2011-08-15(Mon)
しかしながら、ただ
『先輩方も今の君達と同じように考えて頑張ってきたんだよ、
だから簡単に先輩を非難しちゃいけないよ』
なんて書いたとしても説得力はありません。
人を説得するには具体例が必要なのです。
そこで僕は具体例を書く事にしています。
僕が書ける具体例は、僕が経験してきた事です。
僕が先輩に対し、
『古臭ぇんだよ!』
と憤り、
反逆し、
成功したり失敗したりして、
数年経って先輩の気持ちを理解する、
その過程を紹介していく必要があるのです。
これを実際のエピソードを元に書く場合、
先輩方を『古臭い考えの持ち主』として登場させねばなりません。
古い因習をもって若手の成長を阻み、ショーをつまらなくしている『邪魔者』として描かなくてはならないのです。
逆に僕自身(や同期メンバー)は、より良いショーを作ろうとするチャレンジャーとして、
そして頭の固い先輩に邪魔される『被害者』として書かねばなりません。
先輩達に邪魔されながらも新しいショー、面白いショーを作ろうとする僕の物語、
ここまでを読めば、ただ先輩達の悪口を書いているように思えるでしょう。
しかし物語はまだ終わっていないのです。
それから数年が経ち、僕が先輩達を理解した時、
そのエピソードをもって1つの完結を迎えるのです。
そこに至った時、古臭い邪魔者だった先輩は『若者を導く先達』となり、
古き因習を打ち破ろうとする僕らの挑戦は『若気の至り』になるのです。
このブログを読んでくれている後輩達も、今はただまっしぐらに、新しいショー、より良いショーを求めて頑張っていると思います。
その中で先輩達の教えに、古臭いやり方に反発を覚える事もあると思います。
今はそれでいい。
しかしいずれ、『現在の土台を作ってきた先人達に感謝する日が来るよ』と、
それだけは言っておきたいのです。
なのでもし、
『内野の野郎、俺の悪口ばっかり書きやがって!』
なんて思ってる方がいましたら(いっぱいいるでしょうけど)それを踏まえて読んでみて下さい。
僕の真意が分かってもらえると思います。
もし、
『どこをどう読んでも悪口にしか思えないぞ!?』
って場合は、本当に悪く書いてる可能性もありますけどね。
つづく
2011-08-14(Sun)
やめときゃいいのに前回またもや攻撃的な内容で締めちゃった武装代表です。
なんかね、
言いたい事が色々あり過ぎて文章がまとまらないんですわ(笑)
周りの人達からはたまに
『君のブログは敵を作る為に書いてんの?』
なんて言われちゃいますが…
そんなつもりは毛頭なくてですね、
文脈を読み取ってもらえれば誤解を受ける事もないと思ってるんですが…
それでも誤解を受けるとしたら僕の文章力の無さですね。
精進しなきゃ。
そうそう、後輩達に対するメッセージの途中でした。
僕がそれなりにキャリアを重ねて思った事の1つに、
『自分が経験した事のほとんどを、先輩方は経験してきている』
というのがあります。
若い時って、先輩達の言ってる事、やってる事が古臭く見えたりするんですよね。
『なんでもっと新しいアイデアを出さないんだろう!?』
『昔ながらのやり方を諾々と続けやがって…』
『時代は変わってんだよ!』
そんな風に思えてしまって、斬新なアイデア、奇をてらった手法に走ってしまったり…
しかし実は、先輩方も若かりし頃は同じ事を考えてたりするんですね。
そして斬新な、奇をてらった事を試してみて、
そして失敗したり成功したりして、現在につながってるワケです。
つまりは、現役メンバーが『良い』と思って続けているものも『良くない』と思って変えようとしているものも、全ては先輩方の試行錯誤の末に積み重ねられたものなのです。
自分達は先人が築いた土台の上に立っている、
この土台があるから新しいものを求めて歩く事が出来る、
その真実に、若い内はなかなか気付く事が出来ません。
数年経って、
先輩達と同じ苦労をして初めて気付く事が出来るのです。
逆に言えば、先輩達と同じ苦労をするまでは、どんなに頑張っても気付く事は出来ません。
それでも僕は若き後輩達に、
『先輩達も今の君達と同じように考えて頑張ってきたんだよ』
という事を発信していきたい。
いずれ
『内野さんのブログに書いてあったのはこの事だったのか!』
と思ってもらえるように。
つづく
2011-08-11(Thu)
自分の未熟な頃を振り返り、現在と比較する事で反省点を浮き彫りにし、
自分への戒め、そして後輩達へのメッセージを示す事。
あるいは若い頃の情熱を思い返し、現在の自分の指針とする事。
僕が『アクションへの道』を書くのにはそんな理由があります。
そして、
