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2011-04-06(Wed)

アクションへの道(170)

1999年には、それまでと違うスタイルのショーをやりました。

劇団の俳優さんと絡む戦隊ショーです。


ある遊園地で、クリーンエネルギーを紹介するイベントが行なわれ、そこでキャラクターショーをする事になりました。

内容はもちろんエネルギー絡み。

そのショーには、劇団の俳優さん演じる博士が登場する事になっていました。


さて、演劇とキャラクターショーでは大きく違う所があります。

台詞です。

演劇では実際にしゃべりながら動きますが、キャラクターショーは録音された台詞に合わせて動くのです。

博士役の俳優さんは、当然ながら実際にしゃべります。

ナマの台詞と録音された台詞の掛け合いはリスクが高い上に難しい、

という事で、我々の台詞も録音ではなく、ステージ裏で俳優さん達がアテてくれる事になりました。

これは9年目にして初の試みです。


このショーでは僕が怪人をする事が決まっていました。

ショーの進行上、怪人もマイクでしゃべらなければならなかったからです。

しゃべりのショーの台本はしゃべり怪人が書く、

という事で、僕が台本と演出を受け持ちました。


普段のショーに『クリーンエネルギー』というテーマを盛り込み、『博士』を絡め、なおかつ『スペシャル感』を出す…

なかなか大変でした。

テーマがあるショーは説明台詞が多くなり、エンターテイメント性が薄くなる事があるんです。

まぁそこは何とかクリアして…

今度はリハーサル。

劇団の皆さんとの初めての協同作業です。

アクターの動きに合わせてキャラクターとしてしゃべる…

これは俳優さん達も経験がないようで苦労されていました。

『この位置に来たらこの台詞!』

『この動きをしたら次の台詞!』

『ブルーはこーゆーキャラだからこんな風にしゃべって下さい!』

なんて説明しながら全体の殺陣を考え、音響スタッフに

『この台詞にかぶるぐらいのタイミングで次の曲お願いします!』

とBGMの指示。

ホントに大変でした。

並行してヒーロー達の武器も造りました。

スペシャル感を出す為に小道具の力を借りるのです。

そうして臨んだ本番…

うーん…

まぁまぁ?

思ったよりは良くなかったかなぁ…


まずスタッフがいっぱいいっぱいでBGMを間違えまくってグダグダになった。

音楽や効果音を1人でやってるんだからミスも仕方ないかなぁ、とも思うけど、

でも事前に

『1人じゃ厳しいでしょ?もう1人付けましょうか?』

って言ったのに

『一人で大丈夫!』

って断言したんだもの。

後でミスを追及したら

『一人でやるには無理があるやろ!』

なんて言ってました(笑)


俳優さん達のテンションが保たなかったのもあります。

特に2ステージ目では台本の台詞を見失うわ噛むわでこちらもグダグダに。

僕のギャグもダダスベリでしたし…

せっかく大掛かりなショーだったのに勿体なかったですね。


でも僕個人のスキルアップにはなりました♪
2011-04-05(Tue)

アクションへの道(169)

