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2011-08-02(Tue)

アクションへの道(240)

立ち回りの技術の1つに、

『当たっていない攻撃を当たっているように見せる』

というのがあります。

当てれば怪我をする危険性もあるし、衣裳の破損につながる可能性もあるからです。

かと言って、ただ当てなければ、子供達から

『当たってねぇ~』

と野次を飛ばされる事になります。

当たっていない攻撃を当たっているように見せる為には、

タイミングやスピード、
身体の向き、
足の位置、
リアクションの技術、

等々、色んな要点を満たさねばならず、僕らは咄嗟に自然にそれらが出来るように日々練習しているワケです。

当てるのが必ずしもNGって事ではありません。

演出上あえて当てる事もあります。

当てなければリアリティが出ない時や、当てる事で観客に何かを伝えたい時などです。

当てる時はただ闇雲に当てればいいってワケじゃありません。

痛そうに見えて痛くない攻撃を出したり、

当たっても痛くない場所を狙ったり、

攻め手と受け手の呼吸を合わせたり、

こちらも色んなテクニックが必要になるのです。


さて、ここで僕個人のハナシ…

僕は悪役の時、

『当てて!』

と言う事が多々あります。

それも先ほど書いたようなテクニックを要するものではなくて、

『闇雲に力いっぱい当てて!』

というものです。

ここまで説明してきた技術論は何だったと言うのか!?


僕はヒーローに、例えば

『側頭部に思いっきりハイキック入れて!』

とか

『背中に思いっきり跳び蹴り入れて!』

なんて注文を出して、ヒーロー役から

『えぇ~っ!?』

と言われていました。

『そんな事して大丈夫なんですか!?』

という意味の

『えぇ~っ!?』

です。

これは『大丈夫』という自信があって言ってるのですが、やはりヒーロー役は戸惑うみたいですね。

僕が『当てて!』という時は、ほとんど悪役が優勢なシーンです。

パンチやキックを叩き込んでも効かない悪役の強さを子供達にリアルに見せつけてやりたいのです。

悪役の強さをアピールしておかないと、逆転のカタルシスは生まれませんからね。

しかしながら僕の中には、当ててもらう理由がもう1つあります。

それは

ヒーロー役との真剣勝負

をする為です。


立ち回りというのは、シンとカラミが共同で作り上げるもの。

ヒーローと悪役は戦いながらも、互いの呼吸を読みながら、相手の動きに合わせながら、協力して立ち回りを演じているのです。

そんな中に『マジ当て』を入れる事で、

『あぁん?オマエの攻撃ってこんなもんかぁ!?』

『もっと本気でやってみろよ!!』

とケンカを売り、(気持ちの上の)真剣勝負に持ち込みたい気持ちがあるのです。

それは相手が誰でもいいってワケじゃありません。

真剣勝負は、自分が認めた相手、本気で絡みたい相手の時だけですね。

東京に行く前のHIROは勝負に相応しいと思える好敵手でした。
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2011-08-01(Mon)

アクションへの道(239)