『キャラクターに関わる事の大変さ』
を伝えたいというのも大きな理由の1つです。
『えっ!?普通は楽しさを伝えるもんじゃないの!?』
なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
いいんです楽しさなんて。
どうせキャラクターの世界に入って来る人は、
そして続けている人のほとんどは、
この世界に興味があったり好きだったりするワケですから、
興味があって好きな仕事は楽しくて当然なんです。
好きな世界にいるんだから楽しくて当然。
逆に楽しくないならこんな仕事やめてしまえばいい。
誰かに強要されてやるような仕事じゃないんだから。
だから僕は
『ショー(キャラクター)ってこんなに楽しいよ!』
なんて言うつもりはありません。
むしろ、
『自分が楽しむ為だけにキャラクターに関わってる人』、
『楽しい事だけしかしようとしない人』に、
『そうじゃないんだよ!』
と伝えたい気持ちが大きいんです。
我々の仕事は(今風に言えば)スーツアクターです。
キャラクターの衣裳を着けて演技をする俳優です。
それにはもちろん技術が必要ですし、技術を体得する為の練習や勉強が必要です。
スーツアクターの仕事とは、それら身に付けた技術を用い、鑑賞に堪え得る、観客を満足させる作品を作り出す事なのです。
しかし中には、
『キャラクターの格好をしている事』
に満足してしまい、
『子供に囲まれている事』
で悦に入ってしまう人がいるのです。
それだけで満足しちゃう人は本当に楽しくて仕方ないでしょうね。
大した努力もせず、
何の技術もなく、
スーパーヒーローの姿で人前に登場して、
子供達から握手や撮影をねだられるワケですからね。
それは100%衣裳の人気なんですが、そーゆー奴は自分の実力みたいに勘違いしちゃうんですよね。
おまけにショーの後、
『いやぁ~、今日はめっちゃ暑かったんで途中で倒れるかと思いましたよ~』
なんてドヤ顔で言われたりすると、
『何の努力もしとらんのやから暑いぐらい我慢せぇっ!』
と言いたくなってしまいます。
つづく
2011-08-10(Wed)
さてさて、
アクションへの道、
現在は2006年のエピソードの真っ只中。
2006年というと今から5年前。
5年という歳月を『長い』と思うか『短い』と思うかは人それぞれですが、ぼくの感覚では
『5年前なんて、ついこないだじゃん』
って感じです。
なので、この時期のエピソードに関しては生々しさが残っていて、書く事に躊躇があったりもします。
特に人間関係においては現在の僕に直接つながる人が多く、またそのほとんどが恩人である為、
『迂闊な事を書いて迷惑をかけたくない』
という思いがある事は否めません。
しかし、
それでもやっぱり書き続けなければならないと思ってます(誰も望んでないかもしれないけど)。
なのでここで、
ラストスパートに入る前にこれまでを振り返る意味も込めて、
この
『アクションへの道』
というシリーズについて考えてみたいと思います。
僕がこのシリーズを書こうと思ったのは、僕の
『ショーに対する熱い思い』
を残しておきたいと思ったからです。
熱い思いの中には、こだわりであるとか、哲学であるとか、方法論であるとか、色んなものが含まれているワケですが、単に
『俺はこう思う!』
という結果のみを語るのではなく、
『何故そう思うようになったのか』
『何を根拠にそう思うのか』
という過程を示していくべきだと考えました。
その為には、僕が見聞してきたもの、経験してきた事を紹介していくのがベストである、と、そう判断したワケです。
正直言って、このシリーズは『面白おかしく』書くつもりはありません。
誰かを批判したり、逆に媚びたりするつもりもありません。
全ての登場人物は、僕に『考えるきっかけ』をくれた人達として描いています。
エピソードによっては厳しく批判したり、激しく非難したりもありますが、それはあくまで、『僕が』『その時に』そう思ったというだけの事。
これも『アクションへの道』の1つのポイントです。
例えば、僕と社員さんの意見がぶつかって対立するエピソードがけっこうありますが、それも
『当時の僕の主観で書いてるが故』
という事が多々あります。
僕や同期の仲間達が会社を非難する時、常に
『正義は我らにあり』
と信じていました。
正しい事を言っているのは我々で、会社が間違っているのだと、“その時の”僕達は信じていたのです。
なので、当時の僕の主観でエピソードを書くと会社側が悪役になってしまいます。
しかしそこが終わりではありません。
それが『考えるきっかけ』なのです。
終わりどころかスタートなのです。
どういう事か?
