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2011-04-22(Fri)

アクションへの道(180)

メンバー達の反対を押し切って、アクションに不慣れな女の子をキャスティングした僕。

なぜ僕がこの子を選んだかと言うと、毎週欠かさずに練習に来ていたからです。

頑張ってアクションの練習をしているのに、身長が低いという理由でアクションに入れてもらえない後輩。

僕はその子にチャンスをあげたかった。

もちろん身長だけが理由じゃなかったとは思います。

技術的にも全然未熟でしたし。

でも、本番を経験せずして上達なし、って部分もあるハズなんです。

練習だけしか経験していないのと、本番を経験した上で今後の練習に臨むのではモチベーションが全然違うと思うんです。

それに、

この子がショーに入る事で、背が低い他のメンバーも

『自分もショーに入るチャンスがあるかも!』

と思ってくれるかもしれません。


テレビキャラクターを演じるワケですから、身体的特徴でキャスティングが左右されるのは仕方ありません。

でも、それじゃ身長が低いメンバーは最初から諦めざるを得なくなってしまいます。

『どうせショーには入れてもらえないし』

と思いながらの練習に意味はあるのか、

練習に参加するモチベーションが保てるのか。


背が低いメンバーはアクションではなくメルヘンショーに入るのですが、

『おまえは小さいからアクションには入れない!
でもアクションの練習をしておけばメルヘンにも役立つ!
だから毎週練習に来い!』

なんて理屈を振りかざせるでしょうか。

『もしかしたら来年のピンクは小さいかもしれない!
その可能性を信じて毎週練習に来るんだ!』

なんて言えるでしょうか。

そんなのはすでにチャンスを掴んでる奴が上から目線で言ってるだけです。

モチベーションを上げる(保つ)為には、希望や目標が必要なのです。

僕は後輩達に

『背の低さを凌駕する技術を身に付けてアクションショーに入ってやる!』

と思ってほしかった。


決断の理由はもう1つ。

この時のスペシャルショーは、その女の子以外はベストメンバーで固めていました。

フォロー出来るメンバーが揃っているからこそ、僕はその子を入れたのです。

しかし…

結果は大失敗でした…

誰も僕に協力せず、その子のフォローもしようとしませんでした。

他のメンバーがそこまで反発する事を見越せなかった僕の責任です。

みんなは

『なんでスペシャルショーにあいつを入れるんだよ!』

と思ってる。

ベストメンバーの中に放り込まれた女の子は萎縮してる。

雰囲気が悪いから更に萎縮する…

僕は何とかしようとしましたが、そもそもみんなは僕にイライラしているのです。

盛り上げようとすればするほど

『おまえのせいで上手くいってねぇんだよ』

みたいな空気になります。

おまけに僕はチーム内で(何故か)『女好き』に見られていたようで、ゴリ押しでその女の子をキャスティングしたのも

『お気に入りの女の子を贔屓している』

だけだと思われていたのです。

まぁお気に入りというのは間違ってないですよ。

でも別に『可愛いから』気に入ってるんじゃない。

頑張ってるから気に入ってるんです。

頑張ってる子にチャンスをあげたいと思うのが贔屓かどうか、僕には分かりません。

ただ分かっているのは、僕が失敗した事。

やり方がマズかった事。

1人にチャンスを与えるのに夢中になって、全体の事がおろそかになっていました。

それでもこの時の僕は

『メンバーが理解してくれなかったから失敗した』

と信じていたのです。

後輩達に責任を押しつけていたのです。

こんな考えでは何も上手くいくハズないですよね。


本番当日、
強い風と雨で観客は少なく、全く盛り上がらない中で雰囲気の悪いショーをしました。

現地の担当さんから嫌味の一つも言われるほどの散々な出来でした。

僕の傲慢が全てを台無しにしたのだと思ってます。

ここで自分の過ちに気付けば良かったんですが…

思い上がりはまだまだ先まで続くのです…
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2011-04-21(Thu)

アクションへの道(179)

2000年~2001年はしゃべりショーをたくさんやらせてもらえた年でした。

社員さんが僕にチャンスをくれたんだと思いますが、普段のショーからスペシャルショーまで、とにかくたくさんしゃべりました。

スペシャルショー、

なんと豪華な響きでしょうか。

しかしこの『スペシャル』という部分に関して、僕と他メンバーの間には明らかな齟齬が生まれていました。


時々『スペシャルショー』と銘打たれたキャラクターショーがありますよね。

僕はこの『スペシャルショー』というフレーズ、本当に使い方が難しいと思うんです。

まず、誰の為の『スペシャル』なのか?という疑問があります。

答えは当然『観客の為』のスペシャルなワケですが、普段よりキャストが多かったり、レアなキャラクターが登場したりする為、メンバーのテンションが『スペシャル』になる事があるのです。

