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2010-01-07(Thu)

アクションへの道(35)

みんながやってない事をやろう!!と思って剣の練習をしようと思った僕。

しかし、当時僕がいたチームでは武器を使う練習はほとんどやっていなかったので、当然教えてくれる人もいません。
僕の先生はもっぱらビデオでした。
キャラクターショーの聖地・後楽園ゆうえんち野外劇場のショーのビデオを観ながら動きを真似したりしたものです。

それと、同じ地域の他チームから学んだ事もありました。

そのチームと僕がいたチームで合同練習をした際に、他チームのリーダーの方が剣のお手本を見せてくれたのです。
僕はその動きを密かに覚えていて、ビデオで覚えた動きとミックスして練習しました。
おかげで(上手い下手いは別にして)同期の中ではいち早く剣を使えるようになったと思います。
実際は他人の動きを覚えただけで出来るようになるワケではありませんが・・・


パッと見て簡単に見える動きにも実は複雑な道理が隠されています(本当は隠されているのではなくて、見る側が気付かないだけなのですが)
なので、出来ない人間がレベルの高い動きをマネした場合、それは単なる猿マネで終わってしまう事がほとんどです。

例えば、算数の先生がスケッチブックに
『2+5=7』
と書いたとします。
この先生はもちろん計算の理屈が分かって書いているワケです。

今度はクレヨンを持った幼児が、そのスケッチブックを見ながら
『2+5=7』
と書いたとします。
この幼児は算数の「さ」の字も知らなければ、「2」という形が何を意味するのかも知りません。
ただ、見たままをクレヨンでなぞったに過ぎないのです。

一見同じように見える『2+5=7』ですが、かたや計算式、かたや意味のない落書きです。

「見た目が同じならどうでもいいんじゃね?」
という方がいるかもしれませんが、僕はそれも別に否定するつもりはありません。
ただ僕には全く違うものに見えるというだけの話です。

今回はまた、いつも以上の理屈っぽさですね・・・
どうせならもっとマニアックにいきますか!



僕の周りのショー関係者にも
「上達するには練習あるのみ!」
という考えの人がたくさんいます。
しかしぼくは
「上達するには練習と勉強あるのみ!」
と思っています。
勉強を研究と言い換えてもかまいません。

全国にはたくさんのアクションチームがあり、その中にはキチンとした師を持たないチームもたくさんあります(僕がいた所もその1つだと思いますが)
そういったチームには、形ばかりの技は伝わっていても、そこに含まれる色々な物が伝わっていないケースが多いものです。
そういった、自分達がやっているものの由来や根本を知る事は僕は大事だと思います。
その為に必要なのが研究です。

敵の右ストレートを左手で受ける時、身体の他の部位はどう動いているか?それは何故そう動いているのか?
その答えを持っているか否かでアクションは大きく変わってきます。

武術のことわざに、『七分看脚、三分看手』というものがあります。
敵と向かい合った時には、手に3割、脚に7割注意を向けろというような意味ですが、裏をかえせばそれだけ脚の動きが大切だという事です。
脚といっても蹴り技の事ではありませんよ。
歩法や体重移動などの脚さばきです。
上半身の動きは下半身にあらわれるという事なんです。

という事は、敵の右ストレートを左手で受けた時、それが本気で受けたのか段取りで受けたのか、余裕があるのかないのかまでが下半身にあらわれる事になります。

こういった下半身の用法は、形だけ盗んでる人には分かりません。
試しにアマチュアのアクションをじっくり観てみて下さい。
手の動きは複雑なのに、脚はほとんど動かない・・・
そういうアクションが意外に多いハズです。

この件にに関しては『打拳容易走歩難』ということわざもあります。
これは、パンチやキックの練習は簡単だけど、歩法や脚さばきの習得は難しいという意味です。

やはり武術の言葉ですが、僕は武術も殺陣も習得までの根本は同じだと思っています。

マニアックついでにもう一つ、『単刀看手、双刀看走、大刀看口』も紹介しておきましょう。
これは刀を使っている人の力量を見る時のことわざですが、片手で刀を振っている人を見る時は、もう片方の空いている手を見る事、両手に刀を持っていたら脚さばきを見る事、大きな刀を持っていたらその刃筋を見る事、という意味です。
つまり大刀を除いて、武器の動き以外の所に力量が現れる、と言っているのです(大刀の場合は刃の動きで筋力を見るそうです)

