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2010-01-31(Sun)

アクションへの道(47)

今までと違う流れに翻弄されながらも練習を重ねる我々も、その状況に少しずつ適応しつつあった…


新しい戦隊の使う中国武術。
それを今までの殺陣に組み込むのは難しくはないがコツが必要です。

ヒーロー殺陣というのは、旋風脚や掃腿といったカンフー技が単品で入っているものの、ベースになっているのは剣殺陣と空手。
当然日本的な動きになっています。

おまけにステージ上での殺陣の見せ方も歌舞伎や能の流れから来ており非常に日本的なので、我々がカンフー殺陣をやろうとした場合、
『日本的カンフー』
を作らなければならないのです。


『そんな事考えずにさ、まんま中国風カンフーをやっちゃえばいいじゃん?』

って思う方もいらっしゃるでしょうが、おそらくそれをやると『京劇』に近くなると思います。

京劇は素晴らしいものですが、キャラクターショーとは趣が違いますよね。


先ほど、殺陣をカンフー寄りにするにはコツが必要だと書きました。

技術的な事を言ってみると、パンチを出す時に、正拳ではなく縦拳にしたり掌にしたり背手にしてみたり。

脚を弓歩にしたり座盤ぽくしたり、腕をグルグル回してみたり馬歩でズッシリかまえてみたり。

武術の種類にもよりますが、こういった変化が有効です。

しかし、カンフー殺陣で最も大事なのはテンポと形でしょう。

カンフー映画のアクションシーンのテンポって、何をやってるか分からないぐらい速かったりしますよね。
簡単に言うと、あの速さがカンフー殺陣のテンポって事になるのですが、じゃあ速く動けばカンフーになるかと言えばそうではありません。

試しに、普段やってる立ち回りをカンフー映画のスピードでやってみて下さい。
果たしてカンフーっぽくなるでしょうか?

おそらくただの『早送り再生』になったのではないでしょうか?
もしくはチャップリン映画のような喜劇風になったかもしれません。

それは何故でしょう??

日本の殺陣とカンフー殺陣は、『速さの種類』が違うからです。
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2010-01-30(Sat)

アクションへの道(46)

1993年!

この年は我々にとって激動の年だったと言って過言ではないだろう!!



新戦隊が始まった。

この年は中国武術を使う戦隊だった。


それまでの戦隊の立ち回りやポーズというのは、言ってしまえば『王道』だった。

だから僕らは普段の練習通りの動きをやっていれば大きくハズす事はなかった。

例え「テレビで本物を観ないメンバー」が「本物と違うポーズ」をキメていたとしても。

しかし、この年は完全に動きが違う。

そして、その動きを表現しない事にはこの戦隊らしさは出ない!

今までマイペースにやってきた我々は戦慄を覚えた。


ある練習の日、リーダーがビデオを持って来て言った。

『こないだの放送を録画してきたから、みんなでポーズを覚えて練習しよう。』

そこにいたメンバーのほとんどが驚いた。
そのリーダーはこれまでテレビの真似をしない事で知られていたからだ。

そのリーダーを慕っていたメンバーがうなだれた。

『まさかリーダーが俺達にテレビを観せるなんて…俺は自由なところが好きだったのに…』


ヒーロー番組に全く関心がないこのメンバーは別として、そのぐらい僕達は衝撃を覚えたのだ。

ポーズはこれまでにない難易度の高さ。
キメるのが非常に難しく、だからこそ決まった時には震えがくるほどカッコいい。

殺陣も5人がそれぞれ特色の違う武術を使わなくてはいけない。
今更ながら、

『練習で新しいスキルを身に付ける』
『頭を使って考える』


という基本的な部分にぶつかったのである。
2010-01-29(Fri)

アクションへの道(45)

1992年も残りわずかとなっていました。

この冬の夜、僕はレンタルビデオ屋でアルバイトしていました。

さすがにショーのギャラだけで1人暮らしは出来ないのです。


当時僕の部屋には2人の居候が住んでいました。

仕事の都合で一週間…のハズが何故か居着いてしまった同い年のと、職場の寮を出て来た先輩です。
(『アクションへの道(37)』参照)

部屋にあった電化製品のほとんどは先輩のものでした。
それでも先輩は時々金銭的援助をしてくれました(よく考えたら当然ですが)

Nの方は家賃はおろか、光熱費も入れてはくれませんでした。

一度本当に困っていた時に

『スマンけど、今月の電気代だけ入れてくれんかな?』

と言ったところ、

『出すのはかまわんよ!?でもね、それを出したらアンタと俺はもう家主と居候の関係じゃないよ!対等やけんね!それでもいいなら出すよ!』

と逆ギレされました。

勝手に1年半も他人の部屋に居座った奴が、7千円の電気代をたった1回払っただけで家主と同格になれるのでしょうか。

めんどくさかったのでもう請求はやめました。


この2人は仕事もしていなかったので、一日中部屋でゲームをしていました。

ショー仲間も集まって、常に5~10人が部屋にいました。

僕がビデオ屋で働いている間も夜通しゲーム大会が行われていました。

明け方にバイトが終わって部屋に戻っても必ず人がいて騒いでいるので寝る事が出来ず、結局体力の限界を迎え3ヶ月でビデオ屋を辞めました。


この頃、僕には初めての彼女が出来ていました。

高校生だった彼女は登校前と放課後、僕の部屋に来てくれました。

居候やショー仲間は居心地が悪くなるので彼女が来るのを嫌いました。

彼女が来ると聞こえよがしに舌打ちし、

『あ~あ、何か居心地悪ぃけん帰るか!』

と言いながら去っていきました。

『何で俺らが出ていかにゃいかんのかねぇ!』

と言いながら。

『ここはアンタ1人の部屋じゃない!』

とも言われました。


いや…僕1人の部屋なんですが…


その内、僕はみんなから敵対視されるようになりました。

僕の部屋に住み着いている人間と、
僕の部屋にやってくる人間が揃って、
僕の部屋で僕をシカトするようになりました。

みんなは僕とは言葉を交わさずゲームで盛り上がっていました。

早朝彼女が来ても誰も出て行かなくなりました。

こな中で唯一心ある先輩が

『俺ら出た方が良くない?』

と言うと

『嫌ならこいつら(僕と彼女)が出て行くでしょ。ほっときましょう。』

なんて答える奴がいます。

結局僕と彼女は部屋を出て、早朝5時の真冬の公園で震えて過ごしていました。

この状況は当然ショーにも悪影響を与え、現場やリハでもろくに口をきいてもらえない事がありました。

この時、僕は彼女の為にもキレるべきだったと今は思います。
全員追い出して彼女を大切にするべきでした。

当時の僕は一体何を大事にしていたのでしょう…


でもこの時期から

『俺は誰の力も借りず、仕事に情を持ち込まず、自分流を貫く!』

って心に決めました。


1993年、新戦隊が始まろうとしていました。


※今回、アクション関係ないどころか、ただの恨み言だ!

とりあえず次回へ!!
2010-01-27(Wed)

1月26日の練習!!

26日(火)は練習でした!

参加者は、
代表バナティプレ亮ちゃんジョー
それに今回は、
キャラクターショーの後輩である
アグリッパふくふく
の2名が急遽参戦!!
(近くの体育館で練習しようと思ったら
空いてなかったんですって)


予想外に大人数になってしまいましたが、
今週もダラダラ練習するぞ!!



まずは剣のコーナー!

お馴染みの「いつもの歩法」からスタート。

前進・後退、前進しながら左右の袈裟斬り。

アグリッパとふくふくは慣れない動きだから大変そうだったなぁ。


アグリッパと出会ったのはもう6~7年前?
一緒にショーをしてきた仲間です。

ふくふくは昨年の春頃からショーを始めた
17歳の女の子でした。
キャリアは浅いですが、動きを見たら
これまで一生懸命練習してきた事が分かりました。
期待の新生ですね!

なんで武装に来なかったの!!

続いて型A&型B。
これはようやくジョーに動きと順番を教える事が出来ました。
これから細かい所もやっていかなきゃね♪

●バナティとジョーの型

バナティのハネてる髪が可愛いでしょ??
バナティ&ジョー・型

●プレとふくふくの型
プレ&ふくふく・型

型の後は2人1組になって、
剣合わせ・柳受け・八双受け。
今回から柳受けのバリエーションを増やしてみました。

●プレとふくふくの剣合わせ
プレ&ふくふく・剣合わせ

●バナティとジョーの剣合わせ
バナティ&ジョー・剣合わせ

●プレとふくふくの八双
プレ&ふくふく・八双

●バナティとジョーの八双
バナティ&ジョー・八双

ここで剣は終了。

剣の後はいつも通り手技です。

まずは基本から。
正拳突き(中段・上段)・手刀(横打ち・縦打ち)・
受け(上段・外・内・下段)をノンストップで。

殴り2種を続けて。

裏拳(中段・上段・突きを落として~)。

2人1組になって、突きを落としてからの裏拳。
続いて、山々スカしをよけてからの右殴り。
ヘトヘトになったけど足技までやる事に。

ここで門限の都合で、ふくふくは
お先に帰宅。

ふくふくお疲れ様でした!!


後半の殺陣に時間を使いたかったので、
足の基本は短縮バージョンで。

前蹴り・回し蹴り・前蹴りから回し蹴りの3種のみ。

ここで休憩をはさんでからプレの殺陣です。

●プレの殺陣(二段蹴り)
プレの殺陣・二段蹴り

まだまだ身体に馴染む段階には入ってないようです。
普段やってなかった動きを使っているので、
まだ自然に動けないみたいですね。

今回から動きだけじゃなく、表情やセリフも入れながらやる事にしました。
「さやかショー」ではどちらも重要なファクターだからです。

顔も声もキャラクターショーでは出さなかったものなので、
上手く出来るようになるまで時間がかかるかもしれませんね。

最近は平気で地声でしゃべるキャラクターもたくさんいますが、
僕らは
「いかに顔や声に頼らずに表現するか」
という風に育てられました。

つまり、表情とセリフも考えて・・・というのは、
今までと全く逆の作業になるのです。

みんな、ますます大変になるけど頑張れよ!

●プレの殺陣(踏んでニヤリ)
プレの殺陣・踏んでニヤリ

バナティは前回・前々回に引き続いて1対3の剣殺陣です。
動きに関しての宿題、ちゃんと出来るかなぁ。
来週までに研究出来てたら嬉しい・・・

●バナティの殺陣(袈裟斬り)
バナティの殺陣・袈裟斬り

ここで、カンフー殺陣をやってない事を思い出しました。

急遽2人1組になってレッツ・カンフー!!
●バナティとプレ(カンフー殺陣)
バナティ&プレ・カンフー殺陣
初参加のアグリッパはともかく、武装メンバーオロオロし過ぎ!

●亮ちゃんとアグリッパ(カンフー殺陣)
亮ちゃん&アグリッパ・カンフー殺陣

最後のメニューは、
2人1組で1対1の殺陣。
普段のショーで僕とみんみんがやってるヤツです。

●亮ちゃんとアグリッパの殺陣(1)
1対1・亮ちゃん&アグリッパ・1

●亮ちゃんとアグリッパの殺陣(2)
1対1・亮ちゃん&アグリッパ・2

●バナティとプレの殺陣(1)
1対1・バナティ&プレ・1

●バナティとプレの殺陣(2)
プレが動いた瞬間に撮影したら、カッパみたいな頭が写ってました。
1対1・バナティ&プレ・2(河童が出たぞ!)

