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2012-01-04(Wed)

アクションへの道(310)

さてさて、いよいよショーが始まりました。

まずは武装の『さやか見参!』から。
島瀬公園

メンバー同士も打ち解けてきたし、ベテランの阿部ぷーさんが参加してくれた事でショーはいい感じに進みます。

前半が終わりました。

『さやか見参!』の通常パッケージは、

前半→おあそび→後半

という構成になっています。

おあそびコーナーでは、子供をステージに上げて忍者の修行を受けてもらうのです。

おあそびも問題なく終わりました。

子供達にプレゼントを渡して客席に戻ってもらいます。

さぁ、後半戦スタート!

僕は後半スタートのきっかけになる台詞を言いました。

ここで音楽が流れ、主人公・山吹さやかの声が…

あれ?

何だか聞き覚えのない台詞が流れてきたぞ?

まさか…

僕は慌てて音響席に行きました。

『ストップ!止めて!一旦パケ止めて!!』

音響を操作して下さっていたEnzのよっちぃ~さんがパッケージをストップさせました。

『それ、いまB面になってるんで!A面にして巻き戻して下さい!!』

大失態です。

この時のパッケージはカセットテープでした。

キャラクターショー時代に

『MDやCDのパッケージは、音響の電源が落ちた時に対応出来ない』

という理由でカセットテープを使っていて、僕もそれに倣ってたんです(実際電源のトラブルってよくあったんですよ)。

『さやか見参!』では2本のカセットテープを使ってまして、

1本目A面→第1話の前半~おあそび

2本目A面→第1話の後半

に分けてたんですね。

おあそびコーナーが終わったらテープチェンジするワケです。

ところが僕の初歩的うっかりミスで、前回のショーの後、使い終わった2本目のカセットテープの『巻き戻し』を忘れていたんです。

なのでそのままB面がスタートしてしまったのです。

カセットテープのA面には『第1話』が収録されています。

ではB面には?

『第2話』が入っていました。

先ほど流れた聞き覚えのない台詞は第2話の登場人物の台詞だったのです。

僕は巻き戻しの間、時間を稼ごうとあれやこれやと喋りました。

しかし巻き戻しは終わりません。

思い付く限りの事を話しました。

しかし巻き戻しは終わりません。

僕はとうとう喋る事がなくなり、

『なかなか物語が始まらないな。…今日は…ここでやめておくか』

などと口走る始末。

いや、本気でやめるつもりじゃないですよ!

ここまで言ってパッケージが流れれば『ギリギリ間に合った感』が出るかな、と考えたんです。

『じゃあ、5つ数えて、それでも始まらなかったら中止しよう!』

最後の賭けです。

『ご~~~~~~、よ~~~~~~ん、さ~~~~~~ん、』

時間稼ぎです。

『に~~~~~~ぃ、いぃ~~~~~~ち…よし、最後のカウントいくぞ…ゼ~~~~~~ロ!!…さぁどうだ!?』

パッケージは…

流れませんでした…

僕はすがるように音響席を見ました。

よっちぃ~さんがテープの残量を確認しています。

まだまだ時間がかかりそうな雰囲気…

僕は…

最後の賭けに負けたようです…

でも…

どうにか時間は稼がなきゃいけない…

この時、僕の中で、開いてはならない扉が開いてしまったのでしょう。

万策尽きた僕は、

いや、幻龍イバラキは、

ゆっくりとその場に正座しこう言いました。

『しばらく、黙想しまーす』

周りの下忍達は『!?』ってなってます。

そりゃそうですよね。

しかしイバラキは、目を閉じ、姿勢を正し動きません。

沈黙が続きます。

まるで時が止まったようです。

僕は黙想したまま思いました。

『ヤバい、この沈黙も限界だ…』

仕方なく目を開くイバラキ。

策も思い付かぬまますっくと立ち上がり、

『さて、』

と声を発しました。

そこで、後半開始の曲が流れ始めたのです。

『長らく待たせてしまったが、そろそろ宿敵、山吹さやかを見つけ出さねばならん』

台詞を繋げながら僕は安堵していました。

(良かった~~!これ以上はもう無理だったよ~~!)


