なものってなんだ?』

さやかは考えもせず、当たり前に

『たける兄ちゃん』

と答えた。

『決まってるじゃない』

誇らしげな顔だ。

さやかにとってたけるという兄がいる事は換え難い誇りなのである。

『そうか。ありがとうな』

たけるは妹の頭を撫でた。

そして

『さやかは俺を斬れるか?』

と訊いた。

さやかは戸惑う。

『え…?』

『斬れるか?俺を。この像みたいに真っ二つに』

しばらく呆然としていたさやかの瞳に涙が溢れた。

『なんで!?なんでお兄ちゃんを斬らなきゃいけないの!?』

妹は泣きながら兄にしがみつく。

『斬れるわけないじゃない!大切なのに!大好きなのに斬れるわけないじゃない!!』

そう叫んで大声で泣いた。

たけるはさやかが落ち着くまで、ただ黙って抱き締めた。

光が差している。

湿気の多い土壌が生み出すもやに樹々の陰影が映し出される。

かすかな風が葉を散らした。

『ごめんなさやか』

たけるは詫びた。

こうなる事が分かっていて訊いたのだ。

『でもな、知っていてほしかったんだ』

さやかはしゃくりあげながらたけるの顔を見る。

『大切なものは、大好きなものは斬れない。…でも、くちなわ殿は斬った。…斬らずにいられなかった…』

『…』

『その時のくちなわ殿の心を…大切なものを斬らねばならなかった者の心を、おまえには知っていてほしいんだ』

その言葉は届いたのか届かなかったのか、さやかはもう一度涙を溢れさせた。

『私、お兄ちゃんを斬りたくないよぅ…お兄ちゃんがいなくなったら嫌だよぅ…』

たけるは一言、

『大丈夫だよ』

と言ってさやかに笑いかけた。
2011-03-28(Mon)

アクションへの道(168)

しばらく自分の作品について書いてます。

興味ないでしょうけどお許しを。


僕の台本がごちゃごちゃと言われるワケ、

それは

『ストーリーの構造が2重になっている』

からでした。

2重構造とはどういう事か。

説明いたします。

まず、シンプルなショーから。

こちらは悪役主体のストーリーがほとんどでした。

悪役が子供を襲う→ヒーローが助けに来る

悪役が悪事を働く→ヒーローが止める悪

役が罠を仕掛ける→ヒーローがひっかかる

このように

『悪役が悪い事をするからヒーローが戦う』

という図式がハッキリしているのです。

つまりは悪役の行動に注目しておけば必然的にヒーローの行動にも意識が向かうのです。


では2重構造のショーはどうなんでしょうか。

悪役の進行に加えて

『ヒーロー側のあれこれ』

が描かれているのです。

油断したりケンカしたり悩んだり。

そんなんだから悪役と戦おうにも上手くいきません。

観客は『悪役の行動』のみならず、『ヒーロー側の展開』を気にしなければいけないんです。

『みんなケンカしてて悪役に勝てるの!?敵はすごい作戦を考えてたよ!』

『そんなに油断してちゃ危ないよ!それは罠だよ!』

なんて考えなくちゃいけません。

この『悪役の行動』も『ヒーローの行動』も意識しなきゃいけないってのが『ごちゃごちゃ』と評される所以だったんでしょうね。


これに気付いて僕が作風を改めたかと言うと、決してそんな事はありません。

現代の子供達は、そのぐらいの複雑さを理解する能力を持っていると思うからです。

理解出来なくても容認出来ると思うからです。

だって、昔とは受信する情報量が全然違いますもん。

アニメもドラマもゲームも複雑になってますしね。

『子供だから分からないだろう』

ってのは古い大人の押し付けだと僕は思ってます。


シンプルなショーでは、敵は自分の外側にあります。

圧倒的な力の差を前にピンチになり、それを乗り越えて最後に倒すのです。

その不屈の姿には観客も拍手を送るでしょう。

対して僕のショーではほとんど、

『敵は自分の中にいる』

という設定になっています。

油断してるから負ける。

チームワークを疎かにして負ける。

それを反省し、克服する事でピンチを乗り越えて勝利する。


本来なら一番カタルシスがあるであろう逆転のシーンでヒーロー達が反省してるんだから、そりゃ拍手もしづらいですよ。

でもまぁ数あるキャラクターショーの中にそんなパターンがあってもいいんじゃないですかね(笑)
2011-03-27(Sun)

3/24の練習(3)

武装 『前回は足から力を発するって話で潰れちゃいましたね』

代表 『いいんじゃない?大切な事だし。ま、あくまで俺の経験に基づいた話だけど』

武装 『んじゃ練習報告の続きを』

代表 『それがね…』

武装 『はい』

代表 『けっこう時間が経ってるんで、練習の詳細を忘れちゃった!』

武装 『えぇーっ!』

代表 『いや、何とな~くは覚えてるから…何とな~く報告するよ』

武装 『何とな~くって…』

代表 『いや、だから混沌としてたからさ』

武装 『テキトーなだけでしょ!?』

代表 『…なんだよ…』

武装 『えっ?』

代表 『なんでそんなに責められなくちゃいけないんだよ』

武装 『いや、別に責めてるワケじゃ』

代表 『あぁ、どうせ俺はテキトー人間だよ。記憶力も低下してるさ。最低のダメ人間だ!』

武装 『そ、そこまでは…』

代表 『ダ~メダメダメダメ人間!ダ~メ!にんげ~~ん!にんげ~~ん!』

武装 『あわわ、筋肉少女帯を歌い始めた!』

代表 『………』

武装 『…そして黙った』

代表 『………ここまででかなり文字数使っちゃったね………進めようね』

武装 『な、何か悟った!?』

代表 『手技の後は、実戦的な練習をしたよ。顔面狙いのパンチを捌いて反撃するって練習』

武装 『実戦的な練習はどういう役に立つんですか?』

代表 『教えたいけど長くなるから今度ね』

武装 『…はい…何か調子狂うな…』

代表 『それから立ち回りの練習で終わり』

武装 『た、立ち回りはどんなのを??』

代表 『右殴りって呼んでるやつなんだけどね。カラミがパンチでかかって行って、シンがそれを止めて殴りかえすっていう』

武装 『その動きはキャラクターショーだとよく見ますね』

代表 『他の所は分からないけど、俺がいたチームでは一番最初に教えてもらう基本だったよ』

武装 『基本が基本である理由ってあると思うんですけど、その右殴りをやるとどういった事が身につきますか?』

代表 『長くなるけど今回聞きたい?』

武装 『あ、いえ…次回でもいいんですけど…ってか代表!代表がそんなんじゃテンション上がんないっスよ!』

代表 『だってさ…俺なんかテキトーでサイテーで記憶力が低下してて肉体は老化してて社会的地位もなくてテレビもなくてラジオもなくて車もそれほど走ってなくて…』

武装 『代表!代表!!』

代表 『おまけに疲れて分裂してるなんて疑いをかけられて…うぅ…』

武装 『代表ってば!』

代表 『ごめんなジョー!こんなしょーもない奴が教えちまってよ~!』

武装 『誰もそんな事言ってませんって!僕は代表を信頼してますから!』

代表 『うぅ…武装くん…ありがとう…優しさが身に沁みるよ…』

武装 『あ、代表、最後に1つ聞いていいですか?』

代表 『うぅ…なに…?』

武装 『ジョーって、代表の心が生み出した別人格じゃないですよね?』

代表 『うえ~んっ!もう誰も信用するもんかぁぁ~っ!!』

武装 『あっ!代表どこへ!?代表!代表~~!!』
2011-03-27(Sun)

アクションへの道(167)

僕の書く台本に台詞が多い事は認めましょう。

子供向けにしては内容が若干複雑な事も分かっています(どちらも確信犯です)。

でも『ごちゃごちゃ』と言われると少し反論したくなります。

僕は『分かり易さ』を最優先で作ってるつもりですし、それはある程度成功している自信があったからです。

おおよそのストーリーとキャラクターの感情の起伏がストレートに子供に伝わっていればそれは成功なのです。

複雑すぎて

『今のは何?』
『これは何のシーン?』
『結局何が言いたいの?』
『2、3回観たら意味が分かったよ』

ってなるようなものを『ごちゃごちゃ』と言うのです。


僕の台本は分かりやすいと思う。

しかしながら偉い人から『ごちゃごちゃ』と評されるからには何か理由があるのでしょう。

もしかしたら僕の考える『ごちゃごちゃ』と周りが考える『ごちゃごちゃ』には齟齬があるのかもしれません。

『ごちゃごちゃ』という評価を受け入れるにしろ反論するにしろ、まずは『何がそう言われているのか』を突き止めなくてはなりません。

その為に最も手っ取り早いのは、偉い人が『シンプルで良い』というショーと自分のショーを比較してみる事です。

僕はそれまでに撮りためたショーのビデオを全て引っ張り出しました。

自社他社問わず、県内県外問わず、たくさんのショーを観に行って録画しておいた事が役に立ちそうです。
さて、引っ張り出したビデオを観て何をするかというと、タイムテーブル(というのか定かではありませんが)を作るのです。