●バナティとプレの殺陣(3)
1対1・バナティ&プレ・3

殺陣も終わったところでプチ筋トレをしてから練習終了。

掃除したり着替えたり片付けたりしてから解散。

アグリッパお疲れ様!
来てくれてありがとうね♪

メンバーのみんなもお疲れ様でした!
また来週もよろしくね♪♪
2010-01-27(Wed)

こんな時間

もうこんな時間なので寝ます。

当ブログ、mixiの練習日記ともに

後で更新しますね。

おやすみなさい。
さやか撮影会
2010-01-26(Tue)

しまった…

これから練習…

なんですが、

家でバタバタしてたら18:02発の電車に乗れませんでした…

21分の特急で行かなきゃ…


こりゃギリギリ着だな。
2010-01-25(Mon)

センスがない

もしも、アクション、出来~た~なら~♪

~中略~

だけど~
僕に~はセンスが~ない~♪




アクションセンスの話です。

昨夜後輩と話してたらそんな話になったので書いておこうかと。

以前も同じような話を書いてると思いますが、まぁそんなのはいつもの事なのでお許しを。



何かをやる場合、何につけてもセンスがあるに越した事はありません。

それはアクションもしかりです。

ところが、冒頭に歌ったように、僕にはセンスがありません。
おまけに運動能力も著しく低いです。

僕を知る人達は口を揃えて

『オマエがアクションやってんのか!?そんなん無理だろ!?』

と言ってます。

一緒にショーをやっていた仲間からも

『内野は本来、ステージに立つ側じゃなくて裏方の人間だよねぇ』

と言われています。

ホント、僕もそう思います。

でも、
これも以前書いてますが、殺陣という事で言えば、
運動能力が低くても、努力で何とかなります!

『殺陣』というのは戦いのお芝居なので、運動能力よりも演技力がものを言うのです。
(あるラインより上の技術やアクロバット、スタント的な技術をマスターするにら運動能力が必要ですが…)

個人的な感覚では、
『運動能力は高いけど演技下手な人』
よりも
『運動出来ないけど演技出来る人』
の方が上達出来そうな気がします。


あ、さっそくテーマから外れてますね。

センスの話でした。



僕はセンスがありませんが、その事に感謝する事が多々あります。


僕の周りには、運動能力・センス共に抜群な仲間がたくさんいました。

そーゆー人達は

『これやってみて』

とお手本を見せるとすぐにコピー出来たりします。

『こんな感じで…』

と伝えられただけで見事に形にしてみせたりします。

それに比べてセンスのない僕は、手本を見て、動きの理屈を考えて何回も動いて身体に染み込ませて、それで初めて出来るようになるのです。

何という手間でしょう!

でもこの手間が大事なんです


センスのない人間が技術をマスターする為には、

動きを覚えて

練習して

出来ないから理屈を考えて

また練習して

出来ないから身体の動かし方を考えて

また練習して

出来ないから独自の練習方を考えてみたりして…


といった段取りが必要です。

対してセンスがある人間は、

やってみたら出来た

って事が多いです。


では、対照的なこの2タイプが技術の壁にぶつかったらどうなるか?
指導者になったらどうなるか??


センスがある人間は、出来ない事にぶつかった時、
『自分が何故出来ないのか』
が分からないのです。
『出来るようになる為に何をしたら良いのか』
が分からないのです。

当然人に教える時にも、
『とにかくがむしゃらにやってみろ!俺はそれで出来た!』
としか言えませんし、教えた相手が出来ない場合、
『どうして出来ないんだ!努力が足りないんじゃないのか!?』
なんて指導になりがちです。

一方センスがない者は、壁にぶつかっても、出来ない事があっても、それが日常です。
何をどうしたら克服出来るかの引き出しをいっぱい持っています。

『こうしてみたらどうだろう?違うならこーゆー方法はどうだろう?』

と、色んなアイデアが出るハズです。
自分なりの理屈、自分なりの方法論が出来ているからです。
普段そうして試行錯誤しているから、指導者になった時も、何故出来ないのか、どうしたらやり易いのか、といったポイントを見抜く力があるハズです。



センスがある人もない人も必ず壁にぶつかる日が来ます。
その道を進む期間が長ければ長いほど、壁にぶつかる回数も増えていきます。

だから、
運動能力や運動センスに自信がない方、
途中であきらめないで下さいね!

苦労した人間の方が、壁を攻略する術を知っているのです。


スタートダッシュであなたに差を付けたライバルは、2枚、3枚と壁にぶつかる内に失速し、やがて止まってしまいます。

遅れて到着したあなたは、悠々と壁を乗り越えてライバルを追い越していけば良いのです。

ライバルは、何故あなたが乗り越える事が出来て自分が出来ないのか、それすらも分からないでしょう。



あ、別に、センスがある方を貶めるつもりはないですよ!

ただ僕は、運動出来ない、センスがないアクター代表として、同じ悩みを持つ人達に勇気と自信を持ってもらいたいのです。

だから声を大にして言いたい!

どんな人でも、
僕のレベルまでは行けるんです!!





…これって自虐かなぁ?(笑)
2010-01-24(Sun)

アクションへの道(44)

「クリスマスに何が起こったか」(3)


前回ホテルでのクリスマスディナーショーを台無しにした話を書きました。

今回は、同じ年、違うホテルでのクリスマスディナーショーのお話し。



この頃、僕の地元の某ホテルでも例年キャラクターを呼んでクリスマスディナーショーを行なっていました。

前回のホテルでは昨年の戦隊が2人登場するミニショーでしたが、こちらは現在の戦隊に昨年のレッドが登場するスペシャルショーです。

そして僕はそのレッドを演じました。


「えっ!?オマエがレッドかよ!?」

と思った諸兄、驚くなかれ、
是非続きを読んでいただきたい。


ディナーショーは2部構成になっていました。

第一部~お姉さんとサンタクロースの歌のコーナー

第二部~キャラクターショー


このキャラクターショーの後半で、クリスマスを台無しにしようと目論む怪人達がサンタクロースを捕らえます。

まさに処刑されんとしたその時!
サンタクロースは戦闘員達をなぎ倒し、変身ポーズを決めた!

暗転した舞台が光を取り戻すと、そこにはレッドの姿が!!

「サンタに変装してオマエ達の動向を探っていたのさ!」



そうです!

僕が演じたのはレッド…
…の変身前の
サンタクロースだったのです!!


この時のショーにはいい想い出がありません。

まず、

「なぜ現役バリバリでアクションに入っている自分がキャラクターではなくサンタクロースなのか!?」

同期達はみんなヒーロー役で活躍するというのに…

おそらくキャスティングする側としては、歌のコーナーで司会のお姉さんとの掛け合いもあるし子供との絡みもあるから、しゃべり経験のある僕を選んだのでしょう。

しかし僕としては、アクターとして1ランク下に見られたような気がして、かなりプライドが傷ついたのでした。


それからリハーサル。

スペシャルショーは普段より人数も多いし内容も違います。

なので、この時はリハーサルを3日行ないました(普段は1日)

しかしリハーサルと言ってもキャラクターショーの部分だけしかやりません。

僕の出番はほとんど歌のコーナーですし、ショーに絡む部分も

●戦闘員に捕まえられてステージに出る

●戦闘員をふりほどき怪人に一撃

●変身ポーズをしてハケる


って、これだけの流れです。

正直、打ち合わせだけしてればリハなんか要らないレベルの動きです。

僕は同い年のチームリーダーに言いました。

『あのさ、サンタってほとんど出番ないやん?
出てる部分も短くて簡単な所やん?
俺3日間もリハに来る必要なくない?
最終日だけでいいんじゃないかな?』


すると、それを聞いたリーダーは烈火の如く怒りました。

「おまえ何言いよるとやぁっ!?
全員で作り上げるショーやろうがぁっ!!」


そう言われては僕も3日間参加するしかありません。

さて、リハはどんな感じで進められたのでしょうか?

~1日目~

ヒーローと悪役の殺陣をつける。
サンタ、出番無し。

~2日目~

殺陣を進めながら、その前後の構成を決める。
サンタ、出番無し。

~3日目~

全体の構成を決めて通し稽古。
サンタが絡む部分の演出は3分もかかりませんでした。
そして、サンタの出番は一番最後の通し稽古、1回だけでした。




…なっ!?

やっぱり最終日だけで良かったよな!?
俺は3日間ほとんど、ジャージで座ってるだけだったよな!?
そうなる事ぐらい想像つくんじゃねぇの!?えぇっ!?
なぁにが
『全員で作り上げるショー』
だよっ!ぷんぷんっ!!

※ちなみにこのリーダー、1年後のディナーショーで同じく3日間リハをした時、彼女とデートをするという理由で1日休んだ。
メイン戦隊のレッド役だったくせに!!



…とまぁ、こんな感じだったので全然楽しくなかったのですよ。

せめて本番では楽しもうと、当日の歌のコーナーで歌ったりしゃべったりしてたらスタッフから

「歌ったりしゃべったりはMCがするからオマエは黙ってていい!」

って言われるし。

じゃあ何で俺をキャスティングするのよ。
勘弁してちょうだいよ。


こーゆー
『誰でも良さそうな役』
にキャスティングされるのは本当にプライドが傷つくんです。

まぁ、もしかしたら認められるだけの実力がなかっただけかもしれないけど…


当たり前ですけど、大好きなショーの世界でも楽しい事ばかりじゃないんですよね~。
2010-01-23(Sat)

小説・さやか見参

とある時代のとある国。

都を中心に覇権争いが続き、
武士のみならず、
平穏に暮らしていた民百姓までも
争いに巻き込まれていた

そんな時代。

とある地方のとある山中、
とある屋敷に24人の男達が集まっていた。

月の煌々と照る夜であった。

38万kmもの遠くから発せられた衛星の光は、
木々が生い茂る中に、所々その姿を見せるのみであった。

男達はそのわずかな明かりの中を
驚くほどしっかりした足取りで、
いや、むしろ常人以上の速度で屋敷へ向かっていたのである。

彼らは果たして何者であろうか。
そして暗がりの中でも威圧感を与えるような
この屋敷は何であろうか。

茅葺や藁葺ではない、焼き物の瓦を葺いた屋根。
使われている木材も香りから察するに
安いものではあるまい。
暗闇に輝いているのは漆喰であろう。

屋敷の大きさは明らかに農民のものではなく、
かといって豪族のものほどもない。
ましてや武家の屋敷に比すれば
造りが簡素であった。

なによりも、樵すら入らぬような山中にかまえた屋敷とは、
いかなる者の巣窟であろうか。


屋敷の中に蝋燭の明かりが灯った。
中央に1本、周囲に4本配された炎が照らし出したのは
広く、何もない板敷きの間であった。

一見すると道場か修業場のようだが、
その形状は独特である。

12角形、というよりは、
12枚の壁を円形に並べた、というような造りだ。

1枚の壁の大きさは、大男が手を広げても余るほどで、
その広い壁には掛け軸のようなものなのか、
壁面に直接なのかは分からぬが
それぞれ大きな筆文字が画かれている。

最も目立つのは、蝋燭の炎でもそれと分かる
朱で書かれた

『龍』

という文字だろう。

そこから時計回りに
『鼠』
『牛』
『虎』
『兎』
『蛇』
『馬』
『羊』
『猿』
『鳥』
『犬』
『猪』
と黒い文字が並び、
最初の『龍』に戻っている。

文字の書かれた壁の前には1枚の円座が敷かれており、
都合12枚が円形に並んでいる。
そこにまず年配の12人が腰をおろした。
若き12人はそれぞれの背後に片膝をついた。

