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2010-12-22(Wed)

アクションへの道(125)

『影マイク』ってのがあるんです。

『影マイク』とはステージ上のキャラクターの声を、物陰で(?)スタッフがアテる事です。

僕がいた事務所では完パケショーがほとんどだったので、影マイクは基本的に立ち回り中の『ヤーッ』とか『トーッ』とか『うわぁっ』とか、そんなんだけでした。


あ、
完パケってのは、セリフが全部録音されてるんですよ。

でも立ち回りは流動的なものだから、掛け声みたいなのは録音出来ないんですね。

かといって無言で立ち回ってると

『さっきまであんなに喋ってたのに、戦い始めたらどうしてみんな無言になるの!?』

なんて事になっちゃうので影マイクを入れるワケです。

慣れない内は『ヤーッ』『トーッ』ぐらいのもんですが、上手い人は色んなセリフを入れる上に何役もアテたりします。


主役『来い!ハッ!ターッ!』
ザコ『ぎゃあ~っ!』
主役『さぁどうした』
怪人『おのれ、行くぞ!ドァ~ッ!』
主役『ヤッ!ハッ!とどめだ!トァーッ!』
怪人『ぐあぁ~っ!!』


…こんな感じで…

立ち回りの手(振り付け)によっては長台詞が入る事も。

『会場の子供達には指一本触れさせんぞ!
今日こそはお前達の企みをぶっつぶしてやる!
行くぞ!●●ソード!!』

みたいな。
(セリフが昭和な感じなのはお許しを)


この影マイク、僕が入った頃は現場スタッフの仕事でした。

現場スタッフに入るのはほとんど社員さんだったので、

影マイク=社員の仕事

みたいな感じになってたんです。

でも、演者の立場からするとそのシステムに不満があった。

リハーサルに社員さんは立ち会いません。

つまり現場スタッフは、ショー当日に初めて僕らの立ち回りを見るのです。

初めて見る立ち回りに完璧な影マイクをアテるなんてほとんど不可能です。

しかも1回のショーに立ち回りは5つも6つもあるんですから。

『レッドの立ち回りはこのタイミングでこの台詞を入れて下さい!』

なんてメモを渡しても焼け石に水です。

本番でパニクってメモの台詞を見失う、
台詞が飛んで沈黙が流れる、
焦って意味不明な台詞を喋りだす、
声が裏返る、噛む。

せっかくの立ち回りがスタッフの影マイクのせいで台無しになる事もあります。
(ふざけた台詞を入れるスタッフもいたんですよ)


それでも当時の社員さん達は

『影マイクは俺達の仕事だからバイトのお前達はやらなくていい!』

みたいに主張してました。

僕は

『仕事ならリハーサルを見て覚えて完璧にやらんかい!』

と思っていました。

そこで1993年ぐらいから強引に自分達でやるようになったのですが…

例えばレッドの立ち回りの時はイエロー役のメンバーが、
イエローの立ち回りではブルー役のメンバーが声をアテる、
と決めておけば、リハーサルで影マイクまで含めて練習出来るんです。


さて1996年の話…

この年もまだまだ社員さんによる影マイクというのは根強く残っていました。

仕事という義務感や責任感でやってるというよりは、

『この人達は影マイク好きなんだなぁ~』

って感じでした。

でもやっぱり行き当たりばったりなのは変わりません。

メンバーは

『うぅむ…』

と思っていても、相手は大先輩な上に社員さんですから

『キチンとやって下さいよ!』

とも言えません。

でもこの当時熱くなっていた僕は

『いいショーをする為には上の人間にも意見を言わないかん!』

なんて思ってしまって…

ある現場で、大先輩のスタッフに言いました。

『僕の立ち回りには影マイク入れないで下さい』


自分としては柔らか~く言ったつもりだったんですが…

その社員さんはよっぽどショックだったのか、それ以降影マイクをしなくなってしまったのです。

もちろんベストなショーをする為にやった事ではあるんですが、ベストなやり方だったとは思いません。

いま考えたら性急すぎたな、と…

もっと社員を含めて話し合いとかをすれば良かったな、と思います。


目的が正しければ何でも許されるワケじゃない、ってお話でした。
2010-12-14(Tue)

アクションへの道(124)

そういえば1996年にはけっこうヒーロー役もやりましたなぁ。

それまでもブルーやイエロー、グリーンなんかは演ってたんですが、中心に立つ主役やピンの主役は初めてだったなぁ。

僕は痩せても幅があるので(身体が薄くなるのです)戦隊には向きません。

3人組メタルヒーローの真ん中とかそんな感じです。

いやぁ張り切った張り切った。

ヒーロー役だから張り切ったワケではなくて、色んな事をやれるのが楽しいんですよ!

普段は怪人で好き勝手動いて、時々ヒーローで決め決めで動く。

キャラクターショー万歳!って思う瞬間です♪

張り切り過ぎて空回りしたり、壁に激突してプロテクターを破壊したり…


あかんがな!!