00:00…怪人・戦闘員登場
自己紹介と作戦の説明

02:45…戦闘員に作戦を任せて怪人退出

03:00…戦闘員の会場攻撃をきっかけにヒーロー登場

03:20…アクション
ヒーローvs戦闘員×3名
ヒーロー圧勝

04:00…戦闘員やられて退散
ヒーローから子供達にお願いや注意など

04:30…ヒーロー、敵を追って退出

04:40…戦闘員、ヒーローがいないかを確認しながらコソコソと登場


…こんな感じで、何分ぐらいに何があったかをノートに書いてみました。

キャストが何人なのか。

アクションがいくつあるのか。

アクションシーンはトータルで何分あるのか。

キャラクターの登場・退出は何回ぐらいあるのか。

そういった事も全部ノートに書いてみました。

これで分かったのは、僕のショーにおける

『アクションシーンとその他のシーンの割合』

は、他社のシンプルなショーとさほど違いがなかったという事です。

つまりそれは、

『お芝居のシーンが多いからセリフが多いと感じるのではなく、短いお芝居のシーンにセリフを詰め込んでいるから余計に多く感じる』

という事です。

まぁ僕はテンポの早いやり取り(早口って事ではないですよ)が好きなのでこうなるのですが。

しかしこれではまだ『ごちゃごちゃ』の真相に至っていません。

僕はあらゆるショービデオをタイムテーブルに変換して分析しました。

そしてついに『ごちゃごちゃ』と言われる原因を発見したのです。
2011-03-26(Sat)

3/24の練習(2)

武装 『さぁ後半戦。ねぇ、ちょっと疑問なんですけど』

代表 『なに?』

武装 『代表はよく、足から力を発するって話をしますよね』

代表 『するね。ほとんどの技は足から力を伝達しなきゃいけないと思ってるから』

武装 『でもですよ、格闘技の技なら威力が必要だからそうしなくちゃいけないかもですけど』

代表 『あぁ、たまに言われるんだ。立ち回りは形が決まってればいいんだから威力は要らないんじゃないの?って』

武装 『つまり、足先から力を発する練習なんか必要ないんじゃないの?って事ですか』

代表 『そう』

武装 『恥ずかしながら僕もそう思っちゃいますが』

代表 『これはね、力の伝達がキチンと出来てる動きと出来てない動きを見比べたら一目瞭然。つまり立ち回りの上手い下手に関わる重要な所よ』

武装 『そうなんですか!?』

代表 『もちろん立ち回りの攻撃に威力なんて必要ないし、力を込める必要もない。でも“力が込もってるフリ”は必要なんだよ。ここがポイント』

武装 『はぁ』

代表 『大事なポイントだからもう一度言っておきます。実際に力を入れる事よりも、力が入っているように見せる事が必要なんです』

武装 『そうなんですか?』

代表 『そらそうだよ。立ち回りの技術ってのは嘘を本物に変換する芝居の技術だよ』

武装 『あぁ、なるほど。つまり、段取りとしての格闘、芝居としての立ち回りをリアルに見せる手法の1つとして“力の伝達”は有効だと』

代表 『そういう事!実際に威力があるかどうかは別にして、動きが理に適った技は威力がありそうに見えるんだよ。それがなかったらカラミがどれだけ派手に吹っ飛んでもすごく見えない』

武装 『じゃあ実際に格闘技をやってる人は立ち回りも上手く見えるって事ですか』

代表 『あ、それはちょっとちがうね。格闘技ってのは実際に威力のある攻撃を出す練習をするでしょ。でも立ち回りは、威力がありそうに見える攻撃の練習をするの。この差は大きい』

武装 『まぁ確かに。立ち回りで強そうに見える人が実際にリングに上がったからって勝てるワケじゃないでしょうね』

代表 『それと同じで、実際に強い人が立ち回りで強そうに見えるかと言うとそれは分からない』

武装 『あくまでも立ち回りは表現なんだ、って事なんですね』

代表 『そう。足から力を発するのは技の練習じゃなくて表現の為の練習なんだよ』

武装 『よく分かりました。…あ、代表、今回もかなり長くなってますよ!』

代表 『いかんいかん!こーゆー話し始めたら止まらないんだよね、俺。…反省…』

武装 『と言う事は?』

代表 『…つづく』
2011-03-25(Fri)

小説・さやか見参!2(84)

高陵山での戦いから数日が過ぎていた。

里に戻った山吹さやかは荒れた山中に立っている。

山吹の土地ではない。

かつて蛇組…荊木流の砦があった山の中だ。

荊木砦は十年前に山吹たけるの奇襲で焼け落ちた。

現在でも、そのまま打ち捨てられた哀れな姿を晒している。

さやかは側を通る際もそれを見ないようにしていた。

過ぎた時間は取り戻せない。

どうする事も出来ない。

だから過去を見るのはつらいのだ。

『過去を乗り越えてこそ今がある』

というのも正論かもしれぬ。

だが正論とは真理ではない。

『過去を乗り越えてきた者』は、『乗り越えられぬ過去に出会わなかった者』かもしれないのだ。

小さな過去を乗り越えただけの者が、巨大な過去を引きずる者を簡単に批判するべきではない。

まだ十五年ほどしか生きぬこの少女が過去に負った傷の深さを誰が知る事が出来よう。

出来るだけ過去の残骸を見ないように顔を背けて駆け抜けたさやかが辿り着いたのが、今立っている、この荒れた山中なのである。

さやかの前には粗末な祠らしきものがあり、その中に小さな白い石が立っている。

さやかはそれを黙って見ていた。

『それは何っシュ?』

いつの間にか背後に来ていた心太郎が問う。

さやかは驚く事も振り返る事もなく、

『女神様よ』

と答えた。

『女神様?おいらにはただの石にしか見えないっシュけど…』

近付いてまじまじと見る。

『いま残ってるのは足だけだもの。上半分は斬られて残ってないのよ』

『斬られた、って…誰にっシュ?』

『幻龍イバラキ』

その名前に心太郎がびくっと反応した。

さやかが何故ここに来たのか。

それは少し前に遡る。

さやかは高陵山での一件を父であり頭領である山吹武双に報告した。

驚いた事に、武双は鬼の正体に薄々気付いていたようだ。

『だからおまえを行かせたのだ』

と、頭領はそう言った。

『奴と決着をつけるのはおまえでなければならん』

さやかがイバラキに対して並々ならぬ憎しみを抱いている事を武双は知っている。

さやかに『たけるの敵討ちをしろ』と言っているのだろうか。

しかしそのような口振りとも思えなかった。

父の真意は分からないが、再びイバラキと出会った以上は決着をつける覚悟のさやかである。

話が続く様子もないので、さやかは正座のまま頭を下げて、それから立ち上がった。

部屋を出ようとする娘を父が呼び止める。

『なんでしょう?』

さやかが振り返った。

『どうだった。愛弟子との旅は』

そうだった。

当初の疑問を忘れていた。

さやかは急に父娘の口調になって訊いた。

『父上!どうして心太郎をお供につけたの!?』

『不服か』

『大いに不服よ!お供どころか足を引っ張るばかりで迷惑したわ』

『そうか』

短くそう言った武双は若干笑っているように見えた。

そして上目づかいにさやかを見て

『まだまだたけるには遠く及ばぬな』

と言ったのだった。

さやかは頭に血がのぼるのを感じた。

自分が兄に及ばない事は重々承知している。

しかし面と向かって言われるとやはりかっとなる。

負けず嫌いなのだ。

娘の性分など知っているだろうに、父は何故こんな事を言うのか。

さやかは努めて冷静なふりをして一礼し、屋敷を出た。

それからしばらくは池のほとりに座って、何を見るでもなく虚空を見つめていた。

ここはたけるが調息の修行をしていた池だ。

兄との想い出に浸りたくなると時折訪れるのだが、まだ風景を見つめる事が出来ない。

ここには過去の亡霊が、

いや、

幸せという名の亡霊が地縛 している。

その亡霊を見てしまえば冥土に引きずり込まれる。

だからさやかは虚空を見つめていたのだ。

しかし頭の中を虚空にする事は出来なかった。

兄の事が浮かんだ。

イバラキの事が浮かんだ。

心太郎の事が浮かんだ。

過去が入り込まぬように感情が溢れているのか、

それともすでに亡霊に憑かれているのか―

そしてさやかは急に、山中の女神像が見たくなったのである。
2011-03-25(Fri)

3/24の練習(1)

