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2009-12-13(Sun)

アクションへの道(20)

通称『大会』と呼ばれるショーに出演する事になった僕。

このショーは3つのチームが合同で行ないます。
ウチのチームからは僕を含めて6名が入る事になりました。

この6名の中には現在武装で共に汗を流している阿部もいます。
初めての状況で緊張しまくっている僕にとって、この温厚な先輩の存在がどれだけありがたかった事か!!

さて、このショーのリハーサルですが、当然ながら各チームが揃っての合同リハになります。
週に1回で4~5回行なうのでトータルすると1ヶ月ぐらいの準備期間です。

各チームの精鋭達・・・
ベテランと呼ばれる大先輩達の中に入っての1ヶ月・・・

怖いよ~!
怖いよ~!!

初回は合同リハと言うよりも合同練習でした。
ショーの仕切りは、九州最大手の某アクションクラブ。
練習内容もそのチームのメニューに準じています。
さて・・・どんな練習なのか・・・戦々恐々・・・

な、なんじゃこりゃ!

基本もウチとは全然違うやないけ!
き、きつい!!

トランポリン!?
未経験ですけど!?
跳ぶんですか!?
私が!?

・・・マット無いですけど!?
えっ!?
みんながキャッチしてくれるから大丈夫!?
そんなぁ!!
ひええぇぇ~っ!!!


・・・といった感じで、終始パニクっていた僕なのでした。

うぅ・・・
練習後には完全に打ちのめされて心が折れている僕・・・

しかし帰り際にショーの台本を渡されて復活!!

どんな内容なんやろ!?
イエローはどんな見せ場があるんやろ!?
セリフは・・・??


イエローのセリフは二言だけでした・・・
ちょっぴり残念だけど仕方ない!
うおぉっ!気合い入ってきたぜ!

~つづく~
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2009-12-12(Sat)

アクションへの道(19)

戦闘員とイエローばかり演っていた僕が、初めて怪人をやる事になりました。

普段より人数も多め、クライマックスで昨年のヒーローが助けに来るというスペシャルショーでの怪人です。

とはいえボス怪人ではありません。

   ボス怪人
 怪人A 怪人B
戦闘員戦闘員戦闘員 

といった組織構成の中での怪人B。
戦闘員より若干強いぐらいの扱いです。

このリハーサルでは僕は今までないぐらい怒られました。
何故か?
動きが怪人ではなく戦闘員だからです。

ボスの前でひざまずく姿勢、ヒーローに対する構え、台詞の時の動き…
それらが全て戦闘員にしか見えないとの事。

この時点で僕はキャリア半年。
怪人を演った事もなければ動きを教えてもらった事もありません。

出来るワケねーよっ!


でも、こうして理不尽に怒られる事で成長する事もあるんでしょうね(個人的にはイヤですが)
誰も教えてくれないのに怒られるのなら、次回怒られないようにする為には自分から教えを乞うて練習するか、上手い先輩の動きを盗むか、とにかく自力で上手くなるしかないからです。

僕も先輩に色々と聞きながら自分のアイデアを加えて、自分なりの怪人を演じ切りました。
その結果は…


まぁ、可もなく不可もなく…でしたかね(笑)


これと同時期、僕はもうひとつ、大きなショーに関わらせてもらっていました。

当時、毎年夏に大手出版社の主催で行われていたイベントでのキャラクターショーです。

このイベントは全国の主要都市で行われていました。
ショーに関しては、開催場所が東京なら関東のチーム、大阪なら関西のチームといった感じで各地から精鋭が選ばれていました。

福岡では当時県内にあった3チームが合同でショーに臨みました。

僕のキャリアは7~8ヶ月。
ヒーロー役としての練習もほとんどやってなければ見せ場をもらってアクションをやってたワケでもない、素人に毛の生えた程度の若手です。

そんな僕ですが、会社は
『見た目は本物だから!』
…と体型押しで選んでくれたのです。

めっちゃ緊張する…
でもめっちゃ嬉しい…
でもやっぱ緊張する…

そんな気持ちを抱えて、初めて3チームの合同練習に向かう僕なのでした…

~つづく~
2009-12-09(Wed)