皆様にお詫びいたします。

こんなのはプロとしてあってはならない最低のミスです。

これ以降はパッケージの巻き戻しに気をつけるようになり、後にカセットテープからCDに移行しました。
2011-12-28(Wed)

アクションへの道(309)

チームによる違い。

Enzさんの場合、僕がそれを感じたのは、音響のセッティングやハケの設営に関してでした。

まず音響。

僕がいたキャラクターショーのチームでは、

『キチンと音が出て観客に聞こえればいい』

って感じだったのですが、Enzさんを見ていてその『キチンと』の部分の幅広さを感じました。

キチンと『いい音を』出そうというこだわりに満ちているのです。

それは代表のよっちぃ~さんが音楽をやってらっしゃるからでもあるのでしょう。

そしてハケ。

ハケというのは、ショー中にキャラクターが隠れる場所です。

決して部外者の目に触れてはならない聖域、それがハケなんです。

ハケを設営する時に大切なのは
『外から内部が見えない事』
『ステージの出入りがし易い事』
の2点ですが、Enzさんはここもとにかく徹底しています。

普段その辺りを簡単に済ませてる我々は、

『へぇ~っ!ここまでやるか!』

って感じで感心したものです。

この違いは何故生まれたんでしょう?

僕がいたショーチームの場合、現場の状況が分かるのは当日現地に到着してから。

実際にステージ状況を見てから

『さてどうするか』

と考えるワケです。

なので、

『ここを塞いでおきたい』

と思っても、塞ぐ為の幕もシートも何もなかったりするんです。

『あらかじめ用心して幕やシートを持って行けばいいじゃん』

と思われるかもしれませんが、会社の備品である幕やシートはとうぜん数に限りがある。

それを何班かで分担するので必ず持って行けるとは限らない。

おまけにレンタカーに載らない場合もある。

衣裳や小道具、音響機材だけで車内はいっぱいいっぱいで、幕やシートを載せるスペースがなかったりするんです。

じゃあ車をもう1台出せば?

と言われそうですが、それをやっちゃうと車の使用料、高速料金、ガソリン代、ドライバー手当てなどが余計にかかってしまいます。

当然それはショーの販売料金に含まれていません。

とにかく制限が多いんです。

これはもしかしたら『営業担当』と『制作』と『当日のスタッフ&キャスト』の連携の無さが原因かもしれませんね。

連携がしっかりしていれば余裕を持って対処出来るのかもしれません。

それとは別の問題もあるような気がします。

我々のやり方は『突然の変更』や『時間の調整』に対応する為のものかもしれません。

これは珍しい事ではないのですが、

ショーの30分前、

全てのセッティングが完了して

『さて、着替えるか』

なんて言ってる時間にクライアントさんから、

『ステージの場所移動するから!』

なんて言われる事があるのです。

『えーーーっ!?』

と思いますが仕方ありません。

ショーの時間を変更するワケにはいかないので我々はダッシュで動き始めます。

ハケに広げていた衣裳をしまい、セッティングしていた音響機材をバラし運びます。

何はともあれ、まずは音が出るようにしなければいけないのです。

運ばれた音響機材をスタッフが再セッティングしている間に我々は衣裳や小道具、私物を運びます。

ハケがテントだった場合はテントも運びます。

客席にブルーシート等を敷いていたならそれも運びます。

ハケの設営が終わったら出番が早い者から着替えます。

その間MCは開催場所の移動を案内して、混乱している観客を整理し、時間を繋がなければなりません。

キャラクターの準備が出来ているかを気にしながら、出来るだけオンタイムに始められるように大急ぎで準備する…

こんな事が(けっこう)あるから、

『とりあえず外から見えなければ』

『とりあえず音が出れば』

みたいな考えになるのかもしれませんね。

Enzさんのこだわりを見ていると、代表・よっちぃ~さんが一貫してステージングを構成しているのが分かります。

あくまで僕個人の感想ですが、『ステージングのベスト』を目指すか『現場対応のベスト』を目指すか、みたいな違いを感じて非常に勉強になったのでした。
2011-12-21(Wed)

アクションへの道(308)

かくして…

2008年5月…

Enz代表よっちぃ~さんにお招きいただいた佐世保のイベントに出発!

前年10月の初ショーでは、スタッフ無し、MC無し、キャスト4人体制でしたが、今回は少し豪華。

キャストは前回の
『代表』
『みんみん』
『ジャスティン』
『やっちゅん』
という4人に加えて、ショーの先輩『ぷーさん』が参加!