武装 『お久し振りです』

代表 『毎日会っとったけど』

武装 『練習してきたんでしょ?』

代表 『おう。してきたよ』

武装 『性懲りもなく』

代表 『ぶっ飛ばしちゃろうか?』

武装 『暴力はんたーい』

代表 『なら黙っとけ』

武装 『24日は木曜でしたね。いつもの殺陣教室だったんですか?』

代表 『いや、今回は殺陣教室の生徒シライシさんが来られんかったけんね。通常練習やったよ』

武装 『あらら残念。参加者は誰かいたんですか?』

代表 『ジョーが来てくれた』

武装 『武装別動隊のジョー』

代表 『そうそう』

武装 『じゃあメニューにも変化があるかもですね』

代表 『んー、基本的には一人でやるのと変わらんけどねー』

武装 『準備運動代わりにジャンプして』

代表 『そう。それから筋トレ。その後ストレッチしてから足技』

武装 『あ、手技の前に足技やれば良かったって前回言ってましたもんね』

代表 『有言実行』

武装 『シスターズ』

2人 『シュシュトリア~ン♪』

武装 『…珍しく気が合いますね~』

代表 『は、恥ずかしいっ!言わせるなよ!』

武装 『手技と足技の順番を入れ替えた効果はありそうでした?』

代表 『まだ1回じゃ分からないけどねぇ。でも手応えは感じたよ』

武装 『足技は何を?』

代表 『前蹴り、回し蹴り、足刀、二段蹴り、あと旋風脚の予備段階みたいな運動をしたな』

武装 『けっこうバリエーションがあるんですね』

代表 『後ろ回し蹴りは省いたんだけどね。…でもやってみて、旋風脚の予備の予備が必要だと感じたよ。そこは次からの課題』

武装 『代表らしい。実際の動きの予備、予備の予備、予備の予備の予備って所から教えるから代表の練習は時間かかるんですよね』

代表 『即戦力を作るのには向かない』

武装 『だからかつて後輩のクーデターで指導者を降ろされたんでしょ』

代表 『うぅ…、若さゆえの過ち…』

武装 『その後は手技ですよね。こちらは何を?』

代表 『まずは下半身の動き。足先で力を発してそれを移動させるっていう練習』

武装 『文字で見てもさっぱりですが』

代表 『説明が難しいからこれは今後追々ね』

武装 『今後も僕を呼んでくれるんですか?やったー!』

代表 『しまった…』

武装 『YATTA!YATTA!』

代表 『は、葉っぱ隊!』

武装 『ふふ。…で、手技のメニューは』

代表 『今回は割と混沌としてたけど、正拳突き、手刀、裏拳に上段受け、外受け、内受け、下段受け…捌きなんかもやったね』

武装 『何が混沌としてたんですか?』

代表 『単に手技を教えるだけじゃなくて、下半身の使い方の説明の為にいくつか動きを入れたから。捌きもそうだし、弓歩での突きもやったし』

武装 『なるほど。メニューにカウントしづらいものがいくつかあったと』

代表 『その通り。…ヤバい、けっこう長くなったね。残りは後半にしようか』

武装 『そうですね』

代表 『後半に続く』
2011-03-24(Thu)

小説・さやか見参!2(83)

さやかは痛む身体をひきずって崖を降りた。

いつもなら何という事もない動きのはずなのに思ったように動かない。

イバラキから受けた攻撃がこんなに効いていたなんて…

戦闘中の脳内麻薬を失った今、さやかは己の身体の痛みと正面から向き合わなければならなかった。

足がかりになる岩を探してはそこへ飛び降りるのだが、身体が重い、動きが遅い、足がもつれる、息が苦しい…

普段のさやかからは考えられぬほど不様な姿をさらし、何度も転落しそうになりながらもどうにか崖を降りきった。

着地した瞬間さやかは崩れ落ち、荒く呼吸をしながらしばらく動く事が出来なかった。

だがへたばっている場合ではない。

『心太郎!!』

息を詰まらせながら必死に叫ぶ。

『心太郎!!』

どこに落ちた?

この岩場に落ちれば無事では済むまい。

だがさやかは必死に探した。

探さずにはいられなかった。

もしや海に落ちたのか。

波にさらわれたのかもしれぬ。

さやかは背負った刀を下ろして海に飛び込もうとした。

その時―

『あれ?…さやか殿…?』

すでに飛び込む体勢になっていたさやかはびくっと止まって振り返った。

背後の岩場の隙間に横になった心太郎が虚ろな眼でさやかを見ている。

『心太郎!!』

さやかが駆け寄る。

『あれ…?おいら、どうしたっシュ…?』

上半身を起こそうとする心太郎を支える

『心太郎!あんた大丈夫なの!?』

全身を見るが大きな怪我はないようだ。

あの高さから落ちたというのに。

『心太郎…あんた、どうして無事なの…?』

もはや安心よりも疑問が先に立つ。

『あ、そうか…おいら崖から落ちて…気付いたらここで横になってたっシュ…』

『えーっ!?気付いたら、って…何かあったんじゃないの!?』

『何かって言われても…』

困った顔で首をかしげた心太郎は何かを思い出したように

『あっ』

と言った。

『なに?何か思い出した?』

『崖を落ちて気を失う直前に、黒ずくめの忍者を見た気がするっシュ…』

『黒ずくめの忍者?』

誰だろう?

心当たりはない。

手裏剣を放ってさやかを助けてくれたのはその忍者だろうか。

『どんな?』

『分かんないっシュ…全身黒くて…とにかく黒かったっシュ』

『黒い事しか分からないじゃないの!もういいわよ!』

『ごめんっシュ…』

うなだれる心太郎を見て、さやかの心にようやく安堵が生まれた。

『でも…』

でも無事で良かった、と言いたかった。

心太郎は言葉の続きを待ってさやかを見る。

その無邪気な表情を見たら優しい言葉をかけてやるのが癪に思えた。

『でも今回の一件で、あんたの弱さがよ~く分かったわ。三流だとは知ってたけど、やっぱり全っ然役に立たないのね。呆れたわ。通り越して悲しいわ』

『うぅ…』

心太郎が涙をためた。

『鬼の正体も分かった事だし、さっさと里に帰るわよ』

『…はいっシュ…』

下唇を突き出して泣くのを我慢してる心太郎の姿にさやかは意地悪に笑った。

『…と思ったけど、何だか疲れちゃった。私は少し休むから、あんたはその辺で遊んでらっしゃい。里に戻ったら海なんてなかなか拝めないわよ』

『…そんな気分じゃないっシュ…』

落ち込んでいる、というか、自分が落ち込ませた心太郎に向かってさやかは声を張った。

『師匠が遊べと言ったらぐずぐず言わずに遊ぶ!行けっ!』

『は、はいっシュ!』

珍しく発された命令に慌てて海へ向かう心太郎。

すでに朝日が昇っている。

先ほどまでとは打って変わった美しい海。

水面に顔を出した岩の上を跳ねるように渡っていた弟子が急に師匠を呼ぶ。

『さ、さ、さやか殿~!ちょっとこっちに来るっシュ!』

『なによ!どうしたのよ!』

『い、いいから!いいから早く来るっシュ!』

『もう、私は疲れたから休むって言ったのよ』

そう言いながらもゆっくり立ち上がって声の方へ向かう。

『どうしたのよ。なに?』

『魚か何かが水の中を泳いでるっシュ!』

『そりゃ魚なら水の中を泳ぐに決まってるでしょ』

『でも』

『魚じゃないの?』

『いや、魚っシュ』

『驚く意味が分かんない…』

そう言いながら心太郎と同じ岩に飛び乗る。

『どれ?』

『あ、あれっシュ!』

心太郎が水中を覗き込む。
『どれよ?』

その背中に張り付くように、さやかも水中を覗いた。

『ほら、あれ…』

と言いかけて

『んぎゃっ!』

と心太郎が声を上げた。

『な!な!何かおいらの背中に~!』

ばたばたと暴れる心太郎を見てさやかがにま~っと笑った。

『びっくりした?蟹よ、蟹』

さやかが襟元から小さな蟹を放り込んだのだ。

『ひ、ひどいっシュ!早く取ってっシュ!』

『潰しちゃ駄目よ、心太郎!無駄な殺生をしないのが山吹の掟だからね!』

『取ってっシュ!早く蟹を取ってっシュ~!』

半泣きで大暴れする弟子が足を滑らせ海に落ちる姿を見て、

さやかは楽しそうに笑った。
2011-03-24(Thu)

アクションへの道(166)

まぁ偉そうに書いてますが、要は『僕なりのスタイルがある』ってだけの話でして。

後輩よりも少しばかり経験値があったに過ぎないのです。

ただ役に立ったのは、小学生の頃からマンガを描いていた事や、中学高校と自主映画を作っていた事。

当時の僕が考える話は自己満足の極みで、エンターテイメントのかけらもない駄作愚作ばかりだったのです。

作っている最中は気付きませんが、しばらくして冷静に考えると…

どれもこれも、自分だけが面白いと思ってる事を羅列してるだけの作品で…

『俺ってこんな事を考えてるんだぜ~、面白いやろ~』

という自己愛に溢れたものばかりでした。

恥ずかしいっ!

超恥ずかしいっ!

…でもそのおかげで、

『自分の作品が自己満足になっていないか』

を考える癖がついたんだと思っています。

だってあんな恥ずかしい思いは二度としたくないんだモン!