アクションへの道(18)

ゴールデンウィーク前に倒れてしまい、2日間現場に入れなかった僕。

それは口惜しかったけれど、自らの失態が招いた結果なので諦めざるを得ませんでした。
むしろ、僕の代わりに急遽イエローに入ってくれた先輩に申し訳ない。

さて、5月に入って現場に復帰した僕。
戦闘員のリーダーからイエローに着替えるといういつもの役です。
従えている戦闘員2人は3月に入った新人さん。

僕もまだまだ新人みたいなもんだったので、せっかくなら新人3人、色々アイデアを出して面白い事をしよう!という事になりました。
この時の経験が後々の僕に大きく影響してるのは間違いないでしょう。

登場してすべってコケるってのはどうだろう?
コケた奴を後から来た奴が踏んで行くってのはどうだろう?
いっそ3人ともコケたらどうなるだろう??

毎回新人3人でコッソリ打ち合わせです。
怒られるかもしれないので先輩やスタッフには内緒♪

上記を読んで
「別に大した事してねぇじゃ~ん」
とお思いの方も大勢いらっしゃるでしょう。
でも、新人がそれを気軽にやれる雰囲気ではなかったのですよ当時は。

この時の班も大ベテランの大御所が入ってらっしゃったし、なによりショーの内容に遊びがなかった。

ちょっと批判っぽくなりますが、この頃のショーは旧態依然とした内容が多かったです。
パッケージ製作に手間をかける余裕がなかったのでしょうが、おそらくは十年も前に確立されたスタイルをそのまま継続していたのではないでしょうか。
作り手によるのかもしれませんが、テンポは悪く、物語の整合性もめちゃめちゃ、時代に取り残されたギャグが虚しく響き、ヒーローが登場するカタルシスもない・・・

僕は新人ながらに
「エンターテイメントが無いなぁ~」
とボヤいてました。
それを何とかエンターテイメントに近づけたくて出た暴挙だったのです。

最後まで真顔で観覧されるよりは馬鹿馬鹿しくてもウケを取りたかったのです。
果たして結果は・・・


正直、お客さんの反応は分かりません。
だってショーの最中はいっぱいいっぱいで、客席を見る余裕なんてないんですもの。
でも、多分、どちらかと言うといい反応だった・・・気がします。

でも意外な事に、スタッフさんや大先輩達が喜んでくれたのです。
ショーの後、
「オマエ達、面白いなぁ」
と言ってもらえて嬉しかった記憶があります。

今は当時の先輩達の気持ちが分かります。

やってる事はしょーもなくて笑えもしないけど、新人達がショーを盛り上げようと自分達で考え、話し合い、努力した事を評価して下さったのでしょう。

リスクを背負いたくなければ人の言う通りに動いてればいいワケですが、自分のスタイルを確立したかったらどんどんアイデアを出して試してみるべきです。
100のアイデアを出せば99は失敗しても、1つは成功すると思います。
むしろ失敗もせずにたった1つの成功を生み出す可能性は著しく低いと思います。

ここで僕ら新人は、自分達のアイデアを以って演技に当たるスタイルを身に着けたのです。


~つづく~
2009-12-07(Mon)

アクションへの道(17)

新人ながらヒーロー役に入れてもらい、まさに順調な滑り出しかと思われた僕のキャラクターショー・ライフ。

しかし意外な落とし穴が・・・


4月、ゴールデンウィークを控えたキャラクターショー業界はあわただしくなる。
年間通じて最も忙しいのがこの時期で、とにかくショーの班数が多い、人が足りない。

例えば、兄弟や学校の友達、さらには友達の友達などまで駆り出してメンバーを集める。

今日は戦隊のリハ、明日はライダーのリハ、あさっては戦隊のショーが終わってからメルヘンのリハ、その翌日にライダーのショーが終わったところで新人が行方不明になりメンバー入れ替え。前日のメルヘンリハが無かった事になり、急遽また戦隊のリハ・・・

なんて事が日常茶飯事なのがゴールデンウィークだ。

しかし、何日も続けてショーが出来る楽しい期間でもある。
体力的にはめっちゃハードだけど・・・



↓↓2001年。自作のオリジナル怪人に扮する僕
2001

僕の初のゴールデンウィークは連日イエローの予定だった。

そんなある日の練習の帰り。

僕は久留米に帰るべく、1人で駅に向かっていた。
駅の前に屋台が出ていたのでラーメンを1杯食べてから切符を買いホームへ。

電車を待っていると、何だか気分が悪くなってきた。

あれ?ラーメンが良くなかったかな??