前列の年配者と後列の若者が2人1組となり、それが12組
車座になっている格好だ。

年配、と書いたが前列は老人ばかりではなく、
壮年の者や、中年期に差し掛かった者もいる。
中でも前列で一番若く見えるのは
『龍』の前に座っている男だろう。

総髪に鋭い目つき。
顔を見れば全身が引き締まっているのが分かる。
このいでたちは侍か、
いや、武術の師範やもしれぬ。

屋敷にしばしの沈黙が続いた。

気付けば、けものや虫の声も聞こえぬほどの静寂。

と、師範めいた男が口を開いた。

「さっそくだが」

低くよく通る声だ。

言い終わらぬ内に、前列の11人が懐から
折りたたんだ半紙を取り出して
眼前の床に置いた。

龍の座に座る師範が身じろぎもせず、

「たける」

と呟くと、これまた短く

「は、」

と呟き、背後の若者が立ち上がった。

たけると呼ばれた若者は、年の頃は
十代後半から二十歳ほど。

ザンバラな髪とは不釣合いに
おっとりした美青年であった。

たけるは腰低く車座の中に入り、まずは『鼠』の
老人の前に片膝をついた。

「御免」

そう言うと、先ほど老人が置いた半紙を手に取り、

「よもや疑う者なきやと思うが、万が一の不正なきよう、
今この場で検分いたす。
怪しむ点のありし時は即刻申し出ていただくよう
お頼み申し上げる」

そう高らかに声を上げると、鼠の2名に向かって
半紙を開いた。

「間違いござらぬか」
「うむ。間違いない」

老人がうなずくと今度はつつと右に寄り、
牛の2名に見せた。
2名がうなずくとまた右に進み、虎へ、兎へと足を進め、
見せられた2名はそれぞれ力強くうなずく。
これが1周し、最後に龍の師範の所に届けられる。

たけるは次に牛の老人が出した半紙を手に取り、
同じように車座を回る。

最後の猪の半紙が確認されるまで、
たけるは11周もこの部屋を回った事になる。
全ての紙に、師範とたけるを除く22人がうなずいた。
しかし1人、蛇の座の後列で片膝をついている男だけは、
首だけはかすかに縦に動かしていたものの、
その眼は何ものも受け入れようとはしない、
いわば憎しみに燃えた眼をしていた。

この男は一体何者なのか。
そして男が受け入れる事が出来ないものとは
一体何なのか。

風もなく、中央の蝋燭の炎が激しく揺れた。
そのまま吹き消されてしまうのではないかと思うような
激しい揺れに、壁に映った男達の影も踊らされている。

やがて炎が落ち着きを取り戻した頃、龍の座の前に全ての半紙が
広げられ、師範は静かに視線を落とし、それを、見た。

全ての半紙には全く同じ模様が書かれてある。
1つの赤い丸と、11個の黒い丸が
円を画くかのように書かれたそれは、
ある種の曼荼羅のようだ。

そして何よりも、この部屋の構造と瓜二つではないか。

虎の座の壮年の男が周囲を見渡しながら満足げに、
今までの緊張が解けた様子で

「満場一致・・・でございますな」

と声を発し、蛇座後列の男を除いた全員がうなずいた。

虎の座の壮年の男、そして後列の若い男が立ち上がった。

「各流派の任はこれまでと変わりなしじゃ!
それぞれのかしらは、今まで通り組のお役目に当たってくだされ!」

その言葉をきっかけに全員が立ち上がった。
24人がここに集まったのは、
流派の任とやらを決定する為だったのであろう。

そしてそれは協議の結果、現状のままで可だという
結論が出たのだ。

すなわち、壁に書かれていた蛇や鳥というのは役割を表し、
その前に座っていた者がそのお役目に当たっていた、
という事であり、またこれからも引き続きその任に就く、
という事である。

真っ先に立ち上がった虎の座の・・・

虎組の頭領が龍の座まで進み、総髪の師範の肩に手を乗せて言った。

「我らをまとめる龍組は、これまでと変わらず山吹じゃ!
よろしゅう頼むぞ!!」

師範はこの席で初めて微かに微笑み、

「山吹流忍術頭領・山吹武双、しかとお受けいたした。
こちらこそよろしく頼む」

と答えた。
2010-01-23(Sat)

アクションへの道(43)

「クリスマスに何が起こったか」(2)


若気の至り…

そう、

言い訳するとしたら
若気の至りと言うしかない…



当時、
とあるホテルで例年、ある団体さんのクリスマスパーティーが行われていました。

そのパーティーのメインイベントは我々のキャラクターショー。
ディナーをいただきながら観るミニショーでした。

ミニショーというのは、予算や状況に合わせて人数を少なくしたり時間を短かくしたりといったショーの事です。

このイベントの場合は、昨年の戦隊からレッドとピンクが登場。
悪役はボスと戦闘員2人。

いつもの戦隊ショーより少ない計5人です(+スタッフ&MC)

僕の役どころはしゃべりの悪ボス。
昨年からしゃべりの現場をこなしてきた事を買われてのキャスティングです。

リハもバッチリ、台本も頭に入っています。

オールOK!

時間になり、いよいよショーが始まってステージに出ると…




ぅわっ!

明らかに悪ガキだらけです!



普段のショーの観客というのはたまたま集まった見ず知らずの人達です。

面識がない者同士なのでお互いに抑制しあって大人しくしています。

しかし、今回のように1つの団体さんが集まっている状況だと全く違います。

周りが顔見知りばかりだから悪ノリするのです。


普段なら、
「ちょっと戦闘員にパンチ入れに行こうかなぁ~。…でも周りはみんな大人しく座ってるからやめとこ…」
ってなる子供も、周りにいる友達が
「殴りに行こうぜ!」
と言えば、
「おぅっ!行こうぜ!」
ってなっちゃうんですね。

親の方も、暴れているのが知らない子供なら
「ウチの子が楽しんでるのにあの子のせいで台無しだわ!親はどこなの!?早く止めなさいよ!」
と思うのに、知り合いの子供だと
「まぁ、おたくの●●ちゃんはいつも元気でいいですわね~、おほほほ」
みたいになってしまうのです。

つまり1つの団体さんの中でのショーというのは、ブレーキのない子供達が集団心理に操られ暴徒と化す可能性があるのです。

まさに、この日はそうでした。

会場内を自由に走り回り、奇声をあげ、ヤジをとばし、ステージに勝手に上がってくる子供達…

食事をしながらニコニコとそれを眺める大人達…



ここで言っておきたいのは、この状況がダメだという事ではない、と言う事です。

アクター自身の経験値とテクニック、そしてスタッフ・MCの協力があれば何とかなる事も多いのです。

ましてやしゃべりショーなら、そこはしゃべりの腕で何とか出来るのです。



…僕なら…


…今の僕なら…


残念な事に、この時の僕には経験値もテクニックもしゃべりの腕もありませんでした。



この時のショーのメインは、子供をステージに上げてのお遊びです。

15分ほど子供達と遊んだ後にヒーローが登場してアクション、という流れでした。

僕は段取り通り、これから戦闘訓練を行なう事を告げ、戦闘員はステージにあがってもらう子供を探す為に客席に入っていったのですが…

この瞬間、子供達の目に凶悪な炎が灯りました。
そして…


客席にいたほぼ全員の子供達が、奇声をあげながら戦闘員に向かって行ったのです。

殴り、蹴り、のしかかり、衣裳を脱がそうとする数十人の子供達…

『えぇ~い!オマエら!落ち着け!一旦席に戻れ!話を聞け!!』

僕の怒鳴り声も聞こえていないようです。

反撃するワケにもいかない戦闘員達は、取り囲まれ、馬乗りされている状態で殴られ蹴られ、ただジッと耐えていました。

ふと大人達を見ると、みんな楽しそうにその状況を眺めています。

それを見た時に僕の中で何かが

ぷっちぃ~ん

と音をたてました。


『おい!戦闘員!戻って来い!子供選びはもういいから、とりあえず急いで戻って来い!早くしろ!!』

戦闘員は慌てて子供達の攻撃をかいくぐりステージに上がってきました。

テンションが上がっている子供達は戦闘員を追いかけてステージにはい上がろうと手をかけました。

『勝手に上がって来んなぁッ!』

完全に素に戻った悪ボスの怒鳴り声です。

『楽しいクリスマスにするつもりでやって来たが、こんなクソガキどもと遊ぶのはやめた!!』

客席の大人達の笑顔が消えました。

『ホントはな、色んな作戦を用意していたが、頭の悪いガキどもに付き合うのは時間のムダだ!今からここに●●●●マンを呼んでさっさと片付けてやる!さぁ!出て来い●●●●マン!』

慌ててレッドとピンクが登場しました。

レッドはせめてカッコ良くポーズを決めて会場の雰囲気を変えようとしています。

シュバッ!シュバッ!

キレのいいポーズに合わせてスタッフがレッドの声をアテます。

『●●●●レッドォッ!』
バシーンッ!!




…ポーズは決まったのに変な空気が流れました。

スタッフが名前を間違えたのです。




…重い空気の中、再びレッドの声が聞こえます。

『スマン!間違えたようだ!もう1回やり直すぞ!●●●●レッドォ!』


2回目のポーズはもはや苦笑いの対象でしかありません。

僕はレッド・ピンクと戦いながら、

『やっちまった…。もう来年はこの仕事ないな…』

なんて考えていました。


…というワケで…

20分の尺をもらっていたメインイベントは、全員の心にしこりを残したまま5分で終了

スタッフとMCは時間を埋める為、そしてお客さんに機嫌を直してもらう為に急遽
『戦隊グッズが当たる抽選会』
を開催。


その後の裏事情までは分かりませんが、きっと大問題になったのではないかと。

営業担当が謝罪に出向いて頭を下げたのではないかと。

そうだったら本当に申し訳ない…


当時の僕は、

『キャラクターショーは暖かく迎え入れてもらえるのが当たり前』

だと思っていました。

おまけに、リハーサル通り、台本通りに進行させる能力しかありませんでした。

要するに『アドリブ能力』がなかったのです。


アドリブ能力とは『経験の引き出し』の事だと思います。

ステージに立ってみた。
予想より子供が大人しい。
今までの経験から言えば、こーゆー時はこうしたら盛り上がるんじゃないか?


小さい子が怖がって泣いてしまった。
今までの経験から言えば、こーゆー発言をしたら周りのお客さんにウケるんじゃないか?


この、
『今までの経験から言えば~』
というのが引き出しでありアドリブ能力なのだと思います。

冒頭で『若気の至り』と言い訳したのはその事で、ショーを始めて2年、しゃべりを始めて1年半の僕では経験値が足りなかった、という事なのです。


では、もし今の僕が当時のこのステージに立ったなら…?

悪ガキどもをコントロールする事が出来るか否か?


想像すると…


やっぱり緊張しますね(笑)
2010-01-22(Fri)

アクションへの道(42)

~前回のお話し~


戦隊のショーで佐世保(長崎県)を訪れた若き日の代表。

午前中はメイン会場にてショー。
午後は商店街に移動してショー。


1992年、夏。
人々は溶けかかったアスファルトに己が足跡を刻印しつつ歩いていた。

…ひどく、暑い!!