キャラクターショーの台本を書くようになってからも『自己満足』『内輪ネタ』などと評される事はありましたが、それらは自分の中に『何かしらの勝算』があって書いたものなんです。

力量不足で昇華出来ていなかったものも多々ありますが…


ちなみに僕の台本、他社と比べて

『台詞が多くてごちゃごちゃしている』

と言われていました。

もちろん批判されてるワケです。

『他社さんみたいにスッキリして子供にも分かり易い台本』

を書けって事です。

『シンプルだからこそ盛り上がり所もハッキリする』

『盛り上がり所がハッキリすれば子供が拍手し易い』

って事です。

確かに。

拍手のきっかけを作るのはとても大切だし、僕はそれが上手くありません。

しかしながら僕は、シンプルなショーだけがベストだとは思えなかったのです。

自分の台本がごちゃごちゃしてるとも思ってなかったし。
2011-03-24(Thu)

3/21の練習(3)

武装 『さぁ、後半戦第二部が…』

代表 『よし、さっさと終わらせるぞ』

武装 『代表~、そんなせかせかしなくても…』

代表 『ジャンプして筋トレまで話したな』

武装 『んも~っ、分かりましたよ。筋トレまで終わりました。…あれ?ストレッチはやめたんですか?今までは一番最初にやってましたよね?』

代表 『うん。これまではストレッチから練習に入ってたんだけどね。最近は手技の前に上半身のストレッチ、足技の前に下半身のストレッチ、みたいな感じでやってるんだ』

武装 『使う直前に伸ばす、って事でしょうか』

代表 『そうそう。根拠はないけどそっちの方が良さそうだったから。ちなみに21日は手技が終わって下半身のストレッチ、それから足技だったんだけど、下半身のストレッチ⇒足技⇒手技の方がいいのかなぁ、とも思った』

武装 『ふぅん…??』

代表 『いやね、手技の基本では下半身をあんまり動かさないからさ。ストレッチしなくていいかと思ったんだけど、やっぱり柔らかい方が動き易いわ』

武装 『なるほど。じゃあ次回からは足技⇒手技の順番ですね。…今の流れだと、21日は筋トレの後に手技だったんですね』

代表 『そうそう』

武装 『手技は何をやったんですか?』

代表 『色々。1つ1つ説明するのはめんどいよ』

武装 『そこが聞きたいのに…じゃあ、手技メニューは何種類ぐらいやってるんですか?』

代表 『14種類を左右でやってるね。回数は大体30回から50回ぐらい』

武装 『けっこうあるんですね。まぁ詳細は今後聞いていきましょう』

代表 『これからも出てくるつもりかっ!?』

武装 『ほら、次いきましょう』

代表 『くっ…。…それから下半身のストレッチをして足技の基本。これは5種類。しかも10回ずつしかやってない』

武装 『サボりましたね』

代表 『ちげーよっ!治療中の足がどうにも動かなかったんだよ』

武装 『またまたぁ~』

代表 『なんだよオマエ、その疑いの眼差しは!俺はホントに…』

武装 『はいはい。分かってますよ~。信じてますから~』

代表 『絶対信じてねぇな…』

武装 『はい、痛みに耐えながら足技が終わりました~。次は?』

代表 『木刀持って剣殺陣の基本だよ』

武装 『あぁ、型をやったり素振りをやったり…』

代表 『うん。この時点で終了時間が迫ってたんだけど…』

武装 『あ、こちらもそろそろ終了の時間でーす』

代表 『なにぃ!?』

武装 『…というワケで、練習報告・武装くん初登場スペシャルはここでお別れでーす』

代表 『ちょっ、ちょっと待てよ!』

武装 『回数を割いたわりには練習内容の紹介が薄かったですね~』

代表 『おまえがつぁーらん話ばグダグダしよったけんやろがぁ!』

武装 『今後、深みのあるトークに期待しましょう』

代表 『こら!おいっ!』

武装 『ゲストは代表さんでした~。拍手~』

代表 『な、なんで俺がゲスト扱いか!俺のブログやけん俺が主役やろーもん!こらっ!聞け!俺の話を聞け~っ!!』
2011-03-23(Wed)

3/21の練習(2)

武装『…というワケで後半戦に突入です』

代表『本来なら200文字も使わずに済む報告をよくこれだけ引っ張れるな』

武装『…あ、それはそうと代表』

代表『なんだよ急に。にやにやして』

武装『あなた大丈夫ですかぁ?』

代表『あぁ?何が』

武装『読者の方が心配してましたよ。いよいよあなたが壊れて分裂しちゃったんじゃないかって』

代表『おめーが出て来たせいだろがよっ!』

武装『ほらほら、こーゆーやり取りが』

代表『腹立つ~!』

武装『で、1人目の代表』

代表『分裂してねーから。こーゆー話はジョークとしての許容範囲が難しいぞ』

武装『ですね。やめときましょ。ようやく本題の練習について』

代表『ようやくだな』

武装『まずはストレッチして筋トレですか?いつものように』

代表『最近少し順番を変えてね。最初に準備運動がてらジャンプをやってる』

武装『ジャンプ?』

代表『音楽に合わせてね、簡単なステップっぽいジャンプをやるの。2曲で7分ぐらいかな。身体も温まるし“ふくらはぎ”に効くよ』

武装『ウォームアップと筋トレを兼ねてるワケですね』

代表『そう。で、その後にふくらはぎの筋トレ』

武装『ふくらはぎの後にふくらはぎはキツそうですね!』

代表『キツいから効くんだよ~』

武装『そんなもんですか』

代表『とは言っても武装でやってる筋トレは簡単なやつだけどね。自重トレだし』

武装『器具を使わないって事ですね』

代表『俺一人の時はウエイトを使うけど基本的にはナシ。どこでも簡単に出来る筋トレを目指してるんだ』

武装『だからって代表みたいに仕事中もやってたら完全に変人扱いでしょ』

代表『な、なぜそれを!?』

武装『何でも知ってますよ。武装の筋トレメニューでは何ヶ所ぐらいの部位を鍛えるんですか?』

代表『えっとね…13ヶ所…かな。フルでやれば。殺陣教室の時はこの中からいくつか選んでやってるけど』

武装『素朴な疑問ですけど、殺陣の練習に筋トレって必要ですか?』

代表『うん。やっぱり殺陣は身体を動かしてなんぼだからね。身体を動かすのは全身の筋肉なんだから鍛えておくに越した事はないよ。怪我の防止にもなるし』

武装『そうかぁ~。でもでも、練習場を使える時間は限られてるんですから、もっと集中して技術的な練習をやった方が良くないですか?』

代表『まぁ実際はね、筋トレは各人でやってくれたら効率がいいんだけど、なかなかそこまでやる人はいないからね~。だから最低ラインを揃える為に練習メニューに取り入れてるんだ』

武装『ふむふむ。話が盛り上がってまいりました。しかし残念ながら!』

代表『まさか!?』

武装『続きは後半戦第2部で!』

代表『おいっ!!』

武装『はい?』

代表『引っ張り過ぎだろ!』

武装『いや、あんまり長引いたから…』

代表『次回は余計なトークを省いて進めろよ!絶対終わらせるからな!…ったく…』

武装『てへっ♪』

代表『腹立つ~!!』
2011-03-23(Wed)

小説・さやか見参!2(82)

さて、山吹さやかと幻龍イバラキの宿命の対決はどうなったのであろうか。

こちらの決着は断と封が天空の前から立ち去るよりもずっと早くついていた。


激しく火花を散らすさやかとイバラキの戦いに、心太郎は介入すべきか迷っていた。

さやかが横なぎに払う刀を跳躍して躱したイバラキは、そのまま側面の岩場に着地する。

地面と平行に立つ事など忍びなれば造作もないのだ。

イバラキは岩場の上に向かって走った。

さやかはそれを追い、やはり重力に逆らって駆け上がる。

心太郎も必死で岩場を登る。

少し遅れて狭い頂に辿り着いた心太郎の視界に飛び込んできたのは、

黒い海

黒い空

そして、

片膝をついてイバラキの刀を受けているさやかの姿だった。

『さやか殿っ!』

心太郎は思わずイバラキに飛び掛かる。

イバラキはさやかを足蹴にして突き放すと、そのまま回転して空中の心太郎にも蹴りを放った。

勢いよく振り回した踵が心太郎の肩にめり込む。

『心太郎っ!』

さやかが叫んだ時、吹っ飛ばされた心太郎は一度地面にぶつかって跳ね、海側の崖に吸い込まれていった。

『心太郎っ!!』

さやかがもう一度叫んだ。

崖に駆け寄ろうとするが、次々と繰り出されるイバラキの攻撃がそれを許さない。

『目障りな奴が消えて戦い易うなったな』

『イバラキィ!あんたっ!』

『出来の悪い弟子に閉口しておったのだろう。良かったではないか』

鉄仮面の下でイバラキの口元が嘲笑を浮かべる。

それを見たさやかの眉が吊り上がった。

『心太郎は私の大切な弟子よ!!』

少女の怒りを込めた攻撃が間断なく打ち込まれ、白刃は月光を反射してギラギラと光った。

しかしイバラキはそれを全て難なく受け止める。

『くっ!』

悔しそうな声を洩らし、さやかは渾身の力で刀を振り下ろした。

『固い』

イバラキは嘲りながら、下から打ち込むように受け、さやかの右側面に入り込む。

さやかの刀はイバラキの刃の上を滑り前方へ流された。

体勢が崩れる。

イバラキは返す刀でさやかの肩を斬った。

『つぅッ!』

とっさに躱したものの肩の皮膚が裂け血飛沫が飛ぶ。

革の肩当てがなかったらもっと深手を負っていたに違いない。

斬撃の威力を半減する為に回転して躱したさやかにイバラキが迫る。

さやかは回転ざまに敵の胴体を突いた。

回転の勢いを殺さぬ見事な攻撃である。

しかしこれもイバラキは躱した。

すい、と側面に入り込み、突いたばかりの細腕を捕らえると華奢なみぞおちに爪先をえぐり込む。

『ぅぐぇっ!』

息が詰まり、さやかの動きが止まった。

刀がはじき飛ばされる。

武器を失ったさやかは地面でのたうった。

『今日は再会の日、そして別れの日だな』

イバラキの黒い足袋がさやかに近付く。

その瞬間―

イバラキが後ろに飛び退いた。

振り上げていた刀を幾度か振ると何度か金属のぶつかる音がした。

手裏剣だ。

どこから飛んできた?