そう思ったけど、終電を逃すワケにもいかないのでとりあえず家に帰るしかない。

1時間もかからないんだから大丈夫だろう・・・

そう思いながら僕は電車に乗った。

しかし、落ち着くどころか具合いは段々悪くなり、2~3分後に到着した次の駅で飛び降り、トイレに駆け込んで胃の中の物を全部出した(汚くてスミマセン・・・)
これで落ち着くかな?とホームに戻るもやはり気分は良くならず、再びトイレへ。
ホームとトイレを往復する僕の心臓はバックンバックンと激しく鳴り響き、呼吸が苦しくなってきた。
ベンチで休もうと座ってみたが、僕は体勢を保つ事が出来ず、床に大の字に倒れこんでしまった。

視界がグルグル回る。
呼吸が出来ない。
僕は衣服のボタンやファスナーを全開にした。
それでも息が苦しい。
気分が悪いのでトイレに行きたいが、もう動く事が出来ない。

次第に周りがザワザワしてきた。
電車も何度か到着・出発してるのできっとその乗客がザワついたのだろう。

しばらくすると駅員さんがやってきた。
「大丈夫ですか!?救急車呼びましょうか!?」

今の僕には病院にかかるようなお金はない。

いや・・・大丈夫です・・・すぐに良くなりますんで、申し訳ないですがベンチに座らせてもらえませんか・・・

駅員さんの手を借りて、大丈夫、大丈夫ですと言いながらベンチに座る僕。
しかし駅員さんがその場を去ると、やはりバッタリ倒れてしまうのであった。

再び駅員さんがやってきて
「やっぱり救急車を呼びましょう」
と言った。
病院だけは避けたいと思った僕は、ショーの事務所に電話してもらった。

どれぐらい経ってからか分からないが、事務所の社員さんが2人で来てくれた。
車に乗せられ事務所の道場に戻る僕。
出る言葉は
スミマセン・・・スミマセン・・・
ただそれのみ。

しばらく休憩したものの一向に回復しない僕を見て社員さんが
「やっぱり病院に行こう」
と僕を起こした。

近くの救急病院に運び込まれた僕。
先ほどまでの記憶も曖昧なんだけど、この辺りは全く覚えていない。
どうやら点滴を受けて、翌日まで入院する事になったらしい。


翌日気がつくと、連絡を受けて母が病院に来ていた。
おそらく今回の症状について母が説明を受けたのだと思うが、僕自身はほとんど何も分からない。
不整脈がどーのとか、今後熱いお風呂は避けた方がいいとか言われた気がする。

それから母と一緒に何か話しながら帰ったと思うが、車で帰ったのか、電車で帰ったのか、帰ってどうしたのかもさっぱり記憶にない。

僕はこれが原因で事務所から、ゴールデンウィーク中の2日間については自宅療養を言い渡された。
もう回復しました!入れてください!
と言ったらしこたま怒られた。

そりゃそうだよね。

かくしてこの時から数年間、僕は原因の分からない体調不良に苦しむ事になる。

~つづく~



2009-12-06(Sun)

アクションへの道(16)

キャラクターショー歴3ヶ月目にして後輩が出来た僕。

実際は後輩と言っても年上もいれば同年代もいます。

元来人付き合いの下手な僕はどうやって彼ら彼女らと接したらいいか、よく分かりませんでした。
なによりまだ先輩達との付き合い方も分かっていなかったのです。


先輩達と後輩達の間で、

どうやってこの環境に溶け込もう・・・!?

