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2011-06-26(Sun)

アクションへの道(215)

さて、新しく社員になったKさん、

他社から移籍してきたぐらいだから、ウチのチームに何かしらの魅力を感じていたのは間違いありません。

しかしどうやらKさんが魅力を感じていたのは“僕らが若手の頃”の、

つまり、僕らより“前の世代”のチームだったんです。

以前は魅力的だったチームを僕達の世代が駄目にしたんだとKさんは考えていたようです。

なので、かつてのように輝くチームを作る為に、元凶たる(僕ら世代の)OBを排除したのでしょう。

これがKさんの本心なのかOBのクビを切る為の方便なのかは分かりません。

しかし、本心だとしたら気持ちは分かります。

そして半分は賛成、半分は反対です。

そりゃ僕らも無茶苦茶やりましたから後年に悪影響を与えてしまった部分もあるでしょう。

しかしレベルアップさせた部分も少なからずあるんです。

功罪の罪の部分だけしか見てもらえないのはやっぱりツラいものです。

OBが反発した理由の1つはそこにあります。

しかし反発の仕方が感情的過ぎました。

『最近移籍してきた社員より、長年このチームにいる自分達(アルバイト)の方が立場は上だ』

というような姿勢を崩さなかったのです。

頑なvs感情的では解決するハズもありません。

僕はどうにか双方の間に立てないかと思いました。

Kさんには

『もっとOBと話をして下さい』

ってお願いしましたし、OB連中には

『俺達はバイトという立場なんだから、社員の方針は会社の方針だと思って尊重するべきだ』

と話しました。

しかしやっぱり事態が改善される事はありませんでした。

こうしてハッキリと、
『新メンバー』
『旧メンバー』
の壁が出来てしまったのです。

僕も仲間達から

『一緒にやめようぜ』

と誘われました。

でも僕はやめませんでした。

理由としては、まずショーが好きだった事、

そして、先輩方からの流れを途絶えさせたくないという思いがありました。

先輩方…

僕らが旧メンバーなら先輩方は『旧々メンバー』になるワケですが…

実は僕らの先輩方、前任の社員さんの時にいなくなってるんです。

やはり長年チームを作り上げてきたメンバーの自負と、移籍してきた社員さんの確執が原因でした。

移籍してきた社員さんが他社のやり方を持ち込み、それまでのやり方を排除する…

それが二代続けば、我らがチームに受け継がれてきたものは、ほぼ消失してしまうでしょう。

言葉は悪くなりますが、ブラックバスなどの外来種が在来種を駆逐してしまった状況に似ています。

それはやっぱり避けたかった。

せめて僕1人でもショーを続けていれば、かすかな繋がりを残していけるんじゃないか、

そう思ったんです。


それからしばらくして…

辞めていった(クビになった)OB達が数人集まって言いました。

『あのチームをつぶそうぜ!』

話を聞くと、自分達でもショーやイベントの活動をし、かつてのチームを脅かす(そして潰す)存在になろうぜって事でした。

集まった面々のショーの技量は折り紙付きです。

彼らなら面白いショーが出来るかもしれません。

『一緒にやろうぜ!』

声をかけられた僕は悩みました。

何と言っても僕は『潰す!』と言われているチームに所属しているのですから。

しかし…

考えた末に僕は仲間達に協力する事にしました。

何故か?

それは次回説明しましょう。
2011-06-25(Sat)

アクションへの道(214)

かくして、長かったイベントも最終日を迎えました。

最後は公式に(?)キャラクターが全員並んでお見送りです。

思い返せば色んな事があったなぁ…

お金がなくてコインランドリーに行けないから、いつもお風呂で洗濯してたっけ…

途中で何回も宿泊場所が変わって、移動が大変だったっけ…

最後の最後で、僕らのブースでもダンスをする事になって急いで覚えたっけ…

急いで覚えたけど披露する機会がなかったっけ…

着替えを手伝ってくれるスタッフが時間になっても来てくれなくて、頑張って自分1人で着替えたっけ…

そうそう。
それを機に1人で着替えるコツを見つけて、後々役に立つ事になったんだ…

打ち上げでは男性スタッフとキスさせられたなぁ(笑)