ここは山頂である。

しかもイバラキとさやか以外に人影はない。

さしもの幻龍イバラキも意表を突かれた。

構え直して周囲を見ると―

その手裏剣は海から、

いや、

海側の崖下から向かって来ていたのである。

垂直に浮上し、軌道を直角に変えてイバラキを狙ってきたのである。

『あのガキか!?』

一瞬そう思ったが、あの小僧にこんな芸当は出来ぬ。

と言うよりも、このような手裏剣の打ち方が可能だとは―

『さやか、どうやらおぬしには凄まじい手練れが付いておるようだな』

イバラキはにやりと笑うと海とは反対の、祠の方へ飛び降りた。

何が起きたか分からぬ内に戦いは終わったようだ。

さやかは這うように進み、海側の崖下を覗きこむ。

『心太郎っ!』

呼び掛けるが返事はない。

高さ自体はさほどないが、転落すれば命はないであろう。

目をこらすが心太郎の姿は見えなかった。
2011-03-22(Tue)

3/21の練習(1)

代表『3月21日、月曜日、アトラクションチーム武装の練習が行なわれました!』

『ぷっ(笑)行われました、って、どうせ独りでダラダラやっただけでしょ?』

代表『そうそう…月曜日は誰も来ないから…って誰!?』

『まぁ僕の事はいいじゃないですか』

代表『いやいや!突然謎の男が乱入しとるし!誰やオマエ!』

『とりあえず武装くんとでも呼んでもらえますか』

代表『ネーミングがテキトー過ぎるやろ!』

『今回限りの出演かもしれませんからね。もし今後も登場の機会がありそうなら真面目に考えますよ』

代表『そもそも君は何をしに来たの??』

『あまりにも練習報告に変化がないからですね、改革の一石を投じてみたんですよ』

代表『うーん…君がいても変わらんと思うよ。文字数が増えるだけで』

『まぁまぁ、ものは試しですよ。じゃあさっそく練習報告に入りましょうか』

代表『仕方ないな…何から話す?』

『今回の参加メンバーからいきましょう』

代表『参加メンバー?…俺』

『俺?』

代表『俺』

『独り?』

代表『独り』

『今週も独りだったんですか?』

代表『いやほら、木曜日はね、来てくれる人もいるけどさ、月曜日はね、みんな仕事で忙しくて』

『…ホントにみんな仕事ですか…?』

代表『?…いや、私用もあるだろうけど…』

『単に代表が嫌われてるだけじゃないんですか?』

代表『ば、馬鹿!ちげーよ!俺はな、みんなに愛されて…きっと…愛されて…しくしく…』

『…はい!今回は武装くん初登場スペシャルという事で何と豪華2本立て!今回の練習メニューは後半で!』

代表『…俺はな、代表としてな、メンバーのみんなに…』

『はいはい』
2011-03-21(Mon)

アクションへの道(165)

台詞の組み立て以外にも飽きさせない工夫は必要です。

まずは観客の心を掴む導入部。

ショー開始1分で、遅くとも3分以内に観客を引き込むべきだと僕は思います。

ついつい最初に説明を入れたくなって、ダラダラと長台詞を書いてしまったりするものですが、ここが一番重要なので、『どうなる!?』とか『おぉっ!!』と思わせるイントロを心がけましょう。

アクションショーなら何回か立ち回りのシーンが入ると思いますが、それぞれの立ち回りに変化を持たせた方がいいでしょう。

悪役が会場を襲おうとする→ヒーロー登場→立ち回り→ヒーロー勝利

こんなパターンばかりだとせっかくの立ち回りがルーティンに感じられ観てる側は盛り上がりません。

勝ち、負け、不意打ち、シリアス、コミカル、1対多数、複数対多数、などなど…

色んなパターンを作っておきたいものです。

「立ち回りの変化を作るのはアクターの仕事」

と思う方もいらっしゃるかもですが、ベースはシナリオの段階で決まってくるのです。

こうして色んなパターンの立ち回りを経験する事はアクターのレベルアップにも繋がります。

一番肝に銘じておかなければならないのは、

『子供の集中力は30分も保たない』

という事です。

それを30分観てもらう為には並々ならぬ工夫が必要なのです。


…あ、

シナリオについてウダウダと書いていますが、これはあくまで僕流です。

個人の意見であり勝手な法則なので「俺は違う!!」という方も怒らないで下さいね。


そんなワケで僕にはこの「自分ルール」があるのですが、これを全て意識して書けば、30分のシナリオに余分なものを入れるゆとりはありません。

やりたい事があった場合、いかに効率よく盛り込むかという勝負になります。

…ところが経験の少ない後輩がシナリオを書いた場合、『何となくありがちな』パターンのストーリーに『やりたい事』ばかりを押し込んでしまう事があります。

それではショーのシナリオとは言えません。

そこを指摘して訂正するのがこの時の僕の仕事だったのです。
2011-03-20(Sun)

アクションへの道(164)

クライマックスを盛り上げる為に『山場の前を落とす』という話を書きました。

僕は『ショーのメリハリ』は『引き算』で作ると思っています。

盛り上げて!
更に盛り上げて!
クライマックスで最高に盛り上げて!!

なんて事は不可能だと思うからです。

音楽のライブでもノリのいい曲ばかりではいずれ麻痺してしまうでしょう。

一旦しっとりしたバラードなんかを挟んで落ち着かせないと次の盛り上がりは作りにくいのです。

『土を盛って山を作る』のではなく、『周りの土を削って山を作る』のです。


そしてもう1つ、

山場とは『遡って』作るものです。

クライマックスの

『最後の戦いだ!』

を盛り上げる為に、直前にヒーロー達がピンチになるシーンを作る。

そのピンチを引き立てる為に、直前に軽快なシーンを入れたり、ピンチになる為の伏線を忍ばせたりする。

それを…

といった具合いに、山場から前へ、さらに前へと構成を作らねばなりません。


ぶっつけでストーリーのイントロダクションから作り始め、ただ盛り上がりそうなシチュエーションを詰め込めばいいというものではないのです。

ストーリー構成を作る時はキチンと計算する事。

それが出来たら今度は観客を飽きさせない工夫や構成を考えます。

まずはダラダラした長台詞を使わない事。

特に必ずしも必要でない設定や作戦を延々としゃべらないようにする事。

これは執筆する者にとっては重要な台詞かもしれませんが、観客が望んでいる台詞ではないのです。

省ける所はどんどん省く。

省けなければ簡潔にする。

出来ればテンポの良い会話形式が良いでしょうね。

例えば、『忍者ライブショーさやか見参!』にこんな台詞があったとしましょう。

イバラキ『拙者は悪の忍者、幻龍組頭領、幻龍イバラキだ。
我々がこの地に来た理由はただ一つ。
それは、我が宿敵、山吹流の後継者、山吹さやかを倒す事。
今日こそあの娘を倒し、山吹流に伝わる巻き物を奪い取るのだ!』

ダラダラしてます。

こんな台詞が必要な場合どうするか。

幸いショーには色んなキャラクターがいるのです。

下忍A『あの娘、どこにいるんだ』

下忍B『今日こそあの娘を倒さねば』

イバラキ 『おまえ達、見つかったか?』

下忍AB『幻龍組頭領、幻龍イバラキ様!…実はまだ…』

イバラキ 『早く探し出せ!そして奴を倒し、あの巻き物を奪い取るのだ!』

さやか『私ならここにいるわ!山吹流忍術正統後継者、山吹さやか!ただいま見参!!』


…いかがでしょうか。

尺は長くなってますが、こちらの方が自然に頭に入らないでしょうか。

同じ内容でも台詞の組立て方でずいぶん変わるのです。
2011-03-20(Sun)

個人練習・団体練習

歌にしろダンスにしろお芝居にしろ、もちろんアクションにしろ、人前で表現しようとするならば練習は必要不可欠です。

その為、各チーム各団体ではレッスンの日を設けていると思います。

やはり、指導者がいて、周りに仲間がいる環境でのレッスンは大切です。

それと同時に、レッスン以外に個人で行う練習もまた大事なのです。

たまに、

「真面目にレッスンに行ってるから個人練習はしなくていいっしょ」

とか、逆に

「レッスンは行ってないけど個人で練習してますよ」

なんて声も聞きます。

僕は「団体練習」と「個人練習」は車の両輪だと思っています。

両方揃わないとキチンと前に進む事は難しい、という事です。

算数の「かけ算」に例えましょう。

団体練習で「2の段」を習った人がいます。

ある程度「2の段」を覚えたところでその人は団体練習に行くのをやめます。

真面目に個人練習します。

もう「2の段」はスラスラ言えます。

スラスラ、どころか、感情を込めて、抑揚をつけて言う事が出来ます。

しかしその頃、団体練習では「3の段」や「4の段」、もっと先を教えていたりするのです。

レッスン生が勢揃いした時、「2の段」しか知らないその人はみんなについていけないでしょう。

逆もあります。

レッスンで「8の段」「9の段」まで習った人がいたとします。

その人は知識として一応「8の段」「9の段」を知ってはいます。

しかし、とっさに質問されたら返答に窮します。

知ってる事と出来る事は違うからです。

もちろんスラスラとなんて言えません。

考えながら、何度も間違えたりつっかえたりしながら

「はちごしじゅう、はちろく、しじゅうはち、はちしち、ごじゅう…?ろく…」

なんてレベルなのです。

「2の段」だけは出来る人、
「9の段」まで知ってるだけの人、

正直どちらも人前に出て良いレベルではないのです。

なんとな~く分かっていただけたでしょうか。

団体練習は「幅を広げる為」、個人練習は「深度を下げる為」にやるべきなんです。


団体練習で技術を学ぶ、
個人練習でそれを磨く、
団体練習でNGを出されたりOKを出されたり、
そしてまた新しい技術を教えてもらって、
個人練習で磨く…

この繰り返しで技術が向上していくんです。

上手くなる為には両方必要なんだな、と思っていただけましたか?