自分流の台本執筆について色々と書いてきましたが、これはあくまでも自分流。

それを押しつけられていた後輩達は窮屈な思いをしていたでしょうね。

申し訳ない気持ちもあります。

でも

『若者が一生懸命書いたからOK』

ってワケにもいかないので、僕は僕なりのベストに導くしかなかったのです。


そもそも創作力ってのは制約があるからこそ成長するもんです。

キャストを何人使ってもOK

ショータイムが長くても短くてもOK

どんな内容でもOK

なんて環境で作っていたら絶対に成長はありません。

たくさんの制限の中でいかに自分のやりたい事をやるか、それが執筆力UPの秘訣かも。

僕がよく言われたのは

実質25分に収まるように。

キャストが1人減っても出来るように。

レッドと怪人以外は新人ばかりでも何とかなるように。

などなど。

これに

『声をアテるメンバーが録音に遅れてくるからピンクのセリフ少なめで!』

とか

『ラストが弱いから誰も思い付かないようなどんでん返しを!』

とかが加わるワケです。

誰も思い付かないようなどんでん返しは、もちろん僕も思い付かないんですけどね。

でもそこで『あーでもない、こーでもない』と悩む事が自身の糧になるのです。

例えば、書き上げた台本を読んでみたら尺が40分のショーになりそうだった場合、

『本来は25分だけど、仕方ないから40分のショーを作ろう』

じゃ駄目なんです。

どうにかして25分に収める必要があるんです。

『削れるセリフはないか』
『簡潔な言い回しはないか』

『削れるシーンはないか』

それを必死に考えるのがライターってもんです。

その作業が自分の引き出しを広げるのです。

どうしても時間内に収まらないなら新しく作り直す事だって考えなくちゃいけないんです。


台本は第一稿が出来てからがスタートです。

一旦カタチが出来て初めて改善やアレンジを入れられるのです。

言ってしまえば第一稿はシノプシスみたいなもんです。

しかし台本を書き慣れてない人は第一稿で完成だと勘違いしちゃうんですね。

手直しさせようとすると

『せっかく完成したのに何でまた手を加えるんですか!?』

ってなったりするんです。

長々と台本に関するエピソードを書いたのには理由があります。

それは…


1999年は書く事が少ないから!

だははははっ、申し訳ないっス!!
2011-03-28(Mon)

アクションへの道(168)

しばらく自分の作品について書いてます。

興味ないでしょうけどお許しを。


僕の台本がごちゃごちゃと言われるワケ、

それは

『ストーリーの構造が2重になっている』

からでした。

2重構造とはどういう事か。

説明いたします。

まず、シンプルなショーから。

こちらは悪役主体のストーリーがほとんどでした。

悪役が子供を襲う→ヒーローが助けに来る

悪役が悪事を働く→ヒーローが止める悪

役が罠を仕掛ける→ヒーローがひっかかる

このように

『悪役が悪い事をするからヒーローが戦う』

という図式がハッキリしているのです。

つまりは悪役の行動に注目しておけば必然的にヒーローの行動にも意識が向かうのです。


では2重構造のショーはどうなんでしょうか。

悪役の進行に加えて

『ヒーロー側のあれこれ』

が描かれているのです。

油断したりケンカしたり悩んだり。

そんなんだから悪役と戦おうにも上手くいきません。

観客は『悪役の行動』のみならず、『ヒーロー側の展開』を気にしなければいけないんです。

『みんなケンカしてて悪役に勝てるの!?敵はすごい作戦を考えてたよ!』

『そんなに油断してちゃ危ないよ!それは罠だよ!』

なんて考えなくちゃいけません。

この『悪役の行動』も『ヒーローの行動』も意識しなきゃいけないってのが『ごちゃごちゃ』と評される所以だったんでしょうね。


これに気付いて僕が作風を改めたかと言うと、決してそんな事はありません。

現代の子供達は、そのぐらいの複雑さを理解する能力を持っていると思うからです。

理解出来なくても容認出来ると思うからです。

だって、昔とは受信する情報量が全然違いますもん。

アニメもドラマもゲームも複雑になってますしね。

『子供だから分からないだろう』

ってのは古い大人の押し付けだと僕は思ってます。


シンプルなショーでは、敵は自分の外側にあります。

圧倒的な力の差を前にピンチになり、それを乗り越えて最後に倒すのです。

その不屈の姿には観客も拍手を送るでしょう。

対して僕のショーではほとんど、

『敵は自分の中にいる』

という設定になっています。

油断してるから負ける。

チームワークを疎かにして負ける。

それを反省し、克服する事でピンチを乗り越えて勝利する。


本来なら一番カタルシスがあるであろう逆転のシーンでヒーロー達が反省してるんだから、そりゃ拍手もしづらいですよ。

でもまぁ数あるキャラクターショーの中にそんなパターンがあってもいいんじゃないですかね(笑)
2011-03-27(Sun)

アクションへの道(167)

