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2011-05-02(Mon)

アクションへの道(185)

以前もこのブログで書きましたが、九州ではしゃべりショーが歓迎されない事が多いんです。

観客が望んでいない、というより、クライアントさんが安定したショーを求めている、という事なんだと思いますが。

で、中には『しゃべりショーNG』という現場もありまして…

2001年のゴールデンウィークに行った現場の1つがまさにそれでした。

もちろん現地の担当者さんの許可はいただいたのですが、

『そちらがどうしようもないとおっしゃるなら今回だけは仕方ないですけどね~、その代わりお願いしときますよ~』

と渋々、かなり渋々です。

ちなみに最後の『お願いしときますよ~』は、

『パッケージショーに負けないように盛り上げて下さいよ~』

って事です。

でも…

何故かそーゆー時に限って雨だったりするんですよね…

当然集客も少なく、観てくれる人達はステージから遠く離れた屋根の下…

そりゃ盛り上がりませんって。

終了後には担当さんの

『ほら…』

みたいな渋い顔。

もちろんしゃべりのせいではないんです。

雨で集客が少なければパッケージでも同じ結果だったでしょう。

でも、ここで仮に

『しゃべりにするからだよ!』

って責められたとしても言い訳は出来ません。

最初から先方が望まない事をやってるんです。

無理を言って普段と違う事をやらせてもらったんです。

その結果が良くなかった場合クライアントさんに、

『もし、普段通りのパッケージショーだったら結果が違ったんじゃないか…?』

と思われても仕方ないんですよね。

だって、同じ状況でもパッケージでいいショーをしてたら

『雨だからね、仕方ないよ』

って言われるハズですもん。

この場合クライアントさんに

『もしもパッケージショーだったなら…』

という、もう1つの可能性を与えた事になります。


これはあくまでも僕の理想なんですが…

ショーは、クライアントさんやチームの代表、他のメンバー、そして自分自身に

『もう1つの可能性を与えない状況』

でやるべきだと思っています。

『もう1つの可能性を与えない状況』とは、『万全の態勢』という事です。


例えば、ショーの前日に飲み会があったとしましょう。

それなりに酔っ払ったとします。

それでもし、翌日のショーで何かミスをしてしまったら、

それが不可避のミスであったとしても周りから、

『昨日飲んだからミスったんじゃないの~?』

と思われるかもしれません。

『もし飲まなかったら失敗しなかったんじゃないの~?』

という、もう1つの可能性を与えてしまうのです。

飲んでなければ、万全の態勢ならば

『あれは仕方ないよ~』

って言ってもらえるかもしれません。


これは飲酒運転の考えに似てますよね。

事故を起こして、少しでもアルコールが検知されたら

『飲んだからだろ!?』

って言われちゃう。

これは睡眠不足も同じ事。

『寝てないからじゃないの~!?』

って責められても仕方ない。

『もし飲んでいなければ』『もしキチンと寝ていれば』という、もう1つの可能性を与えてしまう。

だから僕はショーの前日には万全の態勢を整えておきたいと思うし、出来れば武装メンバーにもそうあって欲しいと願います。


…もちろん、前日に飲んでショーに臨む方々も多いですけどね、それを批判するつもりはないんです。

しっかりとした技術を持って、自分にとっての適度な酒量を熟知してる方は飲んでもいいんじゃないでしょうか。

ただ今まで何度も、前日に飲んだ(寝てない)人達のヘロヘロのショーを観てきたので自分を戒めてるだけなんです。

そんなん子供(観客)に対して失礼な話ですよね。

客としてコンビニに言ったらアルコール臭い店員からヘロヘロの接客をされるようなもんですよ。

自分がそんな目にあったら腹立たないんですかね?

いわんやその店員が何かミスをしでかしたら…?

『酒やら飲んどるけんたい!店長呼べ!』

って言いたくなりません?

一生懸命マジメに働いてる店員が同じミスをしても、そこまで腹が立たないと思いません?