それでもまだ

「いや、自分はどちらかだけで大丈夫!!」

と言ってる人がいたならばその人は・・・・・・・・・



いやいや、みなまでは言いますまい…
2011-03-20(Sun)

小説・さやか見参!2(81)

断の手から、天空に向かって何かが飛んだ。

それは鞭と呼ぶのか何なのか、
短い鉄の棒が鎖のようにいくつも連なった武器だった。

棒一本は掌ぐらいの長さである。

おそらくは折り畳んで帯にでも仕込んでいたのだろう。

畳まれた鉄棒が一直線になると人の身長を越える長さになる。

いわば鋼鉄の鞭なのだから攻撃力もかなりのものだ。

それが天空に向かって放たれた。

『まさか武器を使う事になるなんて』

断も封もそう思った。

追い詰められて武器を使うなどいつ以来であろうか。

若き頃、一角衆幹部、血讐と手を合わせた時以来ではあるまいか。

それから時を経て二人の技量は格段に上がっている。

『ならばこの邪衆院 天空という男、当時の血讐様より上か?』

いや、あの時の血讐は本気を出していなかった。

ならば…


断は一瞬の間に様々な思考を巡らせながら武器を繰った。

天空の蹴り技に負けず劣らず、あたかも変幻自在な槍のように敵を狙う。

封も帯の中の武器に手をかけた。

こうなったらなりふりかまっていられない。

隙が出来たら隠し持った手裏剣…手裏剣というよりは小型のクナイといった形状だが…それを全て投擲する。

『まさか二人掛かりで、しかも武器を使って倒すなんてね。恥ずかしくて人に言えやしないよ』

内心そう思った時、

封は信じられないものを見た。

目の前の断に、天空がぴたりと接近していた。

あの鉄の旋風を事も無げに一瞬でかわし間合いを詰めていたのだ。

しかも、天空は両の掌で断の脇腹を左右からそっと挟み込んでいた。

『だん!』

思わず封が叫ぶ。

断は鎖を放った姿勢のままで脂汗をだくだくと流した。

身体が硬直して動かない。

これは―

天空の視線が封を捕らえた。

思わずびくっとした封の黒髪が揺れる。

だが天空の眼は形ばかりに微笑んで、やはり場違いに明るい声で

『これでしょ?君達の技』

と言った。

岩場の3人から動きが消えた。

風が吹く。

『君達は向こうの国の武術家なんだね。元々は忍者じゃない…よね?』

封は答えない。

いや、答えられない。

断が硬直したまま棒のように倒れた。

目を見開いて尋常ならざる汗をかいている。

『連れていっていいよ。気を止めただけだけど、時間が経つと…どうなるか分かるよね?』

気が止まれば全体が止まる、つまり放っておけば生命活動が止まる。

天空が離れたので封は断に駆け寄り、身体の何ヶ所かに手を当てた。

『ぶはぁっ!』

と肺に溜まった息を吐き出すと、断はぐにゃりと崩れるように気を失った。

硬直の解けた断を封が担ぎ上げる。

天空は、

『仕事は終わった』

とばかりに背を向けて空を眺めている。

しかしそこに隙はない。

封は一刻も早く立ち去りたかったが、立ち止まって最後に訊いた。

『あんた…邪衆院 天空とかいったわね。…この技をどこで…?』

『あぁ、俺も向こうの国で武者修行してた事があるからね。君達と同じ技は大体使えると思うよ。こーゆーのもね』

そう言って振り返った天空は帯から小さな鉄棒の束を出した。

先ほど断が使ったものと同じ武器である。

これは、

口調こそ明るいが

『おまえ達の技は見切っている』

という宣言だ。

あれだけ腕の立つ敵に手の内を読まれているとしたら断と封に勝目はない。

ましてや天空は蹴りしか使っていなかったというのに。

封は小さく震えて、断を抱えたまま消えた。

天空は柔らかい表情で黙ってそれを見送る 。

何を考えているのか、その眼から読み取る事は出来ない。

だが敢えて例えるなら―

毎朝の掃除を終えた時のような、そんな自然な表情だった。

天空は覆面をずらし、隠していた口を露出させた。

だらしなくあくびをして、ひやりとした空気を目一杯吸い込む。

天空の顔に邪悪さや凶悪さは一切ない。

『んーっ!』

気持ち良さげな声を出して思い切り背伸びをする。

肺に溜まった空気を吐きながら、上半身を何度か左右に倒し筋肉を伸ばして身体をほぐす。

この男にとっては格闘も心地良い運動の一種なのかもしれない。

もう一度大きく空気を吸い込んだ天空は覆面で口元を隠し、仰々しく跳躍してその場から消えた。

墨を張ったようだった空が白くぼやけてきている。

冷たい風が吹く。

間もなく夜が明ける。

その清冽さは、岩場に転がる数十の屍にはそぐわないものだった。
2011-03-19(Sat)

アクションへの道(163)

ショーの台本を書く上で大切な事がいくつかあります。

分かりやすい事。

山場がある事。

飽きさせない事。

特にこの3つは外せません。

『分かりやすい事』

これは全てを理解出来るように作る、というワケではありません。

細かい部分は分からなくても、大まかに理解出来ればいいんです。

皆さんには経験がないでしょうか?

子供の頃に観た映画などで、当時はすごく悲しくて(もしくは感動して)泣いたのにストーリーはよく覚えていない、なんて事が。

…えっ?ない?

テキトー人間の僕はけっこうあるんですけど…

まぁストーリーが理解出来なくても子供の感情を揺さぶる事が出来たらOKだと思います。

…あ、

だからといって、ストーリーがテキトーでいいってワケじゃないですよ!

大人がしっかり観ても楽しめる、
子供の心もしっかり掴む、
そんな作品を目指さなきゃいけません。


山場は大切ですね。

一番盛り上がる部分です。

さて、山場を作るにはどうしたらいいんでしょうか。

答えは、『山場以外を作る』です。

キャラクターショーの山場はラストのアクションシーン。

厳密に言えばその直前。

『これから最後の戦いだ!』

ってシーンが山場なんです。

これは動かせません。

だとしたら山場でやる事は決まっています。

ヒーロー(達)が

『これから最後の戦いだ!行くぞ!』

と言って戦うのです。

これ以上に盛り上げ要素はありません(パワーアップ形態が登場、なんかはありますけどね)。

山場が決まっているならばどうするか、

山場の前を落とすのです。

落とす、とは?

例えばピンチになるとか悲しいシーンを入れるとか。

そうする事で相対的に山場が高くなるのです。


それまで楽勝で戦っていたヒーローが

『これから最後の戦いだ!』

と言ってもハラハラしませんよね。

勝つのが分かってるから。

でも、敵に手も足も出せずにボロボロに負けて、立つ力も残ってないヒーローが

『地球を守る為に』

立ち上がって

『最後の戦いだ!』

と叫んだなら?


敵に大切なものを破壊されて、その怒りと悲しみを抱いての

『最後の戦いだ!』

だったら?