忍者ショーの準備を進めている間、僕はキャラクターショーから遠ざかっていました。

正直この時期、所属チームのショーに魅力を感じなくなっていたのです。

なんだか自己満足の集団に見えてしまって、

アマチュアの集団に見えてしまって、

一緒にショーをしたくなかったのです。


2006年までは。


そんな僕の気持ちが変わったきっかけは、ある1人の後輩でした。

彼の事は新人の頃から知っています。

僕のしゃべりショーが彼のデビューだったからです。

頑張ったり浮かれたり天狗になったりを5年見てきました。

そんな彼が東京に行く事を決めました。

上京して更に上のレベルを目指すと言うのです。

驚きもあったし、
『やっぱりか』って気持ちもあったし、
寂しくもあったし、
嬉しくもあったし。


それまで東京に行った後輩は何人かいましたが、何故かみんな、上京を決めた時から急成長するんですよね。

技術が、ではなく精神面が、です。

それまではすぐに後輩にキレたりしてた奴が、キチンと指導出来るようになる、

自分の意見をゴリ押ししてた奴が周りの意見に耳を傾けるようになる、

何人かのそんな姿を見てきました。

そして、この年に東京行きを決めた後輩も急に大人になったように見えました。

それまでは若さゆえの言動にイラッとする事もあったのですが、変化が見えた後は彼の事が大好きになりました。

キャスティングの担当に

『あいつと一緒の現場なら入るよ』

なんてワガママを言ったりして。

なので2006年のショーの想い出には必ず彼がいるのです。

その後輩を仮にHIROと呼んでおきましょう。
2011-07-28(Thu)

アクションへの道(238)

忍者ショーのパッケージが完成しました。

しかし実際にそのパッケージを使用したのはそれから2年後、

2007年です。

なのでその話はもう少し先、と言う事で…

この時に作ったパッケージは『第1部』と『第2部』の2本。

本当はこの2本だけでしばらくやっていくつもりだったのに、何故か『第1部』からストーリーが発展してしまって…

結局いまだ『第2部』は未公演です。

ちなみにこの未公演の第2部、
どんなお話かと言うと…

主人公の山吹さやかと、お目付け役の少年忍者・心太郎、そして謎の忍者戦士・ヤイバが登場するストーリーでした。

こう書くと、知ってる人は知ってますね、

2010年のローカルヒーローフェスタで公演したストーリー、

その原型になったのが(まだ陽の目を見ぬ)『第2部』のパッケージなんです。

2005年に作ったストーリーが形を変えて2010年に発表される…

心太郎やヤイバもずいぶんじれったい思いをしたんじゃないでしょうか。

何故『第2部』が公演されなかったか…

それにはいくつかの理由があるのですが、ここでは書きますまい。

まぁとりあえずパッケージが完成した事で次のステップに進もうとしたのですが…

営業が進まない!

メンバーが揃わない!

知人のツテで地域のお祭りなんかに声をかけてもらったのですが、

地域の祭りは当然地域の方が優先になるワケで、余所者の無名の忍者ショーなど入り込む余地がないとの事でした。

メンバー集めも難航。

ショーの後輩達に

『手が空いてる時でかまわないから手伝ってね』

なんて声をかけてみたものの、普段メジャーヒーローを演じて充実してる彼らが乗ってくるハズもなく、

『あぁ、いいっスねぇ、何かあったら声をかけて下さい』

と生返事。

実際声をかけたら

『あぁ、その日はちょっと…』

と二つ返事で断られる始末。

さやか役をお願いした女の子達からは

『え~っ?素面(すめん、顔出しの事)でしょ~?
素面はちょっと…スミマセン…』

と二つ返事で断られる始末。

そこで僕は初めて

『あ、みんな素面の芝居には興味ないのか!』

と気付いたのです。

僕は新人の頃、

『君達の仕事は顔こそ見えないけど俳優の仕事なんだよ』

と言われて以来、

『マスクを着けようが素面だろうが俺は俳優』

というつもりでやってきたけど、周りのみんなは

『スーツアクター』

としてショーをしてたんだ。

『みんな自分達の幅を自ら狭めてるなぁ』

なんて思ったり、

『知名度が上がってから名乗りをあげたって使ってやらねぇからな!』

なんて毒づいたり。


それでも、

『とにかく衣裳を作らにゃ始まらん!』

という事で、毎日カタカタカタカタと、ミシンと戦う代表でした。
2011-07-21(Thu)

アクションへの道(237)

4人の声優が揃いました。

初めての声入れに向けて、ここから5人のスケジュール調整をしなければなりません。

5人?

4人じゃなくて?

はい、5人なんです。

僕らの声入れにはもう1人欠かせない人がいるんです。

それはHさん。

Hさんはショーの大先輩でありフリーの音響屋さんです。


キャラクターショーにとって音響は欠かせない要素の1つです。

ショーを実演する際にも、
もちろん声入れの際にもそれは必要となります。

しかしながら、

これから自力でショーを作っていこうと言いながら僕には、音響の知識がまるっきりなかったのです。

知識もなければ技術もねぇ、
おまけに機材も全くねぇ、
オラこんな村~イヤだ~。

…さて、そんな状況でどうやって声入れする?