僕の書く台本に台詞が多い事は認めましょう。

子供向けにしては内容が若干複雑な事も分かっています(どちらも確信犯です)。

でも『ごちゃごちゃ』と言われると少し反論したくなります。

僕は『分かり易さ』を最優先で作ってるつもりですし、それはある程度成功している自信があったからです。

おおよそのストーリーとキャラクターの感情の起伏がストレートに子供に伝わっていればそれは成功なのです。

複雑すぎて

『今のは何?』
『これは何のシーン?』
『結局何が言いたいの?』
『2、3回観たら意味が分かったよ』

ってなるようなものを『ごちゃごちゃ』と言うのです。


僕の台本は分かりやすいと思う。

しかしながら偉い人から『ごちゃごちゃ』と評されるからには何か理由があるのでしょう。

もしかしたら僕の考える『ごちゃごちゃ』と周りが考える『ごちゃごちゃ』には齟齬があるのかもしれません。

『ごちゃごちゃ』という評価を受け入れるにしろ反論するにしろ、まずは『何がそう言われているのか』を突き止めなくてはなりません。

その為に最も手っ取り早いのは、偉い人が『シンプルで良い』というショーと自分のショーを比較してみる事です。

僕はそれまでに撮りためたショーのビデオを全て引っ張り出しました。

自社他社問わず、県内県外問わず、たくさんのショーを観に行って録画しておいた事が役に立ちそうです。
さて、引っ張り出したビデオを観て何をするかというと、タイムテーブル(というのか定かではありませんが)を作るのです。

00:00…怪人・戦闘員登場
自己紹介と作戦の説明

02:45…戦闘員に作戦を任せて怪人退出

03:00…戦闘員の会場攻撃をきっかけにヒーロー登場

03:20…アクション
ヒーローvs戦闘員×3名
ヒーロー圧勝

04:00…戦闘員やられて退散
ヒーローから子供達にお願いや注意など

04:30…ヒーロー、敵を追って退出

04:40…戦闘員、ヒーローがいないかを確認しながらコソコソと登場


…こんな感じで、何分ぐらいに何があったかをノートに書いてみました。

キャストが何人なのか。

アクションがいくつあるのか。

アクションシーンはトータルで何分あるのか。

キャラクターの登場・退出は何回ぐらいあるのか。

そういった事も全部ノートに書いてみました。

これで分かったのは、僕のショーにおける

『アクションシーンとその他のシーンの割合』

は、他社のシンプルなショーとさほど違いがなかったという事です。

つまりそれは、

『お芝居のシーンが多いからセリフが多いと感じるのではなく、短いお芝居のシーンにセリフを詰め込んでいるから余計に多く感じる』

という事です。

まぁ僕はテンポの早いやり取り(早口って事ではないですよ)が好きなのでこうなるのですが。

しかしこれではまだ『ごちゃごちゃ』の真相に至っていません。

僕はあらゆるショービデオをタイムテーブルに変換して分析しました。

そしてついに『ごちゃごちゃ』と言われる原因を発見したのです。
2011-03-24(Thu)

アクションへの道(166)

まぁ偉そうに書いてますが、要は『僕なりのスタイルがある』ってだけの話でして。

後輩よりも少しばかり経験値があったに過ぎないのです。

ただ役に立ったのは、小学生の頃からマンガを描いていた事や、中学高校と自主映画を作っていた事。

当時の僕が考える話は自己満足の極みで、エンターテイメントのかけらもない駄作愚作ばかりだったのです。

作っている最中は気付きませんが、しばらくして冷静に考えると…

どれもこれも、自分だけが面白いと思ってる事を羅列してるだけの作品で…

『俺ってこんな事を考えてるんだぜ~、面白いやろ~』

という自己愛に溢れたものばかりでした。

恥ずかしいっ!

超恥ずかしいっ!

…でもそのおかげで、

『自分の作品が自己満足になっていないか』

を考える癖がついたんだと思っています。

だってあんな恥ずかしい思いは二度としたくないんだモン!


キャラクターショーの台本を書くようになってからも『自己満足』『内輪ネタ』などと評される事はありましたが、それらは自分の中に『何かしらの勝算』があって書いたものなんです。

力量不足で昇華出来ていなかったものも多々ありますが…


ちなみに僕の台本、他社と比べて

『台詞が多くてごちゃごちゃしている』

と言われていました。

もちろん批判されてるワケです。

『他社さんみたいにスッキリして子供にも分かり易い台本』

を書けって事です。

『シンプルだからこそ盛り上がり所もハッキリする』

『盛り上がり所がハッキリすれば子供が拍手し易い』

って事です。

確かに。

拍手のきっかけを作るのはとても大切だし、僕はそれが上手くありません。

しかしながら僕は、シンプルなショーだけがベストだとは思えなかったのです。

自分の台本がごちゃごちゃしてるとも思ってなかったし。
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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