そっちの方が盛り上がるってなもんです。

こうやって山場の直前を落とす事で山場を作るのです。
2011-03-18(Fri)

小説・さやか見参!(80)

これまで十数年イバラキを監視してきた断と封であったが、突如現われたこの邪衆院 天空という男の存在は全く知らなかった。

いつから幻龍組にいたのか。

どの地位にいる忍びなのか。

どのような技を持つのか。

一切が謎に包まれていた。

断と封にとって、相手が並の忍びなら素姓など関係ない。

一瞬触れて仕留めるだけの話だ。

しかし…

この男は二人の手に負える相手ではない。

様々な角度から繰り出される蹴りを躱すのでやっとである。

気の流れを断とうにも懐に飛び込めない。

目に見えぬ速さで繰り出される脚を掴むのも不可能であった。

『ちっ!』

攻撃を躱しながら断が舌打ちする。

こんなに苦戦を強いられるなどこれまでなかった。

苦戦どころか防戦一方だ。

やっかいなのは蹴りの速さだけではない。

軌道が自在に変化する事だ。

直線と思えば円を描いて、

振り回してきたかと思えば突き刺すように、

右脚が来るかと思えば左脚が、

その変化は多様で、とても先を読む事は出来ない。

封は顔を狙ってきた蹴りを躱そうと身を反らした。

その瞬間に蹴りは急降下し、封の膝を砕こうとする。

どうにか片足を上げて避けると封は必死の体で飛び退いた。

『な…なんなのよあんた…化け物じゃないの…?』

怖れの混じった本心だった。

今まで戦闘において化け物と呼ばれてきたのは断と封の方であった。

ゆるりゆるりと動き、触れるだけで相手の命を奪う二人にその呼び名は相応しい。

だが

この邪衆院 天空という男は全く逆の『化け物』だった。

相手に反撃の隙を与えないほどの攻撃量と速さ、そして破壊力。

忍びの世界でも比類ない、と封は思う。

『な、なんで…』

断がうわずった声を出した。

天空は動きを止めて、不思議そうな顔で断を見た。

『なに?どうした?』

『なんでおまえみたいな凄腕がイバラキの下にいるんだよ!』

断は知らず知らず敵を称賛している。

封も続いた。

『あんたなら天下獲れるんじゃないの?』

冗談のつもりだろうが、それだけとも思えない口調だ。

それを聞いて天空は大袈裟に笑った。

『あぁ~、それは無理無理!だって…』

断と封は天空の言葉を待った。

天空は二人に向かっておどけた仕草を見せ、

『俺、イバラキ様には敵わないからさぁ』

と言った。


断と封の表情が凍った。

二人が知るイバラキの腕前は決して一角衆を凌駕するようなものではなかったのだ。

いつの間に…

二人がかりで全く歯が立たぬ邪衆院 天空。

その天空をも上回るという幻龍イバラキ。

封は

『…嘘でしょ…』

と呟く事しか出来なかった。
2011-03-18(Fri)

殺陣教室

3月17日は殺陣教室!!

って事で、車で大橋に向かいました。

行きのBGMは映画『ロッカーズ』のサントラ(画像はDVD)。



博多を舞台にした陣内孝則監督の自伝的作品で、僕は映画館に8回観に行きました。

このサントラを聴くとテンション上がるんです。

タカクラケン!タカクラケン!!

…それはともかく…

今回は初めて生徒さんを紹介!

シライシさん!!



演劇経験を活かしたお仕事をなさっていて、そこに殺陣を取り入れたいという事で殺陣教室に来て下さってます♪

久しぶりにジョーも参加してくれました。



メニューは軽い筋トレから始まり、手技、足技。



剣殺陣の基本もやりました。



メニューの数を減らして、基本の説明からじっくりやっています。

形ばかりを教えるのは簡単なんですが、そこに含まれる意味や理屈、応用まで伝える為にはそれなりに時間がかかるのです。

それを踏まえてこれからもしっかりと指導していきたいと思っています。

シライシさん、ジョー、2人ともお疲れ様でした!!

      (↓武装代表↓)



帰りのBGMは『池田綾子』さん。

癒されるぜ。
2011-03-17(Thu)

アクションへの道(162)

1999年。

僕はこの年もあまりショーに関わっていません。

ショーの台本も後輩達が書くようになっていたし、世代交代の年だったのかもしれません。

そんな中で僕が関わった事と言えば、後輩が書いた台本の手直しや、パッケージ録音の際の声優、しゃべりショーの悪役などでしょうか。

他の事はともかく、台本の手直しに関しては後輩は嫌だったと思いますよ~。

僕はこの時点でショー台本執筆7年のキャリアがあります。

何をどう書いたらどんな結果になるか大体見えているワケです。

対して後輩達にはやりたい事、試してみたい事がある。

これまでの古いパターンを脱却して、自分達の新しいショーを作りたい!

そんな熱い思いがある。

しかしそれは、僕の古臭い考えで潰されてしまう。

『アイデアは面白いけど、このやり方じゃお客さんが盛り上がらないと思うよ。こんな風にしてみたら?』

『この台詞は流れに全く必要ないし、これがある事でテンポが悪くなるからバッサリ切ろう』



…後輩達はきっと内心

(だからその考え方は古いんだって!今までのパターンを踏襲するしか能がない年寄りめ!もう時代は変わってるんだ!これから俺達が新しいショーを作るんだよ!)

なんて思ってた事でしょう。

これは僕が新人時代に先輩方に対して思った事なんです。

だから後輩の気持ちは痛いほど分かりますし、彼らには僕に噛み付く権利があります。

もちろん先輩としてキチンとした理屈の上で手直しを命じるワケですが、先輩の理屈が若者に通じない事も身をもって知っています。

それでも…

自分が7年間培ってきたものを伝えていけたら…

そう思っていました。
2011-03-16(Wed)

小説・さやか見参!(79)

普段は人の気配すらない高陵山で、二つの戦いが行われていた。

鬼神を奉じた祠の前では山吹さやかと幻龍イバラキが。

そこから離れた岩場ではイバラキの配下と一角衆の断と封が。


月明りを遮るものすらない狭い岩場にいくつもの骸が転がる。

断と封は舞う様にふわりと動くだけで敵を倒していった。

傍から見たならば、幻龍の忍びがばたばたとせわしく動いた挙句に自滅したとしか思えないだろう。

残り十名足らずの忍び達は断と封に完全に呑まれていた。

常に隙を探して刀を右へ左へ、上へ下へと動かして牽制を繰り返す。

二人が動けばびくついて後退る。

これでは素人も同然だ。

万が一にも勝てる見込みはない。

月を背負った封が言った。

『断、どうする?最後までやる?私は飽きたから逃してもいいけど』

それに答える断は正面から月の光を浴びている。

『俺も飽きてるけどさぁ。逃がすのも癪なんだよね』

言葉を交わした二人の間を

びゅん!


と何かが斬った。

飛び退いて離れた二人は初めて驚きの表情を見せた。

『おいおい…ここまで油断させといて狡いぜ』

『大鉈でも飛んできたかと思ったわよ』

断と封が顔を向けた先には、

男がいた。

袖のない黒装束から伸びたむき出しの両腕は異様な太さで、筋肉の繊維がありありと見て取れた。

短く刈り込んだ髪。

口元だけが覆面で隠され、光のない瞳から思考を読む事は出来ない。

『おまえ、いきなりどこから出てきやがったよ』

口を開いた断の目の前で空気が真一文字に斬り裂かれた。

断と封がさらに退がる。

その隙に下忍達は姿を消した。

突如現われた黒衣の男はたった一人で断と封を圧倒している。

封は珍しく額に汗がにじむのを感じた。

『驚いた…大鉈どころか…』

男が右脚をすっと上げた。

封が言葉を止める。

そう。

この二人をして二度も驚愕させた大鉈とは男の脚、つまり鋭い蹴りだったのだ。

『なんだよその蹴り…国でも見た事ないぜ…』

国、とは海を隔てた二人の故郷である。

『そんな技が…ってか、おまえみたいな遣い手がいるなんてな…』

『あんたも、幻龍組なの…?』


問われた男の目が形ばかり笑った。

『そう。幻龍組の、邪衆院 天空』

覆面越しの声は場違いに明るかった。
2011-03-16(Wed)

小説・さやか見参!(78)

輪となって断と封を取り囲んだ幻龍組の中忍下忍およそ数十名は一斉に2人に打ちかかった。

半数は側面から、半数は跳躍して上空から。

これならば中にいる敵に逃げ場はない。

しかし次の瞬間、瓦礫が倒壊するように輪が崩れた。

空中で体勢を崩した者達がばらばらと着地し体勢を整えている。

地上でなぎ倒された者達は慌てて構え直している。

その混沌の中に断と封は涼しげに立っていた。

二人はどうやって窮地を逃れたのか?