何故か隣りのブースの打ち上げにも招待されたっけ…

そんな思い出を胸に僕は福岡に帰ったのでした。

3週間近いこの現場を経験する事で、プロのアクターとして少しだけ成長出来た気がします。

まぁその頃福岡では僕をクビにするなんて話が持ち上がってたワケですけど。


…で、アクションリーダーが移籍でいなくなり、社員さんが辞めていったのは以前書いた通り。

その辞めてった社員さん、実は他社から移籍して来た方だったんですが、後任の方も同じく他社から移籍して来られた方でした。

口数が少なくてクール、

落ち着きがあってアクションが上手い、

そんなイメージの方です。

Kさんと呼びましょう。

Kさんが社員になって変わった事といえば、やはり僕ら世代のメンバーがクビになった事、でしょうか。

僕らの事務所では代々『卒業式』というものが行なわれていました。

これを経て現役はOBになるのです。

OBというのは、僕らの事務所的には『中心から外れた人』、つまり、

『後輩達よ!これからはオマエ達が第一線で頑張るんだ!俺達はサポートに回るぜ!』

って立ち位置の先輩の事です。

忙しい時期、
人手が足りない時に真っ先に駆け付ける(呼び付けられる?)のがOBだったんです。

そのOB達がクビを切られていた。

しかも本人達が知らない間に。

OB達は

『あれ~?この時期は毎年呼ばれてたのに、今年は声がかからなかったなぁ~?』

なんて所から、実は自分達がクビになっていた事を知ったのです。

新しい社員さんの言い分としては

『卒業した人間が普通にショーに入るなんておかしくないですか?
卒業したんでしょ?
ショーに入りたい人は現役復帰宣言をしてくれたら良かったのに』

という感じでした。

当然OB達は反発しました。

僕も

『ウチでいう卒業ってのは、辞めるって意味じゃないんです!!』

『クビにする前に、現役復帰宣言をしないとクビになるぞって教えてあげるべきだったのでは!?』

と言ったのですが聞き入れてもらえませんでした。
(僕自身は現役を続けていたのでクビになっていなかった)

おそらくは、OB達をクビにする事はKさんの中で必要な事だったのでしょう。

他社から来て長くないKさんが上に立つにあたって、古くからのOBが障害になるであろう事は想像に難くありません。

『余所者』

『ウチにはウチのやり方がある』

『俺達が築き上げてきたものが』

なんて事を言い出すバイトがいたら、社員は立ち行かないのです。

そして悲しいかな、クビを切られたOBには、そんな事を言う者がたくさんいたのです。
2011-06-24(Fri)

アクションへの道(213)

前回書いたように、各ブース、各メーカーは同業他社のライバルです。

別にピリピリした雰囲気もなく、仲良くやってましたが、やはり見えない壁のようなものがあります。

その1つが『キャラクター同士の接触』でした。

僕は隣りのブースのスタッフさん、コンパニオンさんには非常に仲良くしてもらったんですが、その中で、

『メーカー同士の壁はあるにしても、お客さん目線だと、せめてキャラクターぐらいは仲良くしてほしいよね~』

なんて話す事がありました。

会場に集まっているのは知名度抜群の超メジャーキャラばっかりなのですから、

『それらが勢揃いしてる所を見たい!』

『集合したキャラクター達と記念撮影したい!』

と思うのがお客さんの心理ではないでしょうか。

僕らは、

『こんなに近くにいるキャラクター同士が隣りに並べないなんて、企業間のライバル心を見せてるみたいで嫌ですよね』

『せめて1日の締め、お客さんをお見送りする時ぐらいは集まれないもんですかね』

なんて話し合いました。

ここから企業泣かせの反乱が始まったんですね。


1日のイベントが終了しお客さんが帰り始めます。

僕らキャラクターはそれぞれのブース前でお見送りします。

僕は隣りのブースのキャラクターをちらりと見ます。

向こうもこちらをちらりと見ます。

そして互いに(お見送りしなが)じわりじわりと近付いて…

ちょうど双方のブースの間ぐらいで合流するのです。

合流した位置はメインの出入口から続く通路なので、お見送りするにもベストな位置でした。

そこで並んでお客さんに手を振ります。

最初の内はブースに連れ戻される事もありましたが、良くも悪くも『継続は力』、いつしかキャラクター同士が手をつないでお見送りするまでになりました。

他のブースのキャラクターはそれをどう思っていたのでしょう?

アクター同士の交流はほとんどなかったので確信は持てませんが、多分みんな、僕らと同じ気持ちだったと思うんです。

それぞれのブースに点在してるより、キャラクターが集まってる方が楽しそうじゃないですか。

僕ともう1体のキャラクターが並んでお見送りしていると、別のブースのキャラクターと目が合いました。

不思議なもので、キャラクターって時々アクターの感情が透けて見えるんですよ。

着ぐるみ越しに表情や感情が伝わってくるんですよね。

その時、そのキャラクターは、

『えっ?自分も行くべき?ってか行っていいの?』

って顔をしていました。

僕らは当然、

『来いよ!』

とアイコンタクトを送ります。

こうして2体が3体、4体と増えていき、最終的には(多い時で)6体のキャラクターが並んでお見送りするのが毎日の恒例となったのです。
2011-06-23(Thu)

アクションへの道(212)

さてさて、

休憩の度に他のブースのキャラクターを見学し、ミーハー気分で写真撮影なんかしてた僕ですが、一番気になっていたのは隣のブースでした。

そこでは時間ごとにキャラクターとお客さんがダンス(体操)をするのがメインのイベントになっていました。

それがですね…

かなり難易度の高いダンスだったんですよ!!

