2010-07-31(Sat)
アクションへの道(72)
台本に対する先輩からのエゴ丸出しのクレームや、周りのメンバーの自己満足的な加熱ぶりを見るにつけ、僕は段々と冷めていきました。
それまでの先輩達は
『テレビ(のヒーロー番組)なんか観るな!あんなカッコ悪い動きをマネしようとするな!』
という主義の人が多くて、テレビ(本物)主義の僕はよく怒られたり馬鹿にされたりしたものでしたが、前年のカンフー戦隊でテレビのカッコ良さに目覚めた先輩達は
『テレビを観て研究しろっ!』
と声を荒げるようになりました。
また、先輩達は同業他社へのライバル心が強く、僕らが少しでも他社を褒めたりマネしたりしようものなら
『そんな奴は余所のチームへ行けっ!』
なんて言ってましたが、前年から他社と交流が始まって、
『他社のショーを見習え!お前達は完全に負けてるぞっ!』
なんて怒鳴り散らすのでした。
生意気な事を言いますが、これまで井の中で偉そうにしていた蛙が急に外界を知ってカルチャーショックを受けただけに思えました。
外界の事を知らなかったのはあんた達だけだよ。
周りはみんな知ってたよ。
あんたらが見るな語るなというから目を耳を塞いでたんだよ。
この年、とある遊園地で、他社による大規模な戦隊ショーが行われました。
僕は仲間数人と観に行ったのですが、偶然同じ日に先輩達もたくさんの後輩を引き連れて観覧に来ていたのです。
僕は関わりたくなかったので離れた席にいたのですが…
先輩達は…
酷かった…
あんなにマナーの悪い客は観た事ないよ…
アクションが決まると口笛が鳴り響きます。
周りの子供達は驚いて先輩達の一団に目を奪われます。
レッドがトランポリンでカッコ良く前宙しました。
『よっ!●●●!!』
…この●●●に入るのはレッド役のアクターさんの本名です。
たくさんの子供達がいる前でキャラクターに対して故意にアクターの名前を呼ぶ…
これ、十何年もショーの世界にいたベテランのやる事か??
もう僕は腹立たしさと情けなさでショーを観る気分じゃなくなりました。
他社のアクターさんや他のお客さんに申し訳ない。
ショーの後、何故か僕も先輩達の一団に呼ばれてみんなで観覧車に乗る事になりました。
そんな気分ではありませんでしたが、観覧車ぐらいなら我慢して乗ろう…
そう思って仲間達と乗り込みました。
みんなで、とは言ったものの、20人以上のメンバーがいたので、5~6台のゴンドラに分かれて乗る事になります。
先輩達が一番に乗り込み、後輩達が2台目、3台目と続きます。
僕は最後のゴンドラに乗り込みました。
観覧車の中でも
『あれは同業者がやっていい事じゃねぇよ!』
と批判が止まりません。
さて、その頃…
最初に乗り込んだ先輩達は当然最初に降りる事になります。
降りたら
『ショーのメンバーも着替え終わっただろうからみんなで挨拶に行こう!』
って話になったんでしょうね。
でも観覧車ってゆっくり動いてますから、後輩達はなかなか到着しないワケです。
先輩達は早く挨拶に行きたいのに、2台目が…回って…ゆっくり回って…
ようやく到着…
先輩達はイライラして待ってるのに…
3台目が…回って…
ゆっくり回って…
ようやく到着…
そんなこんなで、僕らが最後のゴンドラから降りる時には先輩の怒りが爆発!!
『オマエらぁ!何をグズグズしよるとやぁ!!早く挨拶に行かんと向こうのメンバーが帰ってしまおうがぁっ!!』
???
グズグズ???
観覧車の回転スピードが遅いのは僕らのせいですか???
観覧車降りたら挨拶に行くってのはいつ決まったんですか???
僕らに『観覧車に乗るぞ!』と行ったのは誰ですか???
僕はハラワタ煮えくりかえりながらも、
『あぁ…この人達はおかしくなってしまったんだ…
もう付き合ってられないな…』
と思いました。
僕はここで一旦キャラクターショーと距離を置く事にしたのです。
週末も現場を断りバイトに精を出す事にしたのです。
この観覧車の後、僕は先輩達と別に帰ったのですが、後に後輩に聞いた話。
その日の夜、ショーを観に行ったメンバー全員で楽しく飲んでいたそうです。
すると突然先輩の怒りが爆発!
『オマエらぁ!何をヘラヘラしとるとやぁ!?
今日のショーを観て恥ずかしくないとやぁ!?