僕も衣裳製作やら何やらで眠れなくて、徹夜明けにヘロヘロのミスをしでかしてきたので偉そうには言えませんが、観客の前に立つからには真摯な姿勢で臨みたいと思います。


ずいぶん話がズレました。

つまり、

『しゃべりショーにして失敗したね』

って現場でした。

というお話。
2011-05-01(Sun)

アクションへの道(184)

世間はゴールデンウィークですわ!

…ってなワケで今回は2001年のゴールデンウィークの事を書きましょう。

こんな事を書いたら業界的にマズいかもですが(どうせ読者の少ないブログだからいいや)、ゴールデンウィークのキャラクターショーは常に人手不足なんです。

ショーが多すぎて、新人を大量投入しないと回らないんです。

そんな状況の中、僕が入ったのは昨年の戦隊ヒーロー。

僕は怪人役。

レッド役は同期のS氏です。

ピンク役もそれなりのキャリアのメンバーです。

『この3人がいれば何とかなるな…』

そう思った僕はS氏と相談した上で社員に言いました。

『ウチは3人いれば何とかなるから後は全員新人でかまわない。

使える奴は現役メンバーの班に回してやってほしい。

その代わりパッケージじゃなくてしゃべりでやらせてもらえないだろうか』

人手不足の中でパッケージショーをやるのはけっこう厳しいのです。

…それでも会社からやれと言われれば当然やるのですが…

この時は『1年落ちのキャラクターだし、まぁいいだろう』と何とか許可が下りたのです。

結局スケジュール等の都合でもう1名ベテランが入り、
ベテラン4人、
新人3人、
新人じゃないけどあまり慣れてない奴1人という布陣でゴールデンウィークに臨む事になりました。

こーゆー時のショー構成は、

『とにかくベテランが頑張る』

に尽きます。

新人の負担は出来るだけ少なくしなければなりません。

しかし少な過ぎてもダメなんです。

新人さんに対して、
特にゴールデンウィークは

『ショーって楽しい!』

と思ってもらう必要があるんです。

なので、各人が出来る範囲を見極めながら、褒めたり乗せたりプレッシャーをかけたりしながら演技(や立ち回り)をやらせるのです。

もちろん新人さんですから、出来ない事、失敗する事が前提です。

たとえリハーサルで出来ていても、慣れないステージに立ち、慣れない衣裳やマスクを着けて、そして大勢の観客の前で動くのですから、新人が失敗する要因なんていくらでもあります。

新人に何かやらせる時に大切なのは、

『失敗した時のフォローまで考えておく事』

だと思います。

『段取りを忘れてたらこうしよう』

『段取りと違う動きをしたらこうしよう』

と、あらかじめシミュレーションしておくのです。

そして、もしミスっても、それが一生懸命の結果なら怒らない。

失敗を次に活かせるようなアドバイスをする。

僕はそう心掛けています。

(僕の理想としては、厳しく言う先輩とフォローする先輩が両方いてほしいんですけど)

気を抜いたりふざけたりした結果の失敗だったらぶっ飛ばしますけどね(笑)

さて、リハーサルも終わり、いよいよ現場が始まります!
2011-04-27(Wed)

アクションへの道(183)

なぜA君が会議に来なかったのか、僕は理由を知りません。

(来なかったのか終了間際に来たのかも記憶があやふや)