これだけ読めば、『他人の動きを覚えただけで出来るようになるワケではない』という僕の言葉も分かってもらえると思います。

本当のプロが、殺陣を殺陣たらしめているものを素人が簡単に見抜く事など出来るはずはなく、それゆえに形は似ていても全くの別物になってしまうという事・・・

結局、この時点で僕が出来るようになっていた剣殺陣なんて、形ばかりの猿マネレベルでしかなかった、という恥ずかしいオチなんです。

~つづく~
2010-01-06(Wed)

アクションへの道(34)

1992年、2月。
間もなく新しい戦隊番組が始まります。

僕は今回こそショーのシナリオを書かせてもらおうと思い、社員さんにお願いしていました。
すると、「使うかどうかはともかく、一応書いてみて」との事だったので、喜んで書きました。
もう昨年のようなミスは許されません。
マニア向けにならないように、オーソドックスなストーリーを考えました。
番組が始まっていないこの時点ではマニアックな物は作れないのですが)

それまで先輩方から度々聞かされていた
「数年前のパケでレッド対ブラックのシーンがあったけど、あれは燃えたなぁ」
というのを参考にして、後は学生時代に観てきたショーのストーリーをつなぎ合わせてみました。

完成したのは定番中の定番、
「作戦だったのさ!」パケ
(と僕は呼んでいます)

これは、ショーのクライマックス、それまでピンチに陥っていたヒーロー達が何故か逆転。
怪人の
「むむ!?これはどういう事だ!?」
というクエスチョンに

「オマエ達にやられたフリをしてピンクを助け出す作戦だったのさ!」

とか、

「仲間割れをしたフリをしてオマエ(怪人)に近付く作戦だったのさ!」

などと高らかに言う黄金パターンです。

まぁ、これと言って面白味のないストーリーではありましたが、これだけ定番なら問題ないでしょう。
僕にとってはむしろ「面白味を加える」事よりも「つまらない要素をはずす」事が大事でした。

昨年僕は、自分達がやっているショーに新人ながらに不満を持っていました。
ストーリーや構成、台詞などが、観客の視点を無視して作られてるように思えたのです。
僕は自分が観客だった時の事を思い出しながら書き上げて社員さんに台本を渡しました。
そしてそれは採用してもらえる事になりました。
かなり嬉しかったですねぇ。
これまで、台本→録音→編集というパケ製作は全て社員の手によって進められていて、我々バイトが口を出せる領域ではなかったのですが、ようやく台本製作の過程に食い込む事が出来たのです!

しかし、それから数週間後、完成したパケを聴いたら・・・
僕がつまらないと思って切り捨てた古臭い部分は、ほとんど社員の手で付け加えられていました・・・
伝統という牙城を崩すのは難しい・・・


そういった裏方作業に関わりながらも、僕は練習には欠かさず参加していました。

当時の練習は週に3回。
火曜日は空手、水・木曜日がアクションです。

空手の日は、基本をメインに、実際の攻撃をどう受けてどう捌くか、そしてどう反撃するかを練習しました。
アクション練習では基本やリアクション、立ち回り等の練習を行なっていました。
武装でやっている練習もベースとなっているのはこの時のメニューです。
ただしこの頃は剣やその他の武器を使った練習は一切やっていませんでした。
(逆に当時やっていた前転後転や受け身、側転は、練習場の床が硬い武装練習ではやっていません)

何度も言いますが、僕はアクションのみならず身体を動かす事において人並み以下の男です。
それゆえに、センスと能力に優れた同期と対等に渡り合うには彼らが持っていないスキルで勝負しなくてはいけません。
そこで芝居やしゃべり、台本と力を入れてきましたが、ある日、
「ウチは剣の練習をしていないんだから、独学で剣を覚えたら同期に差をつける事が出来るぞ」
と気付き、剣の練習をする事にしたのです。


~つづく~
2010-01-04(Mon)

アクションへの道(33)

久しぶりの『アクションへの道』

1991年後半は、大きい舞台に立てたり、しゃべりを経験したり、ホームレスになったり、女の子にフラれたりと色々ありました。


時は12月、ホームレスの僕には厳しい季節でした。

許可が出れば道場に泊まっていましたが、そうじゃなければ外で寝なければいけません。

ある日の練習の後、社員さんがやって来て、
『道場締めるぞ~』と言いました。
施錠の合図です。
こう言われた日は道場に泊まれません。

僕は外に出ました。
寒い、寒すぎる。
これじゃ公園に寝る事は不可能です。

現在は夜の10時…
事務所が開くのは朝の10時…
ちょうど12時間…

そうだ!
6時間歩いてどこかへ行って、6時間かけて戻ってくればいいんだ!