おまけにスペシャルショーではベストメンバーを組む事が多く、その為キャスティングされたメンバーは、

『ベストメンバーに選ばれた!』
『スペシャルショーを演った!』

というWテンションUPになったりするのです。

『スペシャルショーだからいつもより気合い入れていこうぜ!』

なんて雰囲気になる事もあるのです。


僕はこの雰囲気が嫌いです。

『スペシャルショーだからいつもより嬉しい』

『スペシャルショーだからいつもより頑張る』

それじゃ普段のショーを観てるお客様に失礼です。

スペシャルショーはあくまでもお客様にとってのスペシャルであって、演者は平常心で臨むべきです。

僕のもう1つの疑問、

『何をもってスペシャルと言うか』

については今回置いておきます。

以前もどこかで書いたと思うし。

さて、そんな考えの僕ですから、スペシャルショーでしゃべる時も出来るだけ通常現場の意識を逸脱しないように気をつけていました。
※(ストーリーや構成はスペシャル感を意識しますよ)

しかし僕には、スペシャルかそうでないかに関わらず『自分のしゃべり』でやりたい事がありました。

それは

『普段のショーで試せない事を1つやってみる』

という事。

…ん?それは他のメンバーが持ってる『スペシャル感』とどう違うの?

と思われるかもしれません。

説明しますと、普段のパッケージショーは『無難に進行する為のショー』なんですね。

この辺りは最近ブログに書きました。

一旦パケが流れ始めたら最後までノンストップ、

アクシデントが起きてもフォローのしようがないパッケージショーは無難に作らざるをえないのです。

しかし『しゃべり』は違います。

しゃべりの腕次第ではアクシデントを活かすも殺すも自在なのです(そんだけの腕があればね)。

僕はまだアクシデントを活かす腕はないと思いますが、フォローする事なら出来ます。

なので、普段のショーで出来ない事をしゃべりで試してみたかったのです。

フォロー出来ないぐらい悪い結果の時もあるでしょう、

一発で手応えを感じる時もあるでしょう、

何度も手直ししていく内に使えるネタに育つ事もあるでしょう、

しかし、そういった挑戦がショーの進化を生んでいるんです。

それは間違いありません。

後輩達からすれば

『なんでわざわざスペシャルショーで新しい事を試さなくちゃいけないんですか』

『そんな事しなくても、今まで通りのショーでいいじゃないですか』

って気持ちだった事でしょう。

でもね、

君達が言う『今まで通りのショー』だって、先人達の試行錯誤の末に成り立ってるんだよ。

先輩達の努力の上にあぐらをかいて、次の世代へのバトンを渡さないワケにはいかないでしょ?

俺はしゃべりのスキルを磨いた、

その結果スペシャルショーを任されるようになった、

だからスペシャルショーには俺の信念を1つ盛り込ませてもらう。

それは僕が譲りたくない部分です。

そして、

とあるスペシャルショーで、僕は1人の女の子をピンク役に抜擢しました。

その子はアクションショーに一度も入った事がないアクションに不慣れな女の子でした。

ベストメンバーを望む後輩達は一斉に反対しましたが、僕は自分の信念のもと強行にキャスティングを決定したのです。
2011-04-19(Tue)

アクションへの道(178)

あるショーで怪人をやった時の話です。

午前中のステージで僕は足を怪我してしまいました。

立ち回りでジャンプした際、他のメンバーと接触し着地に失敗したのです。

ショーが終わってブーツを脱ぐと足首から甲にかけて腫れあがっていました。

感覚的に

『骨はやってないな』

と思ったんですが、かなりの激痛です。

さぁ、午後のステージはどうする!?

僕は会社に電話しました。

僕『スミマセン!怪我してしまいました!』

社『2回目は出来そうか!?』

僕『どうにか動けるとは思いますが…あの衣裳では自信がありません!』

その時の怪人の衣裳は、頭が異様にでっかいヤツだったのです。

僕『面(衣裳の頭部分)無しじゃ駄目ですか!?』

社『そ、それはさすがにマズい!段ボールでも何でもいいから面っぽいのを作れ!』

僕は急いで工作を始めました。

段ボールとガムテープで怪人の顔らしき物をでっちあげます。

しかし…

いかんせん時間がありません。

僕はもう一度会社に電話しました。

僕『無理です!間に合いません!サングラスじゃ駄目ですか!?』

社『うむむ…』

社員さんは悩みました。

しかしこの時の怪人の設定が

『宇宙の犯罪者』

というもので、人間体でもおかしくはないだろうという事で渋々OKを出してくれました。

僕は後輩に安いサングラスを買ってきてもらい、それを装着しました。

首から下は怪人、
首から上はグラサンのあんちゃんという謎の怪人の完成です。

これは…

ゆゆしき事態ですよ。

本当はあってはならない事なんです。

原因となった怪我自体が僕のミスなので言い訳も出来ません。

でもまずはショーをやり遂げる事が先決。

パケが流れ、グラサン怪人が登場します。

偉そうに話しているとヒーロー登場!

そしてアクション!!