さて、本題に入る前に、前回紹介した
『ジャ●ボ船長』
という着ぐるみについて改めて説明しよう。

ジャン●船長(通称ジャン船)全長3メートルほどの巨大な着ぐるみで、動きづらいのはもちろんの事、アクターはかなりの荷重を肩と頭で支えなくちゃいけないという過酷なキャラクターだ。

当時はメンバーきってのタフガイ『Kぴょん』が入る事が多かった。






時間になり、僕ら戦隊チームのショーが始まった。

屋外に設営されたステージはかなりの暑さで、その上でのアクションは肉体と精神にかなりの負担を強いていました。

しかし今より17も若かった僕は、それすらもやる気に変えて暴れ回っていたのでした。

…と、ショーが始まってすぐ、我々戦隊メンバーは、客席の向こうに巨大な影を発見しました。

なんだ?あれは…

あれは…



●ャンボ船長(Kぴょん)だっ!

炎天下の中、あれを担いで広い会場を歩き回るなんて…
その大変さたるや、一般人には想像もつきますまい…

戦隊でバテそうになってた俺を許して!Kぴょん!


巨大な船長は客席の後ろからショーを観て、拍手をしたり驚いたりといった演技で会場を盛り上げてくれていました。

「Kぴょんの苦労に報いなくては…!」

僕らはエネルギー再チャージで午前のショーをやり遂げたのでした。


それからサイン会や撮影会を終え、着替えてから車に乗り込み、次のステージがある商店街へ。

会場を出る時、我々を乗せた車は、同じ方向に歩いている巨大な影を追い越しました。

なんだ?あれは…

あれは…

ジャンボ●長(Kぴょん)だっ!


えっ!?
えぇ~っ!?

船長は我々のショーと同じ時間に登場してたハズ…

それから1時間が経っている…


それなのにまだ出てるの!?

おまけにどこかに歩いていくの!!?


もしもそんな事態が我が身に降りかかったとしたら…

ぶるぶるぶる…

そんな恐ろしい想像したくありましぇ~ん!



やがて我々は商店街に到着。
午後のステージはアーケード内にあるので陽が当たりません。
先ほどのステージと比べたら天国と地獄…


ショーまで少し時間があったので控え室で休憩する事が出来ました。

控え室はステージ裏の店舗の2階。
事務所というか倉庫というか、クーラーが効いている中、イスに座ってのんびり出来る場所でした。

汗も引き体力も回復し、心の余裕も出来てムダ話なんかしていると、突然室内に巨大な影が…

なんだ!?これは…

これは…

ジャンボ船…(以下略)

巨大なセーラーマンをすっぽり脱ぐと、尋常でないほど汗をかいたKぴょんの姿が。
僕『お、お疲れ~』
K「お疲れ~」
僕『ま、まさかあれから…』
K「まいったよ!あんたらのショーと同じ時間に出て、ここまでグリーティングしながら来たよ!」
僕『えぇっ!?やっぱり!?あれから2時間ぐらい入りっぱなしやったと!?』
K「そうよ!!これ、普通の奴なら途中で倒れとるよ!」
僕『ま、マジお疲れ様やったね…ま、とりあえずゆっくり休んで…』
K「それがそうもいかんとよ。今から同じルートをグリーティングして戻らないかんけん…」
僕『………』

そんな話をしていると、船長に付いているスタッフがやって来て、

『船長そろそろ戻るぞ』

と言いました。

僕らはKぴょんにかける言葉が見つかりません。
こんなに過酷な状況は滅多にないからです。

K「じゃ行ってくる。みんなもショー頑張って。」

そう言ったKぴょんは3メートルのでセーラーマンと化し、我々の元を去っていったのでした…


スーツアクターとは超ハードな肉体労働・・・

好きなだけ
巧いだけで
やれるものではないのだなぁ・・・
2010-01-21(Thu)

練習日

19日(火)は練習日でした。

仕事が終わってから夕方まで寝てしまっていて、バタバタと準備して家を出ました。

数本の木刀が入った袋を自転車に載せ、駅までダッシュ。
ギリギリで間に合いました。

大橋駅に到着してから、画材屋さんに寄り道。
買い物を済ませてから練習場へ。

練習場にはすでにバナティ・プレ・ジョーが来ていました。

ちょっと雑談してから練習室へ。
今週も小練習室です。

広い中練習室に慣れてしまってから異常に狭く感じます。

しばらくストレッチなんかしてから練習開始。

まずは歩法の前進・後退。
ジョーも前進に慣れてきたので後退をやってみました。
続いて、剣を振りながらの歩法。
これもみんな慣れてきて、もうあーだこーだ言う必要がなくなってきました。

あーだこーだ言ってないと真面目に指導していないような気になってしまいます。

続いては型A・型B
ジョーの斬り上げ
前回の練習で、型Bに少しだけ変更を加えました。
先週お休みだったプレは戸惑いながらやっています。
プレの斬り上げ
型はそれぞれ動作が多いので、ジョーには少しずつ教えています。
でも、もうあと少しで動きを全部覚えそうです。
動きを覚えたら以降は技を磨いていけるので楽しみですね♪

それから、2人1組になって剣合わせ・柳・八双
始めたばかりの頃はビビってたメンバーも今では相手に対して打ち込んでいけるようになったし、それをガッチリ受けれるようになりました。
やはり続ける事で進歩していくんですね。

ここで剣は終わり。
次は手技の基本です。

以前は細かく区切りながらやっていた基本ですが、最近は時間短縮と体力の向上を目指して連続でやるようにしています。
正拳突き(中・上)・手刀(横・縦)・上段受け・外受け・内受け・下段受けでひと区切り。
他にも殴り裏拳などをやってから2人1組に。
「突き落として裏拳」と呼んでいる練習と、
「山々スカして右殴り」と呼んでいる練習です。

ちょっと前まで「突き落として裏拳」にビビってたプレですが、今回は成長が見られました。
彼女の裏拳からは、僕に対する殺意のようなものを感じました。
いい傾向だ♪

足技は今回少なくて、
前蹴り・回し蹴り・前蹴り→回し蹴り・足刀の4つのみ。
ホントは色々やりたいけどメニューの取捨選択をしなければならないのが残念です。
やっぱり週イチじゃ厳しいなぁ。

というワケで、基本を短縮して今週もカンフー殺陣
代表・バナティ・ジョーは前回もやりましたがプレは初です。
これは順番を覚えて、その動きが身体に染み込むまでやらせるつもりです。

代表(受け)とジョー(攻め)、バナティ(受け)とプレ(攻め)の2組に分かれました。

先週の時点であらかた覚えていたジョーが受け手もやってみたいというので攻守交代。

バナティとプレは・・・・

何故か満面の笑みです。
バナティ&プレ・カンフー殺陣

プレは失敗するとおちゃらけて乗り切ろうとします。
おちゃらけてごまかすプレ

カンフー殺陣も行き詰ってきたので、ここからプレの殺陣に入りました。

普段みんみんがやっている殺陣に挑戦です。
とはいえ、別段難しい事をやっている殺陣ではないのでプレの力量なら楽に出来るレベルです。

当然のように問題なく出来ていたのですが、1ヶ所だけ普段やらない動きが入っていて戸惑っていたので殺陣を終了し、その部分をピックアップして反復練習。
攻撃を捌く練習です。

これは以前キャラクターショーのチームにいた頃、空手をやっていた先輩に教えていただいたもので、覚えておくと非常に使い勝手が良い動きです。

最後はバナティの殺陣です。
先週と同じ課題で同じ殺陣をやってもらいました。
なかなかイメージが湧かないようで、まだまだ完成しそうにはありませんでした。
でも、そうやっ苦手なものに挑戦してもがいてる時間は大事だと思います。

プレとバナティの果し合いのような中にジョーも入ってもらいました。
武装練習の剣殺陣にキチンとジョーを入れたのは初めてかもしれません。
基本の動きを覚えてきたので、これからはそれを殺陣の中で応用していけるようにならなきゃいけません。
真面目に一生懸命やっているので、早い段階で動けるようになるんじゃないかな・・・と、期待しています♪

とか何とか言ってる間にプレは斬殺されてしまいました。

殺陣が終わってからちょっぴり筋トレ的な事をしてから練習終了。

風邪気味でテンションが低くて申し訳なかったのですが、みんなの成長が見れて嬉しかった武装練習でした♪
2010-01-19(Tue)

今から

練習に行ってきます。


仕事終わって寝てたら…

何か起きれなくて…

目が覚めても時間の感覚が戻ってこなくて…

『いま何時…?17時…?
何時に家を出るんだっけ
ムニャムニャ…』

みたいな感じで、

結局我にかえったのが

17:45。

電車は

18:02。



ヤバッ!って起きて、大急ぎで準備してダッシュで駅に向かいましたよ。


ギリギリで間に合った。

良かった~。
2010-01-19(Tue)

アクションへの道(41)

ジャンボマッ●ス


この名前を聞いてピンと来る方はいらっしゃるだろうか?

ジャンボマック●とは、昔テレビに出てた3メートルぐらいある着ぐるみキャラクターです(僕も世代じゃないので詳しくは知りませんが)

僕がいたチームには、そのジャ●ボマックスと同じ構造の着ぐるみがありました。

その名も
『ジャ●ボ船長』!!

彼は身長3メートルの巨大なセーラーマンなのです(イベントの内容で衣裳が変わり、サンタザビエルになる事も。ザビエルって…)

これ、中のアクターはほとんど下半身に埋もれてしまって、上半身の重みを肩と頭で支えなくちゃいけないという過酷な着ぐるみでした。


当時チームに『Kぴょん』という男がおりました。

Kぴょんは細かなテクニックを要する演技は苦手な男でした。

しかし毛むくじゃらのガッシリした身体が物語るように、Kぴょんはスーパータフガイだったのです。

その体力を活かして、怪獣着ぐるみや、このジャンボシリーズは彼の独壇場だったように思います。



1992年、夏…

8月、夏休みの太陽は、全てをイカロスの翼と化すかのようにギラギラと照り付けていました。

僕らは戦隊のショーで長崎県の佐世保に来ていました。
毎年行われている大きなイベントでのショーです。

今回は午前中にメイン会場でショーを行い、午後は商店街に移動してショーです。

メイン会場はかなり広く、会場内にメインステージとサブステージが設けられてるぐらいでした。

ちなみに僕らはサブステージ。

メインステージは誰が出るんだよ~、と思いプログラムを見ると…

当時、テレビの『ダンス甲子園』で人気を博していた
『LLブラザーズ』
の文字が。

LLブラザーズは兄弟ダンスユニットとしつブレイクし、その後は一流ミュージシャンへの楽曲提供などでも活躍しているアーティストです。

実は僕とLLの弟の方は同じ中学の同じ学年だったのです(ほとんど接点はありませんでしたが)

彼は中学時代からダンスやアクロバットを披露しアイドル的人気でした。

控え室で他のメンバーに
『俺、LLの弟と同じ中学やったんよね』
と言うと、
『おぉっ、そうなん!?じゃあ挨拶でもしてきた方がいいんやない!?』


今さら特に面識がないとも言えず、

『あ、あぁ…そうやね…行って来る…』

と控え室を出る僕。

すると、ちょうどLLが舞台裏の通路をメインステージに向かって歩いて来るところでした。

さぁ、若き武装代表は何と挨拶したのか!?


~ANSWER~
結局挨拶しなかった


だって!
歩いて来たのは2人だけじゃなかったんだよ!?

業界人みたいな取り巻きワンサカワンサと2人を囲んでいたんだよ!?