ただ僕の推測では、A君は台本の手直しを簡単に考えていたのではないかと。

A君の台本(第一稿)にみんなが出したOKは、あくまで『大まかな流れ』に関してなのです。

第二稿ではその流れを活かすように構成や台詞や色んなものを変えて、加えて、削っていかなければならないのです。

A君はおそらく、みんなに言われた『手直しすれば使える』の意味合いをまだ知らなかったのでしょう。

台詞をちょっと削ったり書き加えたり、ささっと終わる作業だと思っていたのでしょう。

まぁ仕方ないかもしれません。

初めて台本を書いたんですから分からなくて当然とも言えます。

しかし、
だからこそ簡単に任せるべきではないのです。

世代交代だから若手に台本を書かせる、
それはいい。

しかし、任せる前に、それなりの勉強をさせなくちゃ駄目なんです。

自分がどれぐらいのペースで書けるのか、

自分にどれだけの語彙があるのか、

自分はどれだけのパターンを持っているのか、

何も分からないまま書き始めては上手くいく事の方が少ないでしょう。

結局この時、油断して締切りギリギリまで台本を放置していたA君は

『スミマセン、間に合わせる自信がありません』

と執筆続行を断念したのでした。

それからは僕がA君の第一稿をベースにして、決定稿を書き上げました。

B君の台本も完成です。

僕はA君とB君を見て

『ウサギとカメみたいだなぁ~』

なんて思ってました。

まぁ会社からの注文も、初めて台本を書く2人には厳しかったんじゃないかなぁとは思います。

例えばA君が書いていた戦隊の台本にはこんな注文がつけられていました。

◆本来は8人キャストだが、万が一を考えて7人でも出来るように。

◆人材不足の可能性があるので、レッドと怪人以外の6人は新人でも大丈夫なように。


これ、かなり厳しいですよ。

人材のやりくりは会社の方でどうにかしてほしいんですけどね。


なんにせよ、キチンと台本を書くというのは大変な事なんです。

『試しに書いてみた~い』

ぐらいの気持ちで書くな!…と言いたい。

(いや、試しに書くのはすごくいい事です。

ただ、その感覚で本番用を書かないでほしい。

何本も試しに書いて、それなりの技術を身につけてから本番用を書くようにして下さい)

台本も商品の一部ですからね。
2011-04-26(Tue)

アクションへの道(182)

さて、台本製作会議が始まりました。

メンバーは社員さん2名、若手のA君、B君、C君、そして僕です。

今回はA君が戦隊の台本を、B君が単体の台本を書く事になっています。

みんなで忌憚なく意見を出していこうという集まりです。

堅苦しい雰囲気だと自由な意見が出ないだろうから、という社員さんの配慮で、『会議』というよりも『雑談』形式で進める事になりました。

お菓子を広げてジュースを飲みながらのブレーンストーミングです。

さっそく若手のA君がお菓子をポリポリかじりながら話し始めました。

すると…

若手C君がキレました。

『オマエ!真面目な話し合いの最中に物を食うなぁ!』

…!?

今回は物を食いながら真面目な話し合いをする事になっていたのでは!?