ナイスアイデアです。
身体も暖まるし。

僕は大きな通りを歩き始めました。
これだけ大きな通りならどこまでもつながってるハズだ…

しかし残念ながら、僕は福岡の地理なんて全然知らなかったのです。

1時間も歩くと海にぶつかってしまいました。
その辺りの道は入り組んでいて、右に行けばいいのか左に行けばいいのかさっぱり分かりません。
やむなく僕はUターンしました。

この大きな通りなら、反対に行けばどこまでも行けるハズだ…

再び歩き始めた僕。

しかし…

1時間ほど歩いたところで雨が降ってきたのです。

12月の雨!

傘も無く打たれている僕がいます。

駆け込んで雨をしのぐ場所もありません。

身体は冷えきっていきます。
震えが止まりません。

『ヤ、ヤバい!これはマジでヤバい!!

もう背に腹は代えられません。全財産を使ってもどこかに逃げ込むしかありません。
ポケットを探ると…

1500円…




何も出来ん!
しかしそれでもどこか探さなければ!!

僕はカプセルホテルかサウナを探そうと思いました。
しかし土地勘が全くないので探す事が出来ません。

全身ビショ濡れ、身体の芯まで冷えるとはこの事かと思うぐらい冷えきり、震えながらさまよう僕。

この時の願いはただひとつ、

『温かいお風呂に入りたい…』


その時!遠くに黄色いライトが見えました。
建物の屋上に設置された看板を煌々と照らしています。
深夜12時、こんな時間に看板を照らしている職種なんか限られています。
ましてやあれは飲食店の看板ではない…

サウナか!?カプセルホテルか!?
可能性はある!!

僕は足を早めました。
全財産1500円じゃどうにもならないかもしれません。
でもこれが最後の望み!

早歩きで進む僕…
段々と近付いてくる看板…

ついに!
ついに見えたその看板には!

『●●葬祭場』


・・・・・・


僕は…心が折れてしまいました…

なので仕方なく、冷えて動かない身体を引きずって事務所に戻る事にしました…

戻ってきている社員さんがいるかもしれません。
わずかな期待を胸にビルの下に立ちましたが…

当然1つの明かりも点いてません。

僕はビルの屋上に上りました。
屋上の一部にはトタン屋根があり、何とか雨をしのげるのです。

僕は手近にあった段ボールにくるまり、屋根の下にうずくまりました。

濡れて冷えた身体はもう暖まりません。
しかし、落ちて来る雨を避けられるだけでも大違いです。

風が強くなり、雨も勢いを増してきました。
吹き込んでくる雨を避けようと隅に寄ると…

バキバキッ!

頭上で嫌な音が聞こえました。
そして目の前に屋根の破片が落ちてきて…

ザバーッ!!


そうです。雨と風で屋根が破壊され、たまっていた雨水が僕の上から降ってきたのです。

この時の状況はまさに『ひょうきん族』の懺悔の部屋でバツを出された時のそれでした。

冷えた身体に更に降り注ぐ冷たい雨…

この時の心境はもう
『このままじゃ死ぬ!』
なんて生易しいものではありませんでした!

『こんなに冷たくて逃げ場がない状況で死ねなかったら発狂してしまう!!』

本気でそう思いました。

事務所が開くまでまだ6時間もあります。
僕は正常でいられる自信がありませんでした。

とにかく、屋上ではもう雨をしのぐ事は出来ません。
今度は駐車場に移動しました。
この駐車場はビルの1階にあるので雨が吹き込んでくる心配はありません。
幸いな事に、機材運搬時のクッションとして使う汚い毛布が2枚ほど置いてありました。
僕はその毛布にくるまり駐車場の隅にうずくまりました。
これなら何とか一息つけるかも…