まぁお客さんの振り付けは簡略化されてはいましたが…

僕はそのダンスに、そしてブースの雰囲気の良さに惹かれてしまっていました。

キャラクターだけじゃなく、MCさんも、コンパニオンさんも、男性スタッフさんも、そしておそらくメーカーの偉い方であろうスーツの人達まで、みんながイベントを盛り上げようとしてたんですね。

それは本当に素敵な光景で、

「あぁ、イベントとは本来かくあるべし」

なんて思ったものです。

それで僕は頻繁にそのブースのイベントを観に行くようになりました。

イベントの時間以外はモニターでダンスのDVDが流されていたので、アクター魂に火がついた僕は、そのDVDを観てフルコーラス振り付けを覚えました。

そしてイベントを観に行く度にお客さんと一緒に踊っていたのです。

その内、そのメーカーの偉い方が僕を気にするようになりました。

「おい、彼は一体何者だ?完璧に踊っているぞ!」

訊かれたスタッフさんは

「あの人は隣のブースのキャラクターの方です」

なんて説明しています。

それがきっかけで、そちらのメーカーさんにも覚えてもらえたのでしょう、

ある日の終了間際にこんな事がありました。

退出するお客さんを(キャラクターで)お見送りしていると、隣のブースのスタッフさんや偉い方が僕に手招きしました。

各ブース、すなわち各メーカー同士は同業他社、いわゆるライバルなワケで、手招きされたからといって、簡単に行く事は出来ません。

しかし完全シカトするワケにもいかないので、自分のブースの偉い方達の顔色をうかがいながら、おそるおそる行ってみました。

行った先ではいつものダンスでお客さんをお見送りしています。

あぁ、これは、

「一緒に踊ろうよ」

のお誘いなんだ。

踊りたいけど、踊っちゃえば後で自分のブースの方から怒られるだろうなぁ…

でもこちらのスタッフさんや偉い方、キャラクターは

「いつも踊ってる人でしょ?踊れるんでしょ?」

って期待した視線を送ってきてるし…

仕方ないので、少しだけ踊りました。

隣のブースは大いに盛り上がり、僕はそそくさと自分のブースに戻りました。

もちろん後で軽く注意を受けましたが。


これがきっかけでイベントの流れが変わろうとは、この時の僕はまだ知るよしもなかったのです。
2011-06-22(Wed)

アクションへの道(211)

他のキャラクターに入る方達がコンパニオンやスタッフ兼任だと知った僕。

しかしその仕事ぶりはまさしくプロそのものでした。

それは、僕がプロとしての仕事をするのとはワケが違います。

だって僕はアクターに専念すればいいんだけど、彼ら彼女らは他の仕事をしながらなんですから。

他の皆さんの方が僕なんかよりもっと頑張ってるワケです。

毎朝会場に集合して、スタッフとして、コンパニオンとして働きながら、時間になったらキャラクターに変身してるワケです。

僕は勉強の為に、休憩の度に各ブースのキャラクターを見に行きました。

そして、

『専門でないアクターさんがこんなに頑張っている。その中で自分はプロとしてどう頑張るべきだろう』

なんて考えていました。

出た答えはやはり

『プロのアクターである事』

キャラクター専属ならば、このイベント期間中、一心不乱にアクターという仕事に向き合おうと思ったのです。

それからは毎朝、会場に入ってトレーニングする事にしました。

走ったり筋トレしたり柔軟したり。

よりよいパフォーマンスをする為にスタッフさんと打ち合わせをしたり意見を出したり、

衣裳の不備をなくす為に色々と工夫したり。

後年、この時に知り合った別ブースの方に聞いた所、

「毎朝会場内を走ってるヘンな人がいるなぁ、と思ってた」

と言われました(笑)

確かに周囲の視線は気になっていたのですが、プロとしての仕事をする為だと自分に言い聞かせて走っていた記憶があります。

ホテルに帰ってからも部屋で筋トレしたり外を走ったり、他にやる事がない環境だったので、けっこうストイックな毎日を過ごしていました。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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