根がまっすぐなC君には許せない状況だったのでしょう。

『俺の家やったら絶対許されん事やぞ!』

…正直C君の家の方針は我々には全く関係ないのですが、これで場が固まりました。

誰もお菓子には手をつけず自由な意見も出ない、当初懸念した堅苦しい雰囲気になったのです。

ブレーンストーミングでは、とにかくたくさんのアイデアを出す事が必要です。

良いアイデアだけでなく、

くだらないアイデア、
絶対に使えないであろうアイデア、
悪ふざけみたいなアイデア、
実現不可能なアイデア、
全く面白くないアイデア、
整合性のないアイデア、


そんなものまで、思い付いた事を片っ端から出していくのです。


僕はよく、

『みんな絶対的な1つを求め過ぎだよ~』

と思います。

『絶対に使えるアイデア』を出そうとして硬直してしまう人が多いなぁ、と。

自分でハードルを上げ過ぎて、跳ぶ事が出来なくなってるんですね。

みんな真面目なんだと思います。

僕なんか不真面目のかたまりなので、どうしようもないアイデアを出していきます。

その代わり、思い付く限りのアイデアをバンバン出していきます。

100のアイデアを出せば1つぐらい使えるものがあるかもしれません。

200出せば良いアイデアが2つあるかもしれません。

くだらないアイデアが呼び水となって素晴らしいアイデアが生まれる事だって珍しくはないのです。

しかし…

やはり若手は真面目でして…

『内野さん、使えるアイデアを出して下さい』

『真面目に考えて下さい』

『ふざけたアイデアはもういいですから』

何度も怒られました。

でも最終的に、使えるアイデアを出したのはほとんど僕だったと思います。

何事にも『有効的なやり方』があるんです。


とりあえず台本の大まかな流れが決まり、A君とB君がそれぞれ執筆に取り掛かりました。

A君とB君は同い年ですが、タイプが全く違います。

言葉は悪いですが(ごめんね)、当時のA君はあまり深く考えずに勢いで進むタイプ、
B君は慎重に考え過ぎてなかなか進めないタイプでした。

A君は勢いで台本をグイグイ進めます。

B君は周りに相談しながら、みんなにとやかく言われながら遅々として進みませんでした。

そして、A君の台本の第一稿があっという間に完成しました。

初めて書いたにしては無難な出来です。

これをベースに手直しを重ねれば、問題の無い台本が完成するでしょう。

『うん、いいんじゃない?原型はこんな感じで手直ししていけば使えると思うよ』

みんなが太鼓判を押しました。

それからしばらくして、ようやくB君の台本が形になり、『第2回台本会議』が行われる事になりました。

2人の第一稿をどのように手直しするかの会議です。

しかし、いくら待ってもA君は姿を現しませんでした。
2011-04-23(Sat)

アクションへの道(181)

2000年はもう書く事も思い付かないから先に進みます!

2001年!

ちょうど10年前!


この年はすごく頑張った年だったなぁ。

書きたい事は色々あるけど、まずは新年恒例、パケにまつわるエピソードを。



前年からテンションが上がって頭おかしくなっていた僕は、会社に

『現役復帰宣言』

をしていました。

そして

『今年の台本は俺が書きたい!』

と立候補したのです。

社員になった後輩に嘆願したのですが、

『いや、今回は若手に書かせてみようと思ってて…』

とつれない返事。

世代交代を考えれば当然の事ですが、いかんせん僕は頭がおかしくなっているのでそれが分かりません。

『なんでだよ~!俺は現役復帰したんだぜ~!現役なんだから俺が書いたって問題ないだろ~!』

さすがに後輩も『もう世代交代してるんです!』とは言いにくかったんでしょうね。

『内野さんの台本もいいんですけど、今回は今までとカラーを変えようと思ってまして…』

僕は食い下がります。

『どんな風に変えるんだよ』

『ちょっと前の…例えば●●レンジャーのパケみたいな…』

『それだって俺が書いた台本じゃねーか。俺のカラーを求めてるのに俺が書いちゃいけねーのかよ~』


…あ~っ!
うぜぇうぜぇ!
本当にうざい先輩だ!!

組織には世代交代が必要なんだよ!

後輩も断りにくい中で、出来るだけやんわり断ろうとしてんだよ!

空気を読めーっ!!


…結局、

『じゃあ若手が書いた台本を監修してもらえませんか?』

って所で(渋々)落ち着きました。

後輩は大人ですよね。

ホントごめん。


きっと僕だって世代交代しなきゃいけない事は分かっていたハズ。

でもそれが嫌で駄々こねてたんですね。

『世代交代で若手が台本書くってんならそれでもいいよ。

でもオマエら、台本書く勉強とかしたのか!?

試しに何本か書いてみたのか!?

勉強もせず経験もなく、世代交代だから僕らが書きますなんて軽々しく言えるのか!?』

そう憤る事で自分の地位を守ろうとしてたんですね。

『アクションへの道』の初期にも書きましたが、僕が新人の頃、ショー台本は社員さんが書くものでした。

それをバイトメンバーが書けるようになったのは僕ら世代が会社と戦ってきたからだと思っています。

僕だって何本も台本を書き、ボツにされ棄てられ書き直されてきました。

その結果の現在なんです。

『書いた事ないけど僕らが書きま~す』

じゃ、あまりにもハードルが低すぎる!

そんな風に思っていました。

これは理屈としてはほとんど正論だと思っています。

仕事として人前に出すものを書く以上、相応のスキルは必要なんです。

絶対に。

でも、だからと言って

『俺が書く!』

と先輩が自分を押していくのは間違ってる、と、今は思います。

そのスキルを後輩が身につけられるように導いてあげるのが先輩の役目なんです。

このブログを読んで下さってる方はもうお分かりでしょうが、僕には

『先輩として後輩を導く』

という姿勢が完全に欠如していたんです。

…今でも足りないかとは思いますが…


かくして、このような状況の中、現役メンバーとの台本製作に関する打ち合わせが始まりました。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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