しかし今度は床に雨水がたまってきました。
水溜まりは段々大きくなり、とうとう僕が座るスペースがなくなってしまいました。
僕は階段を上り、2階の入口前に座り込みました。
もう他に行く所はありません、行く力もありません。
事務所が開くまであと数時間…
もしかしたら早出の社員さんがいるんじゃないか、早朝出発の現場があるんじゃないか、わずかな望みを持つ事で何とか正気を保ちました。

結局、早出も早朝出発の現場もなく、最初の社員さんが出社してこられたのは9時半頃でした。
ほとんど僕と面識のない女性社員だったので、階段を上ってきて僕を見つけた時は驚きのあまりフリーズしていた記憶があります。
なんたって、会社の入口の前に、汚い毛布にくるまってガタガタ震えているビショ濡れの男が座り込んでいるのですからそれも仕方ありません。

僕は寒さで動かない口でようやく、

『僕はキャラクターのアルバイトなんですが、道場を開けてもらえないでしょうか』

と言いました。
しかしこの社員さんは同じ会社だけど別のフロアの方だったので道場を開ける事は出来ませんでした。

僕が別の社員さんに鍵を開けてもらって道場に入れたのはそれから15分後。
僕は何とか12時間耐え忍ぶ事が出来たのです。

そして僕はどうにかして部屋を借りようと決意しました。
お風呂さえ付いていれば、温かいお風呂に入れる部屋ならどこでもいいと思いました。
そして、親にも助けてもらい部屋を借りたのはそれから2ヶ月後。

西暦は1992年になっていました。
2009-12-30(Wed)

アクションへの道(32)

「クリスマスに何が起こったか」


あれは何日だったか・・・
多分1991年12月23日・・・だった気がする(18日だったかもしれない)

その日のショーはとある百貨店。
キャラクターは、主役が3体のメタルヒーロー物。

ショーが1ステージあった後、クリスマスの歌のコーナーがあり、そこに主役が登場する、という流れでした。

メンバーは主役3人に悪役3人。
この日は現場が1班しかなかったので、僕以外はかなりのベテランメンバーで固められています。
同行するスタッフはこの現場の営業担当さんでした。

さて、現場に到着し、ステージで場当たり(リハーサルのようなもの)を始めると、営業担当のスタッフが言いました。

「おいおい、今日はショーはないぞ」

・・・はぁっ!?

硬直するメンバー一同。

「主役が3体、歌のコーナーに出ればいいんやから、他の奴らは要らんぞ?」

・・・はぁっ!??

まだペーペーの僕も、これは頭に来てしまいました。
僕らはキャスティング担当の社員さんからショーがあると聞いてこの場にいるのです。
この営業担当もウチの事務所の社員なら、キャスティング担当もウチの社員です。
それなのに何故、大切な現場の情報が共有出来ていないのか?
この人達は一体どんな仕事をしているのか??

第一、今さら「悪役3人は要らん」とか言っているが、移動の車にメンバーが6人乗っている時点でおかしいとは思わなかったのか?
要らんのなら我々は前日にスケジュールの都合をつけてリハーサルをする必要などなかったではないか。
当日だってのんびり寝てて良かったのだ。

「ちょっと待って下さいよ、僕らはショーがあるからってキャスティングされて、リハーサルまでしてここにいるんですよ。何とかショーをする事は出来ないんですか!?」

僕は食い下がったのですが、

「あぁ無理無理。それならクリスマスツリーを運ぶ手伝いをしてくれ」

僕らは何故か、ショーとは何の関係も無いツリー運びの手伝いをさせられました。
百貨店の従業員さんと共に何十本とあるツリーを6階から2階まで運んだのです。

正直僕は・・・

ハラワタが煮えくり返っていました。
ウチの事務所にはキャラクターショー部門とは別にイベント部門があったので、こんな仕事ならイベントのメンバーを呼べば良かったのです。
もしかしたらイベントの方がギャラが高いからわざとこうしたのかもしれません。
単なる伝達ミスが原因でこうなったのかもしれません。
しかしどっちにしても、いいかげんな事この上ない!!

ツリーを運び終わって汗だくの僕は、これだけで帰ったら自分のプライドが許さないと思いました。

「これだけ働いてショーもさせてもらえないんですか」

さすがにスタッフさんも後ろめたくなったのかもしれません。

「ショーをしようにも30分も枠が取れんけんなぁ~」

少し態度が緩和されました。今だ!!