『アクションへの道』は僕の成長の物語です。
経験を重ね、見聞を広める内に考え方が変わってきます。
後々になって思い返した時に、当時の社員さんの言動がようやく理解出来る事があるのです。
豊富な経験と知識を持つ先人が、たくさんのデータを元にして出した結論、
それを納得出来なかったのは、ひとえに僕ら若手の経験不足によるものだったと、後年になってようやく気付くのです。
先輩方が結論に至るまでの『式』を、データの蓄積が乏しい我々は読み解く事が出来なかったのだと。
他にも、
『俺達バイトは無責任にあーだこーだ言ってたけど、そりゃ社員の立場ならそうはいかないよなぁ』
なんてのも、後々になってようやく思い至った事です。
つまり、社員さんや先輩方、その他周りの人達との衝突は、
『自分の信じる正義は、必ずしも普遍的な正義ではない』
と僕が気付く為のエピソードとして書かれているのです。
これは自分に対する戒めや反省として書いているし、
当時の僕と同じように正義を主張して周囲とぶつかってしまう若き後輩達に向けたメッセージでもあるのです。
『立場や経験によって、考える式が変わってくるよ。
おのずと答えも違ってくるよ』
という事を若者達には知っていてほしいと思います。
まぁそれでも貫き通さなきゃいけない正義もあるんですけどね。
つづく
2011-08-09(Tue)
前回は『イラッ』としたエピソードを長々と書いてみましたが、今回もそんな感じです♪
とある歴史をテーマにした公園でのイベントでショーをする事になりました。
僕指名で
『しゃべりをよろしく』
との事だったのです。
『しゃべり』を頼まれるという事は、普段やってるショーじゃなくて、
『特別なストーリーのパッケージ』
か、
『スペシャルショー』
か、
逆に規模の小さな
『ミニショー』
か、
大体そんな所のハズです。
もしそうならストーリーを考えなければなりません。
更に言えば『しゃべり用の(BGM)パッケージ』を作らなければなりません。
それならば早く情報が欲しいものです。
どんなストーリーにしたらいいのか、
キャストは何人なのか、
せめてこれぐらい分からないと何も進められないので、僕は営業担当に確認を取りました。
しかし、何回訊いても
『まだ細かい事は決まっていない』
『打ち合わせ中』
『近々決まる』
などと言うのです。
何も分からないまま本番は近付いてきて、いよいよ1週間前…
『いくらなんでも1週間前には内容決まっとるやろ!?』
と思い確認の電話を入れましたが
『まだ決まっていない』
との事。
『そんな馬鹿な!!』
愕然とする僕。
その直後、友人が
『こんなのがあったよ~』
と1枚のチラシを僕にくれました。
それはその公園で行われるイベントのチラシでした。
だったらショーの事も何か書いてあるのでは!?
目を通すとそこにはキャラクターの写真と『キャラクターショー』の文字、
そして、
『●●公園と日本の歴史を破壊しようとする怪人にヒーローが立ち向かうオリジナルストーリー!
ヒーローは日本の歴史を守れるのか!?』
という説明が…
なんだよ!
ショーの内容決まってんじゃん!!