サンプラー(効果音)係として『サターンさん』、
撮影係として『モルダーさん』に参加していただきました。

あ、
『サターン』『モルダー』というのは勢いで付けたニックネームです。

MCのT・Tさんに紹介してもらった女性達です。

以上、総勢7名という大所帯(僕的には)で佐世保に向かった我々ですが、武装で行く本格的な現場は実質これが初めてみたいなもの。

僕も責任者として現場に行くのは初めてだったので苦労しました。

移動経路を考え、移動時間を計算し、集合時間を決定し、レンタカーの受け取り&返却時間を決めて…

キャラクターショーのスタッフをやっていた頃は会社の決めた時間に集合して出発するだけだったので何の責任を負う事もなく

『出発時間早過ぎだよ!』

とか

『全然間に合わねぇじゃねぇか!』

なんて言いたい放題でしたが…

いざそれらを自分でやり始めると、

『あの頃はスミマセン…』

と会社に謝りたくなりました。

移動時間を予測するのって難しいんですね。
2011-12-15(Thu)

アクションへの道(307)

2008年、春。

僕はキャラクターショーの仕事で九州沖縄を回っていました。

ある週の事、

僕は2ヶ月前のKHN代表者会議でお会いした『よっちぃ~さん』に、

『今度仕事で長崎に行きますよ~』

と連絡しました。

よっちぃ~さんとは…

今さら説明するまでもないと思いますが、『Jproject(劇団)Enz』の代表さんです。

長崎のスーパーローカルヒーロー、

『ヒーロー連合ジャスター』

を運営なさってる方です。

このブログにもかなり登場していただいてますね♪

…で、そんな連絡をしたところ、

『もし時間が取れるなら飲みましょう♪』

とのお言葉!

しかも、大村から長崎までわざわざ出て来て下さるとの事!!

大村⇔長崎ってけっこうな距離なのに!

申し訳ない…と思いつつも嬉しかったので、無責任に

『是非是非』

なんて答えちゃう僕でした。

当日、長崎での仕事を終えた僕はメンバーに別れを告げ、待ち合わせの場所へ。

そしてよっちぃ~さんと2ヶ月ぶりの再会。

長崎駅近くの居酒屋で色々話しました。

話しました…が、

実はかなり緊張していたので、どんな話をしたのか今では思い出せません…

忙しい合間を縫って来ていただいた事が申し訳なくて、ずっと恐縮していました。

でもこの時によっちぃ~さんから、

『5月に佐世保でショーやるんだけど、武装さんも出演してみる?』

って声をかけていただいて、

『えぇーっ!マジすかーっ!?』

ってテンション上がったのは覚えてます。

これをきっかけに、たくさんのショーの機会をいただいたんですから、僕にとってよっちぃ~さんは恩人ですよね。

時間も遅くなったので、5月の件は後日打ち合わせする事にして解散。

僕はてくてくホテルに戻りましたが、帰る手段のない恩人よっちぃ~さんは泊まっていかれたそうです。

申し訳ありません…
2011-12-06(Tue)

アクションへの道(306)

世間から見たら、『ローカルヒーロー』も『オリジナルキャラクター』も同じなのかもしれませんけどね。

山吹さやかだって、『地方発』という意味ではローカルヒーロー(ヒロイン)だし。

でも、本来ローカルヒーローは『ご当地ヒーロー』であると僕は思っているので、ローカルヒーローには地域を背負っていてほしいんですよ。

地域の活性化でも、特産物や観光地のPRでも、とにかく『●●県(町)のヒーロー』みたいな自覚が必要だと思うんですよ。

でも…

山吹さやかにはそれがないんですね。

福岡を盛り上げるつもりもPRするつもりもない。

『福岡からやってきた』

と言うつもりもない。

それはローカルヒーローじゃないだろって思うんですね。

ローカルヒーローフェスタの時は『福岡』って言葉を入れてますけど、あれは特別なんです。

なので『山吹さやかはローカルヒーローではない』んです。


しかし、それまでテレビキャラクターのショーをやってきた自分にとって、ローカルヒーローの世界は驚きの連続でした。

一番驚いたのは、ショーの前説で

『次は、●●県の●●チームによる●●●ショー!』

みたいな説明が入ったりする事。

これ、テレビキャラクターショーでは有り得ない事。

『次は福岡県の●●アクションクラブによる仮面ライダーフォーゼショーです!』

なんて言われたら

『ニセモノやないかい!』

って言われちゃいますもんね(大々的に告知してる例もありますが)。

でも、地域貢献が目的のローカルヒーローは、

『この地域には、地元を盛り上げようと頑張ってるこんな団体があり、こんな人達がいる』

という事を知ってもらい、その輪を広げていくのも大切な活動だと思うんです。

最終的には地元民みんなが地域貢献の意識を持った方がいいですもんね。

理由を考えると『なるほど!納得!』って思えるけど、やっぱり最初はびっくりしたなぁ。

あ、先ほど説明したように山吹さやかはローカルヒーローではないので上記の理屈は当て嵌まらず、

従って子供達の前で、

『アトラクションチーム武装』

という単語を使う事はありません。

『さやか見参!』は、

『アトラクションチーム武装によるお芝居』

ではなく、

『本物の忍者達による物語』

なのです。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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