「5分だけでも時間作れませんか?ラス立ち(ラストの立ち回り)だけしましょう」
「パケはどうするんや」
「主題歌を流しててくれれば僕がしゃべりで何とかします。主役のセリフは影マイク(裏で声をアテる事)で対処しましょう」
「いいけどな、俺は影マイクはせんぞ」



きさまぁ~っ!!
誰のせいでこんな事になったと思うとるんじゃあ!!
何が
「俺はせんぞ」じゃ!!少しも反省はないんかコラァッ!!


ペーペーの僕の怒り爆発でした。

「いいですよ。全部僕が声をアテます。それならいいですね!?」

こうして何とかラス立ちだけは出来るようになりました。

まず僕が裏でしゃべります。
悪役『はっはっはっは!人間ども!今からお前たちのクリスマスを台無しにしてやる!戦闘員!行け!!』
戦闘員2体が登場。暴れます。
そしてボスの僕が登場。
悪役『人間ども!我々は悪の組織●●軍団!この地域を制圧する為に、まずはお前らに犠牲になってもらうぞ。戦闘員!やれ!!』
客席を襲う戦闘員。ボスはクルッと背を向けます。
そして出来るだけ肩を動かさないように気をつけて・・・
主役『待て!●●軍団!』
ボスは正面を向いて、
悪役『こ、この声は!えぇ~い、出て来い!!』
しゃべりながら背を向けて、
主役『行くぞ!トォ~ッ!!』
主役3体登場。
ボスは客席に背を向けてしゃがみ、口元が見えないようにします。
そしてまずカッコイイ声で、
主役『俺は、主役A!』
次は軽めの声で、
主役『主役B!』
最後は低めの声で、
主役『主役C!』
そしてまたカッコイイ声で、
主役『3人揃って、●●●●!!』(ホントはこんな名乗りじゃない)
ボス、立ち上がって、
悪役『こうなれば勝負だ!行くぞ!!』

アクション。

ボスやられてフラフラしながら、
悪役『おのれ、●●●●め!』
そして崩れ落ちて口元を隠します。
主役『よし、とどめだ!●●●●キ~ック!』
立ち上がるボス、3人のキックをくらって、
悪役『うわぁ~っ!覚えていろ~っ!!』
と、ステージ裏に隠れます。
息の乱れを隠しながら、
主役『みんな!大丈夫だったかい?それじゃこの後は楽しい歌のコーナーだ!!』

正直ね・・・めちゃめちゃだったと思うんですよ・・・
だって僕はキャラクター歴1年で、まだ何回かしかしゃべりもやった事なかったんですから・・・
1人4役て・・・

でもこれがきっかけで少し自信がついたというか・・・

いくら素晴らしい動きをする同期達でもこれは出来ないんじゃないかな、と。
動きでは敵わなくても僕は別のジャンルで張り合えるんじゃないかな、と。

そう思えただけでもこの日の現場は良かったのかな?

でも僕にとって結果オーライってだけで、プロの仕事としてはいかんよね!!
スタッフさんには猛省を促したい!!
・・・って、もう18年も昔の話か・・・


ちなみに今までの僕の最高記録は1人7役です。


※この日の主役Cに入っていたのは現在武装メンバーの阿部です。
僕はこの時の阿部さんの動きを見て、

「あ、キャラクターを演じるってこーゆー事なんだ!」
と目からウロコが落ちたのでした。



2009-12-30(Wed)

アクションへの道(31)

最近何を書いても説教臭い。
精神論ばかりでなく、何か楽しい事を書けないものだろうか。
そう、目指すはエンターテイメントだ!!