さすがはダンスブームの火付け役、貫禄が違ったね。

武装代表は通路の隅でストレッチするフリをしてLL軍団をやり過ごしたのさ・・・



あ、余計な事書いてたら長くなっちゃった。


Kぴょんの話は
『アクションへの道(42)』
に続きます。
2010-01-18(Mon)

アクションへの道(40)

この『アクションへの道』は、僕のショー人生を年代を追いつつ書いてるワケですが、書いてる内容の全てをずーーっと覚えていたワケではありません。

やはり時間と共に記憶があやふやになるし、完全に抜け落ちたりもします。

なので、僕はブログを書く前に一度目を閉じて、記憶の海にダイブします。

当時のキャラクターやメンバーを思い出しながら、そこから出来事や感情を掘り起こしていくのです。

そして発掘された中から、出来るだけ楽しい事、出来るだけ勉強になった事を書こうと思ってます。

思ってはいるのですが…


やっぱり楽しい事ばかりではないので…
イライラした事や腹が立った事、批判めいた事もたくさん浮かんでくるのです…

時々そんなんも書きますけど許して下さいね。

…ってか今回もそんなんですけど勘弁して下さいね!


1992年、
この年のショーパッケージ(パケ)の台本ですが、戦隊の方は色々と手を加えられながらも僕が執筆しました(『アクションへの道(34)』参照)
しかしメタルヒーロー物の台本は、今まで通り社員さんが書いたものでした。

このパケが…
何と言うか…
エンターテイメントがないっちゅーか…
その…





ぶっちゃけ面白くなかったんですよ(言っちゃった)

観客が観て面白くないパケってのは演ってる側も面白くないワケで…

…あ、
観客は白けてるのに演ってる側だけ大盛り上がり、なんて事もよくありますが、これは論外。

こーゆー連中に限って
『俺達が楽しんでやらなきゃ客も楽しめないよ!』
なんて言いますが、客が楽しめてないならそれは間違いですよね。

本来は、
『観客を楽しませるのが自分達の楽しみ』
であるべきです。


話が逸れましたね。


ある日のショーの事。

この日のショーは、例の
『面白くない』
メタルヒーロー物。

現場には僕らの親分とも言える会社の偉いお方が同行していました。

当然ながら僕らは精一杯ショーをしました。
面白くないショーでも楽しんでもらえるように。

ところが1回目のステージが終わった後、その偉い方は
『このパケ面白くない!2回目はしゃべりショーに変えられない!?』
と言ったのです。

僕らは『やっぱり!』と思いました。

しゃべりショーにした方がいいなら、喜んで俺がしゃべるぜ!
と思いました。

スタッフさんは
『いやいや、それはちょっと…。メンバーにもっと頑張らせますんで…』
なんて執り成そうとしましたが、
『演技がどーの、立ち回りがどーのとか、そんな問題じゃない。パケが面白くないんだ!』
と一刀両断。

メンバーは心の中で

『そうだそうだ!よく言ってくれた!』

と喝采を送ったのでした。

結局2回目も同じパケで演ったのですが、僕らは帰りの車内で

『親分からクレームがついたんだから、このパケも最期だろう…うひひひ…』

なんて話していました。


その翌週…

僕らはまたメタルヒーローショーでした。

『今の面白くないパケとも今週でおさらばかも…うひひひ…』

と思いながらリハをしていると、チームリーダーと僕が社員さんに呼ばれました。

来た!

きっと
『突然やけど新しいパケを作るから…』
って言われるに違いない!

ワクワクしながら社員さんの所へ向かうチームリーダーと僕。

『なんでしょう?』
『あぁ、先週親分さんにパケが面白くないって言われたらしいな?』
『はい。面白くないからしゃべりショーにしろって言われました。』
『それはな、オマエらの気合いが足りんかったのが原因と思うんよ。』





『…はぁっ!?』


『だけん今週のショーは気合いを入れてやってきてくれ。』





今思い出しても腹が立つ!
思わず不適切な文章を書きなぐるところでしたわ!


この社員さんと台本を書いた社員さんは旧知の仲なので、クレームの責任を負わせたくなかったんでしょうね。

相変わらず弱い者に責任を被らせる困った体質です(以前小道具を忘れて経費で買った責任を僕に負わせたのもこの人。ついでに言うなら僕が最初に書いた台本を10分で棄てたのもこの人。『アクションへの道(37)(31)』参照)

こんなんがまかり通ってるんじゃ、このチームも長くないんじゃないの~?


何度も言いますが、僕はいいショーがしたい!
お客さんに喜んでほしい!

どうやらその為には会社と戦わなくちゃいけないようです。


血が騒ぐぜ。
2010-01-18(Mon)

申し訳ないっス・・・

具合い悪くてブログ書いてない・・・

来て下さった方申し訳ありません!

明日はアクションへの道を書きますね!


読んで下さってる皆様の声、非常に励みになってます。

これからもコメントだったりメールだったりで
皆様の感想とか意見とか、
こんな事書いてくれってリクエストとか、
どしどし聞かせて下さいね。
リハ中の代表とみんみん
2010-01-16(Sat)

久しぶり

ちょっと時間が出来たので、夜の公園で1時間ほど自主トレしてきました。

かなり久しぶりです。

ちょっと走った以外は剣がメインだったけど、運動した後はやっぱり気持ちいい♪

たまには時間作らなくちゃなぁ。
2010-01-15(Fri)

カンフー

カンフー映画みたいな殺陣って難しい。

カンフー殺陣のポイントは、テンポと形の美しさです。

映画で観るカンフー殺陣は、コマ落としでかなり早くなっています(元々早いのだが)。
しかし、あのテンポを追求しないとカンフーに見えないのです。


僕が昔いたキャラクターショーチームはガチンコバトルが好きだったので、本気の攻撃を本気で受けて反撃する…みたいなテイストの殺陣が多かった。

つまり、攻撃は腰を入れてキチンと相手を狙う、よける方は、その技をくらわないようにキチンとよける。

これをやると格闘感は出るんですけどテンポは遅くなるんですよね。


テンポを早める為には(言葉は悪いですが)小手先の技が必要になるんです。

かといって小手先だけでは駄目。
ズッシリした格闘だけでも駄目。

これを上手く組み合わせてメリハリをつけないといい殺陣になりません。


今年の武装はその辺も練習していこうかな。
2010-01-14(Thu)

アクションへの道(39)

結論から言えば、1992年のゴールデンウィークはとても楽しかったワケです。

レッド役は他のチームからこの時期だけ参加されてたベテランさんで、この方が上手いのはもちろん、とてもいい人だったんです。

レッド以下は同世代のメンバーが揃っていて、変に緊張する事もなく、常に

『楽しんでいいショーしよう!!』

って雰囲気でした。

いいメンバーの時は移動の車内やショーの合間も盛り上がります。

レッド役の先輩は本職の方が忙しく、
朝まで働いてそのままショーに出発、
現場から帰ったらすぐ仕事…
の繰り返しだったので車内ではほとんど寝ていましたが、たまに目を覚ますと気を遣ってオヤジギャグなんかを口走ってくれて、それで僕らも和むのでした。

他チームから来たという事で遠慮して下さってた部分はあるのでしょうが、決して偉ぶらず周りに目を配っていて、
『こんな先輩になりたい!』
と思わせる方でした。

ショーはと言えば、盛り上がり過ぎて悪ふざけ演出もありましたが(若気の至り…かな)、全員が本当に気持ち良く、そして熱く演じる事が出来て、最終日の最後のショーで客席に拍手が起きた時には達成感に包まれたものでした。


正直言って、こんな気持ちになれるショーは貴重です。
後悔や不満や、『なんだかなぁ…』という漠然としたモヤモヤを抱えて現場を後にする事がほとんどなんです。

これは技術やメンバーだけじゃなく、ステージの状況や現場の状況、お客さんの状況や天候や運といった諸々の事情が関わってくるので仕方がない事ですが、出来ればいつも気持ち良くショーをしたいものです。


このゴールデンウィーク中に発見がありました。

僕が演じるイエローと同期が演じるブラックが立ち回りの中で怪人に同時に投げられる手があったのですが、ある日のステージが狭かったので、

『2人は投げられてステージから客席側に落ちる』

という演出になりました。

僕は身体を張った『痛い』演技が好きだったので、ステージからクルッと回りながら落ちる…いわゆる背落ちで投げられたのですが、ブラック役は
『痛いのは嫌い』(※)
という理由で、カッコ良く側転で降りたのです。

(※)本心かは分かりません。

偶然の産物ですが、後でビデオを観返してそれぞれの特色が出ていて感動しました。
イエローは運動が苦手な設定で、かたやブラックはクールに戦う設定だったからです。


『今回は偶然だったけど、本来は故意に演出するべきじゃないか?
そこまで考えて殺陣を付ける事が出来たらもっといいものが出来るぞ!』


という発見です。


『立ち回り』は技の無意味な羅列では成り立たない

という大切な事を知った1992年ゴールデンウィークの僕でした。
2010-01-14(Thu)

アクションへの道(38)

前回は1992年夏のエピソードを書きましたが、今回は少し遡って、同年のゴールデンウィークのお話し。

TVのヒーロー番組はほとんどが一年間で終了します。
しかし、キャラクターショーというのは番組が終わってもまだ続くのです。

例えば現在放送されている●●●●ジャーにしても、番組終了後のゴールデンウィークぐらいは当たり前にショーをするのです。


…とまぁ、この説明のように、この年(1992)に僕らがやったのは前年の戦隊のショーでした。

この当時(今は知りませんが)、現役ヒーローを演じるのが1軍、年代落ちを演じるのが2軍みたいな風潮もあったように思いますが、僕は年間通してイエローを演ったという事もあり昨年の戦隊に愛着があったので素直に嬉しかったです。


ゴールデンウィークなどの連休では、同じメンバーが同じショーをやる事が多くなります。

内容やメンバーがコロコロ変わると、その都度リハーサルが必要になるので、現場数が多く忙しい時期には通しメンバーがいいのです。

連日メンバーが変わらない、という事はどういう事か?

気の合うメンバーなら連休中楽しくショーが出来ます。
気の合わないメンバーだったら…

毎日ピリピリイライラしてショーをしなければなりません。

かようにキャスティングというのは大切なものなのです。

…あ、言っておきますが、ここでの『楽しい』というのは、
『みんなで集まれて楽しいねぇ~♪』
なんて友達ノリではなく、みんなで1つのショーを完成させる為にグイグイ前に進める
『プロ集団としての楽しさ』
の事です。
念の為。

さて、ではこの時の僕らはどうだったのか?

天国か!?地獄か!?
生か死か!??(大袈裟)


~つづく~
2010-01-13(Wed)

2010年稽古始め

1月12日は2010年の稽古始めでした!

…とは言っても特別な事は何もなく、普段通りの練習でしたが…


ジョーが車で送り迎えしてくれると言うので、お言葉に甘えて久留米まで迎えに来てもらいました。

ちょうどいい時間に練習場に到着。

ガラス越しにコミュニティスペースで食事しているバナティの姿が見えました。

仕事で遅れそうと言ってましたが間に合ったようです。

中に入るとロビーのベンチに座っているコージーが。

コージーは仕事が休みだったので参加してくれたのです。

しかし何故バナティとコージーは離れて座っているのか?
仲が悪いのか?
コージーが嫌われているのか??

コージーに理由を聞くと、
『いや、近くで見てたら食べにくいかと思って…』
との事。

見なきゃいいじゃん??