あんまり張り切り過ぎたらいかんごたるです。

何事も、過ぎたるは及ばざるが如しのごたるですよ。

でもこの時期は身体が軽いから動きも良かったねぇ~♪

問題は…


背が低い僕が痩せてしまうと、ただのちっこい人になってしまう事。

それで怪人やっても迫力ないし…


痩せるべきか、痩せざるべきか、それが疑問だ。


…と悩んだ結果…


必要がない時には痩せるまい

と決めました。

そしてその誓いを現在も遵守しているというワケです。
2010-12-12(Sun)

アクションへの道(123)

合同練習でのオーディション的なものに参加せざるを得なくなった僕。

キャラクターはメタルヒーローの主人公。

ランス(槍)を使った立ち回りです。


僕の直感ですが、参加したアクターさん達はみんな、

華麗な槍さばき

で魅せてきそうな気がしました。

カンフーの槍とか棍みたいな感じの動きです。

あくまで憶測ですが。

でも僕は、

みんながそう来る

という可能性に賭けて、あえて逆を行く事にしました。

天の邪鬼の本領発揮です。


このキャラクター、設定はやんちゃな高校生です。

戦闘のプロではありません。

※3人組で、格闘に長けたキャラが別にいるのです。

だとしたら、若々しさ、やんちゃさを前面に押し出した動きをやろう。

そう思いました。

華麗な動きが上手い人は他にたくさんいるし、僕は僕のやり方で勝負したいし。

実際に衣裳を着けたらプロテクターが邪魔で華麗に槍をさばくなんて無理だしね。

そして順番に立ち回りをこなします。

みんな流石に上手いなぁ~。

自分の番になりました。

それまでの方々と違って、

ぅおおりゃあぁぁぁっ!!

って感じです。

これだよこれ。
これが俺だよ。

立ち回りの最中に、他の事務所の若い女の子達が僕の動きを見てくすくす笑っているのが見えました。

でも恥ずかしいどころか、

ふふん、
下手な奴が槍に振り回されてると思ってるな。
見る目のない若造どもめ。
見とけ!
これが内野武じゃ!!

ぐらいノリノリでした。

もちろんオーディションで選ばれる事はありませんでしたけど(笑)


ひねくれ者にはひねくれ者なりの信念があるのだ!!
2010-12-11(Sat)

アクションへの道(122)

キャラクターショーの事務所というのは意外にたくさんありまして…

県内で複数の事務所(チーム)がしのぎを削る、なんて事も多かったりするんです。

で、その地域で大きなイベントがある時、複数のチームが合同でショーをしたりもするんです。

あ、単にイベントの大きさだけじゃなくて色んな要因が絡んでくるんですけどね。

それは面倒くさいので省略。

…で、各事務所の選抜メンバーで合同チームが作られるワケですが…

1996年、この年に、選抜オーディションを兼ねた合同練習が行われたんです。

僕を含めた『オーディションに興味ないメンバー』も参加していました。

大ベテランの方が立ち回りを付けて、

『各事務所で、普段●●●の役に入ってる奴、これやってみて』

と言い出した時、我々はオーディションの開始を察しました。

複数のアクターが同じ立ち回りをやれば、当然個性が見えてきます。

そして上手いか下手かも。

僕はさほど興味なくその光景を見ていましたが、なんとその後の立ち回りをやらされる事になってしまいました。

『普段●▲■の役に入ってる奴…』

と言われたのですが、ウチの事務所で●▲■に入ってる奴はことごとく欠席していたんです。

なので仕方なく前に出て立ち回りを披露する事になりました…


~つづく~
2010-12-10(Fri)

アクションへの道(121)

1996年…
1996年…

すでに記憶が薄いな…

何がある?

ヤワテクター作った話とか…

ヤワテクターって他に言ってるチームあるのかな?

普通、ヒーローが着けているプロテクターはFRPという強化プラスチックで造られています。

でも、硬いとやりづらいアクションもあるワケで、そんな時は柔らかい素材でプロテクターを自作しちゃいます。

柔らかいプロテクターだから『ヤワテクター』。

自作に限らず、最近は正式な衣裳がヤワテクターって事もありますな。

造形技術の進歩に乾杯!です。

他には…

夏場のアクションショーで動き過ぎて、ショーの後にぶっ倒れて、チームの仲間に

『日頃の行ないが悪いけんやろうがぁっ!』

って怒られた事とか。

まぁ確かにこの時期は新しい彼女が出来て受かれてましたが、それが原因で倒れたワケではないような…


そんな細々した事は色々あるんですよね。

リハーサルで足の親指の骨を折ったとか。

そんな中で何を書こうか…


あ、



オーディションを兼ねた合同練習の話とか書こうかなぁ♪

でもせっかくだから次回に引っ張ります!
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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