いや、逃れたなどという生易しいものではない。

絶体絶命の危機を瞬時に逆転したのだ。

しかし断と封にとっては造作もない事であった。

二人はただ、目の前にいた忍びの攻撃を払っただけなのだ。

断は地上の敵を、封は空中の敵を。

忍び達の刀が届く直前、二人は同時に蹴りを放った。

異国の武術で多用される、円を描くように脚を振り回す蹴りだ。

これならば狭い範囲でも威力を減少させずに当てる事が出来る。

二人の蹴りは見事に敵の腕を捕らえた。

地上の一人は右に、空中の一人は左にそれぞれ吹っ飛んだ。

こうなると密着せんばかりに円陣を組んでいたのが仇となる。

吹っ飛んだ忍びは隣りの忍びに、隣りの忍びは更に隣りにぶつかって一瞬で瓦解を招いたのだ。

封は蹴り終わったまま空中に上げていた長い脚をすっと降ろして冷たい眼で笑う。

『馬鹿ね、あんた達。逃げ場を塞いだつもりだったんでしょうけど』

『そんなに密着してちゃ危ないぜ。一点を崩せば全体が崩れちまう』

そういいながら断は、にやにやと下忍の一人に近付いた。

『身をもって分かったろ』

鼻が触れんばかりに顔を寄せた断に下忍が刀を突き出した。

断はわずかに身をかたむけ刃先をかわす。

右手で軽く下忍の腕を捌くと、その腕をすかさず左手で掴む。

断が掴んだ親指に力を入れると下忍は

『ぐっ!』

と妙な声を出した。

その瞬間に断の右手は敵の腕のつけねに移動し、やはり親指でぐいと掴んでいた。

下忍は目を見開いて倒れ、それから動く事はなかった。

『一点が崩れれば全体が崩れるように』

断がゆるりと立ち上がった。

幻龍組の刺客達はその姿にたじろいだ。

戦闘に長けた忍びを軽く触れただけで絶命させた不気味な男の眼は、

『一点の気の流れが止まれば身体全部が止まっちまう』

まるで獲物を屠る直前の獣のようだったからだ。

恐怖に駆られた数名が断に打ちかかっていったが、同じ様に軽く触れられて命を落とした。

断はめんどくさそうに呟く。

『気を断つのが俺の得意技でね』

一方、

封にも数名が斬りかかっていた。

断の技に怖れをなした臆病者共が

『女の方が容易かろう』

という甘い考えで向かって行ったのだ。

しかし結果は似たようなものだった。

攻撃を舞うように避けた封は、敵の身体を撫でるように突いた。

封に触れられた者達が瞬時に命を落とす事はなかった。

しかし一拍置いて、全員がもがき苦しみながら昏倒したのだ。

倒れた者達は胸や喉をかきむしりながら悶絶している。

追撃しようとしていた忍び達が青ざめて踏み止どまり、まるで化け物を見るかのように封に視線を送った。

『殺すのは好きじゃないの』

月に照らされた長い黒髪が風にそよぐ。

『でも、気を封じれば身体の機能は止まる』

封の瞳に、少しだけ妖しい光が灯った。

『機能が止まったら苦しい?…苦しいわよね』


断と封、

その名は各々の技に由来していたのだ。
2011-03-15(Tue)

三つ巴

僕はキャラクターショーが好きです。

そして僕にとってキャラクターショーは仕事です。

好きな事が仕事になった場合、ある三つ巴に悩む事が出てきます。

それは、

「やれる事」
「やりたい事」
「やるべき事」

という3つのせめぎあいです。

「やれる事」とは、現実的に実現する能力が伴っている事柄。
「やりたい事」とは、やれるかやれないかはさておいて自身の希望的な事柄。
「やるべき事」とは、やりたいかやりたくないかに関わらず、仕事として欠かせない事柄です。

キャラクターショーに限った話ではありませんが、仕事として最も大切なのは「やるべき事」です。

仕事を仕事たらしめているのはまさにこの部分なのです。

やりにくかろうが楽しくなかろうが「必要だから」やる。

この精神をなくしたらショーはただの自己満足になってしまいます。

「やりたい事」「やれる事」ばかりで構成されたショーは目も当てられないです。

しかし、「やるべき事」だけで構成されたショーは演者のテンションが上がりません。

やりたい事もやれず、「仕事だから決められた事だけをやれ」と言われるのではステージに立つ意味などないのです。

だから制作サイドは「やるべき事」の範疇からはみ出さないギリギリのラインまで演者のやりたい事を盛り込もうとします。

このバランスが非常に大切で、そして非常に難しいのです。

時々キャストから

「もっとこうしたいのに」
「こんな事しなきゃいいのに」

なんて言われますが、実はそんな駆け引きの末にショーは作られてるんですよ(ちゃんとしたショーはね)。

しかし、

「やりたい事」も「やるべき事」も、結局は「やれる事」の中でやるしかないんですよ。

アクターが動けなかったら「やりたい事」も「やるべき事」もやれません。

「やるべき事」と「やりたい事」をキチンと構成出来るシナリオライターがいなければ何も形になりません。

スキルがあって初めて「キチンとしたショー」は成り立つのです。

だから結局は

『ショーに関わる人間は、腕を磨いて「やれる事」を増やしましょう』

って所に落ち着いてしまうんですよね。
2011-03-15(Tue)

3月14日の練習

2011年のホワイトデーは、武装の練習日でした!!

…そういえば先月のバレンタインも練習でしたっけ…

参加者は…


代表!!










…以上!


また一人かよっ!


一人だから油断して30分遅れで練習場入り。

まずは新しいメニューを取り入れながら筋トレしました。

それから手技の基本と足技の基本。

一人なので誰にも気兼ねせず、じっくりと練習する事が出来ます。


メニューを増やし回数を増やし…

休憩も増えます(笑)


最後に木刀を持って、型と素振りで練習終了としました。


ホントはもっとやりたい事があったんだけど、筋トレと休憩で時間食い過ぎたかなぁ~。


次は配分を考えながらやるとしましょう。


スキルアップ目指して頑張れ代表!!


お疲れ様でした!!
2011-03-12(Sat)

あの人基準、この人基準

警備員としての経験から考えた事です。

強引な運転をするトラックっていますよね。

歩行者や自転車がいるのに突っ込んで行く4tトラックとか。

一般の通行者の安全を守るのが警備員の仕事なので、当然僕らはトラックを停止(または徐行)させるワケです。

するとトラックのドライバーはあからさまに不満気な顔をしたり、中には合図を無視して突っ込んで来る人もいます。

この時ドライバーは2つの勘違いをしています。

1つは

『トラックを止めずに歩行者をどかせよ!』

という勘違い。

警備員は基本、トラックが関わる側(工事現場や店舗など)に雇われています。

ドライバーからしたら『身内』なワケです。

身内だから

『警備員はトラックをスムーズに動かす為に雇われている』

と思っているのです。

『トラックが通る時に通行人を止めるのが警備員の仕事だろ!』

と思っているのです。

警備員は

『トラックの通行で近隣の方々が被害や迷惑を被らないようにする為』

に雇われてるんですね。

本来止まらなくていいハズの道路で止められるというのは被害であり迷惑なんです。

これがドライバーによる1つ目の勘違い。

2つ目は、

『歩行者が道路の端に避ければお互い通れる幅だろ!俺はぶつけない自信がある!』

というもの。


警備員の目から見ても、

『この道路幅なら歩行者とトラックがギリギリぶつからずに通れるな』

という事はあります。

しかしそれはあくまで物理的な話。

では心理的にはどうでしょう?

自分が歩いている時に50cmほど隣りを4tトラックが走り抜けて行ったら?

怖いと思いません?

怖いんですよ。

実際はぶつからないと分かっていても怖いんです。

警備員は心理的な配慮からトラックを停止させてるんです。

『怖い!』『危ない!』と思う事は被害なんです。

でも物理的な事しか頭にないドライバーは

『俺はこのぐらいの幅なら行けるテクを持ってんだよ!わざわざ停めるなんて俺の腕を分かってねぇな!?』

なんて考えちゃうワケです。

この2つの勘違い、どちらも『自分主体』だけで考えているから起きたものです。

『自分がやりたいから』

『自分は出来るから』

そこに客観的な視点は全くありません。

ショーにおいても同じ事が度々見受けられます。

観客の気持ちは置いてけぼりで自分のやりたい事をやるアクター達。

『まずは自分が楽しまなきゃ観客も楽しめないぜ!』

と言って自分だけが楽しんでいるアクター。


子供の気持ちを考えず、好き放題にいじり倒し、子供に嫌な気持ちだけを残して悦に入っているアクター。

絶対に当てない自信があるからと、
『顔面スレスレに剣を振ってビビらせてやるぜ』
なんて考えて観客に危機感を抱かせるアクター。

安全というものは、発信する側でなく常に受け取る側が判断するものである。

そんな事も分からないアクター。


どんなにリアル思考のアトラクションでも、必ず

『ギリギリ安心出来る距離感』

を保って作られているハズ。

それも考えきれず、自分の主観だけでステージに立っているアクターは表現者失格です。

本当にお客さん目線で考えているか、

そこに勘違いは含まれていないか、

我々には、常にそれを考える義務があると思います。

ステージに立ち、観客の前に立つ以上は。
2011-03-12(Sat)

『伝える』+『伝わった』=

人が生活する上で、

『伝える』

という行為はかなり重要です。

人は

『伝える』

事でしか他人と繋がる事は出来ないのです。

日常生活では自分の気持ちや考えを伝えなければなりません。

そしてショー(演技)においては、役の気持ちを観客に伝えなければなりません。

演技というのは表現して伝える為のテクニックなのです。

さて、

先ほど『伝える』事が重要であると書きましたが、それより更に重要な事があるのをご存じでしょうか。

『伝える』よりも重要な事。

それは

『伝わった』

です。

『伝える』はあくまでも『伝わった』への過程でしかありません。


『伝える』+『伝わった』=『伝えた』

なのです。

相手に伝わって初めて

『伝えた』

と言えるのです。

つまり、

『自分はちゃんと伝えたけど伝わってなかった』

という言い訳は成り立たないのです。

『伝えたつもりだったけど伝えきれてなかった』

と言うべきなのです。

演技に臨んでは

『きちんと伝えたか』

『きちんと伝わったか』

を考えるようにしたいものですね。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

2017年11月26日は10周年記念『ギルティー!!』を公演します!
福岡市南区大橋にて19:30開演!

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