ちょっと早めに練習室に入れたので着替えたりストレッチしたりしてると、1人の男がヌッと入ってきました。

Sマサだ!
Sマサ

Sマサは昔キャラクターショーをしていた後輩です。
バナティやコージーにとっては先輩になります。

しばらくは交流が途絶えていて、
『もう会う事はないかもしれない…』
ぐらいの感じでしたが、昨年たまたま、本当に偶然に再会して武装の話をしたところ、
『今度練習に参加させてもらってもいいですか?』
って流れになって、その縁での初参加です。

相変わらず動きのセンスはいいSマサですが、剣の練習はほとんどやった事がありません。

とりあえずジョーとSマサは初心者コースです。

まずはいつもの歩法から。
歩法

初体験のSマサはかなりとまどっていました。

これは僕らも慣れるまで時間がかかったのでとまどう気持ちは分かります。

とはいえ僕も先月は広い練習室ばかりだったので、狭い場所での感覚をすっかり忘れていました。
毎回広い部屋を借りられたらいいんですけどね…

歩法の前進・後退(初心者コースは前進のみ)、前進しながら左右の袈裟斬り。

それから型を2種類。

初心者コースの2人には型の途中まで覚えてやってもらいました。
慣れてるメンバーには少し変更を加えて動いてもらいました。
型

ここで亮ちゃんが到着。

軽くアップしてから参加してもらいました。

2人1組になって、柳受けと八双受け。
八双
けっこう本気で打ち込むのでビビりながらやってます(笑)

剣はここで終了。
次は手技の基本です。

正拳突きや手刀、裏拳。
受けに殴り等々…

それから2人1組になって、攻撃を捌いて反撃する練習、攻撃をよけて反撃する練習。

次は足技。
前蹴り、回し蹴り、足刀・・・
武装では後ろ回し蹴りや旋風脚の練習はほとんどやっていません。
今年はぼちぼちやろうかな~とか考えています。

その為に・・・というワケでもありませんが、普段のメニューに、蹴りを模したストレッチを入れています。
蹴りに慣れる為の準備段階になれば、と思っています。

この日は3人1組のストレッチ、2人1組のストレッチの2種類をやりました。

ここで基本は終わりです。

ここからこの日のメイン練習、カンフーっぽい殺陣に入ります。

ちょっと前にこのブログで書きましたが、僕は殺陣において、脚の動きがかなり重要だと思っています。
しかし今回はそれを置いといて、手技の応酬を練習してみようと。

1対1の短い殺陣ですが、どんな事をやったかはmixiに動画をUPしてますので、観れる方は観てみて下さい。
これも1日で完成させるのではなく、長期間継続する事で完成させようと思ってます。

最後はバナティの殺陣。
色々と課題を出してやってきました。
今年はバナティの新たな面が花開く・・・予定です。
123
456
789

こうやって、特別な事は何もなく、普段通りに練習を終えて、メンバー達はそれぞれの方向に去って行ったのでした。
このテンションの低さが武装だなぁ、と、ホッとする代表でしたとさ。
2010-01-12(Tue)

あとだしジャンケン

先日DVDで

『旭山動物園物語』

を観ました。


…あ、

別にこの映画で
すっごいアクションシーンがあるとか、
そんな事は全くないですよ。

この映画の中で、新米の飼育員さんが大ベテランの先輩方を批判するシーンがあるんです。

経験豊富なベテランさんのミスを、新米が単なる知識と理屈だけで批判するんです。

その新米に対して園長が

『そんなあとだしジャンケンみたいな事をするな!』

って言うんですよ。

『オマエがふりかざしてる常識はな、オマエが批判してるベテラン達の長年の経験の中で確立された常識なんだ!』

みたいな事を。


これを聞いて僕は耳が痛かった!

先輩達のやる事は古臭い事だと全否定してたかつての僕の事じゃないか!!

もちろん、先輩の言う事だからって1から10まで従ってたらいかんと思うのですよ。
若い内は疑問を持ってぶつかっていく事も必要です。

僕は反発する事で自分のスタイルが確立された部分が大きい人間です。

でも、後になって思えば、その時に先輩が言いたかった事が分かるというか。

先輩方の意見、
今考えてみたら正しい事も、
今考えても間違ってるって事もたくさんあります。

でも、僕らは先人が成功した後を悠々と歩き、先人が間違えた道を避ける事で現在に到っているのです。

称えこそすれ、失敗を責める権利がありましょうや?
キャラクターに関わっている若手の皆さんも、自分が立っているのは先輩方が歩いた道の上だという事を考えてみましょう。


誰かタイムマシンを発明したら18年前の僕に会って
『あとだしジャンケンするな!!』
って説教してやって下さい。
2010-01-10(Sun)

後輩がドラマ出演

明日のテレビドラマの話。

先日このブログで紹介した
僕のかつての後輩にして
尊敬すべき俳優、

『安田桃太郎』

が、ドラマに出演します!

1/11(月)

ハンチョウ~神南署安積班 シリーズ2』


TBS系 午後8:00~8:54

この日からスタートする
佐々木蔵之介さん主演のドラマで、
桃太郎は第1話に出演します。


メインの役ではないですが
その他大勢ではないようなので
是非彼の顔を覚えた上で観ていただきたい!

安田桃太郎については
本人のブログでチェック!

↓ ↓ ↓ ↓
http://ameblo.jp/sumomomomomomomomotaro/


僕の大好きな後輩です!

これから応援してあげて下さいね!!
2010-01-10(Sun)

アクションへの道(37)

ようやく部屋を借りて1人暮らしを始めた僕。

ある日、事務所の社員さんから、

「北九州に住んでるメンバーに現場入ってもらったんで、悪いけどお前の部屋に1週間ぐらい泊めてやってくれないか」

と言われました。

そのメンバーは僕と同い年ですがキャリアは上で、当時ほとんど面識がありませんでした。
人見知りな僕は本当は断りたかったんですが、会社からの頼みなので渋々引き受けました。

そいつはそれから特に家賃を払う事もなく、1年半も僕の部屋に居座っていました。


ある日、年齢が10も離れた大先輩が、

「俺、会社やめようかなぁ。そしたら寮を出なくちゃいけないから、やめたらタケシの所に来ていい?」

と言ったので、てっきり冗談だと思い、軽く

「いいですよ~。どうぞどうぞ」

なんて答えてたんですが、数日後部屋に入ると、見知らぬ家電製品がいっぱい置いてあって

「あっ、本気だったんだ」

って思ったという・・・



そんな突然の3人暮らしが始まった1992年。

僕は戦隊物もやってましたがメタルヒーローのショーにも入っていました。

メタルヒーローの衣裳は戦隊と違い、上から下までゴッテゴテです。

野球のユニフォーム剣道着ぐらいの差があります。

これは・・・夏場は本当に暑いんです(夏場じゃなくても暑いですが)

1ステージ目が終わって干している衣裳から汗がしたたって水たまりが出来ているのを見た時は、

「あぁ、ブーツに汗がたまるような話は聞いた事があったけど、大袈裟じゃなかったんだ」

と思ったものです。



夏の暑い日のメタルヒーローショーでの事。

ヒーロー役は3名。
2人の大先輩と僕です。
現場はとあるスーパーの店頭。
日陰のない屋外。

正直この時期、直射日光を浴びながらのショーは厳しいものがあります(アクターもお客さんも)
ましてやゴッテゴテのメタルヒーロー・・・

しかもそこはステージ状況がちょっと変わっていました。

足場はピッチャーマウンドのように盛り上った円形状になっていて安定しません。
その円形を中心に360°お客さんが取り囲んでいます。
そしてハケ・・・
ハケ、というのはキャラクターがショーの最中に使う控え室のようなもので、ここから登場したりここに隠れたりする場所ですが、それが2階にあったのです

ショーではストーリーの進行上、ハケへの出入りが何回もあります。
僕らがやっていた完パケショーの音声は、一応この出入りのタイムロスまで考えて作られているのですが、2階までの階段を上り下りするような事態は想定していません。

ハケというのはステージのすぐ近くにあるのが一般的で、それなら

怪人退場ハケに入るしばし間をおいてヒーロー登場

で済むのですが、今回のパターンだと、

怪人、客席の間を縫って階段に移動たむろするお客さんをすり抜けながら階段を上り2階へハケに入るヒーロー、ハケから出るお客さんをすり抜けながら階段を下りる客席の間を縫ってステージに登場

となるのです。
これを前者と同じ時間でやらなくちゃいけないのです。
しかしそれは無理な話でして・・・

必然的に、怪人はセリフをしゃべりながらジワジワと階段に近付き、階段を上りながらセリフを終え、ヒーローはその怪人とすれ違いながらセリフをしゃべりつつ階段を下りる・・・みたいな大変な状況になるワケです。

アクションも全力、移動もダッシュです。

これはキツかった!!

以降に経験する中でも上位のキツさでしたね。
しかもこういう時に限って先輩達がアクションシーンを僕に任せっきりにするんですよ・・・
とにかく30分間全力で動いていました。

ショーが終わって2階のハケに駆け込んだ僕ですが、先輩の話によると、衣裳も脱がずにそのままハケの中をグルグル歩き出し、先輩の
「落ち着け!とりあえず休め!」
の声に
「止まったら死にます、止まったら死にます、止まったら死にます」
と言っていたそうです。

あの時止まらなくて本当に良かった・・・


~余談~

この日、現場に着いて衣裳・小道具をチェックしたところ、ヒーローが使う銃がない事が判明!!
ストーリー上欠かせない物なので先輩とスタッフが相談し、経費を使っておもちゃ屋さんで買う事に(当時はおもちゃをそのまま使ってたんです)
ところが会社に帰ったら、何故か僕が社員さんに呼び出されて怒られました。
1人だけ。
小道具を忘れた事と、会社に相談もなく経費で勝手に買ったのがいけなかったそうです。

それ、俺のせい??

小道具を入れ忘れたのは目の前で怒っている社員さんなんですが・・・
買うと決めたのも買ったのもスタッフと先輩なんですが・・・

まだキャリア1年半の僕にそんな権限あるワケない。
分かってるでしょ??

おそらくこの社員さん、同じ会社の社員であるスタッフやベテランの先輩は怒れなかったんでしょうね。
でも誰かを怒らなきゃいけないから結局僕を呼んだんだと思います。

正直、しょーもない会社やなぁ、と思いました。
しかるべき責任を追及せず、弱い者に責任を被らせるなんて社会人としてどうかと思ったし、何よりそんな事では何も解決しません。

僕はますます会社への不信感をつのらせていったのでした。
2010-01-09(Sat)

画像がない!!

最近・・・

全く画像がない・・・

そんな状態が続いております・・・

昔の話を書く事が多いから、

当時の写真を探してみたり
するんですけど・・・

もうほとんど出尽くしたんですよね・・・

ショー中の写真とか、

衣裳着てる舞台裏の写真はわりと
いっぱいあるんですが・・・

そんなんUPしたら
僕は訴えられてしまいます・・・

なのでお許しを・・・


スキャナーとか持ってたら
絵でも描いてUPするのに・・・


多分しないけど言ってみた・・・
2010-01-08(Fri)

アクションへの道(36)

1992年は僕らの世代にとって新たなチャンスの年でした。

それまで先輩達の下についてショーをしていた我々が、ほぼ同期だけで班を組み現場に出るようになったのです。
もちろん毎回ではありませんが・・・

先輩についてショーをしている時は、何でも先輩にお任せしていればいいので安心出来ます。
しかし同期ばかりだと・・・

安心出来ないかわりに好きな事が出来るのです!


