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2009-11-28(Sat)

アクションへの道(10)

高校2年の夏休み、初めてキャラクターショーの聖地・後楽園遊園地へ足を運んだ僕。

同年秋にもう一度後楽園のショーを観覧し、アクションしたい熱がどうにも止まらなくなっていました。

そして僕は高校3年生に。

僕が通っていたのは工業高校でしたが(土木科)、その方面に進む気はさらさら無し。
かと言って進学を望めるレベルでもありませんでした。

僕は
『一応大学は受ける!落ちたらアクションの道を考える!』
と決めました。

まぁ大学生になってもショーは出来るワケで、勉強したくない言い訳って気がします。

緑のジャンパーでショーを観に行って、スタッフさんから名刺をいただいたのもこの頃です。

そして推薦で受験するもめでたく(?)大学に落ちまして、本格的にアクションを始める事を決意!

とは言っても僕は極度のビビり症。
生まれて初めてのバイトに足を踏み込む勇気が湧きません。

そんな僕に力をくれた2冊の本がありました。

ショッカーO野さんの
『ライダーキックは痛かった』
『熱血ヒーロー日記』


これはショッカーO野さんがキャラクターショーやヒーロー番組の撮影でスタントマンとして活躍されていた頃の話を綴ったもので、大変さや楽しさ、そしてスタントマン(スーツアクター)さん達の熱意が伝わる良書です。

僕は初バイトにビビって心が折れそうになるとこの2冊を読みました。


僕は座っています。

その前には電話機が置いてあります。

電話機の左側には先日ショーのスタッフさんにいただいた名刺。

右側にはまだ有料だった頃のアルバイトニュースが置いてあり、そこには別のチームの募集広告が。

アルバイトニュースに載っていたチームのショーは先日観に行ったばかりでした。

まず、どちらに電話しようか迷いました。

結局熟考の末
アルバイトニュースの方に電話する事に!


…電話する事に…

…決めたんですが…

…決めたんですが…


僕はまだビビっていて、なかなか電話をかける事が出来ません。

事務所が福岡というのも腰が引ける原因でした。

僕が住む久留米から事務所までは電車で40~50分ぐらいの距離。
しかし僕は、高校3年を終えようというこの時期まで1人で電車に乗った事がなかったのです!

初めて1人で電車に乗って、全く知らないプロの世界に飛び込む…

ぅわ~ん!
怖いよ~怖いよ!

…ともがきながら受話器をそっと置く…

…これじゃいかん、とショッカーO野の本を読む…

…勇気を出して受話器を取る…

…怖くなってもがき、そっと受話器を置く…


二日間はそうやって永久機関の如く悩みました。

しかし、このままでは何も進みません。
進学もせず、好きな事もせずなんて、そんな人生だったら意味がない!

えぇい!
もうどうなっても知らん!
地球なんて滅びてしまえ!!


…と投げやりな気持ちで電話をかけました。

僕は声を大にして世間の皆さんに言いたい!
新しい事を始めるのがこんなに怖い人間だっているんです!
やらない奴はやる気がないとは思わないで暖かい目で見て下さいね。

そして新しい事に踏み出すのが怖いという皆さん!
やりたい事は自分が踏み出さないと始まりません!
本当にやりたい事なら怖さを克服して頑張って下さいね!

何て偉そうに言っておきながら、僕は今でもビビりです…

さて、

僕が電話をかけると野太い声の男性が対応してくれました。

『…あの~…アルバイトニュースを見て電話したんですけど~…』
『あぁそう!キャラクターショーってどーゆー事するか知ってる?』
『…はい…まぁ…』
『ヒーロー番組とか好き?ファイブマンとかウィンスペクターとか』
『…はい…わりと好きです…』
『だったら一緒にやろうよ!次の火曜日に事務所に来てもらえる?』


こうして僕はようやく第一歩を踏み出したのです。

時は1990年12月。


~つづく~
2009-11-27(Fri)

アクションへの道(9)

高校2年の夏休み、僕は友人と神奈川へ旅行に行きました。


中学時代の友人の1人…文化祭でショーの企画を進めてくれた親友が神奈川の高校に通っていたのです。

人生初の!神奈川茅ヶ崎湘南海岸!
住宅地の中をサーフボード抱えて歩いてるおニィちゃんにびっくりしたりして。

しかし、やはり関東に行ったなら必ず行きたいと思っていたのが、キャラクターショーの聖地
『後楽園遊園地』!!

だって!
JAC(ジャパンアクションクラブ)の動きがナマで観れるんですよ!?

水道橋に向かいながら心踊りましたねぇ。

ここでオマケエピソードを1つ。

後楽園遊園地の前を中学の同級生・K君がジャージ姿で歩いているのを発見!