そんな時に

『手伝うよ』

って言って下さったのがHさんだったのです。

これは本当にありがたかったですね。

僕はショーに関わる事は出来るだけ自分でやろうと思っています。

しかしそれはほとんどが経費削減の為。

実際はプロフェッショナルにお願いしたい所がたくさんあるのです。

声入れの音響操作は、まさに僕がプロにお願いしたかったポジション、

大先輩のありがたい申し出により、僕は理想通りの仕事を成し遂げる事が出来ました。

スケジュールを調整した我々は某月某日、Hさんの事務所に集合しました。

そこで初めての録音。

果たして上手くいくのか…?


各々の台詞で僕の台本が形になっていきます。

それはまるで、僕の頭にあるイメージが抜け出てきたかのようでした。

あまり詳しい打ち合わせをしたワケでもないのに、

細かい所まで僕の理想通りに表現されていくのです。

これにはちょっとした感動を覚えました。

台詞を録り終わる度に

『今ので良かったですか?』

『何か注文ないですか?』

そう訊かれますが、

『今のままで全然OKっス!』

としか答えようがありませんでした。

録音終了後にHさんが

『みんな上手いね~!』

と褒めて下さいましたが、それもそのハズ、

ナナコねぇさんは声優であり、テレビのナレーションも務める喋りのプロ。

お芝居の経験もあります。


手伝いを申し出てくれた1人、『akane』はMC(司会のお姉さん)なので喋り慣れしてますし、元がキャラクターのアクターなので芝居っ気も充分です。


もう1人の友人『次賀慎一朗』はキャラクターショー仲間であり数々の舞台で活躍する俳優です。

上手くて当然な布陣と言わざるを得ません。

その中で僕1人がほとんど素人だったんですが…

『周りが上手いからごまかせるハズ!』

…と思いながら喋りました。


録音の次は編集です。

これは所属していた事務所に機材をお借りして作業しました。

会社にとって何のメリットもないであろうに快く機材を使わせて下さった事に感謝です。

かくしてここに、オリジナル忍者ショーのパッケージが完成したのです。
2011-07-20(Wed)

アクションへの道(236)

S君と訣別した飲み会の後、

その飲み会に同席していた仲間2人が

『自分達に出来る事があるなら何でも協力するよ』

と声をかけてくれました。

捨てる神あれば何とやらでしょうか。

近々ショーパッケージ用の声入れを考えていた僕は、2人に声優をお願いしました。

ショーパッケージ用の声入れとは、簡単に言えば『台詞の録音』です。

さて、声入れの話をする時、絶対に欠かせない人物がいます。

それが、『ナナコねぇさん』です。


『忍者ライブショー さやか見参!』を御覧いただいた事がある方なら、主人公『山吹さやか』の声と言えば分かってもらえるかもしれませんね。

何を隠そう、山吹さやかのキャラクターは、ナナコねぇさんの声をイメージして作られたのでした。


2001年~2009年、
僕が某テレビ番組のマスコットキャラクター(の中身)を務めていた事はこれまでにも書いてきました。

その番組に登場するCGキャラの声を担当していたのがナナコねぇさんだったのです。

同じ番組に関わっていたとはいえ、現場で着ぐるみに入っている僕とスタジオでアフレコしているナナコねぇさんには全く接点はありませんでした。

しかし、オンエアを見て彼女の声に惚れ込んだ僕は、

『主役の声は絶対この人だ!』

と勝手に決めていたんです。

かなりストーカー的な思い込みですが(笑)

そこで番組のスタッフさんにねぇさんを紹介してもらったのです。

『いつか主人公の声をお願いさせて下さい!』

その言葉をようやく実現させる日が来ました。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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