先輩方の演出方法も人によって個性があります。
その演出に対して
「あ~、ここは違う演出にしたいな~」
と思ってても僕らはまだまだひよっこ、そんな事は言えません。
もしかしたら言ったら採用してもらえたかもしれないんですけど、やっぱり先輩って怖いから言えなかったんですよね~。

ってなワケで、この年の収穫は、
「好きな事が出来るようになった事」
ではなくて、
「のびのび出来るようになった事!」
だったと思います。

大先輩がリーダーの班だと、
「ここでこうしろよ!」
「ハイ!」
なんですけど、リーダーが同期だと、
「ここでこうしようか」
「あのさぁ、こーゆーのってどう?」
って言えるんですよね。

まぁ、ショーのノウハウも持たないひよっこどもが調子に乗って好き勝手やると大変な事になるんですけどね。
そんな事は当時の僕らには分かりゃしません。

当時の同年代・同世代のメンバーは、本当に個性豊かな連中が多かったので、各々が好きなようにやると、良く言えばバラエティー豊かな、悪く言えば混沌とした?そんなショーになっていました。
でも、ほとばしる情熱のようなものは客席まで届いていたんじゃないかなぁ。

それぞれがライバル意識を持ってたし、みんなヒマさえあれば練習していました。
先輩達をも越えたくて、いつも新しい事を考えていました。
「こんな技を考えてみたんだけど」
「これをこう変えてみたらどう?」
なんて、けっこう熱心にやってたのです。
今の僕からは想像つかないでしょ?(笑)

さて、意外に熱心だった当時の僕に、先輩からつけられたあだ名(?)があります。

『エセ立ちの内野』

というものです。
まぁ実際にはこう呼ばれたワケではなくて、
「内野!オマエがやってるのは立ち回りじゃない!エセ立ちだ!」
と言われただけなんですが。
そう、エセ立ちってのは『エセ立ち回り』って事です。
インチキアクションって感じでしょうか。

僕は当時から、「アクションはお芝居だ」って思っていました。
そこで冷静にショーを観てみると・・・

ショー経験者じゃなくてもアクションショーを見慣れてる方なら分かると思います。
アクションショーって、お芝居シーンとアクションシーンがくっきり分かれてる時ありますよね?

レッド「待てぃ!トォーッ!」
怪人「あらわれたなレッド!返り討ちにしてくれる!」
レッド「オマエの好きにはさせん!いくぞ!!」

ここまでがお芝居。
ここから40秒ぐらいはアクション。
殴ったり蹴ったり跳んだり斬ったり。
そしてそれが終わるとまた、

怪人「ハァッ、ハァッ、なかなかやるな」
レッド「怪人!この地球を狙うのはあきらめろ!」

と、お芝居が始まる、みたいな。

僕はそれがくっきり分かれてるのが気になったんです。
なので、
「その40秒の中でもお芝居をしてやろう」
と思ったのでした。
なんたって、一緒にショーをしている同期の連中ったら、殴ったり蹴ったり跳んだり斬ったりが本当に上手い奴ばっかりだったんですもの!
「カッコイイ担当はみんなに任せて俺は別の路線を・・・」
と思うじゃないですか(・・・と、当然のように言ってみる)

なので僕は40秒の中で、

前半20秒は普通のアクション。

そこで痛めつけられた戦闘員が土下座して許しを乞う。

僕は追い討ちをかけようとするが、すがりついて許しを乞う戦闘員に困ってしまって、情にほだされる。

結局許してやって立ち去ろうと背中を向けると戦闘員が不意打ちで攻撃してくる。

攻撃をくらって頭にきた僕は振り返って拳を振り上げる。

戦闘員がもう一度土下座して謝る。

今度は許さずに胸ぐらをつかんで引き起こし、渾身のパンチ!!


こーゆー事をやっていたワケです。
アクションの練習で教えてもらった事はな~んもやってません。ほとんど芝居です。
当時は、アクションは技の応酬をするのが当たり前みたいな感じでした。
だから先輩は僕に
「オマエがやってるのは立ち回りじゃない!!」
と言ったのでしょう。

「立ち回りってのはなぁ!敵のキックをよけて殴り返して、もう1人のパンチを止めてキックをくらわす、そーゆーのを言うんだよ!」
「子供はヒーローがカッコ良く戦ってる所を観にくるんだよ!戦闘員に土下座されて困ってるヒーローを観に来るんじゃない!!」


との事。

これは間違いなく1つの真理なんですけど、僕は当時から(現在も)権威に反発してしまう子供なもんで、この時も、
「子供はカッコ良く戦うヒーローを観に来る、って・・・アンケートでもして聞いたんスか?」
なんて思ったりしてました。

もしもヒーロー役が僕1人だけで、なおかつクライマックスのアクションシーンなら僕もこんな事やらないですよ?
でも複数いるヒーローの1人がストーリーの流れや性格に応じてこーゆー立ち回りをしたっていいじゃないですか。

前も書きましたが、複数いるキャラクターは、バリエーションを増やす為に生み出されたんです。
もしこの先輩の言う通り、

レッド、敵のキックをよけて殴り返して、もう1人のパンチを止めてキックをくらわす。
ブルー、敵のキックをよけて殴り返して、もう1人のパンチを止めてキックをくらわす。
イエロー、敵のキックをよけて殴り返して、もう1人のパンチを止めてキックをくらわす。
ブラック、敵のキックをよけて殴り返して、もう1人のパンチを止めてキックをくらわす。
ピンク、敵のキックをよけて殴り返して、もう1人のパンチを止めてキックをくらわす。

ってやって、
「よしよし、これがアクションだ!」
なんて言ってたらショーはどうなるんでしょう??
少なくとも僕は面白いと思えないのですが・・・


僕がやってるのがエセ立ちならエセ立ちでもいいんです。
否定もしなければ腹も立ちません。
むしろ、エセ立ちという新ジャンルを確立出来た自分を褒めてあげたい♪

武装の立ち回りも、胸を張ってエセ立ち感覚で作ってます!

エセ立ち最高!!








・・・いや、最高ってのは嘘だな・・・いくらなんでも・・・
2010-01-08(Fri)

つまるところは人と人

いわゆるスーツアクターってのは職人さんでして、職人さんってのは技術があってなんぼなワケです。

でも、社会で生きていく為には技術だけじゃいかんワケです。

大事なのは人との関わり。
僕がずっとおろそかにしてきた事です。

人との関わりを大切にしていない人間は、自分の居心地のいい世界に引きこもってしまいます。
そこでジッと、自分が欲しいもの(いい仕事とか)を待ってるワケです。
蜘蛛の巣作戦ですな。

でも僕らは蜘蛛ではなくて人間なので、見えない巣を張る事しか出来ません。
物理的な巣なら獲物もかかるでしょうが、精神的な巣に自ら引っかかってくるものがあるでしょうか?





ないんです。


あまりにも当然なんですが、人と人は関わりを持つ事でしかつながれないんです。

居心地のいい世界で欲しいものを待ってる人間は、
『自分が世界に求められている』
という勘違いをしているんです。
僕らの世界の人間だと、
『自分は高い技術を持ってるんだから、チームも自分を必要としてるハズだ』
とか。
それが高じると、
『俺を必要としてるのはそっちだろ?頼んでくるなら手伝ってやらんでもないぜ』
みたいになっちゃうワケです。

でもそれって、コンビニに行ったら店員が
『あんたがウチで買い物したいんでしょ?だったら売ってやるよ』
的な態度で接客するのと同じなんです。

客の立場としては
『じゃあ別の店で買うからいいよ。頭下げてまでここで買う必要ねぇし』ってなっちゃいますよね。

よっぽど、日本で1店舗しかない超人気ブランドショップとかなら別ですよ。
頭下げなきゃ買えないなら下げる人もいるでしょうから。
同じように、
『これはアンタじゃなくっちゃ演れないんだ!!』
って言われるレベルのアクターなら話は別です。
そーゆー人はどれだけ人格に問題があっても待ってるだけで仕事の話が来るでしょう。

でも、やっぱり勘違いしちゃう時期ってあるんですよね。
自分もそうだったし、今、周りを見ると同じような勘違いをしている人間がいっぱいいます。

居心地のいい場所っていうのは自分だけの世界です。
そこにいたければ1人で生きていってもらわないと困ります。
自分の世界の住人が、自分ルールをふりかざして社会に関わってきたら困るからです。

キャラクターの世界に関わらず、そこで生きていくには社会と関わりを持たなきゃダメ。
自分を主張する以上に人を受け入れてあげなきゃダメ。
他人を拒絶せずに認めてあげなくちゃダメ。

人を否定してばかりの人間に居場所なんかありません。

この世界に気持ちいいだけの楽園なんてありませんよ?
人の絆の大切さに気付かないとどこにもいられなくなっちゃいますよ?

昔の僕みたいに。
2010-01-07(Thu)

アクションへの道(35)

みんながやってない事をやろう!!と思って剣の練習をしようと思った僕。

しかし、当時僕がいたチームでは武器を使う練習はほとんどやっていなかったので、当然教えてくれる人もいません。
僕の先生はもっぱらビデオでした。
キャラクターショーの聖地・後楽園ゆうえんち野外劇場のショーのビデオを観ながら動きを真似したりしたものです。

それと、同じ地域の他チームから学んだ事もありました。

そのチームと僕がいたチームで合同練習をした際に、他チームのリーダーの方が剣のお手本を見せてくれたのです。
僕はその動きを密かに覚えていて、ビデオで覚えた動きとミックスして練習しました。
おかげで(上手い下手いは別にして)同期の中ではいち早く剣を使えるようになったと思います。
実際は他人の動きを覚えただけで出来るようになるワケではありませんが・・・


パッと見て簡単に見える動きにも実は複雑な道理が隠されています(本当は隠されているのではなくて、見る側が気付かないだけなのですが)
なので、出来ない人間がレベルの高い動きをマネした場合、それは単なる猿マネで終わってしまう事がほとんどです。

例えば、算数の先生がスケッチブックに
『2+5=7』
と書いたとします。
この先生はもちろん計算の理屈が分かって書いているワケです。

今度はクレヨンを持った幼児が、そのスケッチブックを見ながら
『2+5=7』
と書いたとします。
この幼児は算数の「さ」の字も知らなければ、「2」という形が何を意味するのかも知りません。
ただ、見たままをクレヨンでなぞったに過ぎないのです。

一見同じように見える『2+5=7』ですが、かたや計算式、かたや意味のない落書きです。

「見た目が同じならどうでもいいんじゃね?」
という方がいるかもしれませんが、僕はそれも別に否定するつもりはありません。
ただ僕には全く違うものに見えるというだけの話です。

今回はまた、いつも以上の理屈っぽさですね・・・
どうせならもっとマニアックにいきますか!