『あれ?K君じゃね?』

長身でイケメンのK君は雑踏でも目立ちます。間違いありません。

『間違いない。K君だ。何してるんだろ?』

僕はハッとしました。
K君の卒業文集に書かれていた将来の夢を思い出したのです。

『JACに入る』

確かにそう書かれていたのです!僕は興奮しました!

JACだよ!K君は夢を叶えてJACに入ったんだよ!きっと後楽園のショーに出てるんだよ!』

まさか自分の知り合いがJACに入るなんて!
僕はショーを観ながら

(この中にK君がいるのか…まだ新人だろうから戦闘員かな?)

なんて思ってました。

(ふふふ、観客の皆さん、あの中に僕の知り合いがいるのですよ。ふふふ…)

何故か得意気でした。


数年後K君に会った時にこの話をすると彼は、

『あぁ、部活の試合が東京であった時かな?』


ギャフン!
俺の興奮を返せ!




…何て勝手に勘違いして憤った話はさておいてショーの話。

僕らが観たのは
ターボレンジャー仮面ライダーBLACK RX機動刑事ジバン
が登場するショーでした。

司会のヒロちゃんのテンションや、声をアテている益田てつさんの独特の声など印象に残るものはいっぱいありましたが、後々の僕の考え方の基盤になったものを2つ。

●テレビでは使わないカンフー(棍法)を使うイエローターボ。

それを観て
『テレビの設定を守るよりも、目の前の観客を盛り上げる方が大事なんだ!』
って考えに至りました。


●観客席に登場し、自分の隣りを駆け抜けて行くピンクターボ。

『観客が喜ぶのは細かいテクニックじゃない!キャラクターが目の前に立っているという距離感なんだ!』
という思想を身に着けました。

実際、ショーをナマで観るのとビデオで観るのは大違いです。
正直、キャラクターの存在感はビデオでは伝わりません。
特にアクション関係者はビデオだとテクニック鑑賞に終始する事が多く、それゆえ子供の気持ちを考えずに技巧に走るアクターが増えるようです。

ショーはナマで観て欲しい!

キャラクター7年目の僕が後楽園で、ステージに5人並んで登場したメガレンジャーを見た時、思わず
『かっ…こいい~っ!』
と声をあげて涙してしまったあの感動を味わってほしい!

野外劇場は現在なくなってしまい、屋内でのショーになってるのが残念ですね。

野外劇場には結局
『ターボレンジャー』2回
『カクレンジャー』1回
『メガレンジャー』3回
『ギンガマン』2回
『タイムレンジャー』1回
と観に行く事が出来ました。
どれも素晴らしいステージで、かけがえない勉強になったのは言うまでもありません。


~つづく~
2009-11-26(Thu)

アクションへの道(8)

中学3年の文化祭、自己満足キャラクターショーでこっぴどく打ちのめされ反省した僕は高校生になった・・・

ホントはそんな簡単なものではなく、失敗に気付いたのはまだまだ後だったりして、文化祭の直後に、自己満足すら出来ないような自主映画を撮ったりしました・・・

・・・まぁ、それは置いといて。


高校生になってからもキャラクターショー熱は冷める事無く、近場でショーがあれば観覧に出かけ、スタントマンやスーツアクター(改めて言いますが当時そんな呼び名は知らなかった)の情報入手にやっきになっていました。

空手の本を買い、近所の駐車場にて独学で基本技を練習。
同時に受け身も練習開始。

柔道をやっていたので受け身は問題ないと思ったのですが、何となくアクション向きではない気が。
・・・という事で、ただの受け身ではなく飛び込み受け身を練習していました。

アスファルトの駐車場に工事現場のバリケードを並べ、今週は1つ、翌週は2つとバリケードを増やして距離を伸ばしていきました。

かなり傷だらけの血まみれになりましたが、おかげでアスファルトが怖くなくなりました。

基本だけやってもアクションにならないと思い、テレビのヒーロー番組のアクション(殺陣)シーンを覚えて練習。
これはあまり役に立たなかったかも・・・

ヒーロー番組だけじゃなくカンフー映画も観るようになりました。

この時期に僕の『アクションノート』という物が誕生しました。
それは何か??

僕が漫画家志望だった事は以前書いたような書かなかったような気がしますが、やはりアクションが好きだとアクション漫画を描きたくなるんですね。
そこで資料を作る事にしたんです。
その資料が『アクションノート』
一体何が書かれているのか?