・・・そんなものを書ける能力はない。
皆さんスミマセン・・・



僕はキャラクターショーのチームに在籍している頃、ショーの台本を書いていました。

完全に自作の物から、後輩の作品を手直しした物、しゃべりショーの台本まで含めたら使用された物は30~40本は書いたと思います。

チームに入って10ヶ月ぐらい。
初めて台本を書いたのはその時期でした。

当時僕がいたチームは、台本から録音・編集まで社員さん達だけで行なっていて、我々バイトが関わる余地がありませんでした。
しかし初しゃべりで調子に乗っていた僕は、ちょっと台本を書いてみたい気持ちになったのです。

完パケ、完全パッケージのショーというのは、安定していますが融通が利かないものです。

完パケは、再生ボタンを押しさえすれば録音された物語(セリフやBGMや効果音)が流れます。
アクターはその音に合わせてお芝居をすればいいのでリハーサルがキッチリ出来るし本番でも毎回同じレベルのショーが出来るのです。
しかし、台本の執筆、録音、編集といった作業が必要になる為、テレビの展開には追いつきません。
その場合、対応は2つに分かれます。

1つは、追いつかなくても必死に追いかける。
年間に3、4回作り直すチームもあるようです(もっと多い所もありそうですが)。

そしてもう1つは、完全にあきらめてしまう。
番組開始時に作ったストーリーを年間通じて・・・下手すると、翌年のゴールデンウィークまで使うというチームもあります。

僕がいたチームでは後者になる事も度々ありました。

番組開始時に作ったパケを使い続けるとどうなるか??
テレビでは間もなく最終回を迎えようというのに、ショーではヒーロー同士がのんきに初対面の挨拶なんか交わしてたりする事になります。
仲間になるのならないのと揉めてたりします。
これって違和感ありありだと思うんです。

この年・・・1991年の戦隊は画期的な作品でした。
興味がある方は調べてみて下さいね。
おそらく子供達が混乱するぐらい人間関係は入り乱れ、展開も二転三転するような、そんな番組だったのです。
10月にもなると初期に作ったストーリーに違和感を感じるようになりました。
社員さんに聞くと、忙しいので新しいパケは作らないという事でした。
忙しくて作れないのなら、台本を僕が書けば手間が省けるんじゃないか、と思い、書く事にしたのです。

テレビの展開や人間関係を盛り込み、おそらくは、ややマニアックな内容だったと思いますが何とか完成。
社員さんに渡しました。
それから10分後、僕は誤字があった事に気付いたので書き直そうと思い、社員さんの所に行きました。

「すみません、さっきの台本ですが、誤字があったので書き直したいんですけど・・・」
「あぁ、あれな。あれは捨てた」
「えっ?」
「あれはな、つまらん」

台本は結局使われる事も返って来る事もありませんでした。
かといって他の誰かが新しい台本を書く事もなく、この話は終わってしまいました。

まぁ、マニアックすぎて使えなかったというのもあるでしょう。
テレビの展開を盛り込み過ぎれば、また展開が変わった時に作り直すハメにもなります。
ショーのパケはある程度の当たり障りの無さが必要なのです。

しかしそれは後々の自己分析に過ぎません。

この社員さんは何がつまらんかったのか、どうすれば良かったのか、一言のアドバイスもしないまま台本を捨てたのです。

今思えば・・・
もしかしたら読む事すらしなかったのかもしれません。
なにしろ最初から忙しくて作れないと言ってたのですから。
そして、
「バイトがパケ製作に関わってくるな」
という暗黙の忠告だったのかもしれません。

しかし実際問題、古いストーリーでは違和感が生じているのです。

「子供はヒーローが出てきて戦ってたら喜ぶんだから」とは当時の先輩の言ですが、それは観てくれる子供達を馬鹿にしていると思いました。

ありきたりな言い方ですが、子供の感受性というのはとても豊かです。
わずかな事でも意外に注目しているし、それを心にとどめてるものです。
悪い意味での子供だましは絶対に見抜かれます。

キャラクターショーのチームはショーをする事で成り立ってるんじゃないの?
ショーは子供達が観てくれる事で成り立ってるんじゃないの?
観てくれる子供達を喜ばせるのが最低限の義務じゃないの??


それなのに、仕事が忙しいからとショーの事を後回しにする姿勢に僕は疑問を感じました。

僕は中学・高校時代、ショーを観るのを楽しみにしてた人間です。
まだ、観る側の気持ちは忘れていません。

俺は子供達を喜ばせる為にショーをするんだ・・・

この時、そう心に誓ったのです。



・・・やべっ!元の事務所に対して批判がましい事いっぱい書いちゃった!
関係各位にお詫びします!ごめんなさ~い!!

次回はこの年のクリスマスに起きた事を書きましょう。
またもや批判がいっぱいだゾ!!
プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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