しかもカラー印刷のチラシが出回ってるぐらいですから、原稿を作ったのはかなり前なハズ、
だとしたらもっと前に内容も決まってたハズです。
そして営業担当がそれを知らなかったハズはないのです。
この営業担当さん、
実は元々アクターで僕の大先輩。
アクターとしてはすごい方ですが、いかんせん性格がテキトーなんです。
僕は彼に電話しました。
『チラシ見ましたよ!ストーリー決まってるじゃないですか!このストーリーでショーを作るから詳細を教えて下さい!』
しかし彼はこの期に及んで、
『まだ詳細が決まってない。決まったら連絡する』
と言うのです。
そして連絡がないままショーの3日前…
リハーサルは翌日です。
もうここで決まらなかったらショーなんて作れません。
『まだ分からない』
と言われたらもうこのショーからは手を引こう…
そう決意して営業担当に電話しました。
『もう3日前ですよ!?明日リハーサルなんですよ!?さすがに詳細決まってますよね!?』
すると彼は
『おう、やっと決まったよ』
と答えました。
しかしその内容は驚くべきものでした。
『普段と同じパッケージをやるから』
…ん!?
普段のパッケージ!?
普段のパッケージには日本の歴史も、ましてや●●公園の名前も出てこないぞ?
『えっ?
だって●●公園オリジナルストーリーでしょ!?
日本の歴史を守る話でしょ?
普段のパッケージにそんな要素は全くないですよ!?』
『だからね、オマエがしゃべり怪人になって、ショーのしょっぱなに出て、
我々は日本の歴史を破壊しにきた!
この●●公園も破壊してやる!
みたいな事を言うワケよ。
それから通常のパッケージを流せば客も
あぁ、この悪役は日本の歴史を壊しにきたんだ
って思うやろ』
いやいやいや!
ストーリー部分には歴史は全く絡まないから!
そんなんに騙されるほどお客さんも馬鹿じゃないから!
『それはあんまりでしょう!?
全然オリジナルストーリーじゃないじゃないですか!!』
そう憤る僕に先輩は飄々と
『俺の中では立派なオリジナルストーリーです』
なんてぬかします。
『先輩、それは子供騙しにしても悪質過ぎますよ。
せめて通常のパッケージをベースにして、オリジナルストーリーと呼べるものを作りましょうよ!』
『パッケージを編集する時間がないから無理やな』
『パッケージが作れないなら全編しゃべりにしましょうよ!』
『全部しゃべりにするとグダグダになったりするからな。
しゃべりは最初の説明だけで』
なるほど。
これは確信犯です。
最初から通常ショーをやるつもりで、
でもそれを明らかにすると確実にクレームが来るので、
ギリギリまで『まだ分からない』を貫いたのでしょう。
想像するに、通常ショーとオリジナルショーでは予算のかけ方が違うハズ。
もしそうだとしたら、この時もオリジナルパッケージ製作費を加えて普段以上の予算を組んでいたのではないでしょうか?
その予算はどこへ消えるのか??
まぁ予算の話は置いておくとしても、
あのチラシを見て、
『へぇ~、●●公園のオリジナルストーリーなんだって!』
と期待してくれたお客さん達に対する責任はどう取るのか?
おそらく何も考えてないのでしょう。
子供達の顔なんか脳裏にも浮かばないのでしょう。
古いアクターがよく言う、
『子供なんてキャラクターが出て戦ってりゃ喜ぶんだから!』
の精神なんでしょうね。
馬鹿野郎。
子供を舐めんな。
キャラクターショーを舐めんな。
僕は電話を切ると、キャスティングをしている後輩に連絡しました。
『本当に急でスマンが、●●公園の現場から俺を外してくれ。
お客さんを平気で騙すような悪事に俺は荷担したくない』
この判断の善し悪しは分かりません。
一度受けた仕事をキャンセルするのはプロとしてどうなのかとも言われました。
しかし自分の信念を曲げてまでショーをする事は出来なかったんです。
それにしても…
こんなに悪質な仕事してる社員がいんのか…
こんな事してたらウチの会社潰れるぞ…
僕はそう思いました。
そして実際、この年に会社が潰れてしまったのです。