そこには様々なアクションのポーズが描かれているのです。

児童誌に載っていたヒーローの写真・・・キックやパンチ、アクロバットや爆発で吹っ飛ぶリアクション等をイラストにしたもの、アクション映画をビデオでコマ送りにして一連をイラスト化したもの(ホップからロンダートしてバク転バク宙、や、トランポリンでジャンプしてのキック、等のアクション)・・・

もちろんそれで漫画を描いたりしてたんですが、「これをやって良かった!」というのは合理的な動きを理解出来た事。

「あぁ、この足で踏み切ればいいんだ」
とか、
「ここで膝を胸まで引き上げるんだ」
なんて事が頭に入ったおかげで、後々自分の能力以上に動けたんじゃないかなぁ、なんて思ってます。

この時代、我ながらアクション大好きっ子でした。

そんなアクション大好き内野武は高校2年の夏休み、友人と関東に旅行する事になりました。

九州のアクション好き、キャラクターショー好きが関東に行くならば、当然行くでしょ?
後楽園遊園地 野外劇場へ!!


~つづく~

2009-11-25(Wed)

アクションへの道(7)

1987年、中学3年生の僕らが文化祭で行なったオリジナルキャラクターショー、
『悪の秘密計画オクトーバープロジェクト 最初で最後の日』

友人と企画を立て、自分達で衣裳・小道具を作り、台本を書き、台詞を録音しパケを作り、殺陣を付けて演出を付けて…

文字にするとキチンとしてそうなイメージですが、そこはただの素人…というか、ただの中学生。
一緒にやってくれた仲間に申し訳ないぐらいの出来でした。

しかしそれも今だから思うワケで、当時はそれなりにやり切った感を持っていました。


日本中の企業を操ろうとしている悪の組織、執行劣(レッドガイヴァー)率いる『執行コンツェルン』と、それに立ち向かう3人の戦士。

入社が内定していた会社を執行コンツェルンに潰され復讐を誓う古賀弾次(グレートシグマ)

執行劣の母校から、悪事を行なっているOBを成敗する為に送り込まれた正義の生徒会長・原田靖子(学生戦士ミリオン)

執行コンツェルンを倒す為に父親に改造された京本武(ブラックエルフ)

執行コンツェルンは1987年10月1日、催眠電波で日本中のサラリーマンを操る
『10月計画(オクトーバープロジェクト)
を実行しようとしていた。

3人は10月計画を止める事が出来るのか!?


…設定やネーミングに色んな作品からの影響がうかがえますね。

正直…

好きな物の要素をめいっぱい入れて作った自己満足ショーです…

セリフも、
BGMも、

好きな物を好きなだけ、好きなように組み込んで作った『自分達だけが好きな作品』

思い出すだけでも恥ずかしい…

この経験が僕にエンターテイメントというものを意識させるきっかけになりました。

自分がやりたい事と観客が観たいものは違う。
そんな当たり前の事に気付けたのはこのショーの(失敗の)おかげです。

キャラクターショーとしての失敗を実感した僕は後にキャラクターショーの世界に進みました。
一緒に企画を立てた友人は舞台としての失敗を実感し、高校で演劇の道に進みました。


~つづく~
2009-11-23(Mon)

アクションへの道(6)

前回昔の日記を再現してみました。

ショーの良し悪しはもちろんですが、構成や演出、シナリオなど、
「どうしても細かい事が気になってしまう」(by 杉下右京)

一緒にショーをやってきた仲間からも
「内野は本来裏方だよね」
と言われる僕ですが、その裏方資質は中学時代からいかんなく発揮されていたようです。

この時期からしばらく、アクションやりたい熱と同時に、
「ショーをやってるのはどんな人達なんだろ!?」
「どんな練習をしてるんだろ!?」

という事に興味が湧いていました。

まだ現在のようにスーツアクターという職業が陽の目を浴びていない時代です。
彼らについて入って来る情報はほとんどありませんでした。
それが余計に興味をかきたてたのかもしれません。
モノクロイバラキ

複雑に絡み合ったアクションへの想い。
それは中学最後の文化祭で花開きました。

その日があるから今の僕がある、そして、
「なんであんな事やっちまったんだ~!!」
と悔やむ僕がいる。

1987年10月1日
文化祭で行なったオリジナルキャラクターショー
『悪の秘密計画オクトーバープロジェクト~最初で最後の日~』

次回はそのショーについて。

プロフィール

武装代表・内野

Author:武装代表・内野
福岡・久留米を中心に、九州全域で活動している『アトラクションチーム武装』の代表です。

1972年生まれ。
1990年にキャラクターショーの世界に入り現在に至る。

2007年に武装を設立。

武装の活動内容は殺陣教室、殺陣指導、オリジナルキャラクターショー等。

現在は関西コレクションエンターテイメント福岡校さんでのアクションレッスン講師もやらせてもらってます。

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