僕の周りのショー関係者にも
「上達するには練習あるのみ!」
という考えの人がたくさんいます。
しかしぼくは
「上達するには練習と勉強あるのみ!」
と思っています。
勉強を研究と言い換えてもかまいません。

全国にはたくさんのアクションチームがあり、その中にはキチンとした師を持たないチームもたくさんあります(僕がいた所もその1つだと思いますが)
そういったチームには、形ばかりの技は伝わっていても、そこに含まれる色々な物が伝わっていないケースが多いものです。
そういった、自分達がやっているものの由来や根本を知る事は僕は大事だと思います。
その為に必要なのが研究です。

敵の右ストレートを左手で受ける時、身体の他の部位はどう動いているか?それは何故そう動いているのか?
その答えを持っているか否かでアクションは大きく変わってきます。

武術のことわざに、『七分看脚、三分看手』というものがあります。
敵と向かい合った時には、手に3割、脚に7割注意を向けろというような意味ですが、裏をかえせばそれだけ脚の動きが大切だという事です。
脚といっても蹴り技の事ではありませんよ。
歩法や体重移動などの脚さばきです。
上半身の動きは下半身にあらわれるという事なんです。

という事は、敵の右ストレートを左手で受けた時、それが本気で受けたのか段取りで受けたのか、余裕があるのかないのかまでが下半身にあらわれる事になります。

こういった下半身の用法は、形だけ盗んでる人には分かりません。
試しにアマチュアのアクションをじっくり観てみて下さい。
手の動きは複雑なのに、脚はほとんど動かない・・・
そういうアクションが意外に多いハズです。

この件にに関しては『打拳容易走歩難』ということわざもあります。
これは、パンチやキックの練習は簡単だけど、歩法や脚さばきの習得は難しいという意味です。

やはり武術の言葉ですが、僕は武術も殺陣も習得までの根本は同じだと思っています。

マニアックついでにもう一つ、『単刀看手、双刀看走、大刀看口』も紹介しておきましょう。
これは刀を使っている人の力量を見る時のことわざですが、片手で刀を振っている人を見る時は、もう片方の空いている手を見る事、両手に刀を持っていたら脚さばきを見る事、大きな刀を持っていたらその刃筋を見る事、という意味です。
つまり大刀を除いて、武器の動き以外の所に力量が現れる、と言っているのです(大刀の場合は刃の動きで筋力を見るそうです)

これだけ読めば、『他人の動きを覚えただけで出来るようになるワケではない』という僕の言葉も分かってもらえると思います。

本当のプロが、殺陣を殺陣たらしめているものを素人が簡単に見抜く事など出来るはずはなく、それゆえに形は似ていても全くの別物になってしまうという事・・・

結局、この時点で僕が出来るようになっていた剣殺陣なんて、形ばかりの猿マネレベルでしかなかった、という恥ずかしいオチなんです。

~つづく~
2010-01-06(Wed)

アクションへの道(34)

1992年、2月。
間もなく新しい戦隊番組が始まります。

僕は今回こそショーのシナリオを書かせてもらおうと思い、社員さんにお願いしていました。
すると、「使うかどうかはともかく、一応書いてみて」との事だったので、喜んで書きました。
もう昨年のようなミスは許されません。
マニア向けにならないように、オーソドックスなストーリーを考えました。
番組が始まっていないこの時点ではマニアックな物は作れないのですが)

それまで先輩方から度々聞かされていた
「数年前のパケでレッド対ブラックのシーンがあったけど、あれは燃えたなぁ」
というのを参考にして、後は学生時代に観てきたショーのストーリーをつなぎ合わせてみました。

完成したのは定番中の定番、
「作戦だったのさ!」パケ
(と僕は呼んでいます)

これは、ショーのクライマックス、それまでピンチに陥っていたヒーロー達が何故か逆転。
怪人の
「むむ!?これはどういう事だ!?」
というクエスチョンに

「オマエ達にやられたフリをしてピンクを助け出す作戦だったのさ!」

とか、

「仲間割れをしたフリをしてオマエ(怪人)に近付く作戦だったのさ!」

などと高らかに言う黄金パターンです。

まぁ、これと言って面白味のないストーリーではありましたが、これだけ定番なら問題ないでしょう。
僕にとってはむしろ「面白味を加える」事よりも「つまらない要素をはずす」事が大事でした。

昨年僕は、自分達がやっているショーに新人ながらに不満を持っていました。
ストーリーや構成、台詞などが、観客の視点を無視して作られてるように思えたのです。
僕は自分が観客だった時の事を思い出しながら書き上げて社員さんに台本を渡しました。
そしてそれは採用してもらえる事になりました。
かなり嬉しかったですねぇ。
これまで、台本→録音→編集というパケ製作は全て社員の手によって進められていて、我々バイトが口を出せる領域ではなかったのですが、ようやく台本製作の過程に食い込む事が出来たのです!

しかし、それから数週間後、完成したパケを聴いたら・・・
僕がつまらないと思って切り捨てた古臭い部分は、ほとんど社員の手で付け加えられていました・・・
伝統という牙城を崩すのは難しい・・・


そういった裏方作業に関わりながらも、僕は練習には欠かさず参加していました。

当時の練習は週に3回。
火曜日は空手、水・木曜日がアクションです。

空手の日は、基本をメインに、実際の攻撃をどう受けてどう捌くか、そしてどう反撃するかを練習しました。
アクション練習では基本やリアクション、立ち回り等の練習を行なっていました。
武装でやっている練習もベースとなっているのはこの時のメニューです。
ただしこの頃は剣やその他の武器を使った練習は一切やっていませんでした。
(逆に当時やっていた前転後転や受け身、側転は、練習場の床が硬い武装練習ではやっていません)

何度も言いますが、僕はアクションのみならず身体を動かす事において人並み以下の男です。
それゆえに、センスと能力に優れた同期と対等に渡り合うには彼らが持っていないスキルで勝負しなくてはいけません。
そこで芝居やしゃべり、台本と力を入れてきましたが、ある日、
「ウチは剣の練習をしていないんだから、独学で剣を覚えたら同期に差をつける事が出来るぞ」
と気付き、剣の練習をする事にしたのです。


~つづく~
2010-01-04(Mon)

アクションへの道(33)

久しぶりの『アクションへの道』

1991年後半は、大きい舞台に立てたり、しゃべりを経験したり、ホームレスになったり、女の子にフラれたりと色々ありました。


時は12月、ホームレスの僕には厳しい季節でした。

許可が出れば道場に泊まっていましたが、そうじゃなければ外で寝なければいけません。

ある日の練習の後、社員さんがやって来て、
『道場締めるぞ~』と言いました。
施錠の合図です。
こう言われた日は道場に泊まれません。

僕は外に出ました。
寒い、寒すぎる。
これじゃ公園に寝る事は不可能です。

現在は夜の10時…
事務所が開くのは朝の10時…
ちょうど12時間…

そうだ!
6時間歩いてどこかへ行って、6時間かけて戻ってくればいいんだ!

ナイスアイデアです。
身体も暖まるし。

僕は大きな通りを歩き始めました。
これだけ大きな通りならどこまでもつながってるハズだ…

しかし残念ながら、僕は福岡の地理なんて全然知らなかったのです。

1時間も歩くと海にぶつかってしまいました。
その辺りの道は入り組んでいて、右に行けばいいのか左に行けばいいのかさっぱり分かりません。
やむなく僕はUターンしました。

この大きな通りなら、反対に行けばどこまでも行けるハズだ…

再び歩き始めた僕。

しかし…

1時間ほど歩いたところで雨が降ってきたのです。

12月の雨!

傘も無く打たれている僕がいます。

駆け込んで雨をしのぐ場所もありません。

身体は冷えきっていきます。
震えが止まりません。

『ヤ、ヤバい!これはマジでヤバい!!

もう背に腹は代えられません。全財産を使ってもどこかに逃げ込むしかありません。
ポケットを探ると…

1500円…




何も出来ん!
しかしそれでもどこか探さなければ!!

僕はカプセルホテルかサウナを探そうと思いました。
しかし土地勘が全くないので探す事が出来ません。

全身ビショ濡れ、身体の芯まで冷えるとはこの事かと思うぐらい冷えきり、震えながらさまよう僕。

この時の願いはただひとつ、

『温かいお風呂に入りたい…』


その時!遠くに黄色いライトが見えました。
建物の屋上に設置された看板を煌々と照らしています。
深夜12時、こんな時間に看板を照らしている職種なんか限られています。
ましてやあれは飲食店の看板ではない…

サウナか!?カプセルホテルか!?
可能性はある!!

僕は足を早めました。
全財産1500円じゃどうにもならないかもしれません。
でもこれが最後の望み!

早歩きで進む僕…
段々と近付いてくる看板…

ついに!
ついに見えたその看板には!

『●●葬祭場』


・・・・・・


僕は…心が折れてしまいました…

なので仕方なく、冷えて動かない身体を引きずって事務所に戻る事にしました…

戻ってきている社員さんがいるかもしれません。
わずかな期待を胸にビルの下に立ちましたが…

当然1つの明かりも点いてません。

僕はビルの屋上に上りました。
屋上の一部にはトタン屋根があり、何とか雨をしのげるのです。

僕は手近にあった段ボールにくるまり、屋根の下にうずくまりました。

濡れて冷えた身体はもう暖まりません。
しかし、落ちて来る雨を避けられるだけでも大違いです。

風が強くなり、雨も勢いを増してきました。
吹き込んでくる雨を避けようと隅に寄ると…

バキバキッ!

頭上で嫌な音が聞こえました。
そして目の前に屋根の破片が落ちてきて…

ザバーッ!!


そうです。雨と風で屋根が破壊され、たまっていた雨水が僕の上から降ってきたのです。

この時の状況はまさに『ひょうきん族』の懺悔の部屋でバツを出された時のそれでした。

冷えた身体に更に降り注ぐ冷たい雨…

この時の心境はもう
『このままじゃ死ぬ!』
なんて生易しいものではありませんでした!

『こんなに冷たくて逃げ場がない状況で死ねなかったら発狂してしまう!!』

本気でそう思いました。

事務所が開くまでまだ6時間もあります。
僕は正常でいられる自信がありませんでした。

とにかく、屋上ではもう雨をしのぐ事は出来ません。
今度は駐車場に移動しました。
この駐車場はビルの1階にあるので雨が吹き込んでくる心配はありません。
幸いな事に、機材運搬時のクッションとして使う汚い毛布が2枚ほど置いてありました。
僕はその毛布にくるまり駐車場の隅にうずくまりました。
これなら何とか一息つけるかも…

しかし今度は床に雨水がたまってきました。
水溜まりは段々大きくなり、とうとう僕が座るスペースがなくなってしまいました。
僕は階段を上り、2階の入口前に座り込みました。
もう他に行く所はありません、行く力もありません。
事務所が開くまであと数時間…
もしかしたら早出の社員さんがいるんじゃないか、早朝出発の現場があるんじゃないか、わずかな望みを持つ事で何とか正気を保ちました。

結局、早出も早朝出発の現場もなく、最初の社員さんが出社してこられたのは9時半頃でした。
ほとんど僕と面識のない女性社員だったので、階段を上ってきて僕を見つけた時は驚きのあまりフリーズしていた記憶があります。
なんたって、会社の入口の前に、汚い毛布にくるまってガタガタ震えているビショ濡れの男が座り込んでいるのですからそれも仕方ありません。

僕は寒さで動かない口でようやく、

『僕はキャラクターのアルバイトなんですが、道場を開けてもらえないでしょうか』

と言いました。
しかしこの社員さんは同じ会社だけど別のフロアの方だったので道場を開ける事は出来ませんでした。

僕が別の社員さんに鍵を開けてもらって道場に入れたのはそれから15分後。
僕は何とか12時間耐え忍ぶ事が出来たのです。

そして僕はどうにかして部屋を借りようと決意しました。
お風呂さえ付いていれば、温かいお風呂に入れる部屋ならどこでもいいと思いました。
そして、親にも助けてもらい部屋を借りたのはそれから2ヶ月後。

西暦は1992年になっていました。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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