…激しく動いた途端…

サングラスが…

ステージ下に…


ポポポポ~ン

と飛んでいってしまいました。

ステージ上では…

素顔の内野武が…

ヒーローと戦っていました…


結局サングラスの回収は不可能で、僕は最後まで僕のままで、ヒーロー達の必殺技をくらって去っていくのでした…

演技も口パクもバッチリやったから、もしかしたら許容範囲だったかもしれないけど…

でもこんな事態を招いた事は間違いなく失態なんですよね…

避けられない事はあるとしても…

怪我には気をつけなきゃですね!


海より深く反省…
2011-04-18(Mon)

アクションへの道(177)

結婚から離婚に至るエピソードも終わった所で、本来の『アクションへの道』、2000年に戻りたいと思います。

今回ですね、
何度も書き直しながら全く筆が進んでないんですよ。

2000年は自分のモチベーションが中途半端過ぎて何を書いたらいいか分からないんです。


僕は1996年に現役を引退しました。

それからは自分のペースでショーに関わっていましたが、再び情熱に火がついたのが2000年なんです。

情熱には火がついてるんですがショーに積極的には関わろうとしなかった、

それが僕の2000年前半です。

なぜ積極的に関わろうとしなかったのか、

そこに僕の大きな欠点があります。

今回はそれを掘り下げてみましょう。

当時の僕の最大の欠点、それは

『他人を認めようとしないくせに自分を認めてもらいたがる』

という性格です。


僕は現役を引退してから2002年まで、後輩を認める事が出来ませんでした。

後輩のアクションにケチをつけ、
後輩が書いたシナリオにイチャモンをつけ、

『はぁ、オマエらまだまだ駄目だな』

みたいな顔をしていたのです。

もちろん後輩ですから至らない点だってあったでしょう。

しかし、それを貶めるのは先輩としてどうなんでしょう?

後輩を良くしてあげたいと思うならば導いてあげるのが先輩の役目ではないでしょうか。

少なくとも、自分にも同じような時代があったと自覚すれば、簡単に非難は出来ないハズなんです。

それを、

当時の僕は、導く事もせず、非難ばかりしていたのです。

どうしてそうだったのか、

後々理由が分かりました。

後輩を落とす事で、相対的に自分が上に立ちたかっただけなんです。

何の事はない、

『内野さんスゴいっスね!』

と褒められたかっただけなんです。

僕は、

自分が褒められたいばかりに後輩に文句ばかり言ってる最低な先輩だったんです。

無論その時はそれを正しいと思ってやっていました。

『ダメ出しされた部分を直せば良くなるんだから。
つまり俺は後輩の為を思って言ってるんだ』

そう思っていました。

『ダメ出しされて言う事を聞かない奴は向上心がない奴だ』

そうも思っていました。

だけど、後々考えると、それは自分をごまかす為の言い訳に過ぎませんでした。


この2000年から僕は再びショーに関わるようになるのですが、この根源的な欠点のせいで大変な失敗をする事になります。

それは2002年のエピソードまでお待ち下さい。
2011-04-15(Fri)

アクションへの道(176)

置き手紙を見た僕はパニクって何とか彼女に連絡を取ろうとしました。

『こーゆー事態の時は早目に連絡をつけないとダメになる』

僕の直感と経験がそう言っています。

『彼女もしばらくすれば頭を冷やしてくれるだろう』

なんて考えで何度失敗した事か。

しかし当然ながら彼女は電話に出ようとしません。

不本意ではありますが

『しばらくすれば頭を冷やす』

に賭けるしかありません。

翌日も連絡は取れず、更に翌日も…

これは悠長にかまえてる場合ではない!

僕は区役所に駆け込みました。

『あの!離婚届けを受理しないよう手続きをしたいんですが!』

『届けはもう受理されてますね。離婚成立してますよ』


ガビーーーン。


こんな古臭い効果音が聞こえるほどショックでした。

僕はどうにか彼女に戻ってきてほしくて家庭裁判所にも行きました。

私文書偽造で離婚届けの受理を無効化出来る可能性もあったからです。

ですが調停員の方からは

『奥さんの意思は固いみたいだよ。
もう完全に心が離れてるんなら、これ以上ゴタゴタさせるのは賢明じゃないかもね』

とアドバイスされ…

結局は諦める事にしました。

しばらくは練習後に独りの部屋に戻るのが怖くて、後輩達に

『一緒に帰っていい?』

なんて付きまとい、軽くストーカー扱いされたものです。

後輩のみんなは迷惑だったと思うけどさぁ、ホントに独りを実感するのが怖かったんだってばよ。

それからはショーの仲間にも

『いつの間にか結婚していつの間にか離婚したらしいね!』

なんてネタにされながら何とか立ち直り、

『いずれ自伝に事の顛末を書いてやる…』

なんて暗い情熱をたぎらせたのでした。

その想いが今、ブログで実現しているのです。

パワー・オブ・ドリーム!

信じていれば夢は叶うってこーゆー事か!?

絶対違うな!!


これは現在僕の中でかなり面白い話で、

『帰ったら嫁がいなくなってたんですよ~』

はテッパンだと思ってるんですが、話したところで誰も笑ってくれず、むしろ哀れみの視線を向けられる事の方が多いです。


自分では面白いと思うんだけどなぁ。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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