と悩む毎日を送っていました(ちなみに僕と同日に入った同期9名はすでに全員いなくなっていました)。

後年後輩の1人に聞いたところ、『当時あんた1人だけ、完全に浮いとったよ』と言われました。・・・やはりそうだったか・・・


↓↓1993年。渋滞で車が進まなくなり、衣裳・小道具を担いで徒歩で現場へ向かってる途中1993

まぁそうこうしながらも少しずつみんなと話すようになり、時間があれば後輩達と道場に集まって練習する日々になりました。
練習して上達していくのがみんな楽しくてたまらなかったのです。

あ、まだ久留米から電車で通っていたので赤字でした。
練習以外にも衣裳の片付けに呼ばれたりしていたので更に赤字でした。

まぁその分ショーやイベントスタッフの仕事があれば優先的に入れてもらっていたので、赤字の額は減っていったのですが・・・


キャラクターショーの仕事って、正直お金になりません。
キチンとやればやるほど小遣い稼ぎにもならない、という事が多いと思います。
1日の出演料だって少ないもんだし、練習やリハーサルに対しては当然ギャラは発生しません。

そんな環境なのに、何故ショーを続ける人達がいるのか?
それは「楽しいから」以外の何物でもありません。

ステージは魔物です。
どんなに経済的に逼迫してもどんなに肉体の限界を迎えても、その魅力に取り憑かれた人間はショーから離れる事が出来なくなってしまうのです。

当時(今もそうかもしれませんが)、面接で「ウチはお金にはならないよ」と断言する事はごくごく当たり前だったそうです。
「お金を稼ぎたいなら他のバイト探した方がいいよ」とも。
こんなバイトはなかなか無いと思います(笑)

本当にお金にならないバイトですが、僕らが再三言われていた言葉が『プロ意識』です。

プロとして恥ずかしくないものを観客に見せなければいけない

プロの名に恥じない努力をしなければならない


・・・まぁ、それはそうですが、プロの名に恥じないギャラはいつまでたってもいただけないワケで。

都合よく利用されてた感は否めませんが、しかしそこには一片の真実もあります。

ショーだけではありません、どんな仕事(バイト)でもそうですが、仕事が発生するという事はそこに必要性があり、誰かに何らかの影響を与えるという事です。
何の必要もない仕事をして、その事実を世間の誰も知らない・・・なんて事はほとんどありません。
だとしたら、その必要性を全うし、周囲に悪影響を及ぼさない、望むべくは良い影響を与える、それが仕事をするという事であり、プロであるという事でしょう。

仕事をするという事は人を喜ばせる事だと僕は思います。
どんな業種であれ、他人に嫌な思いをさせる為の仕事はないんじゃないでしょうか。

だとすると、僕らショーマンにはまず、
「観客に喜んでもらう事」
が必要であり、次いで
「クライアントに喜んでもらう事」
が必要なのだと思います。
自分達がやりたい事、自分達が楽しい事なんて2の次3の次です。


ステージイベントに関わる人達の中で時々こういう事を言う人達がいます。
「自分達が楽しまなくちゃ観客が楽しめるワケない!!」

これも真実の一つではあるのですが、この発言をする人達は往々にして勘違いをしている場合が多いです。
観客を置いてけぼりにして自分達だけが楽しんでいる自己中心的なパフォーマンスをよく見かけます。

「自分達が楽しいから観客も楽しい」
ではないのです。
「観客を楽しませる為に自分達も楽しむ」
なんです。

観客を楽しませ、クライアントを喜ばせる事が自分達の楽しみにならなければ嘘だと思います。

なので僕がステージで何かやる時、何か言う時、常に考えるのは

これをやったら(言ったら)お客さんはどんな反応をするだろう?
という事です。

もちろんウケる事もあれば引かれる事もある(引かれる方が多い)。
歓声があがる事もあればしかめっ面される事もある。
でもまずは客席の反応優先です。
結果はどうあれ、それを考えずにやった事はほとんどありません。

こう考えられるようになったのは『プロ意識』と言う事を言われ続けたおかげです。

・・・まぁ、それを僕が実行出来てるかは、神ならぬお客さんだけが知るところでしょうけど。


※ショーマンとしてのプロ意識に関してはまだあるのですが、続きはいずれ書くかも?書かないかも??


プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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