オマエら完全に負けとるやろうがぁ!!』
…いやいや先輩、
一番恥ずかしいのはアナタですから。
それまでの先輩達は
『テレビ(のヒーロー番組)なんか観るな!あんなカッコ悪い動きをマネしようとするな!』
という主義の人が多くて、テレビ(本物)主義の僕はよく怒られたり馬鹿にされたりしたものでしたが、前年のカンフー戦隊でテレビのカッコ良さに目覚めた先輩達は
『テレビを観て研究しろっ!』
と声を荒げるようになりました。
また、先輩達は同業他社へのライバル心が強く、僕らが少しでも他社を褒めたりマネしたりしようものなら
『そんな奴は余所のチームへ行けっ!』
なんて言ってましたが、前年から他社と交流が始まって、
『他社のショーを見習え!お前達は完全に負けてるぞっ!』
なんて怒鳴り散らすのでした。
生意気な事を言いますが、これまで井の中で偉そうにしていた蛙が急に外界を知ってカルチャーショックを受けただけに思えました。
外界の事を知らなかったのはあんた達だけだよ。
周りはみんな知ってたよ。
あんたらが見るな語るなというから目を耳を塞いでたんだよ。
この年、とある遊園地で、他社による大規模な戦隊ショーが行われました。
僕は仲間数人と観に行ったのですが、偶然同じ日に先輩達もたくさんの後輩を引き連れて観覧に来ていたのです。
僕は関わりたくなかったので離れた席にいたのですが…
先輩達は…
酷かった…
あんなにマナーの悪い客は観た事ないよ…
アクションが決まると口笛が鳴り響きます。
周りの子供達は驚いて先輩達の一団に目を奪われます。
レッドがトランポリンでカッコ良く前宙しました。
『よっ!●●●!!』
…この●●●に入るのはレッド役のアクターさんの本名です。
たくさんの子供達がいる前でキャラクターに対して故意にアクターの名前を呼ぶ…
これ、十何年もショーの世界にいたベテランのやる事か??
もう僕は腹立たしさと情けなさでショーを観る気分じゃなくなりました。
他社のアクターさんや他のお客さんに申し訳ない。
ショーの後、何故か僕も先輩達の一団に呼ばれてみんなで観覧車に乗る事になりました。
そんな気分ではありませんでしたが、観覧車ぐらいなら我慢して乗ろう…
そう思って仲間達と乗り込みました。
みんなで、とは言ったものの、20人以上のメンバーがいたので、5~6台のゴンドラに分かれて乗る事になります。
先輩達が一番に乗り込み、後輩達が2台目、3台目と続きます。
僕は最後のゴンドラに乗り込みました。
観覧車の中でも
『あれは同業者がやっていい事じゃねぇよ!』
と批判が止まりません。
さて、その頃…
最初に乗り込んだ先輩達は当然最初に降りる事になります。
降りたら
『ショーのメンバーも着替え終わっただろうからみんなで挨拶に行こう!』
って話になったんでしょうね。
でも観覧車ってゆっくり動いてますから、後輩達はなかなか到着しないワケです。
先輩達は早く挨拶に行きたいのに、2台目が…回って…ゆっくり回って…
ようやく到着…
先輩達はイライラして待ってるのに…
3台目が…回って…
ゆっくり回って…
ようやく到着…
そんなこんなで、僕らが最後のゴンドラから降りる時には先輩の怒りが爆発!!
『オマエらぁ!何をグズグズしよるとやぁ!!早く挨拶に行かんと向こうのメンバーが帰ってしまおうがぁっ!!』
???
グズグズ???
観覧車の回転スピードが遅いのは僕らのせいですか???
観覧車降りたら挨拶に行くってのはいつ決まったんですか???
僕らに『観覧車に乗るぞ!』と行ったのは誰ですか???
僕はハラワタ煮えくりかえりながらも、
『あぁ…この人達はおかしくなってしまったんだ…
もう付き合ってられないな…』
と思いました。
僕はここで一旦キャラクターショーと距離を置く事にしたのです。
週末も現場を断りバイトに精を出す事にしたのです。
この観覧車の後、僕は先輩達と別に帰ったのですが、後に後輩に聞いた話。
その日の夜、ショーを観に行ったメンバー全員で楽しく飲んでいたそうです。
すると突然先輩の怒りが爆発!
『オマエらぁ!何をヘラヘラしとるとやぁ!?
今日のショーを観て恥ずかしくないとやぁ!?
オマエら完全に負けとるやろうがぁ!!』
…いやいや先輩、
一番恥ずかしいのはアナタですから。
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